「アウトレイジ」

北野監督によるヤクザ映画というかバイオレンス映画

 いつもの低予算映画らしい簡潔な情景描写と、室内での人間同士の会話劇で構成されており、淡々と展開していく。

ベテラン俳優が多い中、役者芝居で場を持たそうと言う感じでもないので、臭い芝居にはなってない。

 ただ、淡々と同じようなテンションの芝居が続くので、徐々に話が盛り上がって引き込まれる…と言うような要素には欠ける部分はある。

 暴力シーンも抑制が効いており、特にグロいとかド派手という感じではないが、じんわりくる怖さはあるし、独特のユーモア感覚もあり、良くも悪くもザ・北野映画というべき作品になっている。 

【以下、ストーリー】

 2010年、「アウトレイジ」制作委員会(バンダイビジュアル=テレビ東京=オムニバス・ジャパン=ワーナー・ブラザース映画=オフィス北野)、北野武脚本+監督作品 

外に停まった黒塗りの乗用車の前で、黒スーツ姿のいかつい男たちが周囲を見張っている。 

その中に、大友(ビートたけし)や小沢(杉本哲太)の姿も混ざっていた。

 屋敷の大広間では、池元(國村隼)が、他の組の連中と共に食事をとっていた。

 代紋を背後に、椅子に腰掛けていた山王会会長関内(北村総一朗)が、茶を啜った後、立ち上がって、それじゃあと言い残し帰ってゆく。

 部屋に集まっていた配下の親分衆が、お疲れ様でしたと一斉に頭を下げて見送る。

 子分たちも散会しかけていた中、おい、池元!と呼ばれたので、はいと振り返った池元に、人払いした後、お前最近、村瀬んところとつるんでいるらしいじゃないかと声をかけたのは、山王会若頭加藤(三浦友和)だった。

 あ、昔、村瀬の親分と寄せ場で一緒だったんで、兄弟の盃交わしたんですよと池元は答える。

 屋敷から出てきた親分衆が、それぞれ門前で待ち受けていた子分衆に案内され、黒塗りの車に乗り込んでいく。

 その後、腕に腕章をつけた子分が屋敷の門の両脇に立って頭を下げる中、黒塗りの乗用車が次々に出て行く。

 屋敷の中では睨んでいた加藤に、分かりました、会長にもよろしくお伝えくださいと池元が罰が悪そうな顔で伝えていた。

 いいか、お前、誤解されるようなことするなよ、兄弟って大切だけど、親はもっと大事だからよと加藤が釘を刺す。 池元は、えっ!と苦笑めいた顔をする。

 1人だけ遅れて屋敷の門から出てきた池元は、最後まで車の横で待っていて頭を下げてきた大友と小沢に、ちょっと面倒くさいことになっちゃって…と説明する。 

はい?と小沢が姿勢を低くして話を聞こうとすると、会長が俺の友達の事で怒ってたとよと池元は教える。

 ちょっと考えた池元は、おめえの組にやってもらいてえことがあるんだけどなと大友に話しかける。

 ええと大友が答えると、まあ、俺の車の中で話そうと池元は大友を誘う。

 屋敷の中を歩いていた関内は、池本のやつ帰ったのか?と背後からついてきていた加藤に聞く。

 加藤は、はいと答えるが、座敷にやってきた関内は、まさかあいつ、てめえのシマにシャブなんか流してるんじゃないだろうなあ?と案ずる。

 座敷に正座した加藤たちが何も言わないので、俺たちはコケにされてるんだぞ!お前らわかってるのかい!と、立ったままの関内は睨みつける。

 加藤たちは、正座したまま項垂れるしかなかった。 おい加藤!わかってるのかと聞いとるんだ!と関内が怒鳴ってきたので、加藤は顔を上げることができなかった。

 6台の黒塗り車が連なって走る映像にスタッフロールが重なる。

遅れて近づいてきたのが池本の乗った車で、会長は俺が山王会に入って村瀬とつるんで何か悪さしてるんじゃないかって疑ってるんだよと池元は大友に打ち明ける。

 じゃ村瀬んとこに行って拳銃でも撃ち込んできますか?と大友が提案すると、あいつとは兄弟分だぞ、ちょっとだけ揉めてるように見えりゃいいんだ、あいつの事務所かんかだしとけと池元は注意する。

 タイトル(通過する池本の車の屋根がストップモーションになり) 

そのまま都会に向かって去って行く池本の車。

 後日、大友と会って食事をしていた片岡刑事(小日向文世)は、先輩、それじゃ村瀬組に喧嘩を打ってるようなもんすよと忠告する。

 向こうだって同じようなことしてるじゃないかと大友が言い返すと、先輩、俺、マル暴ですからね、いつまでも先輩、先輩って言ってられませんよという片岡の周囲には、大友3人の用心棒と、片岡の用心棒が1人ついていた。

 そうか…、だったら、金持ってとっとと帰れというと、用心棒の一人から封筒を受け取った大友はそれを出していうと、それを受け取って立ち上がった片岡は、あ、後、女の車、変えたほうが良いですよ、いくら途中で乗り換えてもバレてますから…と揶揄うよに言うので、うるせえんだよ、この野郎!と大友は苦笑しながら答える。

 片岡はそのまま用心棒と一緒に帰ってゆく。

 大友の横にしゃがみ込んだ若頭水野(椎名桔平)が、ボクシング強かったんですか?と聞くと、勝ったの、見たことねえよ、偉そうに…と大友は答え、去ってゆく片岡を見ると、水野も一緒に笑う。 

夜の繁華街 そのすぐそこですよ、今、不景気で、良い店の女の子、全部流れてきてるんですよ、あ、本当かよ?本当安くて良い店ですから、お客さんも若い娘好きでしょう?そりゃ、まあな…と客引きの飯塚(塚本高史)が仕事帰りらしきサラリーマン風の上田(三浦誠己)と並んで話しかけている。 

水野は店に入り帰り際、何これ?と戸惑い、それに気づいた店の男はニヤリと笑う。 60万って何ですか?と会計額を見て文句を言うと、女の子もだいぶん飲みましたし…とホステスは言う。

 いくら飲んでもこんなに行かないでしょう、こんな安い酒で…と水野は戸惑うが、払わねえのか!と店の男は威嚇してくる。

 サラリーマンは臆したように、何ですか?あなたは…と言い返すが、てめえ、この野郎、ここ誰の店だと思ってんだ?と2人の男が脅してくる。 

さっさと払えよ、こおやろう!と言うので、そんな大金持ってるわけないでしょう、カードも使えるし、近くにサラ金もあんだろう!今、精算しろ!と店に案内してきたポン引きの飯塚が迫ってくる。 すると水野は、うちの事務所が近くにあるんで、そこまで一緒に来てもらえますか?そこで払いますよと観念したように言う。

 じゃあ行こうか?と3人目の男はいい、じゃあ、出てくるわと、店の仲間たちに言い残して先に店を出る。 水野がビルを渡すと、お兄さん、ありがとうございますと店の男は慇懃無礼な顔つきで言ってきて、ホステスたちも、ありがとうございましたと声をかけて来る。

店を出ると、ほら先に行けよと飯塚が言うので、はいとサラリーマンは答えながら、携帯をかけ、あ、もしもし?ああ、俺俺…、あのさ~、今からそっちいくんだけどね、100万ばかし用意してもらえないかな?実はさ、ヤクザの店入っちゃってさ~、たまんねえよ、もう…、よろしく…と頼むので、飯塚はニヤリと笑い、携帯を折りたたんだサラリーマンに、行こうと促す。 とあるビルに入り階段を登ると、ねえ、まだ?と飯塚が急かすので、すいません、あの…、すぐですからと上田は低姿勢に応える。

 ここですと上田が連れてきたドアには402号室「大友商事」とプレートが出ていたが、どうぞと言いながら上田が開けたので、それに続いて部屋の中を覗き込んだ飯塚が見たのは、「池元大友組」の紋章が入ったプレートが飾られた部屋にいる、大友組の連中だった。

 ヤクザの部屋だったことに気づいた飯塚は唖然として立ち尽し、池元組ですか?と問いかけるが、石原(加瀬亮)が金庫から出してきた100万円の束を受け取った水野が、ソファーに座らせられた飯塚に、100万円だったか?とい言いながら、持ってけよとテーブルに投げてよこしたので、いえ、結構ですと飯塚が答えると、結構ですって何だよ?池元組だって知らなかったもんで…と飯塚は詫びる。 

池元組だったらただなのか?この野郎!てめえ、金取りに来たんだろう?さっさと持って帰れや!うん?持って帰れっつってんだよ!と水野は威嚇してくる。 

それでも躊躇っていた飯塚だったが、水野がタバコを投げつけて脅すと、流石に札束を掴んで逃げ帰るしかなかった。 

件のぼったくりバーでは、こいつが池本んとこの若い衆を引っ掛けて金奪っちまったんですと木村(中野英雄)から説明を受けた村瀬(石橋蓮司)が、何やってんだ、この馬鹿野郎!と言いながら飯塚を殴りつける。 

さらに村瀬は、木村!金とこいつの指持って話つけてこいと命じると、また立ち上がった飯塚を殴りつける。 木村は飯塚を従え、バーを後にする。 

その後バーでは、ホステスが隣に座っていた村瀬組の男にお作りしましょうか?と酒を勧めるが、いらねえよと即答されてしまう中、よお、兄弟、どうなってるんだよ、大友?おめえんとこのか?ああ、とにかくよ、若えの、詫びに行かせたからよ、うん、頼むぜ…、うん、じゃあな…と村瀬は池本に携帯で電話する。

 事務所に戻ってきた車の運転手が、前に停めてあった車の運転手に、こら、どこ停めてんだ、事務所の前だ、早く退かせと命じたので、停めていた運転手は仕方なくその場から去る。

 事務所の中では、木村が金と飯塚の小指を持って詫びに来ており、大友に対し、大友さん、うちの若いもんがとんでもないことをしてしまって失礼しました、今日のところは許してもらえませんかと伝えると、大友の横に座っていた水野は、村瀬はどうしたんだよ!こんな端金とガキの指持って来て、何がお詫びだこのやろう!と凄む。

 親父は会合で来られねえんだと木村が答えると、お前が親分おかわりかよ?と水野が言うので、え?俺だってかしらやらせてもらってんだ、今日のところは俺の顔立ててこれを収めてくれと木村は頼む。 

すると、大友組の若頭補佐安倍(森永健司)が、何言ってるんだ、このやろう!頭なら、若いもんの責任とっておめえが指詰めろと言ってくる。 

こんなつまらねえことで、俺の指詰められるか!と木村が言い返すと、こんなつまらねえことだと?この野郎!と水野が威嚇してくる。 

てめえら、池本組に喧嘩ふっかけといて、つまらねえとは何だ?舐めてんのか、こら!と怒鳴って来たので、そうは言ってねえよと木村は答えるが、言ってるじゃねえかよ!と木村は承知しない。

 悪かったよと木村が詫びると、悪いと思ったら指詰めろよ、このやろう!やれよ!びびってんじゃねえ!などと安倍らが口を出すので、それを聞いていた大友は思わず苦笑してしまう。

 逆上した木村は、やってやるから道具持って来い、この野郎!と言い返してしまう。 

すると上田がカッターをテーブルに置き、てめえなんかこれで良いからやってみれと怒鳴りつけてくる。 何だ、てめえまで調子に乗りやがってこの野郎!こんなもんで指詰められるわけねえだろう!と木村は上田を睨んでくるが、何だ、できねえのか、この野郎!早くやれよと逆に周囲から詰め寄られてしまう。

 こんなもんじゃできねえってんだろ!この野郎!もっとまともな道具出せ!と木村も後には引けなくなるが、何が道具だ、偉そうに言いやがって、この野郎、これでやってみろ!と水野も引かなかった。 木村は、やってやるよ、この野郎!と言い返し、水野が差し出したカッターで小指を詰めようとする。

 あ、痛え!と言いながらなかなか切れない様を見た水野は、何だ、できねえのか?この野郎!と罵倒されたので、思わず小指を押さえた木村は、兄弟だから言っておくが、うちの親父がその気になったらな、てめえらみてえなちっぽけな組、踏み潰してしまうぞ、この野郎!と啖呵を切る。

 おい!村瀬組は山王会よりでかいのか?頭おかしいんじゃねえか、お前と安倍が追求してくる。

 頭おかしいのはてめえらだろうが!この野郎!と木村も言い返すと、カッターを手にした大友が、いきなり木村の顔面を切り刻み、格好つけてんじゃねえ、この野郎!と怒鳴りつける。 

それを見た飯塚が怯えて一人で逃げ出そうとしたので、おい、このバカ連れてけ!と大友は声をかける。 飯塚は、ドアの脇を固めていた大友組の若いのに連れ戻され、顔を押さえた木村を抱き抱えて部屋を出てゆく。 

金庫番の石原が、木村が持参した札束を手に取りながら、お前、本当は引っかかったんじゃねえのか?と上野に聞くと、違いますよと上野は笑って答えたので、みんなバカだな…、もう少し渡したら、倍になって帰って来たのに…と石原はつぶやきながら金庫にしまう。

 車で地下駐車場に来た大友は、女(板谷由夏)が1人で待っていた別の車に乗り換えるが、女が、ねえ、この車つまんない、なんで買えんの?この前のが全然良かったねなどと話しかけて来たので、うるせえんだよ、てめえ、死にたいのか?と大友は叱る。

 そんな中、男は帽子を被り、変装していた。 女は、何それ?怖!…と膨れる。

 包帯だらけの顔で飯塚と二人で帰って来た木村を見た村瀬は、何だ、その面?こいつの指まで詰めて詫び入れてんのに、恥ずかしくねえのか?てめえ!ああ?…と木村を叱り飛ばすと、俺が言って話しつけてくる、動くんじゃねえぞ、てめえら…と言い出す。 

その後、村瀬が単身訪ねて来た池元は、どこかに電話をいれ、やっぱりあの事務所はアダルト関係だと言ってるぞ、考えすぎじゃねえのか?と苦笑しながら村瀬に教える。

 なら良いんだけどよ、元はと言えばうちの若えのがちょっかい出しちまったんだからよ…と村瀬は愚痴り、でもお前、事務所出すんだったら出すって言ってくれよ、勘違いするじゃねえかよと池元に文句を言う。

あのクソ親父村瀬が出て来やがったら嘘つきやがった、てめえがやらした癖に…と大友は事務所で腹を立てていた。 でも、自分の兄弟分と揉めるようなことしてどうするつもりなんすかね?シャブの上がりだってかすめてるわけでしょう?と石原は言う。

 本家は本家で盃なんかやるより、ただ村瀬のシマ、欲しいだけなんじゃないですか?と安倍が推理すると、そんなこと群れ瀬に知られたら戦争になるじゃねえかと水野は指摘し、まあ、結局、俺たちの出番ってことでしょう?親分と大友に話しかける。 

大友は、貧乏くじばっかりだよとぼやく。 その頃、村瀬は、兄弟、この辺で収めてくれや、な?と言って帰って行きかけるが、あ、ところで、会長から盃貰えるって話、上手く言ってんだべ?と聞いてくる。

 ああ、それなんだがよ~、この前の上がりじゃ足りねえってんだよ、少なくともお前んとこのしゃぶの上がりの半分もらえねえとな…と池元は白々しく答える。 

それを聞いた村瀬は、そりゃ、話が違うじゃねえか、兄弟よ~と言い返してくる。

 いやなら良いんだぜ、近江と会長も忙しいんだからよ、シャブの件は会長に内緒にしといてやるから、盃をしたけりゃ金持ってくのが今の世の中一番じゃないのか?…と池元はしらっと答える。

 何だよ!俺が直に行っても会ってくんねえしよ!…と村瀬はイラつくので、だから、金持ってけば大丈夫だって…と池元は教える。 

村瀬は、もう~と顔を顰める。

 事務所に戻った村瀬は、何が兄弟だ、あの野郎…、金ばっかりせびりやがって…、盃なんか交わすんじゃなかった!と子分たちの前で愚痴る。

子分が村瀬の殻になった酒のおかわりを作ろうと手を伸ばすが、それを村瀬はうるさそうに振り払う。

上田はその後も、ぼったくりバーに来たので、店員がビールを持ってきて、先日は失礼しましたと詫び、どうぞとビールの酌をするので、お前もっと飲めよ!どうせタダなんだからよ…と上田は連れてきた江本(柄本時生)に勧める。

 店の男は黙って俯くしかなかったが、上田は横に座ったホステスら2人を見て、他に良い女いねえのかよ、ブスばっかり揃いやがってよ…と露骨な悪口をいう。

 はい、すみませんと店の男が詫びると、あのポン引きどうした?と上田が聞くと、近親してますというので、木村もかい?と上田が確認すると、立ち上がり、どうも、ごちそうさまでしたと店の男にわざとらしく礼を言い、わざと肩をぶつけて帰ろうとしたんで、店の男は流石にキレてビール瓶を持って追いかけようとするが、他の店員に抑え込まれる。 

そいつ、ドア開けて大紋見た瞬間ビビってすっ飛んで帰っちゃった!と上田は別の店で仲間たちに自慢話をしていた。

 今度は向こうの頭の登場!って、こういうわけなんだよね~、そんで今日、こいつを連れてポン引きの店行ったら、今度はタダで結構ですなんて言われちゃってね~と上田がホステスらを笑わせると、おめえ、本当は引っかかったんじゃねえのか?と仲間から揶揄われたので、そんなわけないじゃないっすなどと上田が否定するも、だっておめえ、ちっともヤクザに見えねえもんな~と相手が言うので、それは褒めてるんですか?と上田が聞くと、褒めてるわけねえだろ、ば~か!というので、バカってなんだい?と上田は真顔になる。 

えっ?と相手が驚くと、バカの金で飲んでんじゃねえのか?と上田はキレる。 

すると相手もカッと来て立ち上がり、バカ、バカを連発する上田と喧嘩になりかけたので、仲間たちが止める。 深夜の屋台のおでん屋で飲んでいた上田は、隣の席に客が来て、空いてる?と聞いてくると、空いてねえよ、馬鹿野郎と答えたので去ってしまい、主人はすいませんと、その客に詫びる。

 するハリウまた別の客らしき男がそこにやってきたので、主人でなんは先にすみませんと詫び、上田は空いてねえって言ってるだろう、馬鹿野郎!何遍言わせるんだよと後ろを向きもしないで答えたので、いきなり背後から頭を殴りつけたその客はそばに止めた車に上田を引き摺り込む。

 その車が走り去った後も、屋台の横で泥酔していた江本は気づかず寝ていた。 

地下で下ろした上田を痛めつけていた子分に止めるよう声をかけた木村は、おい、大友はどこだ?住所教えろ!どこだって聞いてるんだ、この野郎!と上田に聞く。

 知らねえよと言いながら、木村にむしゃぶりついていった上田だったが、すぐに子分2人に引き戻され、退け!と子分を下がらせた木村は、シャベルで上田を殴打する。

 その後、上田の体は大友金融の事務所前に放置してあった。

 てめえの子分やられて、黙ってるのか、この野郎!と山王会会長関内は大友に説教する。

 小沢と共に正座して側にかしこまっていた池元は、いいえ…と否定する。 

兄弟分は特別か?てめえ、俺の顔に泥を塗るのかい!とまで言われた池元は、いえ、そんな…と口ごもる。

 その大友ってのに、ちゃんとけじめつけろと言っとけ!と関内が言うので、はい、すいません、大体こいつらにどういう躾してるんだよ、こら!と立ち上がった関内は加藤の頭を叩く。 

その後、大友組に来た小沢は、親父も俺も会長にえらい怒られちまったよ、お前、どうすんだ?これ…、どうするんだって来てるんだよ!と大友に凄んで見せる。

 大友はこくりとうなづくと、わかってますよ、ちゃんと片付けますからと無表情に答える。

その時、水野が近くにいた江本を、てめえ、いい加減にしろ!と言いながら殴り始める。

 すると、おい、もう良いよと小沢は笑って止める。

 しかし、水野が睨みつけてきたので、小沢も真顔に戻る。 

外の車で待っていた加藤が、どうだ?と聞くと、外に出てきた小沢は、てめえで片付けると…と大友の言葉を伝える。

一方、女(星野美穂)の部屋に来ていた飯塚は、箪笥の中を掻き回し、ここにあった金どうした?と聞いていたが、そんなお金知らないわよと女は否定する。

 知らねえだと?おめえ、勝手に使いやがったな!カード寄越せ!と飯塚は迫り、抵抗する女の頬を殴ってバッグの中の財布からカードを抜くと、カーテンの隙間から外を伺い、部屋を出ていく。

 ぼったくりバーに江本とやってきた大友組の安倍は、あのポン引きどこ行ったんだって聞いてんだと店の男を痛めつけて聞いていたが、知らねえと言うので、知らねえじゃねえだろ!このやろう!とさらに殴りつけると、すでに殴られて鼻血を出し、拳銃を突きつけられていた男が、実家の青森に帰るって言ってましたと教えたので、じゃあ木村はどこいんのか知ってんだろうと安倍がその男に聞く。

 1人ちくるのも2人ちくるのも一緒だ!と銃を突きつけていた組員が脅すと、本当に知らないんですと鼻血を出した男は言う。 

東北新幹線に野球帽で顔を隠しながら乗り込んだ飯塚だったが、すぐに隣の席にバッグを持った男が座ってくる。

 飯塚が席を変わろうと立ち上がりかけると、隣の男はバッグの背後から銃を取り出して飯塚に向ける。

 諦めて座り直した飯塚だったが、トンネルを通過中発射の光が見える。 

どうすんだよ、この始末!と村瀬は池本に文句を言うが、どうするんだって…、そっちが余計なことするからこうなっちまうんじゃねえかと池元はとぼける。

 そんな言い方ねえじゃねえか、うちの若い者も死んでんだからよ~と村瀬が言うので、じゃあおあいこだって言って、早いとこ会長に詫びに行こう、それで終わりにしようやと池本が提案すると、頼むぜ、兄弟…と言って村瀬は帰ってゆく。

 池元は小沢に、おい、こっち来てここに座れと声をかけると、これ飲んじゃおうとテーブルに用意されていた酒を飲み始める。

 酒の用意をしながら、親分、本家にはいくら包んで行けば良いですかね?と小沢が聞くと、知らねえや、村瀬が持ってくんだろうと池元は答える。 

その後、山王会の加藤の屋敷にやってきた村瀬は、2度とこう言うことはないようにしますんで、どうもすいませんでしたと詫び、な?と一緒に来た池元に話しかけるが、そこに関内がやってきたので、慌てて椅子を降りて土下座した村瀬は、どうもすいませんですと改めて謝罪するが、関内はにこやかに、良いよ、良いよ、こう言うのはな、お互い様だから、お前ら兄弟なんだからよ~、仲良くしようや、遠いところご苦労だったな…と労う。

 村瀬は、失礼しますと低姿勢で答えた直後さっさと帰るが、部屋に残っていた加藤は、これでおあいこだから、五分の手打ちにしてくださいだって?会長はそれなりに繕ってらっしゃるけどな、チンピラ一人殺したくらいでけじめつけたと思ったらお間違いだよと、残っていた池元に言い聞かせる。 

その後、池本から電話を受けた大友は、ええ?村瀬を襲うんですか?と聞き返し、でも、兄弟分ですよね?と確認する。

 兄弟分たって、あんなものは形だけなんだからよ、ちょっと痛めつけてくれりゃ良いんだよと電話相手の池元は指示する。

 大友は子分を連れ、村瀬が通っている歯医者に来ると、見張りの車の運転手などに拳銃を突きつけ手出ししないようにすると、診察台で目隠ししていた村瀬のタオルでを引き剥がす。

 目を開けた村瀬は、銃を突きつけている大友と水野に気づいたので仰天するが身動きできない。 

おい村瀬、うちの若い衆、良くやってくれたな、おい!と大友が話しかけると、いや、あれはおめえん所の会長と話がついてんだからよと村瀬は言い訳するが、俺との話はどうなってるんだよ、この野郎!と大友は怒鳴りつける。

 いや…、だ、だからあれは若い衆が勝手にやったことだからよと村瀬は答えるが、勝手にやったで済むか、この野郎!口開け!直してやるからよ!と大友は命じ、タオルで目を塞ぐ。

 ちょっと待て!という村瀬の叫びを聞いた、待合室の見張りは助けに行こうとするが、銃を構えた安倍に押さえつけられる。

 その間、大友は村瀬の口の中に治療用ドリルを突っ込み、村瀬は大量の血を口から噴き出す。

 口の怪我をカバーする補助器具をマスクの上から顔に装着した姿で加藤に会いに行った村瀬だったが、池元も会長のいうこと聞かねえからな~、だったら池元のところに詫び入れて、引退したことにしたら良いじゃないかと加藤は助言する。

 村瀬は何か言い返そうとするが、言葉が喋れない。 形だけだよ、上がりだけきっちりしといたら問題ねえだろう…、会長にも納得してもらうからよ~と加藤は言う。 

村瀬はなんとか言いた気だったが、何も言葉にはできなかった。 その後、池元や大友に会いに来た村瀬だったが、ここでも池元は1人スパゲティを食べながら、隣に座った小沢に、遠慮しないでどんどん食えよ全然手つけてねえじゃないかと言い、兄弟も食えよと村瀬の顔を見て勧めようとするが、食えねえか?と苦笑する。

 村瀬の親分も、引退して、シマこっちで任しても構わねえって言ってるし、上がりを分ければ良いんですね?と小沢が村瀬に確認する。

 村瀬は言い換えそうにするが、言葉にできないので、じゃあ、そう言うことで…と勝手に話をまとめてしまう。 

その後、車で帰る村瀬の様子を、物陰の車の中から監視していた木村は、あのバカ、手打ちなんかしやがって…、組乗っ取られておしまいじゃねえか!と村瀬のことをあざける。

 村瀬が帰った後、テーブルにつまれた札束を集めながら、いつもとうとう引退か…、えらく弱気になったもんだな…と池元は嬉しそうに言うと、ご苦労だったなと大友を労い、札束を持って奥に引っ込みかけるが、あ、後な、木村、堅気になるってことだから、手出すなよと忠告する。 

それを黙って聞いていた大友横に座った小沢が、なあ大友、うちの親父も引退してもらおうか?そん時は俺が親父で、お前が若頭注げば良いんだからよと声をかける。

 大友の車も出発すると、闇に紛れて監視していた木村が、後をつけろと命じる。

 大友の車の運転手は、後ろから車がつけてますよ、狙われてますよと、バックミラーで確認して教える。 大友と一緒に乗っていた水野は後ろを振り返って確認する。

 角を曲がって逃げると見せかけた大友の車は、急停車すると、追ってきた木村の車にバックしてぶち当てる。

大友の車の助手席から降り立った安倍は、背後で停まった車のドアを開け、包帯を顔に巻いた木村を引きずり出すと、そこに近づいた水野は、木村か?と笑って言葉をかけると、木村の車を運転していた男はその場で射殺したので、木村は怯える。

 逃げ出した木村目がけ、水野はさらに銃弾を浴びせるが、水野は逃げ仰る。

 山王会の屋敷に来ていた片山刑事に、悪かったなと言いながら、加藤は封筒を差し出したので、片岡はどうも…と言って受け取る。

 加藤が、また何かあったら頼むよというと、わかりました…、どうも…と会釈して、片山は帰ってゆく。 白いジャージ姿の若い衆が庭の石庭を刷いているのを見ていた関口のところに戻ってきた加藤は、大友んところは引っ張ると言うことでサツと話はつきましたと報告する。

 ああ、そうかい…、関口が答えると、あとは村瀬から取り上げたシマですが…と加藤が言うので、形になったら、池本外してお前が仕切るんだなと関口は指示する。 

改札署の前に車を停め、そのボンネットに体を預けタバコを蒸していた水野は、吸い殻をわざと立番の警官の前に落とし笑って見せるとサングラスをかける。

 取調室では大友を片岡が尋問しており、村瀬引退したんだってな?後を取るのがかしらの木村じゃなくて、何で池元組なんだ?変だろう?お前、木村もやったんじゃねえだろうな?え?汚ねえヤクザだな、この野郎、てめえは若い衆にやらせてしらばっくれんのか!と責めていた。

それでも大友が一切乗ってこないので、ふざけるな、この野郎!と立ち上がった片岡は、大友の襟を締め上げようとするが、同席した刑事が、片岡さん、それ以上やったらやりすぎですよと慌てて制止する。 

それでも片岡は、黙って済むと思ってんのかよ!などと威嚇してくる。 

ちょっと休めよ、お茶でも飲むかと言って他の刑事たちが退席すると、どうもすいませんでした…と片岡が詫びたので、立ち上がった大友は、ここだと怖くなっちゃうんだ?と揶揄い、片岡を殴りつける。

 あっさり片岡が崩れると、相変わらず弱いな~、おめえ…と、大友は吐き捨てる。 

弱くてもヤクザにたかれるんだから、良いよな、警察は…と大友が言うのを、床に座り込んだ片岡は恨めしそうに見上げる。

とある住宅街の道路で、自転車に乗ってきた男と反対側からバイクで来た男が、路上で何かを受け渡す。 その後、自転車の男は、近づいてきたタクシーの客にも何かを渡す。

さらに元来た方向に戻った自転車の男は、別の車で近づいてきた女にも何かをポケットから取り出して渡す。

 それを側に停めた車の運転席から監視していた大友組の江本は、へえ、あんな金持ちの奥様がヤクに手を出してるんですね…、儲かるわけだ…と呟くと、車を走らせ、自転車の男の横に止める。

 助手席から降りた男が銃を突きつけ、自転車の男を車に引き摺り込むと発車する。

 組の事務所に連れてきた自転車の男を前にした水野と安倍は、別の男が連れてこられると、連れてけと子分に声をかけ、自転車の男を連れて行かせる。

 新たに連れてこられた男がお世話ですと挨拶すると、よお、ここはもう池元のシマだからよ、村瀬に納めてた分、こちらに寄越せと水野は伝える。

 相手が返事しないので、てめえ、聞いてんのかよこの野郎!と連れてきた子分が頭を小突くと、はいと男が答えると、おめえも携帯出せと安部が命じる。

 男は、勘弁してくださいよ、あんまり無理されると仕事できなくなっちゃいますよ、その代わり、良い話教えますよ、大使館の中で客呼んで薬やらしてるんですと打ち明ける。

 ここだと地外法権で警察も手出せないんですよと言う。

 そうか…、じゃカジノやらした方が金になるな…と水野は答える。

 その後、「グバナン大使館」に来た大友から話を聞いたグバナン共和国在日大使館大使(ハーシェル・ペッパース)は、カジノ!カジノできないよと断るが、もっと儲かるじゃねえか!と大友は叱りつける。 

こんなところじゃ狭くてできないじゃないかと大使が言うので、じゃあ、引っ越しゃ良いじゃねえか、新しい大使館うちで借りてるよと水野は勧める。

 あり得ないビジネスだ…と大使が英語でつぶやくと、ついてきた石原が英語で脅しつけ、子分たちが銃を取り出して突きつける。

 どっちが得か損か、よ~く考えたほうが身のためだぞと水野が話しかける。

 大使はうなずくしかなかった。 

その後、新しい大使館のトイレから出てきた水野は、椅子に座っていた石原たちに、揃ったのか?と聞く。

 男どもは?と聞くと、ああと石原が言うので、ああじゃねえだろう、うん?と言うといきなり殴りつけ、石原、てめえはいつもとろいんだよ!と叱りつける。

ジュンだけど、お客さんが来てくれってとホステスのジュン(しいなえいひ)が客に電話する。 ううん、クレームじゃなくって、ちょっと会いたいんだって…とジュンは言う。

 客が一人、ジュンの部屋を訪ねてくると、待ち受けていた大友組の二人がいきなり叩きのめす。

 水野はジュンの肩を抱きながら、にやけた顔で、石原、何やってんだ、早く仕切れよと命じたので、石原はハイと答える。

 前に出て、今殴られた男の前に進み出た石原は、これからは村瀬んとこじゃなくて大友組がこの辺り仕切ることになったから、後、お前ん所の女の数と毎月の上がり教えろよ、勝手に商売するんじゃねえぞ!と指示する。 

男が返事をしないので、はいだろう!と掴んでいた大友組の子分が頭を押さえつけると、はいと答える。 

「グバナン独立記念パーティ」と称された催しが行われ、大使は来客たちの相手をし、ジュンもそこに参加していた。 その後、泥酔した大使を支え、ホテルの一室に連れ込んだジュンは、ちょっとだけで良いですと抱きつこうとする大使を宥め、シャワー浴びてくるから待っててねというと、大使は喜んで、はい、はいと返事する。 

そして、シャワールームの全室で下着姿になったジュンの姿を見ながら、自分もベッドに座って、楽しげに服を脱ぎ始める。

 グラスを持って近づいてきた順は、まだダメ、これ飲んで待っててと言って、その液体の入ったグラスを大使に渡すと、ね?すぐだからと宥めてシャワー室へ向かう。

 大使は疑うことなく、コップの液体を飲み笑顔になる。

 ベッドで寝ていた大使は頬を誰かが叩いたので慌てて目覚めるが、指を刺された隣のベッドを見ると、ジュンが血を吐いて死んでおり、その側に血染めのナイフが落ちていたので驚愕する。

 大使の目の前にいたのは水野と石原で、水野は持っていたポラロイド写真を数枚大使に前に落とすが、そこに写っていたのは大使とジュンが添い寝しているものだった。

 石原は英語で大使がやったことだと伝えるが、大使はひたすら否定するしかなかった。

水野は、後始末してやるから行け!と大使に命じたので、大使は言うことを聞くしかなかった。 

その後、新しいグバダン大使館として空き倉庫に水野と石原に連れて来られた大使は、何これ?これが大使館なの?と聞く。

 うん?前の所より広くて良いじゃねえかと水野が言うと、広いって倉庫でしょう?と大使が文句を言うので、うるせえな、さっさと入れと水野は急かし、大使の背中を押す。

 どうだ、良いだろう?と内装を見せると、ガラス窓のすぐ外は川っぷちだったので、これじゃあバレちゃうじゃないと大使が指摘すると、ずっとカーテンしときゃわかんねえよと水野は言い、リモコンでカーテンを閉める。 やがてその場所でカジノが始まる。

 大使もその中で働いていたが、ルーレットのテーブルに、死んだはずのジュンが普通に参加しているのを見つけあっけに取られる。

そんな部屋に安倍とやって来た水野に、兄貴、池元の親父が来ていますと石原が教える。 

カジノの部屋に入った水野は池元の席に近づくと挨拶する。 

池元は、お前ん所良い商売始めたな、これじゃあ、これじゃ、儲かってしようがねえだろう?と話しかけて来たので、ええ?まあ…と水野は愛想笑いで答える。

 池元は、おい、早いとこチップ出せと小声で命じたので、よろしいんですか?と江本が聞くので、石原は曖昧な態度をとる。

 すると池元は、あ、これの件で話があるんだよ、大友に言ってくれというので、水野はへいと答える。

 事務所に戻ってきた大友は、顔と服に血が滲んだ見慣れぬ男がいたので、何だ、こいつ?と聞くと、この野郎、客と連んでイカサマやったんで腕折ってやったんですと石原が答え、連れてけと他の子分に命じる。

 男が連れ出されるのを見送った大友はソファに座ると、カジノはどうだ?と聞くと、池本の親父が入り浸って金せびるんですよ、どうにかなりませんかね?と石原は訴える。

 それを聞いた大友は考え込む。

その後、石原を連れて山王会の関内を訪ねてきた小沢は、うちの親分からですと紙袋を差し出す。 関内は、おお、悪いなと言って加藤に紙袋を渡させる。

 なんか、お前ん所、カジノかなんかやってんだってな、ええ、それで今日挨拶にこさせたんですが、こいつ、大友の所でカジノ仕切っている石原ですと小沢は紹介する。

 ああ、そうかい…、おい加藤、面倒見てやれと関内が指示したので、ソファから立ち上がった加藤は、関内に一礼すると、紙袋を持って石原を別室に連れて行く。

 後に残った小沢は、あの~、これからもうちのくみをよろしくお願いします、失礼しますと関内に頭を下げると、人目を気にするように、小沢、ちょっと…と関内は手招きしたので、小沢は失礼しますと断って、関内のそばに跪くと、お前、池元の頭やって何年になる?と関内は小声で聞いてくる。

 20年ぐらいですと小沢が答えると、お前んところ、しばらくしたら池元引退してもらって、お前が跡目継いだらどうだよ?てめえ、盃やるから…と関内は提案してくる。

 あのやろう…、シャブで凌ぎするような奴らと連みやがってな~、示しがつかねえだろう?うん?と関内は言い、ここだけの話にしとけよと釘をさす。 

大友を待っていた車の運転手は、近づいてきた片岡刑事に気づいて、ウィンドーを開けると会釈する。 大友まだ来ないのか?と片岡が聞くと、ええと運転手は言うので、ここ停めとくと邪魔だからよ、乗ったらさっさと出せよと指示する。

 ここんとこ、毎日来てるんですよ、今日も来てますと、カジノ内にいた江本は電話で知らせる。

いや…、他のお客さんも困っちゃって…というので、その直後、カジノにやってきた大友は、そこにいた小沢に会釈をすると、池元のそばに寄り、ここ、あまり来ないでくれませんか?客も怖がってるし…と小声で頼む。

 この野郎、お前が説教するのか?と池元が聞いてきたので、家、上がりもイマイチなんで…と大友は説明する。 

それをやるのがヤクザだろうが…と言って、池元は相手にしない。

 その後、江本らは、カジノの売り上げを持参し、今日の分です、お願いしますと、モニターでカジノを監視していた石原らがいる部屋に持ってくる。 

そこにやってきた大使は、私、もうこの商売辞めたい、リスク多すぎる、ギャラ安すぎるよと言ってきたので、おい!上がりの30%も持ってって、それでも安すぎるって?てめえの国の国家予算考えてから物言えってんだよとカジノ担当の子分が言い返すと、何を言ってる?20%しかもらってないと大使が石原に質問したので、いくら欲しいんだだ?と石原が聞くと、50%欲しいと大使は英語で要求する。

 さっきから何ごちゃごちゃ言ってんだよ!日本語で言え、日本語で!と江本たちが脅すと、石原は、分かったと答えたので、大使は50%と念を押して部屋を出ようとする。 

その時呼び止めた石原は、ヤクザとやっているということわかってるのか?と聞くと、大使は黙り込む。

 その夜、ホテルの一室に帰ってきた大使がバスルームに行くと、蛇がいることにきぢて、慌てて逃げ出そうとするがバスルームの扉を石原の仲間の子分が押さえつけていた。

 石原が50%?と問いかけると、バスルームの大使が必死に答えるが、わかんねえよと子分が言いながらドアを開放すると、大使が飛び出してくる。

 ニヤつきながら帰る途中、子分の一人が、兄貴、本当はあの大使にいくら払ってるんですか?と聞くと、てめえの知ったことか、馬鹿野郎と石原は叱りつける。

 子分は英語で話しかけると、石原は無表情に英語で返事する。

 大友組の事務所で、水野が、上りがだいぶん少ねえらしいな?と聞くと、イラン人の奴、ショバ変えて売ってるみたいなんでヤクが減ってるんですよと、村瀬組の子分が答える。

 ショバ変えたって、お前が下ろしてるんだろうが!と水野が攻めると、それが…、他の組の奴らが下ろし始めてるらしいんですよ…、ただ、言われた分は、ちゃんと収めさせてもらってます、ねえ、石原さんと子分は石原に馴れ馴れしく語りかける。

 すると石原は、何だ、てめえ?この野郎!と言いながら立ち上がり、いきなり相手を殴りつけると、少ねえから少ねえって言ってるんだろう!ごちゃごちゃ言ってんじゃねえぞ!と怒鳴りつける。

 あまりに執拗に殴ったり蹴ったりしていたため、メガネが床に落ちるが、水野はそのメガネを靴で払いのける。 

「中華料理 天龍飯店」から出てきた客の動きを近くで監視していた江本ら大友組の子分は、ここだなと話し合う。 

その直後、スポーツカーに乗った女がその中華屋に入って行くので、あの女、この前、買ってた奴じゃないですかと江本は指摘する。

 そこに水野と安倍が乗った車が来たので、張っていた子分が店を教えると、車を降りた水野と安倍は店に乗り込む。

 テーブルに座ると、店員(ケンタエリザベス3世)が何にしますか?と言いながら水を持ってきたので、親父を呼べ!と安倍が命じる。 

え?何にしますか?と店員は繰り返してきたので、いらねえよ、馬鹿野郎!良いから親父呼んでこいと安倍はすごんでみせる。 店員は、ちょっとお待ちくださいと答え奥に引っ込むと、親父さん、ちょっとと声をかける。 え?何だ?と親父が聞くので、ちょっと…と繰り返すと、水野たちの隣のテーブルで食べていた客(黒田大輔)が察して、いくら?と言いながら立ち上がったので、700円ですと店員が答えると、慌てて金を払って帰ってゆく。

ありがとうございましたと言いながら、店員がどんぶりを片付けると、新しい客が入ってきて、タンメンを注文する。

 それに気づいた水野は苦笑いする。 おい、親父どうなってるんだ?と安倍が店員に聞くと、ええ、ちょっと今手が離せなくて…というので、ヘッヘへ…、なんだとこの野郎?と笑いながら聞き返した水野だったが、安倍とともに立ち上がり、調理場へと向かう。

 中華鍋を振るっていた親父の側に来た安倍は、おめえ、ここでヤク売ってるんだろう?と睨みつけると、ちょっと、なんなんだよと親父は狼狽したので、おめえ、ここでヤク打ってんだろう?と繰り返すと、え?ヤクって何?と親父が聞くので、シャブ、シャブ!と安倍が繰り返すと、何のことか分からねえなと親父は惚ける。 

すると、調理場にあった菜箸を掴んだ水野は、聞こえねえのか、この!と言うと、親父の右耳に菜箸を突き刺す。

 悲鳴をあげた親父に、菜箸を突っ込んだまま、てめえ、どっからヤク仕入れてるんだ?誰が作ってるんだ?言え、この野郎!と水野は聞く。

 安倍は、指出せ!と言うと、親父の右手を掴み、中華包丁で指を切ったので、切れた指先がラーメンの麺が入った丼に飛び込む。 親父は、村瀬!村瀬!と思わず叫ぶ。 

それを聞いた安倍は、何だ、あの親父…、結局、引退したって、引退してねえのかと呟くが、カウンターの前に来ていた店員に気づくと、早く持ってけ、馬鹿野郎!と叱りつける。

店員は、親父の指が入ったどんぶりを、お待ちどうさまでしたと客の前に置くが、何かを読んでいた客はなかなか気づかなかった。 

大友企画の事務所。 大友に会いに来ていた池元は、おい、梅酢の奴、取っちまえ、あんな野郎、何の役にも立ちゃしねえ、あいつのおかげでこっちの出世まで遅れちまう…などと持ちかけたので、流石に大友は、うちの若いもんばっかし使えませんよと返事する。 じゃあ、お前がやれ、親の言うこと聞けねえのかと池本は命じてくる。 

そして帰るため立ち上がった池本は、しっかしボロい事務所だな~、もっと良いとこ借りろよと室内を見渡しで悪口を言って帰る。

 サウナの前に停めてあった自動車の窓を叩き、火貸してくれないか?とチンピラが声をかけたので、運転手は何だ、てめえら?と聞いてくる。

 するとチンピラは、火貸してくれないか?と繰り返したので、運転手は仕方なくライターで火をつけてやると、てめえ、どこの組のもんだ?ともう一人のチンピラが運転手に聞く。

 おめえに関係ねえだろうと返してきたので、何だ、この野郎!出てこい!と言うと、二人がかりでドアから運転手を外に引っ張り出そうとする。

 運転手が離せ!と喚いている隙に、近くで待機していた大友はサウナの中に入り込む。 風呂の中に入り込んだ大友は、刺青姿の裸で髪を洗っていた男の後頭部に銃をぶっ放す。

 サウナに裸で入っていた村瀬とその子分二人は、その銃声に気づいて顔を上げる。

 するとスーツ姿の大友が入ってきたので、緊張するが、大友は無表情に銃を向けてくる。

村瀬はまだちゃんと喋れないまま、手を前に出して命乞いをしようとするが、大友は両脇の子分も含め、三人を撃ち殺す。

 後日、片岡刑事から呼び出された大友は、だから証拠を見せろって言ってるだろう!と反抗するが、お前の組の若いのを見たって証言があるんだよと片岡は言う。

そいつパクりゃ良いじゃないかよ!この野郎!と怒鳴る大友。

お前が言わしたんだろうが!と片岡が言い返すと、知らねえよ、バカやろう!と大友も言い返すので、何だと、このチンピラヤクザ!と片岡は怒鳴りつける。

 大きなお世話だよ、馬鹿野郎!と大友も負けてない。

 警察署の前で待っていた水野が、またたち版の警官に向かってタバコの吸い殻を投げ捨てたので、署から出てきた刑事が、てめえ何やってんだ!タバコなんか吸いやがって…と、拾え!拾えって言ってんだろうと威嚇してくる。 

水野はその言うことを聞き、捨てたタバコを拾って、再び吸いかけるが、その刑事が車で出かけると、追いかけてタバコをその車に投げつける。 

海辺の別荘にいた関内のところに来た加藤は、大友、証拠不十分で釈放されちまいましたと報告する。

 じゃあ、次は池元に大友を破門させろと関内は指示する。 

池元をどうするんですか?と加藤が聞くと、お前、人の話をちゃんと聞いてんのか?池元はほっといてもな、親分のタマ取られた村瀬組の奴らか、破門した大友どっちかにやられちまうだろう?ああ!と関内は説明する。

 破門?何で俺が破門なんですか!と電話で連絡を受けた大友は驚く。

 会長がよ~、親分の兄弟やるような奴は許せねえっつうんだよと池本は電話で伝える。 

あんたがやれって言ったんだろう!と大友が言い返すと、わかってる、だから形だけだからよ、ほとぼり冷めたら会長に言って許してもらうから…、それからそこのシマはうちの小沢に代わりにやらせることになったから出てってくれなと池元は指示する。 

それを聞いた大友は、いい加減にしろ、この野郎!散々体使わせやがって!シマまで取るのか!と怒鳴りつける。

 おいおい、怒る気持ちもわかるが、本部の決定なんだからよと池元は宥めてくる。

ああ、そうかい、勝手にしろ、馬鹿野郎!と言って大友は電話を切ると、関内会長のところ、行って来るわ…と水野に話しかけると、安倍には、おい、ドス持ってこいと命じる。

 良いよ、指くらい詰めなきゃしょうがないだろう、へっ、破門だってよ…と大友は水野に伝える。 水野も石原も何も言えず黙っていた。

 小指の根本を糸できつく縛り上げ、小指の先を弾いて無感覚になったのを確認した大友は、こんなもんか…とつぶやくと、自らドスで小指を斬る。

 左手に包帯を巻き、山王会本部にやって来た大友を前にした加藤は、てめえ、池元を差し置いて、直接会長に会いに来るってのはどういうことなんだ、この野郎と叱る。

 分かったのか!と言われた大友は、すいませんと素直に詫びる。

 で、チンピラのくせにどこ座ってんだよ?と加藤にしてきたされ大友は、ソファから降りてカーペットに正座する。 

さらに、テーブルに置かれた大友の小指を手に取った加藤は、今どきこんなもの持ってきても一銭にもならないよと言いながら、大友のスーツのポケットに仕舞う。

 そこに姿を見せた関内は、おい加藤、ちょっと外してくれと声をかける。

 一礼して加藤らが部屋を出ていくと、関内は大友の横に座ると、破門ってのはな、俺が言ったわけじゃなくて、池本が勝手に言ったことだからな、俺がそんなこと言うわけないだろうが…と言いながら、関内は大友の肩をゆすって親しげに言う。

 ええ?もう池元の時代じゃねえんだから、お前が中心になって組盛り上げてこれないと困るんだよ、な?いずれ落ち着いたら、盃やるからよ、池元は生かそうと殺そうと、俺の知ったこっちゃないよ…と関内は嘯く。 

あ、それから、小沢ってのがいたな?あいつはお前の舎弟にして残しとくと良いじゃねえか、ああ?と話した関内は、おいと、お供の若い衆に封筒をテーブルに置かせると、それ小遣いだ、取っとけと大友に告げる。

 ソファから立ち上がり部屋から出かけた関内は、いずれ倍にして返してくれよなと笑いながら言い残す。 大友は凍りついたような無表情のままだった。

 カジノでは、大使が酒を飲んでいた。 テーブルではいつものように、池本がディラーに、もうちょっと貸せよ、ちっとも勝てねえじゃねえかよ、おめえ、インチキしてんじゃねえか?ああ?良いからちょっと寄越せとわがまま放題言っていた。 

そこにやってきた大友組の連中が、いきなり池元の腹を殴って部屋から連れ出し、その場に残った水野が小沢に、叔父貴、今日のところは目を瞑ってもらいますか?必ず叔父貴の顔を立てますからと話しかける。

 小沢は黙って首を軽く縦に振ったので、水野はその背を押して一緒に部屋を出ていくのを、大使はカウンターでじっと見守っていた。

 大友は捕まえた池元相手に、てめえ、破門しといて遊びに来るのか、この野郎、ぶち殺すぞ、こら!と恫喝する。

 池元は、ちょ、ちょっと待て…と宥め、小沢!と呼ぶが、そこにやって来た水野が、帰ったよ、馬鹿野郎と言ってくる。

 形成不利と悟った池元は、おい、ちょっと待てってよ、破門取り消すよなどと言うので、はあ?と大友が聞き返すと、波紋は取り消すよと池元が繰り返したので、破門したり取り消したり、てめえの舌は何枚あるんだ、この野郎!と大友は怒る。

 池本が返事に急すると、何枚あるか聞いてんだよ!と大友が繰り返すので、そりゃ一枚…、言うので、一枚だ?2枚も3枚も持ってるんだろう、この野郎!と大友がしつこく聞くので、舌一枚に決まってるだろうと池元が癇癪を起こすと、口開けてみろよ、舌出せ!出せよ!と大友は威嚇して来る。

 池元は軽く舌をだしてみせるが、もっと出せよ!と大友が命じると、子分も池元の頭を掴んで上を向かせる。 出せって言ってるんだ!と大友から急かされ、思い切り舌を出した池元だったが、その顎を大友を思い切り殴って舌を噛み切らせる。

 池元がその場に倒れると、おい、道具出せと言って、子分から銃をもらった大友は、その場で池元を射殺する。

 夜、外国ナンバー車で池本の遺体を運ばされることになった大使は、なんで私が一緒に死体しなけりゃいけないんだ、見つかったら大変じゃないかと文句を言うので、黙って乗ってろ、バカやろうと石原に怒られる。

 今見つかったら、私、犯人になっちゃうじゃないかと大使が言うので、そうだよ、前の女の子と2人目なと石原は嘯く。

 大使は、何言ってんだよ、あの子、ピンピンしてたでしょう?私、見たよ、人殺しの手伝いするなんて言ってないよと抗議すると、博打やって、ヤクにも手を出して、挙句に人殺しじゃたまったもんじゃねえだろうなと石原は皮肉を言うと、国外退去になちゃうよ、私、日本にいられなくなるよと大使は言う。 

それを聞いていた石原は、バカ野郎、見つかったら死刑だよと答えたので、えっ、死刑!と大使は驚く。 

やがて大使の車は検問に止められる。

 運転席の窓をノックして開けさせた警官が、どこ行くんですか?と聞くので、運転手は手を振り、後部座席に座っていた石原は英語で答えたので、日本語喋れないんですか?と聞いた警官はバックナンバーを見て、大使館かと気づく。

 しかし、路上に血が滴っているのに気づき、トランクを開けてくれませんか?と頼むが、石原は、ノータイムと答えてごまかすが、大使が、もう良いだろう?急いでるんだと日本語で語りかけたんで、石原は唖然とする。

 しかし警官はその言葉で、もう良いです、行ってくださいと答えたので、無事検問を通過できる。 

人気のない場所で待っていた水野が、到着した車から降りて来た大使に、この辺ならバレねえな?あと頼むわと言ったので、あんた何言ってるの?見つかったら国に帰れないじゃないと大使がぼやくと、いきなり水野は大使の顔面を殴りつける。

 うるせえんだよ、この野郎!と水野は叱りつけ、倒れた大使を立ち上がらせた安倍は、これでやれと言ってシャベルを手渡す。 

穴を掘りながら、疲れた大使は石原に質問するが、石原は相手をせず、水野たちは勝手に車で帰り始めたので、大使は慌てる。

 石原も大使館の車に乗り込み走り去ったので、大使は池元の死体と一緒に1人取り残されてしまう。 山王会に来た小沢に、池元は死んだか?…となると、お前が池元組を継ぐことになんのかい?と関内が聞くので、はい、会長、できたらお願いしますと小沢は答える。 

だけどお前、何もしねえで組にするつもりじゃねえだろうな?そのためには大友始末して親の仇取らねえと格好つかねえだろう?うん?と関内が言うので、はい、失礼しますと小沢は返事して帰る。

 関内は加藤に、俺の言った通り、大友の野郎が池元取りやがっただろう?そう言うことがわからねえ奴はな~、人の上には立てねえんだよ!と言うと、いきなり加藤の顔を殴りつける。

 わかったか?あとはお前、小沢助けて、大友やっちまえと関内は命じる。 

加藤は、はいと答え、じっと歩き去る関内の背中を見つめていた。

 その後、加藤はいつものように片岡を呼び出し、金の封筒を渡していた。 

その頃、大友が隠れていた女の部屋のガードをしていた子分は、女が部屋に入ってきて、来たわよと言うので、外の様子、見て来ますと大友に言い、部屋から出て行く。

 外に駐車していた車に近づいた警官が窓をノックしたので、ウィンドーを開けて、なんだよと運転手が聞くと、すいません、ここ週車禁止なんですけど、免許証見せてもらえますと言うので、あいよと取り出して見せると、車検証もお願いしますと警官はいう。

 車検証?と言いながら警官に背中を向けた運転手だったが、いきなり警官が撃ってくるが、その警官も背後から撃たれる。

 警官は振り向き、撃ってきた大友のガードマンも撃ち返し、相撃ちになる。

 大友の部屋に集合した水野は、小沢のところですかね?というので、うん、池元やっちまったからな~と大友も納得する。 会長とは話付いてるんですよね?と水野が聞くと、水野、お前隠れろと大友は指示する。

 1人くらい生きてねえとよ、結果わかんねえじゃねえか…と大友が自虐的に言って笑うと、女が顔を出し、じゃあね、田舎帰っているから、後で連絡ちょうだい…と大友に告げる。

 すると大友は、お前縁起悪いな~、もう葬式の準備か?と言い返す。 女は自分が来ていた黒い服に目を落とし、嫌だ…と笑う。

 会長に話したんですか?といつものレストランで会った片岡に聞かれた大友は、連絡取れねえよというので、小沢に取らせることにしたみたいですよと片岡は教える。

 会長は俺に後取れって言ったんだぜと大友は不思議そうに答える。

 人が良いから、騙されて池本やったんでしょう?そんなこと本気にしてどうするんですか?小沢にも同じこと言ってますよと片岡が指摘すると、関内の野郎!と大友は怒る。

 背後に控えていた石原が、俺、ちょっと行ってきますと大友に話しかけ、おいと子分を連れて出かける。 

水野どうしたんですか?と片岡が聞いてきたので、ああ…、とっとと逃げちゃいましたか?先輩、消される前に警察に逃げ込んだ方が良いんじゃないですか?と片岡は言い聞かす。

 逃げ込むだ?この野郎、一体誰に向かって喋ってんだ、この野郎!と大友は言い返す。

それ、落ち目のヤクザさんでしょうと片岡が答えると、立ち上がった大友顔面目掛けて片岡はパンチを打ち込み、迫ってきた護衛の安倍たちに、なんだ、お前ら!逮捕するぞ、この野郎!と威嚇し、鼻血を出した大友の顔を見る。

 店を出て、外に停まっていた車の後部座席にいた加藤に会いに行った片岡は、2人本家に撃ち込みに行きましたよ、大友中にいますと伝えると去ってゆく。

 ウィンドーを閉めた加藤は、これ放り込んでこい、やり方知ってるか?と言いながら、袋に入った手榴弾を助手席にいた子分に渡す。 

大友は安倍に護衛させ、トイレの中で鼻血を洗っていたが、その時、店内から爆発音が聞こえてくる。 

トイレから出てみると、店内は瓦礫の山だった。 

おい、事務所に電話してみろと大友は安倍に命じる。 その頃、大友組に乗り込んだ小沢とその配下3人が、事務所にいた子分たち目掛け機関銃を乱射する。 

店から電話をした安倍は、誰も出ませんと大友に伝えたので、ふん、終わりか…と大友は呟く 拳銃を持ってるか?と大友から聞かれた安倍は、いいえと答える。

 懐から銃を取り出した大友は、やるから逃げろ、逃げろ、ほら!と安倍に命じる。 

一方、山王会本部に来ていた石原は、先に様子を見に行った子分が、ボディーガードばっかりですねという報告を待機していた車の中で聞く。

 関内いなかったらどうしますか?犬死にですよ…と子分が聞くので、そうだな、犬死にだなとだけ石原は答え、子分の側頭部に拳銃を当てて引き金を引く。

 大友の女も車の中で撃たれて死んでいた。 

安倍は1人車で逃走していたが、背後から追ってきた車がいきなり追い越して前方で停まったので、進路を塞がれてしまう。

 前の車から2人降り立って向かってきたので、銃を持った安倍も車を降り、2人に向けて銃を向けた途端、安倍の横に停まった別の車から撃たれる。 

安倍が路上に倒れた途端、横付けした車も前方を塞いだ車も走り去る。 

夜、紙袋を抱えて逃げていた江本は、公衆トイレの中に入る。

 トイレに座って拳銃を自分の側頭部に押し当てていたが、そこに足音が近づいてくる。

 外の足音に気を取られていた江本は、トイレの上から狙い撃ちにされる。 

相手は大便所の隣の洗面台の上に乗っていたのだった。 洗面台から降りた暗殺者は床に降りて靴を履くと大便所の前に立つ。

 水野が潜んでいたマンションの部屋に帰ってきた女(渡辺奈緒子)は、バッグを渡す。

 そのバッグのチャックを開けた水野は中から拳銃を取り出す。 

さらにバッグの底から札束を三つばかり取り出して確認すると、元へ戻す。

そしてシャツを脱ぐと寝室に入り、女を抱く。 

その後、マンションを出て車に近づいた水野は、暗闇から出てきた2人の男から銃を突きつけられ、動くな、手を後ろに回せと命じられる。

 何だ、お前らと水野が聞くと、ドライブ行こうか?と相手から言われる。 

車に乗せられ延々走ったので、こんな田舎まで連れてきたがって、やるんならさっさとやれや…と水野が文句を言うと、うるせえな、ドライブっつてんだろ、この野郎と運転者はイキリ返す。

 送電線が並ぶ突堤のところで車が停まったので、ここで何するんだよと水野が聞くと、うるせえっつってるだろうが…と言いながら、後部座席から助手席の水野の顔に布を被せて、石原がよろしく言ってたぜと言いながら銃を側頭部に押し付けながら首を絞めてくる。

 そのロープの先を道路脇の鉄柵に結びつけ、車を走らせたので、首を絞められたまま水野の体は外に投げ出される。

 殺し屋2人は、そのまま車をその場に残して立ち去ってゆく。 

マンションに残っていた水野の女も射殺されていた。

水野の遺体の横を通り過ぎた車から遺体を確認した小沢は、道の先を歩いていた2人の子分を乗せ走り去る。

 警察にいた片岡は携帯で連絡を受け、はい、ああそうですか?体育館の裏ですねと確認し、1人車で出かけると、そこに大友が1人待っていた。

 会長に俺を売らなかったのか?と大友は聞いて来たので、そんなことしませんよ、先輩と片岡が答えると、みんなどうしてる?と大友が聞くので、みんな死にましたか?と片岡も聞き返す。

 水野もか?と大友が聞くと、頷いた片岡は、酷い殺され方で、ほとんど首取れてましたよ…、先輩、もうこの辺で出頭してくださいよと答えたので、バカヤロウ、俺だけ生きてられるかよと大友は言い返す。 

ヤクザもそう言う古いことを言ってる時代じゃないでしょう、生きてたら仇も取れるし…と片岡は言い聞かす。 

お前、俺幾つだと思ってるんだ?刑務所入ったら、それで終わりだよと大友は苦笑する。

先輩、KOよりTKOの方がマシでしょう?と片岡が言うと、笑った大友は、負けは負けだ、この野郎…と言い返すと、両手を前に差し出したので、片岡がその場で手錠をかけ私が動いて刑期短くさせますから…と言う。

 裏手から出てきた大友は、そこに警官隊が多数待機していたのに気づくが、片岡は、1人で来るわけないじゃないですか、今の時代、金より出世ですよと言い放つ。

 山王会本部の下手にある海辺では、子分たちによるちょっとしたバーベキューパーティが開かれていた。 お前らこれ飲むなよ、俺んのだからとシャンパンを持ってきた、江本を射殺した奴が若い衆に言うと、その場にいたみんなが愉快そうに笑い出す。 

小沢から報告を聞いた関内は、ああ、片付いたか…、そうか、良くやったな…と屋敷で喜んでいた。

 いずれ、俺の盃やるからよ、池元組継げやという関内に、ありがとうございますと小沢は礼を言う。

 おい加藤、みんな下にいるから、お祝いでもしてやれと関内は命じる。

 はい、じゃあ下いきましょうかと小沢に声をかけた加藤は、一緒に階段の方へ向かう。 

関内がそれをにこやかに眺めている中、おい、小沢!と背後から声をかけた加藤はスーツの下から銃を取り出すと、振り向いた小沢に向け、2発撃ち込む。

小沢はその場に崩れ、下でバーベキューをやっていた男たちは、何か音した?いや…と気づいていなかった。

関内は満足げにそれを見ていたが、加藤はポケットから別の拳銃を取り出すと、関内の額を撃ち抜き、お付きの少年も撃ち殺すと、流石に海岸でバーベキューをやっていた子分たちも気づいて屋敷に向かって走り出す。

 加藤は、関内を打った拳銃を小沢の死体の右手の側に置き、下から子分たちが戻ってきたのを確認すると、関内の死体を抱き起こし、会長!会長!と呼びかけ、あの野郎、撃ちやがったと小沢を指差す芝居を始める。 

ある晴れた日、刑務所内のグラウンドで囚人たちの野球が行われていた。 

それを椅子に腰掛けて見ていた大友だったが、横に座ってきた別の囚人に、いきなり脇腹を刺される。 

その囚人は、かつて大友から顔を切られた木村だった。

 兄貴、待ってたぜ…と木村は話しかけたので、木村か…と大友も思い出す。

 石原と一緒にいた加藤のもとにやってきた片岡が、会長、大友が刑務所で殺されましたと報告する。

 殺された?誰にやられた?と加藤が聞くと、前に村瀬のところで頭やってた木村ですと片岡は教える。 

ふ〜ん、お前が仕組んだのかよ?と加藤が聞くと、そんなことできませんよ、あ、これは山王会の金庫番と言われる石原さんじゃありませんかと、初めて気づいたように片岡は話しかける。 

ヤクに始まって、それからカジノ、終いには株まで…、仙台の頃だったら考えられないですねと片岡は言い、あ、それから今度私、ちょっと上に上がりましたよ、こいつが後を注ぎますからと連れてきた刑事を紹介する。 

うん、偉くなっちゃったんだ、良いね〜と加藤が興味なさげに答えたので、まあ、これからもよろしくお願いしますと片岡は挨拶する。

すると加藤が背後に控えていた子分においと言葉をかけ、その男は新しい刑事に金の入った封筒を渡す。 

会長、俺には?と片岡が催促すると、バカヤロウと加藤は答え、片岡は愉快そうに笑い出す。 

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