「忍術大阪城」

里見浩太朗さん主演の白黒のファンタジー忍術映画「忍術真田城」(1961)の後編にあたる。

 テレビの「風小僧」(1958〜)や「白馬童子」(1960)で一躍お茶の間の人気者になった山城新伍さんもメインで登場しているが、この時期の山城さんはやや肥満が始まっており、メイクの関係か悪役風の顔つきに近づいてる。 

山城さん演じる霧隠才蔵は、白馬童子などと同じく二刀流の使い手になっているのは、サウスポーであることを隠すためだろう。

 名悪役の汐路章さんも登場している。

 冒頭で前編のあらすじはナレーションと映像でざっと説明されており、当時、子供向けの中編作品を組み合わせた「東映娯楽版」の作品だと思われる。

 内容はいわゆる「真田十勇士」の話だが、彼らが敵の忍術使いたちと戦う様は、山田風太郎の忍法帖や、漫画「伊賀の影丸」、また後のテレビ特撮「仮面の忍者 赤影」に通じる要素があり、それらの原点の一つと言って良いかもしれない。

 敵の名前も「玄魔斎」=「甲賀玄妖斎」など「赤影」そっくりで、テレビの「赤影」に里見浩太朗さんや汐路章さんが出ていたのは、当時映画館で「東映娯楽版」も見ていた人たちにとっては不思議でも何でもなかったと言うことだろう。

 違うのは、本作ができた当時はまだ「怪獣ブーム」がなかったので、本格的なミニチュア特撮のようなものはあまり使用されておらず、初歩的なトリック撮影が主流ということだろう。

 さらにこの当時は、まだ本格的な「忍者ブーム」も起きる前なので、忍術といえば戦前の「魔法や妖術のようなもの」の延長でしかなく、手裏剣とかくないといった忍びの小道具類は一切登場しない。

 そのために、天海僧正の払子の妖力で術が使えないとき、手裏剣や火薬を使った火遁の術などが使えない設定になっているのだろう。

 この手の真田十勇士ものでは、大坂冬の陣などの大掛かりな描写はなかったり、十勇士の活躍がほとんど描かれていないことが多いのだが、本作では人気キャラである佐助と才蔵の活躍だけでなく、最後には冬の陣もそれなりのエキストラを投入して再現してある。

ただ全体としては展開のテンポが遅く、テレビ番組のような軽快なテーマ曲がないことなどもあり、若干大味な印象がないではなく、「カラーになってからの子供映画」ほどの派手さはないが、クライマックスには大蝦蟇、大蛇、トカゲ人間(ビニール人形?)と、東映らしい妖怪変化も登場するので、昔の子供向け時代劇と割り切ってみればそこそこ楽しめるはずである。 

【以下、ストーリー】

 1961年、第二東映、結束信二脚本、小野登監督作品

山並みの中央から朝日が昇るイラストに第二東映の会社ロゴ タイトル 

イラストを背景にキャストロール (大阪城を背景に)

慶長5年9月天下分け目の関ヶ原の決戦に敗れた豊臣秀頼は、一人大阪城にあって悲運を囲っていた。

 豊臣恩顧の大名も力と権力の前に脆くも徳川方についた今、忠頼にとってただ一つの希望の星は、関ヶ原の決戦以後紀州山に引きこもって、世の動静を眺めている一代の知将真田幸村その人である。

 幸村のもとに集まる一騎当千の強者たち、すなわち、猿飛佐助(里見浩太朗)、霧隠才蔵(山城新伍)をはじめとする真田十勇士の面々である。(とナレーション)

 策謀と奸智に長けた徳川家康(北龍二)は、あるいは大阪場内に、あるいは真田館に、その副審である女用術師、忍者を送り、秀頼、幸村の暗殺を図ったが、いずれも佐助、才蔵の正義の忍術の前に失敗に終わった。

 慶長19年10月、ついに家康は大阪侵攻の命を全国に下し、関東関西の風雲はますます急を告げるに至った。 ちょうどその頃、家康が密かに伊豆山中にて苦心の末完成した新兵器、甲一号が駿府城に向かって出発しつつあった。 

これさえあれば徳川の勝利は間違いないとまで家康に豪語させた謎の新兵器甲一号とは一体なんであろうか? その正体を探るべく、重大な使命を帯びた猿飛佐助は、恋人である志乃(円山栄子)とともに、その途中を狙ったが、甲一号を守る幻術師玄魔斎(鈴木金哉)の発見するところとなり… 

一方、家康の情報を探らんと、駿府城深く忍びいった霧隠才蔵も、妖術使い天海僧正(瀬川路三郎)の持つ払子に、その忍術を封じられ危機が迫っていた。(とナレーション)

 天守閣の上で、敵忍者の放つ火炎砲を前に後退する猿飛佐助。 

駿府城の石垣の下では、多数の侍相手に戦う霧隠才蔵。 そこに駆けつけた更なる援軍と天海僧正。

 佐助の方には哄笑する玄魔斎の顔が重なる。

 才蔵の方も、天海僧正の払子を突きつけられ石垣に追い詰められる。

 佐助が巻物を持って念じると、孫悟空の緊箍児(きんこじ)のようなものを額にはめた玄魔斎が苦しみ出す。 

すると、天守閣の炎の海は消え、地上に玄魔斎が姿を現し、駿府のお城が気にかかる、桔梗!引け!と命じたので、桔梗の花を持った桔梗の精(霧島八千代)と忍び装束の手下たちは姿を消す。

 一方、才蔵は天海僧正の払子を刀で払い落としていた。

 術が使えるようになった才蔵はその場から一瞬にして消え去る。

 兵士たちが狼狽する中、天守閣に姿を現した才蔵は、天海!秀忠と貴様の命、大阪の陣まで預けるぞと下に呼びかけ笑いだす。

 その声に気づいた天海僧正は、屋根だ、追え!と兵士たちに命じる。

 そこに出現したのは桔梗の精だったので、天海は、おお桔梗と呼びかけ、桔梗は頷く。

 ある日、徳川軍の進軍を眺めていた志乃に声をかけたのは地蔵だったので、佐助さん!どこ?どこにいるの?と志乃も呼びかける。

 ここだよと答えたのはやはり地蔵だったので、どこなのよと志乃は地蔵を抱いて呼びかけるが、おいおい、道端で抱きついたりするなよと佐助の声がする。

 あら!佐助さんがお地蔵さんなの!と志乃が驚くと、うん、往来での立ち話も何だな、向こうに行こうと佐助は答える。 志乃はうんと答え、地蔵も向きを変えると一緒に並んで進み始めたので、それに気づいた近所の女たちは驚いて悲鳴をあげる。

大阪逢坂赤坂の四谷のドン〜♩チョロチョロ落ちるはお茶の水〜♩と子供たちが歌っている川縁に来た佐助は、人間の姿に戻っており、右手の負傷の手当てをしていた志乃は、ひどいわ、佐助さんにこんな怪我をさせるなんてと怒っていた。

 しかし佐助は、何、敵ながらあっぱれなやつだ、俺の術を受けて得意な術が効かないこと見るや、捨て身でぶつかってきた、今の行列の中にいないと見ると、向こうも相当な傷を負ってるんだろうというと、じゃあ、甲一号の正体は分からなかったのねと志乃は聞く。

 うん、もう一息のところだったが残念だったと佐助は答える。

じゃあ、駿府城に行くの?と志乃が聞くので、佐助は行くともと答え、じゃあ今度は私も連れてってと志乃は頼むと、だめだ、今度捕まればタダでは済まんと佐助が言うので、大丈夫ですってば、私これでも猟師の娘です、鉄砲撃つなら佐助さんに負けないくらい上手よ、三丁先のスズメの硬めでも狙えますと主張する。 

それを聞いた佐助は、嘘つけ、離れたらスズメの片目が見えるか!狙うにも狙い用がないじゃないかと言い返したので、ああ、それは例えばの話よと志乃も言い訳する。 

例え話なら信用できんと佐助が言うと、意地悪!佐助さんの…と志乃が拗ねるので、嫌ならなぜついてきたんだ?と佐助は揶揄うように聞く。 

すると志乃は、嫌い!佐助さんなんか…と拗ねる。 嫌いで結構、好かれちゃどんどんと佐助は揶揄う。 

その時、例によって揉めてるようですが…とそばで声がし、霧隠才蔵が姿を現す。 

おお、才蔵と佐助は喜ぶが、近づいてきた才蔵は、お主、怪我したなと案ずる。 

平気だ、今、志乃おさんに手当てしてもらった、もう大丈夫と佐助が言うので、ああ、どうなってるんだろう?さっぱりわからんと才蔵は冷やかす。

あら、何のこと?と志乃が聞くと、いや、何でないと才蔵は答え、おい佐助、俺は昨夜駿府城に行ってみたと本題に入る。

 あの天海はいたが、例の化け物みたいなやつはいない、さては甲一号の方へ行ったらお主はどうしたかと気になって早めに切り上げて、昨夜からこの辺一体を探していたんだという。

 そうだったのか、あの化け物の玄魔斎め、隙を与えて斬ったんだが、手傷だけで終わった、その代わり、術は使えないから俺と相打ちの格好で体当たりに来た、だが間一髪脱出してきたんだと佐助は答える。

 しかし妖術使いが体当たりするとは余程のことだなと才蔵も感心し、おい、どうしてもその甲一号とやら、料理せねばならんなという。

 すると佐助も、うん、今度こそ駿府城で勝負をつけねばならんぞと答えたので、才蔵も、うん、そうともと返す。

 駿府城 猿飛が甲一号を狙いおったか…、撃ち漏らしたのは要するにその方たちの未熟のゆえじゃ、さよう心得い!と報告を受けた天海僧正が叱りつけたので、恐れ入りますと幻魔斎と桔梗の精は答える。

 幻魔斎は、斯くなる上は再び甲一号を狙って猿飛佐助が城内に現れると思われます故、必ず討ち取ります、幸いに一夜のうちに術も使えるようになりましたゆえと答えると、待て!と制した天海僧正は、昨夜城内に霧隠が現れた、村方たち両名が不在なるを見越して、将軍家の命を狙いにきたのであろうと言う。

 されば幻魔斎、桔梗、その方たち直ちに大阪へ飛び、秀頼を狙え、ここはわしがおる限り、猿飛、霧隠共々、城内においてその術は使えん、恐るには当たらん、幻魔斎、桔梗、行け!と天海僧正は命じる。

 はっ!と返事をした幻魔斎と桔梗は立ち上がって、障子の前に近づくとそのまま姿を消す。 徳川家御用の木札を立てた荷車が列をなして町中を通過して行く。

 通行人に扮し、その列とさりげなくすれ違う、佐助、才蔵、志乃の3人。 

とうとう甲一号は城に入るな…と佐助が言うと、目の前をみすみす通り過ぎながら手も出せぬとは残念だと才蔵も悔しがる。

 どうしてもお二人の忍術は使えないのですか?と志保が聞くと、うん、玄海が城にいてあの払子を交わして法力を振るう限り無理だ、駿府の奴ら、勝ち戦気分で湧いていようと佐助は悔しそうにいう。

 駿府城内では玄海僧正と将軍秀忠(若井緑郎)を前に、勢揃いした荷車の先導係が、上様、甲一号、滞りなく到着いたしてござりますると報告する。 

おお大儀じゃと労った秀忠は、早速に組み立ていと命じると、急に高笑いして、これにて大阪城などものの数ではなくなるぞ、父家康公もさぞかしご満足であろう、作業急げと指示を出す。

 城下に集まる諸大名旗本などにも早う見せて士気を奮い立たせるのじゃ、良いな!と秀忠はいう。

 指示を受けた家来は、僧正殿、城内の法力よろしく願いあげますと頼んだので、天海僧正は心配はいらん、拙僧の法力の及ぶところ、忍者の術など到底城内では振るえんと答える。

大阪城の秀頼の泣きっ面が目に浮かぶわと秀忠は愉快そうにいう。 

その頃、大阪城壁の下で座り込んでいた三好清海入道(里井茂)らが伸びをしているところややってきた家臣が、上様の御通り!御通りでございますぞと中したので、御成じゃと言いながら全員土下座して、豊臣秀頼(中村竜三郎)の通過をやり過ごす。 

従っていた木村重成(林彰太郎)は秀頼に、むさ苦しい姿をお見せいたし、申し訳ございませんと詫びる。 それでも秀頼は、良い良い、長の浪人暮らしのものたちなれば、それも無理あるまい、労わって遣わせと重成に指示する。 

そんな秀頼の進行方向で、この髭面の化け物が!何!化け物?もう一度抜かしてみろ!などと、同じような面体の浪人同士塙団右衛門(汐路章)と後藤又兵衛(加藤浩)の間で喧嘩が始まる。

 そこにやってきた重成が、鎮まれ!場内において何事だ、秀頼公の前なるぞ、控えい!と叱りつけたので、全員土下座する、重成、如何いたしたのじゃ?と秀頼が聞いてきたので、はっ、いや、取るに足らぬことでございましょう、両名は後藤又兵衛、塙団右衛門、いずれも天下に名だたる剛勇の士でござりまするが、血気に逸り、かような争いを起こしております、これと申すも、私どもの統制の至らぬ所為にございますると答える。

 それに頷いた秀頼は、幸村が来てくれればのう…と考え込む。

 重成も、さようにございます、浪人たちには真田幸村の名は神の如き力があります、幸村殿さえ来れば、浪人どもの軍気も見違えるようになりましょうと答えたので、大阪の運命は幸村の方にかかっておるのだと秀頼はいう。

 ほほう、一刻も早く出陣せよとのひざ詰め談判かと真田幸村(坂東好太郎)が聞くと、はい、三好清海入道、つらつら天下の情勢を思いますと、頭がカッとして夜もろくろく眠れませんと三好清海入道(里井茂)が申し出ると、殿、清海が眠られないとは嘘でございますぞ、かく申す、この穴山小助、食事も喉に通らずと穴山小助(富久井一朗)が反論すると、殿、小助が食事が喉を通らぬのは大袈裟でございます、かく申す伊三入道、今はただ寝ては覚め、起きてはうつつ幻の〜と三好伊三入道(香住佐久良夫)が浪曲を歌い始めたので、待て待てと幸村は制する。

 そちたちが1日も早く大阪へ入城したい気持ちはよくわかる、だが戦には戦の仕方がある、その仕方のうち、今最も気がかりなのは駿府の動きだ、その動きを佐助と才蔵に探らせているのだと幸村は言い聞かせる。

駿府城の御濠端では、志保が佐助のことを案じていたが、当の佐助は才蔵とともに、城への潜入を図っていた。

 忍術が使えんとは不便だなと才蔵がいうと、仕方がない、うん?こっちは明るいぞと佐助が気づく。 

石垣の隙間から中を覗いてみると、巨大な大砲が完成していたので、すごいぞ、これは大変だ、あれを撃ち込まれたら大阪城も何もあったもんじゃないと才蔵は驚く。

うん?術さえ使えればあの大砲に近づけるのだが…と才蔵は悔しがるが、とにかくお主、紀州山へ飛んで殿に知らせろと佐助が頼む。

 才蔵がお主は?と聞くと、俺は駿府に残って、なんとかあの大砲に近づくと佐助は答えたので、術はきかんぞと才蔵が注意すると、承知の上だ、虎穴に入らずんば虎子を得ずだと佐助は言う。

 じゃあ、俺もすぐ戻ってくる、気をつけろと言い残し、才蔵は立ち去ってゆく。 

その頃大阪城では図面を前にした秀頼が、うん、幸村の采配如何によっては戦いは勝利と判断して良いのだなと聞いていた。 

はっ、その兵力においては残念ながら約20万の開きがございまするが、城外の諸氏はいずれも一騎当千、さすればまず五部と五分、後はただ軍師の采配如何かと存じますと木村重成が答える。

うんと納得した秀頼だったが、重成の表情に異変を感じ、如何いたした?と聞く。 

はっと答えた重成は刀を持って立ち上がり、隣の部屋改をする。 とある襖に刀で斬り掛かると、切れ目から血が垂れてきたので、上様、ご油断めさるな!と重成は叫ぶ。

 襖には、左肩を押さえた幻魔斎の上半身が浮かび出て、やるな…と感心したように言うと、だが俺はいつでも現れて、その秀頼の命を奪うというと笑いながら消えてゆく。

 一瞬を避ければ取り返しのつかなくなるところでしたと重成はいうので、危ういところであったと秀頼も呟く。

 一方才蔵からの報告を聞いた幸村は、ほほう、長距離の巨砲を作っていたのかと納得する。

 はっ、佐助ともどもに観察いたしました限りでは従来の大砲の約20倍の威力はございましょうと才蔵が答えたので、父上、その大砲を撃ち込まれては大阪城はひとたまりもありませんと真田大助(花房錦一)が言うので、うん、わしが一番恐れていたのは兵器の優劣であった…、刀、槍、弓、鉄砲の部隊をいかに上手に動かしても、城を崩されては勝利はおぼつかんと幸村も答える。

 才蔵、その方たちの忍術でも大砲は始末できぬかと大助が聞くと、はっ、残念ながら、駿府城内に天海僧正がいる限り、大砲には近づけません、おそらく天海僧正は大砲とともに戦場に出て参るでしょうと才蔵は答える。 

その時、殿!と呼びかけながら、十勇士たちが庭先に姿を見せる。

 拙者はこれより駿府に赴き、場内に踊り込んで大砲を始末いたすと三好清海入道が志願すると、いや拙者が参りますと穴山小助も主張する。

 他のものたちも行きますと志願するので、待て!犬死には許さんと幸村は叱ると、才蔵、佐助は駿府に残って何をするつもりだと聞く。

はっ、佐助は申しておりました、虎穴に入らずんば虎子を得ずと…と才蔵が答える。

その頃、志乃は人影のない場所に来ると、佐助山!と呼びかけると、志乃さん、どこに行ったのだ?と姿を現して聞く。 

すると志乃は、城下です、大騒ぎよ、武将たちはみんな城内に入り、今日は城内は大宴会ですってと教える。

それを聞いた佐助は、うん、もう勝ち戦のつもりなんだろう、志乃さん、これを預かってくれ、今書いたのだと言い、手紙を渡す。

 あら、何?と志乃が聞くと、殿への報告書だ、城内の兵力その他、分かったことは書いてある、殿に届けてくれと佐助は頼む。

 あの〜、佐助さんは?と志乃が心配そうに聞くと、志乃さん、大阪入城は俺に代わって御殿のお供をしてくれと佐助が言うので、えっ!と志乃は驚く。 

あの大砲をこのまま戦場へ送るわけにはいかない、かといって城内でももはや術は使えない、俺は今夜忍者としてではなくただの侍猿飛佐助として潜入し、最後の一戦を試みるのだと佐助は打ち明ける。 

佐助さん、私も行きますと志乃は申し出ると、何?志乃さんも?と佐助は驚く。

 佐助さんは久能山からここに来る時私に仰ってくれたじゃないの、女の私にもできることがあるはずだってと志乃はいう。

 しかし女の身で…と佐助が躊躇するので、いいえ、大丈夫よ佐助さん、今日は城内は大宴会なのよ、大勢芸人が呼ばれているわと志乃は言う。

 芸人?と佐助が聞くと、ええ、天海のあの払子さえなければ…と志乃は呟く。 

その夜、駿府城内では篝火がたかれ、将軍秀忠、天海僧正臨席の中、大宴会が行われていた。

 舞台上では志乃が舞っており、天海僧正の方を常に気にしていた。

 そんな中、佐助もなんとか城内に忍び込もうと潜入を試みていた。

志乃は踊りながら、徐々に天海の席に近づき、その払子を奪うチャンスを窺っていた。 

そんな駿府城に才蔵も忍び込んでおり、大丈夫かな?と案じていた。 展開は目の前にきた志乃に、見事な舞じゃの、盃を受けよと話しかける。

その盃の酒を飲んだ志乃は、ご返盃と差し出す。 天海はその坂付きを受け取るために払子を下に置いたので、志乃はそれを奪おうとするが、一瞬早く展開がその手を掴み、曲者!払子を奪わんとわしに近づきおったな!と叱りつけると、斬れ!その女即刻に斬れ!と、そばで見ていた秀忠は命じる。

 直ちに側近たちが志乃を取り巻き、両手を掴んで中央に引き出そうとする。 

その時、待て!と叫んで城内に乱入したのは佐助だった。

 志乃は、あ、いけない!佐助さん!と叫ぶ。

 術が使えない佐助は剣だけで家臣たちと斬り合うしかなかった。

 秀忠は、斬れ!斬れ!と逆上するが、天海僧正はお待ちください、天海に案がござるとそれを制止する。

 孤軍奮闘していた佐助の近くにやってきた天海僧正は、佐助、どうじゃ?大事な女の死出の旅を祝って、得意の術を使ってみるか?と迫る。

 志乃は、佐助さん!と叫び、哄笑した天海僧正は、取り押さえろ!と命じる。

 そこに鉄砲隊が駆けつけ、佐助を狙うので、志乃は、佐助さん!と絶叫する。

 佐助が窮地に陥ったことに気づいた才蔵だったが、天海僧正は、この女共々甲1号の的としてあの世に送り込んでやる、発射の用意をいたせと指示する。

 すぐさま家臣たちは、布を被せていた甲一号の準備に入ったので、剣を抜いた才蔵は、家臣たちの中に斬り込む。 

それに驚いた展開が油断した一瞬の隙をつき、志乃は展開の払子を奪い、それを才蔵に投げ渡す。 

それを受け取った才蔵は、天海、見ろ!と叫ぶ。

 志乃は佐助のもとに駆けつけ、佐助と呼びかけた才蔵は、天海!祝宴の払子の行末を見よ!と叫び、払子を空に投げ上げると、たちまち払子は炎に焼かれ地上に落ちてくる。

 逃げ惑う天海や秀忠、家臣たち。

 佐助、大砲を始末するんだという才蔵に促された佐助は、よし心得た!と答え、懐から巻物を取り出すと、甲一号に向けて念を送る。

 すると、雷鳴が轟き、甲一号は爆発、粉砕する。

 天海僧正は悶絶し、佐助、才蔵、志乃の3人は天守閣の屋根の上に出現する。 

佐助がさらに念を送ると、たちまち雷鳴とともに豪雨が降り始めたので、宴会に参加していた家臣たちや浪人たちは右往左往し始める。

 何!大砲甲1号が破壊され、天海僧正が倒れたと!と知らせを聞いた家康は激昂する。

されば秀忠公にはとりあえず本多忠勝殿を総軍師として駿府を出発、西上致されるよしにございますと配下の者は答える。

 それを聞いた家康は、ええい!大砲を失い、天海を失い、のこのこ出てきて何になるか!これで真田幸村が大阪に入城し、采配を振るえばもはや徳川は総崩れじゃ!と怒鳴りつける。

 その時、大御所様、桔梗の精、参上いたしてございますとの声が響き、おお、どこじゃ?どこにおるのじゃ?と家康が見渡すと、こちらでございますと言う声が庭先から聞こえたので、姿を現せと家康は命じる。 

すると庭先に桔梗の花が出現し、さらに桔梗の精が姿を現したので、家康はうんと納得し、そなたは確か、幻魔斎とともに大阪城に侵入いたしておったと聞くが?と話しかける。 

桔梗は、はいと答え、お聞きくださいまし、後藤又兵衛、塙団右衛門以下、世に聞こえた大阪入城の浪人の命、今日明日限り消え失せますと桔梗が言うので、何?大阪入城の豪傑どもの命が?と家康が聞くと、猿飛佐助、霧隠才蔵がお三方の大砲と天海様を倒せば、私と幻魔斎が大阪入城の豪遊の士を次々に倒して参ります、大御所様、お気を強くなされませと桔梗は告げる。

 それを聞いた家康は、おう、頼む!天下を取るも取らぬも、その方と幻魔斎の力にかかっておる、運と上機嫌になる。

 そして、今日姿を消すは何という武将だ?と家康から聞かれた桔梗は、はい、関ヶ原の残党として1万5千の軍勢を率いて入城致した老師の中の大立者、伊吹山城守と答え、自信ありげに立ち上がる。

 その夜、大阪城内にいた伊吹山城守(那須伸太朗)は、いざ開戦となったら、関東のヘラヘラ侍など目にもの見せてくれるわと酒を飲んで大言壮語していた。

 はっ、もう戦は勝ったも同様、もしいくさになったらこの山城守に任せておけ、お主たち相手では酒がまずい、街から女でも呼んでこい、相手をさせてやると山城守は無理難題を家臣に申し出る。

 従者は、それはいけません、木村重成殿の固い申し渡しで、遊女たちを場内に引き入れることは固く禁じられておりますと答える。 

それを聞いた山城守は、何、重成が?チェッ!あいつ固いことばかり言いよって、話のわからんやつだと吐き捨てる。

 しかしその時、ごめんくださいませと女の声が聞こえ、そこに女人が畏っていたので、なんじゃ?誰の使いじゃ?と山城守が聞くと、わたしゃ楓と申します、淀様のお言い付けによりご陣中の徒然をお慰め申し上げるために上がりましたという。

 おお、淀君様のお言い付けで…陣中の慰問に…うん…、さすがは淀君様じゃ…よく気が効く、うん、こうでなくてはならん…と山城守は納得し、おい、みんな下がれ!と従者を遠ざけてしまう。 

人払いが済むと、ほれ楓とやら、近う寄れと山城守は手招きしたので、はいと答えた楓は山城守のすぐ横に接近する。

ああ、いくさのことなら心配せんでも良いぞ、わしらが必ず徳川を破って、また昔のように豊臣の天下にするのじゃと山城守は得意げに話しかける。

楓に化けた桔梗は、はい、城のものは皆、あなた方様におすがり申し上げておりますと笑顔で答える。

 ああ良し良し、任せておけ、任せておけと言いながら、楓の肩に手を回した山城守は、ああ、酌をしてくれるのか?と頼むと、はい、不束ながらと楓が快諾したので、すまん、すまんと喜ぶ。

 山城守が盃を飲み干すと、あの〜、私にも盃をいただかせてくださいませと願い出る。

 おお、酒の相手もしてくれるのか、ああ、良し良し、さあさあやるぞと言いながら、山城守は楓の盃に酒を酌んでやる。

 楓が坂付きの酒を飲むと、そちは美しいのうと山城守は上機嫌になり、楓を抱いてくる。

その時、急に苦しみ出した山城守が倒れると、楓は桔梗の姿を現す。 

そして歩き出した桔梗の精はそのまま姿を消す。

 その死を知った後藤又兵衛や塙団右衛門ら浪人たちは、山城守のやつめ、女に甘いからあんなことになるのだと酒の勢いもあって嘲笑する。

いやまあ、同感じゃ、強いばかりが脳ではない、せっかく手柄を立てる戦場前にいやはやバカなやつだ、こんなことが続くと城内で酒も飲めなくなるぞとからかう。

 全くじゃ、これと言うのも、なかなか戦を始めんからじゃと不満も出てくる。

 うん、徳川の狸親父め、何をしておる、早く攻めてこんか!攻めて来んとこっちから関東に攻め込むぞ!いや、その元気!元気!などと血気に逸る。 

その時、明石大学様に申し上げます、主君重成様、合戦の打ち合わせを致したく、渡し思う換えに上がりましたと若侍が挨拶に来たので、立ち上がった明石大学(有川正治)は、何?合戦の打ち合わせ?ほほう、まあでも良い、いつまでも家康、攻めかけて来んので重成殿もイライラしておられるわと愉快がる。

 良し、行け、そして城方より攻め込む案を承知させろと他の浪人が提案すると、そうだ、このままダラダラしておると、士気に関わるからななどと言い出すものまで出てくる。

 良し、そう言ってやる、行くぞ、案内しろと明石大学は若侍と共に向かう。

 途中、重成殿は御本丸か?と大学が聞くと、はい、大野治長様もご一緒に待っておられますと若侍が言うので、何?大野殿?大事な話だなと大学は嬉しそうに言いながら歩く。

その時、急に立ち止まった若侍が、前方に何やら怪しい影が!と言うので、何?怪しいかげ?どこに?と大学が聞くと、はい、あの方向でございますと答えた若侍に、急に笑い飛ばした大学は、城方のものは実戦の経験がないので、弱虫でいかん、どれ、どこじゃ?と大学はバカにして歩き出そうとするが、その瞬間背後に回った若侍が刀を背中に突き刺してきたので、大学は自分の刀を抜く間もなく倒れる。

 それを見届けた若侍は幻魔斎の姿に戻る。

 度重なる怪事を知った淀君(八汐路佳子)は、太閤殿下の住まわれたこの大阪城にそのような妖怪が現れて戦いはできるのでしょうか?重成!治長!その妖術を取り払ってくださいと頼む。

申すまでもなく、すでに今早明、久能山の真田幸村とのにその旨申し上げてございますと重成は答える。

 ほう、幸村にか?と、大野治長(高松錦之助)も納得するが、そこに使いのものが来て、申し上げますと言うので、何事じゃ?と秀頼が聞くと、御城内の井戸18箇所、昨夜何者かが忍び込み、ことごとく毒物を投げ込ましてござりますると言うので、何!今日の井戸に毒?と治長は驚く。 

ただいま厳重に取り調べておりまするが…と使いのものが言うので、すぐ参ると使いのものに応えると、御免と秀頼と淀君に挨拶し、治長は使いのものと一緒に対座する。

そ、それも妖怪の仕業であろうか?と淀君が怯えるので、1人その場に残った重成は、いや、おそらく徳川の息のかかった浪士どもの仕業でございましょうと答える。

 秀頼は、幸村ならなんと思うであろうか…とつぶやく。 その頃、幸村を前にした大助は、なんと言われます?大阪城は戦わずして破れると申されるのですか?と聞いていた。

 良いか大助、よく聞くが良い、戦いとは単に戦場での駆け引きばかりではない、全ての力を比べてその勝敗は決する…と幸村はいう。 

ただ決起の意に逸って、一か八かの戦いなど思いもよらぬ、この度の戦いは大阪城一つで日本全国と戦う戦じゃと幸村は諭す。 

そのお戦いを前に、城内に異変が相次いで互いに疑心暗鬼、自らを信じ得ない味方が、たとえ何十万と集まろうと所詮は烏合の衆じゃと幸村はいう。 

わしが六文銭の旗を仕立てて今入城すれば、混乱は大きくなるばかりじゃ、佐助と才蔵を呼べと幸村は命じる。

 …と必ずお言葉があると存じ、両名ここに控えておりますという言葉がして、佐助と才蔵が姿を現したので、笑った幸村は、いや、いつもながら心憎い2忍者と感心し、良し、今更くどくは申すまい、直ちに大阪城へ行けと命じる。

 佐助は、はっ、畏まりましたと承知する。 大阪城にて、徳川に与する裏切り者をまず洗い出せ、その後にて必要なる手はわしが打ってつかわすと幸村はいうので、サク毛と才蔵ははいと答え、お辞儀をしたまま姿を消す。 

そんな中、おいおい才蔵とさつきの奴、またどっかへ飛んでいったぞと十勇士の仲間たちの間に噂が広まる。

 何?また!と三好清海入道が悔しがり、三好伊三入道は、一体いつになったら戦始めるんだと苛立つ。

俺はもう今日あたり出陣かと思っていたが…と一人がいうと、ああ全くだ、いつも二人ばかり呼ばれていて、なあと悔しがる。 よ〜し、こうなったら小手調べだ、我々だけで和歌山あたりに押しかけて、浅野勢あたりを相手にひと暴れするか!賛成だ、やろう!とみんな血気に逸るが、そこに大助がやってきたので、若!と驚くので、何を騒いでいたのだ?と大助は笑いながら聞く。

 何、その…、お天気の話などしておりましたと清海入道がごまかす。 あ、いや、全くな、我らが今年のこのお天気続きで結構ですな、あ、お米もこのたくさん採れましたしななどと穴山小助も話を合わせる。

 それを聞いた大助は、何を申しておると笑い、みんな出陣したくてヤキモキしているのだろう?と言い当てる。

 清海入道などは、はい、そうです!と正直に答えてしまい、慌てて、いえ、何事も殿のお心次第と言い直す。

 すると大助は、良し、望み通り、明早朝、盛大に出陣致すと言い出したので、え?本当でございますか!と全員驚く。

 小助、西海、双方両名、直ちに浅野家代官所へ申し入れろ、真田幸村とその郎党、豊臣の御味方のため久能山を出発するにつき、さよう承知あれと…と命じる。

 それを聞いた勇士たちは、はっ、畏って候と答える。 その知らせを聞いた家康は、何!真田幸村が大阪城に出陣いたす?と聞き返す。

国表代官所の急使によれば、明日、久能山を出発するよしにございますと家臣は伝える。

 それを聞いた家康は、いや、大阪に入れてはならぬ、良し!桔梗、現れよ!と声をかける。

 すると昌子が一人でに開き、廊下で控えた桔梗の精がそこにおり、お呼びにございますかと聞くので、おっ!その方直ちに幻魔斎を呼び、共に久能山に向かえ、幸村親子を狙えと家康は命じる。

 はいと答えた桔梗だったが、なれども大御所様、今宵は幻魔斎と2人して、木村重成を襲う手筈でござりまするというので、ええい、幸村が先じゃ、夜のうちにやれ!明日になれば幸村は出発をいたす、日中においてはその方たちの妖術も力を失うじゃろう、今夜のうちにやれ、急げ!と家康は急かす。

すると桔梗は、はいと答え、開いていた障子は自動的に閉まる。

 その後、幻魔斎と黒装束の一軍を引き連れた桔梗は、久能山の幸村の屋敷に向かう。

 屋敷に侵入した桔梗と幻魔斎は、次々と術をつかて扉を開き、幸村の寝所へと向かうが、突然龕灯の灯りを浴びせられ、愚か者!その如き魔性の術が父上に通ると思うか!この明るさ、この亜光の中でそのような妖術が効くと思うか?と待ち受けていた大輔が告げる。

 さらに十勇士が突然庭先から現れたので、おのれ、謀ったな!と幻魔斎は罠にハマったことを悟る。

 桔梗の方も隠れて待っていた勇士たちに囲まれ、防戦一方になる。 

大助も黒装束を斬って斬って斬りまくる。

 追い詰められた幻魔斎は、覚えておれ!この恨み、必ず返すぞ!というと、桔梗!引き上げじゃと叫ぶ。

その声を聞いた桔梗も、桔梗の花を口に咥え、黒装束の一団もろとも姿を消す。 

大阪城の外廊下を木村重成とともに歩いていた豊臣秀頼は、人の気配に気づき、誰だ!真田の郎党か?と誰何する。 御意!と答え姿を現したのは、佐助と才蔵の二人だった。 

真田の郎党、猿飛佐助と霧隠才蔵でございますと挨拶する。

 何用じゃ?と秀頼が聞くと、只今城の中には妖術使いはおりませんと才蔵が伝える。

 従って、手前共の術によってこれを作成いたしましたと才蔵が説明すると、ご覧ください、お城の中に潜り込んだ浪士の中の裏切り者の人別帳ですと佐助が続ける。

 一時も早くお召し捕りくださいと言いながら人別帳を渡す才蔵。

 かくして、大阪城内で裏切り者狩りが始まる。 一網打尽になり縛られた裏切り者たちの前に、佐助と才蔵と共にやってきた重成は、鎮まれ!豊臣の家を乱し、徳川に与する不届きものめが!一同のものを牢に引っ立てい!と命じる。

 重成は、佐助、才蔵、これにて城内の裏切り者は一掃と告げ、幸村殿をいよいよ招き入れて良いのだな?と確認する。

 しかし、重成殿、今しばらくお待ちくださいと佐助がいうので、何?まだか…と重成は驚く。

 今、真田館におびき寄せたる桔梗と幻魔斎の2人をことのついでに打ち取ってご覧にいれますと才蔵が説明し、佐助と共に立ち去ってゆく。

 一方、桔梗と幻魔斎の報告を聞き、またしても策略が失敗したと知った家康は、小癪な幸村め、かくなるうえは是非もない、力づくで大阪を踏み落とすまでじゃと激昂するが、しばらくお待ちくださいと答えた幻魔斎、猿飛、霧隠の両名大阪城にあって戦いを起こせば、彼らの思う壺、戦場を荒らしまわることでございましょうと提案する。

 かく申す幻魔斎、最後の力を振り絞ってそ両名を討ち取ってごらんに入れますというので、家康は、しかとか?と念を押す。 ははっと桔梗と幻魔斎はひれ伏す。

 して、余の全軍はすでに大阪を包囲致しておる、イタズラに開戦の日を伸ばしては家康怖気付いたりと諸大名の戦意にも関わるぞと家康がいうと、心得てござりますると幻魔斎は答え、されば今明日の二日の内に必ず両名の素っ首、御前に…というので、満足そうに頷いた家康は、よし、頼むぞ、行け!と命じる。

 はあと傅いた幻魔斎と桔梗はそのまま立ち上がり、後退りして廊下に出ると姿を消す。

 城から離れた山中に姿を現した二人だったが、幻魔斎との、どのようにして猿飛と霧隠を倒すのです?あの2人だけならともかく、館には苦手の幸村がいるし、城には重成がいて、私たちが妖術を使う前にその気配を知ってしまう…と桔梗が問いかける。 

すると笑い出した幻魔斎は、桔梗、おれは今まで何十人かの人間の命を飲み込んできた、その一人一人の姿と顔を組み合わせ、今ここに新しい1人の男を作る、そしてお前にも作ってやる、

その姿になって秀頼、重成に近づくのだと言い出す。 そして首から下げた大きな数珠をいじり、「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」「臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前」…と呪文を唱え始め、えいと気合いを入れると、幻魔斎は佐助の姿、桔梗は才蔵の姿に化身していた。

 偽佐助が、世の壁の中に姿を表せる、何人も気付かぬ…、これは幻魔斎ではない、新しい1人の呪われた妖術の化身じゃ、猿飛、霧隠め、両名がその前に立とうとも、2人には気付かれぬ…、これが幻魔斎、必死の作り出した術じゃ、桔梗、行くぞ!というと、偽才蔵と一緒に姿を消す。

 大阪城でご巡察ご苦労様でございますと、見廻役の家臣らから挨拶された佐助と才蔵は、いや、お互い様ですと挨拶を返す。 

2人が去った後、猿飛佐助と霧隠才蔵の二人が城の中を見回ってくれているのだ、大安心だなと見廻役の侍が言う。

 全くだ、これでいつかのように、妖術使いが豪傑を騙し討ちしたりすることもあるまいと別の見廻役も同意し、全くじゃともう一人も同意した直後、すれ違ったはずの佐助と才蔵が、ご巡察ご苦労でござると言いながら前から近づいてきたので驚く。

 宿直役たちが集まっていた部屋を覗きにきた二人を見たものたちは、猿飛殿、霧隠殿、ご苦労でござると挨拶するが、いや、時に重成様のご命令だ、各々方、鷺の間にお集まりくださいと偽佐助が伝える。

 鷺の間に?何事でござろうの?畏まりましたと宿直役たちは答え、部屋を後にする。

 代わりに控室に残った佐助と才蔵は、幻魔斎と桔梗の姿に戻り、幻魔斎は懐から取り出した袋の粉を火鉢にくべ始める。

 天海様苦心のこの薬、何千何万の城兵が悶え足掻いて死ぬわと幻魔斎は考える。 その時、こら!そこにいるのは誰じゃ?何をしている!とヒゲの侍が注意しに来るが、屏風の影から二人が立ち上がると、おお、猿飛殿と霧隠殿かと安堵し、いや失礼、失礼、ぜひうちの陣屋にもお遊びに召されい、では御免!などと愛想を言って立ち去る。

一方、鷺の間にやってきた大野治長はそこに集まった宿直役たちに気づき、何事じゃ?その方ら、宿直のものであろう?かかるところで何をいたしておる!と聞くと、はっ、木村重成様の御用の由、猿飛佐助殿が申されたので集まりました、よって我々は最前よりお待ち申しておりました…と1人が答えたので、何?猿飛より?と治長が不思議がった時、新たな一団がやってきたので、その方たちは上様お側警護のものではないか?と問いかける。

 はっ、ただいま、猿飛佐助と霧隠才蔵のご両者が参られ、至急ここに集まるようにとの仰せ、我ら遅れましたと存じ…と説明するので、猿飛と霧隠が?何事であろう?と治長は考え込む。

 その頃、豊臣秀頼は木村重成とともに、よし、直ちに鉄砲奉行を呼び、その計画進めてみようと、大阪城の図面を前に戦略を練っていた。

 重成は、はっ、畏まりましたと答え、誰か?宿直のもの参れ!と声をかけるが、返事がないので、隣の部屋の確認に行くと、もぬけの殻状態になっていたので、なんたることだ、上様のお側に誰一人おらんとは…と怪しむ。 

すると、小路の向こうから、重成殿、その心配は無用のことでござる、我ら両名、ここに控えておりますと佐助の声が聞こえ、障子が一人で開くと、そこには佐助と才蔵が控えていた。

 廊下で考え込んでいた大野治長だったが、そこへ、治長殿、ご苦労ですと佐助と才蔵が挨拶してきたので、おお、ご両所、奥の部屋に城内宿直のものたちを全てお集めになったのは木村殿の御指図とか?一体何事でござる?と治長が聞くと、いや、存じませんと佐助が答える。

 才蔵も、何かあったんですか?と聞くので、何、存ぜぬ?それはおかしい、侍どもは皆、お手前ご両者より聞いたと申しておりますぞと治長は教える

 私共に?と佐助が聞き返すと、上様のお側を守る久城をはじめ、侍どもを集めるとは余程のことだ、はっ、治長とりあえず、木村殿に確かめようと存ずる…と治長が言うので、何?上様お側のものまで!と才蔵も驚き、佐助!と呼びかける。 

うんと答えた佐助は、しまった!と気づく。 その頃、佐助と才蔵の偽物を目の前に座らせた秀頼が、当座の引き出物じゃ、これを与えると刀を見せていた。

 偽佐助と才蔵は、ありがたき幸せと言いながら、互いに1振りずつ刀を受け取り、後々までも末長く、城内において尽くしてくれよと秀頼は伝える。

 はっと答えた偽佐助と才蔵だったが、両者が互いに目配せした次の瞬間刀を抜いて斬り掛かったので、無礼者!と秀頼は身を避けるが、目の前の二人は幻魔斎と桔梗に化身していた。

 その方は!と秀頼は驚くが、幻魔斎がその秀頼を襲い、側にいた重成には桔梗が襲いかかる。

 秀頼は小刀で身を防ごうとするが幻魔斎に追い詰められ、重成が秀頼を庇おうとした時、障子が開き、現れた本物の佐助と才蔵が、幻魔斎、覚悟!と声をかける。

 佐助は幻魔斎と斬り合いになり、桔梗の相手をした才蔵は、斬りかかった桔梗が姿を消したので驚く。 幻魔斎はトンボを切りながら廊下に逃げると、佐助に才蔵も加わる。

 そこに桔梗が姿を現し、その横に並んだ幻魔斎は、幻魔斎の体は不死身じゃ!何十人の命を飲み込んで世にある幻魔斎じゃと言い放ち、また会おうぞと言いながら首から下げた大数珠を引くと桔梗とともに、笑い声を残しながら二体の骸骨の姿に化身する。

 それを見て驚く佐助と才蔵だったが、そこに、殿!殿!と呼びかけながら治長が駆けつける。 

おお治長と応じた秀頼に、一大事でございます、 只今、表四方間一帯、何者かの仕業により世にも恐ろしい毒薬が溢れ…と治が報告したので、毒薬?と佐助は聞き返し、才蔵は、佐助!と呼びかける。

 その頃、幻魔斎が毒の粉を振りかけた火鉢から不気味な白煙が立ち上り、宿直の侍たちがもがき苦しんでいた。

そこに出現した佐助と才蔵に、あ、猿飛、霧隠殿!只今、二の丸広場にて別の佐助、才蔵殿が現れ!と侍が報告に来たので、何!二の丸に?と佐助は驚き、いや二の丸に入っていないと才蔵も否定し、言ってみようと佐助に呼びかける。 

二の丸広場では、篝に毒が撒かれており、そこから発する毒煙でそこに集まった侍たちを苦しめていた。 

そこに来た佐助は、才蔵、あれだ、あの篝の中に妖術の毒が燃えているのだと指摘すると、しかも我々に姿を変えて城内をのし歩いているのだと才蔵は答える。

 斬ってもそれは化身であり、そん実態は少しも捉えられぬと才蔵が言うと、手強いぞと佐助は忠告する。 

幻魔斎からの報告を受けた家康は、何!毒殺した城兵だけでも500を超えるか!と喜ぶ。

 はい、秀頼、重成を今一太刀のところでござりましたと幻魔斎は告げ、今や城内は我々の思いのまま、幻魔斎が苦心の術、たとえ私がここにおりましょうと、虚の白骨は幾多の佐助と才蔵の姿となり、場内をうろつきさまよい、大阪城は真昼ながら地獄ん形相にござりますると言うので、聞いた家康は大喜びする。

 実際、その頃大阪城内には、何人もの佐助や煙を吐く大蝦蟇が出現し、腰元や侍どもが悲鳴をあげて逃げ回っていた。

 後藤又兵衛と塙団右衛門が、別々の偽才蔵を捕まえて、両者が鉢合わせになったりもする。

城内でも、佐助だ!才蔵がいるぞ〜!と叫び声が響き、斬りかかろうとすると、佐助は姿を消し、才蔵の方は骸骨に化身したので侍たちはパニックになる。

ガイコツは他の廊下にも出現し、さらに、長い舌で腰元を巻き取るトカゲ人間のような妖怪や火を吹く大蛇まで出現したので、城内は大混乱になる。

 大蛇に斬りかかった侍の剣は粉々に砕けてしまう

 屋外の井戸からも、トカゲ怪人が出現し、侍たちが逃げ惑う。

豊臣秀頼は、城内の混乱その極に達していると思うでないかと指摘すると、残念ながら、全く仰せの通りにございますと大野治長は返事する。

 白昼、城内各所に現れた猿飛佐助、霧隠才蔵の姿は何十人を数えております、伯仲においてすら既にしかりが、夜ともなれば終始つかない大混乱になりましょうと治長は続ける。

 重成、治長!これではお城がどうなるかわかりません、やむを得ません、猿飛、霧隠両名を城から退出させてくださいと淀君は命じる。 

はっと頭を下げた重成だったが、しかし2人は妖術から上様を守るために城内にいるもの、それに十勇士の双璧たる猿飛と霧隠を場内より追い出して、果たして真田一党が来てくれるかどうかも問題でございますと言い返す。

 しかし消えないと、このまま夜となり、至る所に佐助と才蔵が現れる、また例の毒薬などを使っては、城内はどうなります?と治長が反対する。

しかも加えてもし城兵が総がかりでそのものを倒し、それが真の猿飛や霧隠だったら、それこそ大問題だと治長は指摘する。

 もはや開戦は目の前、今一番大事なのは城内の統制ですぞと治長はいう。

 すると淀君も、私もそう思います、幾万の城兵が大事か、猿飛、霧隠が大事か、そこを考えてくださいと重成に頼む。

 また佐助、才蔵になったその怪しいものが秀頼を狙うのを考えれば、私はもう気も狂いそうですと淀君は苦しい胸の内を明かす。

 もしも猿飛と霧隠が白から出て貰えば、現れるものは偽物に決まっています、討ち取っても間違いはありませんと淀君は主張する。

 上様、ご決断の程を!と治長が願い出ると、我が身を妖術から守るために呼んだ猿飛、霧隠が、場内を混乱させたとあっては、世の物笑いとなる、秀頼の身は秀頼自らの手で守ろう、もし猿飛、霧隠を城内より追い出し、真田一党の不況を買い、幸村の応援の参らぬ時には、若輩ながらこの秀頼、自ら陣頭に立って家康と戦おう!重成!と秀頼が言うので、重成がはっ!と答えると、世の名の下に、城内のものに告げよ!猿飛佐助、霧隠才蔵に城内からの退去を命じる!と言い放つ。 

すぐさま高札が城内に立ち、「本日申の刻を期限として、真田の郎党猿飛佐助、霧隠才蔵両名に退去を命ず、従って猿の刻以降に立ち現れる両名の者、敵方として討ち取るべし 右大臣秀頼」と書かれてあった。 

大阪城が見える山中にやってきた佐助と才蔵。 ああ、これは困ったことになったぞ、まさか幸村公に城から退去を命じられたからと言って、おめおめと帰るわけにはいかんと佐助が言うと、といって、姿を表せばたちまち城内は大騒ぎだ、とにかく今でも我々の姿をした奴がいく人も城内を彷徨き回っているのだと才蔵が答える。 

うん、幻魔斎自らがその姿に変わっているならば、我々の術ですぐにその正体を現してやるのだが、何しろ虚ろの人間だ、術も効かんと佐助は悩む。 

斬ればただの化身だし、生きている間は幻魔斎同様の力を持ってるんだ、ともかく恐ろしい相手だと才蔵も指摘する。 

と言って、今我々が城から退却したら、幻魔斎目、またあの不気味な化身となって秀頼公を襲うだろうと佐助は読む。

 あっ、陽が翳ってきたぞと空の彼方を見た才蔵が指摘したので、いかんな、ぐずぐずしていては申の刻だ、それからでは取り返しがつかなくなるずと佐助は言い、才蔵と共に大阪城を眺める。

 大阪城内では、すっかり衰弱した感じの淀君が、今宵その幻魔斎と名乗る妖術使いは現れるのですね?と秀頼に確認していた。

 秀頼は、現れます、しかし秀頼、身をもって戦います、ご安心くださいと答える。

 城の外部を監視していた重成は、重成か?猿飛、霧隠にござると言う声がしたので、上を見上げると、石垣の上に二人の姿が現れ、才蔵が、しばらくお待ちくださいと声をかけてきたので、去れ!その方たちが真かどうか何人にもわからぬ、場内に混乱を招くばかりだ、去れ!と重成は命じる。 

それは御もっともにござりまするが、なれど重成殿、真の佐助か才蔵か、重成殿にもわかる点が一つだけあるはずですと佐助は呼びかける。

 何?申してみよと重成が答えたので、ならばその刀を抜き接写をお斬りください、偽物ならば白骨となって消えましょうと才蔵が挑戦する。

 が、真なれば…と才蔵が続けると、真っ赤な血を流しますが、いざお試しくだされと佐助が呼びかける。

真なればその方らが傷つき、命にも関わるぞと重成は言い返す。

 佐助は、心得ています、されこそ命を賭けて身の実態を明かし、重成殿に申し上げたい儀がございますと佐助はいう。

 佐助と才蔵は地上に飛び降り、もはや日暮れ、一刻をためらっては大阪城に夜の帳が訪れ幻魔斎の動きが始まります、さあ、そのお刀を抜き、拙者をお斬りくださいと佐助がいう。 すると才蔵が、いや拙者を先にお斬りください、さすれば我々が真の我々であることがわかります、才蔵は新っしゅ根も佐助は生き残ります、いいや、拙者を先にお斬り下されと佐助もいい、拙者が倒れ、才蔵が残りますと願い出る。

 それを聞いていた重成は、良し!豊臣の重臣として城を預かる木村重成、情においては忍び難いが武人の一人としてその方たちの一人斬る!というと刀を抜く。

 佐助と才蔵はその場にひれ伏し、かたじけのうござる、お早く!才蔵、残ったら頑張ってくれよと佐助が伝えると、お主こそ残ったら頑張れ、俺の分もな…と才蔵も言葉をかける。

 重成は刀を振りかざす。

その後、おお重成、場外の様子は?と戻ってきた重成に秀頼が聞くと、はっ、城外の警備厳重を極め、申の刻以降現れましたる両名、ことごとく討ち取りましてございますと重成は報告する。

 では、真の両名も退去致したな?と秀頼が確認すると、はっ、今宵は城内は一塩の緊張、全城兵の士気を奮い立たすために、上様自ら御巡視のほどお願いいたしあげますると重成は言う。

何?余に城内巡視?と秀頼は驚くが、なりませぬ!今宵は幻魔斎とやらの妖術使いが現れるとか、さような時に上様の御巡視など危険この上なくと淀君が反対する。

 それでも重成は、上様畏れながら申し上げます、将たるもの常に一軍の先頭に立って進むものと申します、たって、御荀子のこと願いあげますると頭を下げたので、良し!行こう、供はいらん、重成1人で良いと言って秀頼は立ち上がる。

 部屋を後にする秀頼を見て、淀君は秀頼…と呟き案ずる。 無人の天守閣を登り始めた秀頼は、外から差し込む月明かりが翳ったことに気づくが、次の瞬間怪しげな笑い声が聞こえ、秀頼、重成、待ってたぞ、幻魔斎じゃと言う声がする。

 幻魔斎が出現すると、秀頼と重成と思われた二人は佐助と才蔵に変化したので、それを見た幻魔斎は仰天する。

 笑った佐助は、幻魔斎、とうとう我らの計略にかかりよったなという。

 我ら両名、木村重成殿と相計って、何時らの来るのを待っていたのだと才蔵も教える。

 すると幻魔斎も笑いだし、小賢しき雑言、かくなるうえは、幻魔斎が法力見せてくれるわ!と言いながら、首からかけた大数珠を握りしめる。

 すると幻魔斎の姿が消え、佐助らと同じ部屋の隅に、白煙と共に、桔梗の精と黒装束軍団が出現する。

 しばし斬り合った後、黒装束が消え、幻魔斎が出現すると、気合とともに、雷鳴が轟き、白煙が出たりする。 

その妖術に押されるように、じりじりと階段を登る佐助と才蔵、しかし上の会でも黒装束黒覆面の人間が出現し、佐助と才蔵に襲いかかる。

 天守閣の屋根の上に出現した佐助と才蔵だったが、黒装束男も二体屋根の上に出現する。

 黒装束男二人は、それぞれ持った2本の小刀から炎を吹き出してくる。

 さらに桔梗までもが屋根の上に出現し、佐助らに迫ってくる。

 佐助が念を送ると、炎と黒装束男たちは消え、幻魔斎に姿を変えると後ずさる。 やむなく剣を抜いて佐助に斬り掛かる幻魔斎、桔梗の相手は才蔵がする。

佐助は幻魔斎の大数珠を斬り落とす。

そして才蔵と共に、幻魔斎と桔梗の精を天守閣の屋根の天辺部分に追い込む。

その時、幻魔斎と桔梗の頭上から光が差し込んで二人が苦しみだしたので、見よ!この光の中でその方らの妖術が聞くと思うか?と佐助は叫び、佐助も妖魔!覚悟!と言いながら刀を構える。

佐助は、今こそ早の剣受けてみよ!と叫び、佐助はげんまさいを、才蔵は桔梗の精を斬りつける。

 幻魔斎と桔梗の体は天守閣から墜落し、中庭に落ちる。 そこに集結した城兵たちに、鎮まれ!鎮まれ!と呼びかけながらやって来たのは秀頼だった。

 秀頼は死んだ幻魔斎と桔梗の遺体を確認する。 

そこに佐助と才蔵も駆けつける。

秀頼は、佐助、才蔵、見事!その方たちの働き、秀頼生涯忘れはせんぞと声をかける。

 佐助は、恐れ入りましてでございますと頭を下げる。

 けれでも右大臣様、戦いはこれからでございます、私たち両名など取るにたりません、久能山には主君幸村公の元、名だたる8人手ぐすね引いて上様の前に駆け参ずる日を待っておりますと佐助がいうと、ほう、余も一日千秋の思いで待っておったぞ、幸村出陣、早う取り計らうようと秀頼が言うので、佐助は、かしこまりましたと答える。

幸村公すでに出陣の準備万端整っております、さらば、大手の御門大きく開きお迎えくださいませ、佐助、殿のお迎えだと才蔵が呼びかける。 

立ち上がった佐助は、承知、御免!と秀頼に挨拶すると、才蔵もろともその場から立ち去り姿を消す。 

それを満足げに見送る秀頼。

 慶長19年11月 遂に大坂冬の陣起こる。(とテロップとナレーション) 

進め〜!進め〜!と馬上の武将が指揮を取る。

 その中に、真田幸村と十勇士の姿もあった。

佐助も武将姿で戦っていたが、ピンチになった時、志乃が鉄砲で援護してくる。

 佐助さ〜んと呼びかけながら近づいてくる志乃と再開した佐助は、勇ましいぞ、俺が殿に頼んでやると佐助は呼びかける。

 才蔵も男姿で戦う望月六郎こと雪江(光美智子)を援護しながら戦う。

 真田大助も立派に戦っていた。

 小柄な敵に掴み掛かられた大柄なヒゲ武者が、何じゃ?お前何歳だ?と聞くと38と答えたので、何!38!と驚くと、片手で持ち上げ、邪魔するな!と怒鳴りつける。

 逃げる徳川家康。

 かくして真田十勇士の働きは関東30万の待遇を縦横無尽に撃ち破り、家康、興和の使者を送り、大坂冬の陣終わる(とテロップとナレーション) 

えいえいお〜!と鬨の声を挙げる軍勢 大阪城の天守閣に居並んだ武士たちを前にした秀頼は、幸村、措置の働き嬉しく思うぞとほめる。

 上様、戦いはまだまだこれからでござりまするぞとゆき無我が答えると、おお心得ておる、相手は古狸の家康、幸村頼むぞと秀頼は声をかける。

 幸村は、真の平和が訪れるまで真田の一党は戦いまする、ご覧ください、あの凱旋を…と立ち上がって下界を扇子で指しながら答える。 

それを見た秀頼と淀君の顔が晴れやかになる。

 大手門には、六文銭の旗を持って馬に跨った真田十勇士が歌に合わせて入城してくる。

 その後列には志乃や雪江の姿もあった。 

全員入城した後、大手門を閉める佐助と才蔵

終(大阪城を背景に)

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