「メガロポリス」
ソ連の人工衛星が宇宙を回っている20世紀のアメリカの摩天楼とローマ帝国を重ね合わせたような独特の空想世界を舞台に、1人の天才建築家を中心とした「現代の愛の寓話」とも言うべき物語になっている。
若くして新素材の発明でノーベル賞を受賞したという天才とその富裕な親戚、思想的なライバル関係にある一族との関係、未来に挑みながらも過去に囚われていたりといった内省面と、現代文明とローマ文明をミックスしたような不思議なスペクタクルが楽しめる。
ベースは愛と未来を信じる心を讃える物語だと思うのだが、随所に色々な引用が出てきたりで、それが現実にある名言なのか架空の名言なのかもよくわからず、見る人の教養を試すような内容にもなっている。
とはいえ、なんとなく現在のアメリカが抱えている数々の社会問題を象徴しているようにも感じられる。
さらに美術的には一画面ごとに凝っており、それを見ているだけで豊かな気持ちになる作品ではある。
誰にでもわかりやすい昨今の「ハリウッドファミリー映画」ではないが、その映像を体験し感じるタイプの映画だと思う。
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