「怪獣ヤロウ!」

2025年、八木順一朗脚本+監督作品

一見「怪獣映画」を連想させるタイトルだが、いわゆる怪獣映画ではない。

「低予算の自主怪獣映画を作ろうと苦戦する裏方を描く熱血ドタバタ映画」であると同時に「地方映画」でもある。

製作総指揮が「タイタン」代表の太田光代さんで、物語の中核には岐阜を代表するスパースター清水ミチコさんが出ているので、狙いは最初から「正統派の怪獣映画」ではないことは明白。

スクリーンに大写しになるミチコさんがガイラ的な風貌になっておられたので、最終的に巨大化するのか?という期待もあったが、それは叶わない夢だった。

中学時代、自分なりに「低予算怪獣映画」を作り、他の生徒の前で上映してみた主人公山田一郎(ぐんぴぃ)だったが、みんなから嘲笑されるだけで気落ちするが、そんな山田を励ましてくれたのは担任の桝井先生(田中要次)だけだった…

月日は流れ、大人になった山田は役所で働くようになっていたが、そんな山田にある日突然、市長(清水ミチコ)が、街のPR映画を作るよう命じるが…

怪獣映画の常連である手塚とおるさんが、そんな山田の同僚として全編にわたり登場するのが、怪獣ファンとしては嬉しいサービスなくらいで、他にこれといった見せ場はなく、「自主怪獣映画」を作る過程そのものがドラマになっている。

かつて「怪獣映画で名声を轟かせた巨匠」として本多英二(麿赤兒)なる昔の映画屋風のキャラが登場するが、この辺は劇中の時代と合わないので観客としてはかなり戸惑う。

しかも、その本多監督の「自宅兼怪獣倉庫」のような建物が岐阜近辺にあるらしいのもよくわからず、この辺の設定はいくら映画的なご都合主義と言っても説得力に欠けるというしかない。

「怪獣映画」ではないとしても、「コメディ映画」として笑えるかというとそうでもなく、「なんとなく色々な要素を詰め込んだ低予算ご当地宣伝映画」に収まっているだけ…とも言える。

ただ、全くダメな映画かというとそうでもなく、怪獣好きとしては、一応最後まで見ていられるレベルにはなっている自主映画風作品ではある。


幻燈館

映画感想

0コメント

  • 1000 / 1000