「警視庁物語 魔の最終列車」
シリーズ第2弾、上映時間1時間足らずの中編
映画としては中編だが、テレビの1時間ドラマくらいの尺なので、非常にテンポ良く見ていられる。
シリーズ初期の作品ということもあり、出演者たちが全員若い。
南原伸二さんも若いし、山本麟一、関山耕司といった、後年の悪役俳優も真面目そうな刑事をやっているし、銃器技師を演じている片山滉さんなども、「ウルトラセブン」で参謀などを演じていた頃に比べても、ぱっと見気づかないほど若々しい。
宮川刑事役の南原伸二さんのイケメンぶりも見もの。
本作でもタバコを吸わない林刑事は、張り込み中、懐から何か銀紙のようなものを取り出して、その中身を口に入れているが、チョコなのかガムなのか判然としない。
刑事部屋にエアコンがないのは時代だから仕方ないとして、冬場には火鉢しかないのも驚かされる。
ちなみに、本作のキャストを紹介した「キネ旬データ」は、山本麟一=林刑事、花澤徳衛=吉岡刑事、関山耕司=金子刑事など、かなりミスが多い。
【以下、ストーリー】
1956年、東映、長谷川公之脚本、小沢茂弘監督作品
疾走する貨物列車の中の郵便車両に、突然、コート姿の賊が侵入、3人の乗務員人に向けて発砲する。
車内の非常ボタンを押そうとした乗務員は数発撃ち込まれ絶命する。
ずくは床に落ちていたタバコを踏み消すと、「赤行嚢」と書かれた袋を開き、中に札束が詰まっていることを確認すると、もう一度口の部分を縛り、腕時計で時間を確認した後、列車の扉を開き、外にその袋を投げ落とす。
やがて列車は「品川駅」に停車し、郵便車の扉から、コートに帽子をまぶかに被った男がホームに降りる。
扉が開いたままなのに気づき、中を覗き込んだ駅員が3人の死体を発見する。
警視庁の捜査一課に電話が入る。
何?列車強盗殺人!はい、どうぞとメモの用意をした刑事は、博多発上り1006列車、品川駅で発車直前に発見、被害者は乗務員3名中2名は即死、1名が重症、ああ、すると列車は東京駅に10分の延着ですか?現場検証は東京駅ですね?と確認すると、はいわかりました、すぐ手配しますと答えて受話器を切る。
東京駅に、パトカーと「警視庁鑑識課」と車体に書かれた鑑識車が到着する。
構内に刑事たちと鑑識課員がやってきて、すでに警官が現場の保護をしていた9番ホームに来る。
現場の手前の被害者の痕跡を見た鑑識課員は、硝煙痕は半径約4cmと発言、奥の鑑識員が7〜8mの距離から撃たれていると鑑識課長(須藤健)に報告する。
で、先生のお考えは?と刑事が聞くと、射入口が射出口より小さい点と弾丸によるの大きさとを考え合わせると、まず10m以内と言うことでしょうかと鑑識員は言う。
その時、課長、車内から薬莢が4個見つかりましたと別の鑑識員が持ってくる。
それを受け取った鑑識課長が、おい、弾は何発だったかね?と奥で作業していた鑑識員に聞くと、あ、全部で4発ですと奥にいた鑑識員が答えたので、うん、するとホシは4発撃った訳かな?と課長は判断する。
すると、その場にいた捜査第一課長(松本克平)が、いや違う、品川病院に収容された生き残りの被害者から一発摘出されたそうだから、ホシは合計5発撃っていると指摘したので、しかし薬莢は4つしかない、おい、その辺をもっと探してみてくれと鑑識課町は鑑識員たちに指示する。
進行中に車外に落ちたかな?と言う第一課長と共に、ホームに降りた捜査主任(神田隆)に、主任、生き残りの被害者の傷が軽すぎるような気がしますとホームにいた長田刑事(堀雄二)が報告する。
しかも大腿部に一発食らっただけで、品川駅に着くまで気を失ってたと言ってるそうですし…と林刑事(花沢徳衛)が指摘する。
それに頷いた捜査主任は、課長、ひょっとすると、これは生き残り被害者の狂言かもしれませんなと捜査第一課長に伝える。
仲間を殺しておいて、東都銀行の赤校の袋を車外に放り出す、共犯が受け取るのを見すましてから自分の太ももを撃つ、そしてしばらくの間木を牛なっったことにする…、筋書きとしてはよくできていますな…と課長は推理を述べる。
一つ洗ってみることだなと第一課長は指示する。
はあ、宮川刑事を病院にやっておりますと捜査主任は答える。
品川病院には記者たちも大勢詰めかけていたが、病室のベッドに寝ていた被害者の横に座った宮川刑事(南原伸二)は、で、犯人の人相は?と質問するが、それが逆光線で、しかもあっという間に撃たれちまったもんで…と被害者はいう。
しかしおかしいじゃないですか、君は他の二人に比べ、それほど重症というわけでもないのに、人相を見とらんというのは…と宮川刑事は追及するが、でも本当に見えなかったんです、わからなかったんです、撃たれた途端、気が遠くなっちまって…と被害者は訴える。
すると、そばで様子を見ていた医者が、君、あんまり興奮しないようにと患者に注意する。
犯人に襲われたのはどの辺を走っている時ですか?ゆっくり思い出してみてくれませんか?と宮川が聞くと、多分、川崎を通過して間も無くだったと思うんですが…と答えた被害者の証言は、別の刑事が持つマイクを通してテープレコーダーに録音されていた。
それを聞いた各社の記者たちは一斉に電話機に走ると、あ、もしもし郵便車強盗事件の追加報告!しながわ病院における被害者の…と本社に連絡する。
以上の点から見て、息の氷の被害者にも取り調べの余地が残されており、うん、捜査本部は狂言強盗説も重視している…、以上!うんそうそう、ところで沿線の捜査はどうなってると本社に聞く記者もいた。
翌日、刑事たちは、線路脇の沿線に何か痕跡はないかと探していた。
そこに新聞社の車がやってきて、降り立った記者たちが、何かありましたか?としつこく聞いてくる。
「警視庁科学検査所 銃器室」
剣銃弾はK5の7ポイント6号、K5というのはグスタオフ現象カンパニーの頭文字GECOを連ねた略称で、工場はドイツのバーデンですと銃器技師(片山滉)がいうので、ドイツの?すると戦前のものですかか?と宮川刑事は聞くと、そうです、ちょっとご覧なさい、遊底に歯根が見えてますねと銃器技師は指摘する。
これは拳銃を発射するときにできる終始痕というやつですが、この傷の出来具合と、それから弾の方ですが、5本の傷が右旋回してますね?これは発射された時に銃身の中でできるライフルマークですと銃器技師は解説する。
ねもはもこれらの状態を総合しますと…と言いながら参考書籍のページを開いた銃器技は、32口径のゲルニカ拳銃しか考えられないんですと結論づける。
ゲルニカ…、そうすると例のスペイン製とか?と宮川刑事が聞くと、自動7連発、ええ、去年京都で迷宮入りになった銀行ギャング事件に使われたやつです、ご存知でしょう?と銃器技師は教える。
頷いた宮川刑事は、今度は銀行の「赤行嚢」を狙ったとすると、同一犯人の仕業かもしれませんなと指摘する。
京都のライフルマークと比較してみますか?と銃器技師が言い出し、棚から過去の資料を取り出そうとした時、電話がかかってくる。
はい、銃器室ですが、あ、鑑識課長さんですか?と銃器技師が出ると、はあはあ、つまり、生き残り被害者が拳銃を撃ったかどうかを調べるわけですね?ああ、すぐやってみますと答える。
宮川刑事とともに品川病院にやってきた銃器技師たちは、早速、ベッドで寝ていた被害者の手の硝煙反応を調べてみる。
記者たちは直ちにその結果を本社の電話する。
被害者の両手から火薬残渣、つまり拳銃を撃った時にあげる火薬の撃ち残りだな、うん、が、検出されなかった…、だから狂言説は転成…と記者は受話器に向かって報告する。
一方、線路沿線での捜査はまだその後も続けられていた。
その近くで遊んでいた中学生たちがそれに気づき、おじちゃん、何探しているの?と聞いてきたので、うん…と生返事をした長田刑事は、草むらの中に落ちていた薬莢を発見する。
さらにその側には、タイヤの跡が残っていたので、駆けつけた金子刑事(山本麟一)と吉岡刑事(関山耕司)に、そこに転がっとったよとハンカチに乗せた薬莢を見せる。
「行嚢」と一緒に転げ落ちたものとすると…と金子刑事が考え込むと、このタイヤ痕も関係あるかもしれんなと2人に教える。
すぐさま吉岡啓之らはタイヤ痕を調べ、前輪と後輪の距離は2m80と報告する。
その後刑事たちは、沿線にタイヤ痕を残した車の特定を始める。
自動車会社に来た長田刑事に、どうもお待たせいたしましたと自動車会社技師長(曽根秀介)が近づくと、技師長、あれ、どうしましょう?と店員が聞きに来たので、ポイント変えとけと命じた技師長は、ホイールベースが2M80と申しますと、うちで扱っている車はこの型になりますがと、刑事たちを特定の車のところに連れて行く。
長田刑事は、念のため、タイヤの特徴を石膏で撮ってきたんですがと言いながら、その石膏を見た技師長は、この型でしたら54年後期のものしか使っておりませんと判断する。
売った先は分かりますね?と長田刑事が聞くと、はあ、関東ならうちが総代理店ですから、多分…と技師長は答えたので、お願いしますと長田刑事が頼むと、はあ、じゃあどうぞと社内に案内する。
「警視庁」「東京都公安委員会」の建物の中の「特別捜査本部」
長田刑事は、タイヤの特徴でこの車とまでは分かったんですが…と車のカタログを前に報告する。
この程度の高級車になると、実際は日本人が使用していても、脱税の目的で外国人名義っていうのがほとんどで、その辺の実態はなかなか掴みにくいというんが現状ですと長田刑事はいう。
なるほど…、被害の「赤行」を運び去った車と思われるだけに良い線画出たと思ってたんだがね、課長!このホシはただもんじゃないかもしれませんな…と捜査主任は捜査第一課長に話しかける。
うん、少なくとも、列車に乗り込んだ犯人とそれを受け取って運び去った犯人と、2人以上の大胆不敵な犯行だと捜査第一課長は指摘すると、それに計画的ですと捜査主任が補足すると、犯行が計画的で大胆不敵といえば、去年の京都の銀行ギャング事件の手口も大胆で計画的な犯行でした、凶器がゲルニカ拳銃であると言う点も似ていますし…と宮川刑事が口を挟む。
それを聞いた長田刑事は、銀行ギャング事件には慰留指紋があったはずですが?と聞くと、ところが郵便車内には乗務員以外の指紋は1つも発見されなかった、それから今度使用されたゲルニカ拳銃は去年の京都三条銀行ギャング事件で使用されたものと種類は同じゲルニカ拳銃だが、全く別なものだと鑑識から連絡があったんだと捜査主任が答える。
そこに戻ってきた林刑事が、盗難の紙幣番号をあたってみましたが、上り便なんで番号がバラバラでわからんそうですと報告する。
すると手掛かりは、凶器の拳銃弾と奴らが運び去るのに使った遠ねもはも壊れる自動車の型だけか…と捜査第一課長は指摘する。
新聞には「郵便列車強盗事件 捜査に一頓挫」「狂言強盗説覆る」「第一歩から出直し」「沿線捜査を強化」「郵便列車強盗殺人事件」「被害総額1300万円」「赤行嚢の行方依然不明」といった見出しが載る。
そんな新聞を読んでいた列車の乗客が、あ、あれだよ、あそこだよ、ほら!始まってるよ、この辺だと思った…などと窓から見える風景を指す。
そこには刑事や警官が多数集まっていた。
警察犬も連れて来られた中、長田刑事は、ちょうど付近の家から出かけようとしていた男に、ちょっと伺います、昨日の朝、こんな車を見なかったですか?とカタログを取り出して聞くと、その男は、あ?おい、見なかったかい?と送り出した妻に尋ねる。
妻は、何時頃ですか?と聞くので、6時過ぎですと教えると、さあねと気のない返事だったので、堂本いってその場から離れると、また、ちょっとお尋ねします、昨日の朝方、こんな車を見なかったですか?と隣の家の庭先に出ていた男に聞くと、立派な車ですね、わしは何しろ寝坊なんで…というだけだった。
警察犬に現場付近の匂いを嗅がせうと、急に吠えて一定方向に向かいだす。
長田刑事が離してくださいと、警察犬をリードで引いていた男に指示し、リードを解くと、警察犬は勝手に走り出す。
警察犬は落ちていた封筒を探し出したので、血だな?と林刑事が封筒に付着していた汚れを指摘すると、長田刑事はそこん書かれた「荒川区日暮里町4ー2 木村雄三殿」という宛名を読むと、裏返してみるが、そこには計算式のようなものが書かれてあった。
何だろう?と長田たちは首を傾げるが、そん数字を見た宮川刑事は、これはひょっとしたら、1006号列車の発着時間ではありませんか?と指摘する。
横浜5時55分、品川6時27分、その間が28分、距離にして24.9km、この割り算と掛け算は「行嚢」を投げ出す場所の通過時刻を決めるため…と宮川刑事は説明すると、良し、これであたっていこうと長田刑事は決断する。
「警視庁科学検査所 方医血清室」「警視庁科学検査所 現場法医室」
法医技師(南川直)は、封筒の血は人間の血に間違いありませんと持ち込んだ長田刑事に伝える。
被害者の誰かと血液型が一致しませんか?と長田が聞くと、さあ、それは今夜になりませんと結果が出ないんですよと法医技師は言うので、長田は宮川とともに、どうも…と言って帰るしかなかった。
その後、日暮里町にやってきた長田刑事は、ちょっとお伺いします、木村雄三さんのお宅は?と近所の主婦に聞くと、あ、あそこで干物をしているのが雄三さんのお母さんですと教えてくれる。
物干し台に竿をあげようとしていた木村の母(千石規子)は、その手伝いをした長田に、すいませんですねと礼を言うので、いやいや、雄三さんはおいでですか?と聞くと、へえ、5~6日前から出ておりますがと母親は言う。
ほお、どちらへ?と長田が聞くと、さあ、いつも出てはひょっこり帰ってくるんで…と母親が言うので、実は雄三さんのことでお聞きしたいことがあって、警視庁のものですと長田が捜査令状を出して見せると、雄三が何か?と母親は緊張する。
いやいや、心配することじゃありませんと安心させた長田刑事は、中をちょっと見せてくれませんか?と頼む。
中に案内された長田は、雄三の机の引き出しを調べ出すが、女性と写った一枚の写真を発見する。
雄三さんですか?と母親に聞くと、ええと言うので、この女の子は?と聞くと、さあねえ?と首を傾げる。
長田が写真の裏を見ると、お店にて 淳子と書いてあった。
別の引き出しを開けると、「多幸春」と店名が書かれたマッチが出てくる。
「多幸春」の店に行ってみると、淳子(三笠博子)が帰ってきて、どうぞ、いらっしゃいと長田たちを客と勘違いし、買ってきたわと女将に買い物を渡したので、お上はありがとうと受け取る。
君かい?淳ちゃんて長田が話しかけると、ええと淳子は答える。
女将があちらさんにと言っておでんの皿を渡したので、ご一緒なのねと淳子は受け取って、宮川の元に運ぶ。
宮川が、君、恋人がいるんだろう?と聞くと、あら、どうして?いないわよと淳子はとぼけるので、とぼけるなよ、木村だよと宮川刑事はいう。
すると、淳子はあら!と言ってカウンターの方に逃げたので、赤くなった!と宮川は揶揄うと、よしてよ、そんなんじゃないわと淳子は怒り出す。
しかし宮下は、ちゃんと知ってるんだぜ、くっつけて写真なんか撮っちゃってさと続けると、意地悪ね、どこで見たのよと淳子は言い返してくる。
ところで、あいつ最近来るかい?と長田刑事が聞くと、来た、おとといの晩…とあっさり淳子は教える。
何時頃?と聞くと、12時近かったかなと淳子は言うんで、ふ~ん、そんなに遅く…と長田は聞き返す。
だって、お店が看板になってから来るんだもんと淳子は言う。
お店?と長田が怪訝そうに聞くと、なんだ、知らないの?キャバレーよ、「8番街」って…と淳子が教えたので、ああ、知ってる、知ってる、うん…と、長田は宮川に目配せしながらごまかす。
その後、長田と宮川はキャバレー「8番街」に出向く。
宮川が外を見張り、中に1人入った長田は、ホステスを呼び止め、君!木村君呼んでくれないかと頼む。
木村?とホステスが首を傾げたので、木村雄三君さと言うと、あ、ゆうちゃん!と女は気づいたようで、ゆうちゃんなら…と話しかけるが、奥からマダムらしい女が顔を見せ、木村に何かご用ですか?と声をかけてくる。
木村なら2〜3日前に辞めましたけどと言いながらマダムが近づいてくる。
辞めた?と長田が聞くと、ええと言う。
そこに別のホステスが2人出社してきて、おはようございますとマダムに挨拶して来たので、あら、愛ちゃん、出てきたの?身体も良いの?とマダムは声をかける。
そんなマダムに、確かにいると聞いて来たんですがね?と長田がねばると、私が嘘を言ってるとでも思ってらっしゃるんですか?失礼ですけど、あなたどなた?とマダムが言い返して来たので、警視庁の長田というものですと警察手帳を出して教えると、あ、まあ、それは失礼しました、あの〜、木村が何か?とマダムは態度を変える。
いや〜、ちょっと…と長田がごまかすと、本当に2〜3日前から辞めたっきり、顔も見えないんですよとマダムは言う。
長田は他の従業員たちが興味を持って見ていることに気づき、そうですか、どうも…と詫びて帰るので、あ、失礼しましたと言って送り出す。
外で待っていた宮川は、出て来た長田に、どうでした?と聞いてくるが、2〜3日前に辞めたと言っとるんだがね…と長田は疑わしそうに答える。
そこに乗用車が止まり、そこから降りた男が、目の前の「森田商行」に入っていったので、宮川君、例の車と同じ型だねと指摘する。
ナンバーは「3-7478」だった。
それを宮川が手帳に書いていると、ともかく飛ばん内に、木村の立ち回り先を張り込まんと、君はここで張っててくれと長田は頼む。
林は、小料理屋の「多幸春」を張っていた。
夜も「8番街」の前に立っていた宮川に、おじちゃん、お花買って!と少女(深沢晴美)が来たので、良いよと断ると、何だ、酔っ払ってないやと少女が言って立ち去ったので、思わず苦笑するが、その時、雨が降って来たことに気づく。
木村の家の前で張っていた長田は雨の中、適当な居場所を探す。
林刑事も雨に打たれていたが、傘をさした女が近づいてきて、雨降ってるのに何してるのと聞いてくる。
ねえ、入れてってあげる、遊んで行かない、ねえ、しけてんのよとと誘って来たので、いや、今ちょっと上手くないと断る林の体を引っ張って行こうとするので、ちょっ、ちょっと!と林は困惑する。
その時、「多幸春」から出て来た淳子は、傘良いの?と店の女が聞いたので、良いわ、車拾ってくからと言うと、雨の中飛び出して行く。
宮川も雨の中立ち続けていた。
捜査本部に来た課長が、やあご苦労!どうだ?と聞いて来たので、まだどこにも立ちまわっった様子はありませんと主任が答える。
この雨じゃあ、張り込みの刑事諸君も大変だな〜と課長は同情する。
例の封筒の血痕ですが、死んだ被害者の1人と血液型が一致しましたと主任が報告すると、そうか、それじゃあ、木村は苦戦な、上手く立ちまあってくれると良いんだがと課長は答える。
車から降りて、雨の中慌てて降りて来た淳子に、ずぶ濡れになっていた長田は気づく。
電灯も灯さず家の中にいた木村の母は、突然やって来た女に気づいて、誰ですか?と声をかけると、あの〜、雄三さん、いませんか?と女は言うので、電灯をつけて相手の顔を見た母親は、あんた誰ですか?と再度聞く。
私、淳子、雄三さんから電話はかかって、何だか急用らしかったのと言うので、急用?と母親は困惑する。
頷いた淳子は、さっきお店に…、とても急いでいる様子だったんで…と言うので、雄三はここんとこずっとうちにも寄り付かないんですよ、親不孝者…と母親は教える。
そうですかと言って帰りかけた淳子に、もし!と母が呼びかけたので、何ですか?と淳子が聞くと、もし雄三に会ったら‥と言いかけたので、はいと淳子が答えると、良いですわ、良いですわ…と母はそれ以上続けなかった。
家の外に出た淳子は、淳ちゃん!と呼びかけて近づいた長田に驚いて立ち止まるが、さっきは店でどうも…と言いながら、雨を避けた場所に連れ込んだ長田に、ねえ、木村さん、知らない?何だか様子が変なのよと聞く。
様子が変?と長田が聞くと、私に会いたいって言うのと淳子は説明する。
どこで?と聞くと、それが途中で切れちまったもんだから…と淳子は言うので、実は僕は警視庁のものなんだが、ごめんよ、嘘ついて…と驚いた淳子に明かし、とにかく本部まで来てくれないかと頼む。
「8番街」の前では、まだ宮川刑事が雨の中張っていた。
何だかとてもセカセカした電話だったの、どうしても会いたいって言うから、私、場所さえわかれば行くっていてるのに…と本部に来た淳子が証言していたが、長田は当たりたまえと火鉢を勧め、木村の電話はそこで切れちまったって言うんだね?と確認する。
淳子がええと答えると、切れる時、何か気がついたことはなかったかい?と主任が聞くと、さあと言うので、それで心配になって木村のうちに行ったってわけだと長田は納得する。
ええと言う淳子に、最近、木村について変わったことは?と主任が聞くと、別に…と言うので、一昨日店に来たって言うのは1人きりでかい?と長田が聞くと、いいえ、お友達とと言う。
友達?と長田が聞くと、森田商行の社員とかって…と淳子が言うので、森田商行?と長田は確認する。
どんな男かね?と主任が聞くと、どんなって…、とにかくボディビルみたいに体格の良い人よと淳子は答える。
他に特徴は?と主任が聞くと、このくらいで良いでしょう!と淳子は怒ったように立ち上がる。
こんなに遅くなると女将さんから怒られちゃうわ、ねえ返してよと長田に迫るので、そうか、気の毒したねと主任が詫び、じゃあどうもご苦労さんと言ったので、じゃあ良いのね?と淳子は確認し、さよならと言い残して帰って行く。
主任は、吉岡君!と指名をし、後を尾行させる。
今の子を泳がせたら、木村が網にかかってくるかもしれんなと主任が言うと、電話が切れたと言うのは何か曰くがありそうですなと長田も指摘する。
翌朝、長田や吉岡刑事が本部で仮眠を取っていた中、電話がかかってくる。
すぐに出た主任が、はい本部!と答えると、うん、え?拳銃自殺?木村雄三らしい!うんと返事をしたので、長田も林も飛び起きる。
うんそうですか、じゃあすぐこっちから刑事をやりましょう、いやどうもと主任は答え、電話を切る。
私が行きます、木村の面なら写真で知ってますからと長田が申し出ると、そうか…、中央線の沿線の林の中だってんだがねと主任は教える。
すでに検視が始り、野次馬が集まっている現場に車で到着した長田と吉岡は、木村(朝比奈浩)の遺体を見つける。
鑑識官が上着をめくってみると、スーツの内側に木村のネームが入っており、その右手には拳銃が握られていた。
その後、本部では、現場写真を机に並べ、現場付近の聞き込みですが、昨夜12時頃、木村らしいのがあの雨の中を、傘も刺さずにしょんぼり歩いているのを見たと言っていますと吉岡刑事が報告する。
その目撃者は近くの産婆さんですが、気味が悪いので、声もかけずそのまま通り過ごしたそうですと吉岡刑事は続ける。
おそらく列車で死のうとしたか、拳銃かで迷ってたんじゃないでしょうかと主任は課長に伝える。
木村のレコの話ですと、昨夜急に電話で呼び出しをかけて来たそうですと主任が教えると、死ぬ前に一度会いたかったのかな?と課長は推測すると、最も途中で切れたと言ってますがねと主任は補足する。
途中で切れた?と課長は不思議がる。
ええと主任が頷くと、ふ〜ん…、罪を精算の自殺とも考えられるが、電話が途中で切れたってのは変だね…と課長は考え込む。
自殺を偽装した他殺という例もあるし…、解剖は?と課長が聞くので、はあ、都の監察医務院でやってます、念のため、木村の母親と木村の勤めていたことのあるキャバレーのマダムの2人を呼んで、長田刑事と宮川刑事にたち合わせておりますと主任は答える。
「東京都監察医務院」では、宮川が解剖医から、これが死体から摘出した拳銃弾ですと見せられていた。
その銃弾の入ったシャーレを受け取った宮川は、じゃあどうも…と挨拶し部屋を出る。
一方、同じ「監察医務院」に木村の母親と「8番街」のマダムを連れてきた長田は、木村の遺体に合わせる。
個別の小部屋に収納されていた棺桶の一つを取り出すと、お願いしますと長田が母親に声をかける。
係官が棺桶の蓋を開け、顔の白布を取ると、母親がその顔を見て、雄三だ…と呟き、雄三、雄三!と呼びかけながら泣き崩れる。
その様子を見ていた長田はいたたまれなくなる。
長田が係官に合図をし、係官が母親を抱き起こし、棺桶の蓋を閉めてまた個室に戻す。
もうよろしいわねと「8番街」のマダムが言うので、あ、どうもご苦労でしたと長田は礼を言うが、何か気になったのか、宮川に母親のことを託すと、帰りかけたマダムの後を追い、ちょっと!と呼び止め、木村君の交友関係で何かご存知のことありませんか?と聞く。
マダムは、さあ…、あの人がうちにいたのは一月足らずでしたから…、私の知っているのはこないだお話ししただけですわ、そろそろお店が始まりますから…と答えたので、そうですか、どうもお引き止めしちゃいましてと長田は詫びる。
マダムは白い車の運転手にドアを開けられ、乗り込むが、その車のナンバーは「3-7478」だったので、それを見送った長田は何事か考え込む。
本部に帰った長田は、同じ車を使っている点から考えて、「森田商行」とキャバレー「8番街」はどう考えても関係ありますね、しかもその車が‥と言うので、手配中の車の型なんだね?と主任は察する。
2つとも1つ建物の中にあると言ったね?と主任が聞くので、はあと長田が答える。
「銃器室」から出てきた宮川刑事は、捜査本部の部屋に走って戻ってくると、主任!木村の死体にあった拳銃弾は、木村の持っていた拳銃から発射されたものではありませんと報告したので、主任はほおと感心する。
明らかに他殺です、ライフルマークが全然違うんです、木村を撃った拳銃は京都山城銀行で使用された拳銃ですと宮川が嬉しそうに言い、長田と顔を見合わせたので、そうか…、う〜ん…、木村は他殺か…と主任は腕を組んで考え込む。
宮川君、「8番街」のマダムなんだが、素性を洗ってみてくれんか、特に「森田商行」との関係をな…と主任は指示する。
それを横で聞いていた長田は、主任、一案があるです…と身を乗り出して言う。
その夜、「森田商行」に長田が入った後、その外で張り込み始た林刑事は、隣の「8番街」に客を装って入っていく宮川刑事の姿を見てニヤリと笑う。
長田の前に現れた男(山形勲)が、森田ですと自己紹介し、椅子を薦める。
実は森田さん、今朝中央線の沿線で自殺した男の身元を洗いましたところ、こちらの元社員だったと言う聞き込みがありましてねと長田は説明する。
ほおと答えた森田に、人違いかもしれませんがこの男ですと長田は写真を見せる。
知りませんな、おい柏木、こんな男を知らんかね?と森田は社員に聞くが、柏木(萩原満)も写真を見て、さあ知りませんなと答える。
そう、ああ、この男はもう丸2年…、創立時からおりますよ、元プロレスのクラブに籍なんか置いてましたげねと森田は柏木のことを教える。
ほお、どうりで良い体をしておられると長田は柏木をみて世辞を言い、じゃあ、どうもと言って立ち上がる。
いやどうも、役に立ちませんで…、もし何でしたら、他の社員にも見せてご覧になりますか?と森田も立ち上がって言うので、はあ、ぜひ!と長田は頼む。
キャバレー「8番街」のステージではバンドをバックに歌手が歌っており、フロアでは男女客がダンスに興じていた。
カウンター席で宮川刑事はビールをマダムに注いでもらっていた。
なかなかモダンな雰囲気だね〜、いつ頃からできたの?と宮川がお世辞を言うと、2年足らずね、このビルができてから間もなくだから…とマダムが答える。
それからずっと?と宮川が聞くと、ずっとって?とマダムが逆に聞いてきたので、ううん、銀座ではこう言う店は代が変わっても名前が変わらないって言うからさと宮川は答える。
あ、そう?うちはまあどうにかこうにか…とマダムは謙遜するので、大変だね、もう一時ほどの景気は出ないから…と宮川は話を合わせる。
少し御援助していただきましょうか?とマダムが甘えてくると、OK!なんていうと差し障りがありそうだねと宮川はおどけて見せる。
そちらさんに?とマダムが指差して言うので、とんでもない君の方にさと宮川は言い返す。
そう?ロックフェラーの御曹司かなんかでねとマダムも冗談を言うので、参ったと笑ってコップを空けた宮川は、踊ろう!と誘う。
その頃、警視庁の科学捜査部では、長田が持ち込んだ「森田商工」の森田と社員の指紋照合が行われていた。
どうです?京都のホシの奴と一致しませんか?と同席した主任が聞くと、写真から採取した指紋を顕微鏡で調べた研究員が、これは全く一致していますと断定したので、主任は長田らに良しと声をかける。
お通りながら、よく光るねと宮川が言うと、ああ、この指輪?とホステスも気づいたので、うんと宮川は答える。
本物だったら良いんだけど、案外偽物かもしれないわね、この頃の偽物はよくできてますもんね〜とマダムは笑う。
そこに車の運転手の柏木が近づき、マダム!と呼びかけたので、ちょっと失礼と断ってマダムは柏木と離れていく。
柏木が何事かをマダムの耳元に囁くと、頷いたマダムはカウンターの奥に向かって、ちょっとハンドバッグと要求し、バッグを受け取ると柏木と共に壁の一部のドアの向こうに消えてしまう。
宮川はその後を追ってみることにし、スペードの絵も用が書かれたドアを開けて中に入り込むと、さらにその中のドアを開けて倉庫のような場所に入り込む。
するとコックが瓶の箱を持って出てきて、何ですかあんた?と聞いてきたので、頼むよと言いながら小銭を渡すと、どうぞと通行を認める。
やがて部屋があったので、思い切って開けてみると、嫌ね!と着替え中の女性が悲鳴をあげたので、失礼!と言って慌ててドアを閉める。
さらに奥へ進むと、また扉があり、そこを開けてみると、全く雰囲気の違った通路に出る。
その奥に進むとドアがあり、中から、どうしたの、急に?とマダムの声が聞こえ、とにかくデカが乗り込んできたからには、サツも勘をつけたに違いねえんだと答える森田の声が聞こえてくる。
京都のこと?とマダムが森田に聞くと、あれは当に迷宮さと森田は言い返してくる。
なら何も逃げることなんか…とマダムが言うと、問題は木村さ、柏木とおめえだけにしりゃ良かったが、あんなフラフラした野郎を使ったばかりにドジを踏んじまったよと森田はいう。
でも木村のことだったら、罪を精算の自殺って新聞でもラジオでも言ってるんだし…とマダムが慰めると、そう見せかけるつもりだったが、どうも失敗だったらしいと森田は悔やむ。
でも逃げたりすると、かえって変じゃないの?私は嫌よ、お店だってせっかく調子が出てきたところだし…とマダムは反対する。
蘭子!京都の銀行で、宿直を誘き出した役は誰だったか、てめえ、まさか忘れたんじゃなかろうなと森田はマダムに迫る。
森田は、逃げるのは嫌かよ?サツは嫌かよ?と蘭子(浦里はるみ)の手を掴み責めてくると、俺はおめえを話さねえぞと言いながら抱きつく。
ドアを少し開けて2人の様子を伺っていた宮川刑事は、一旦はドアを閉めかけるが、森田が蘭子の手を引いて、来い!というなり奥へと引っ張って行ったのでドアを再び押し広げて階段を登ろうとした時、上から柏木が降りて来たので、隠れる隙もなく鉢合わせになり、逃げ出そうとするが、待て!と捕まってしまう。
殴り合いになるが、力で勝る柏木に宮川刑事は倒されてしまう。
気絶した宮川刑事をその場に残し、柏木は二階へと戻って行く。
その頃、パトカーと刑事の車が「8番街」と「森田商工」のビルに迫っていた。
気がついた宮川刑事はゆっくり起き上がり、階段を上がって上の階へ向かう。
しかし「森田商工」の室内はもぬけの殻だった。
そこにパトカーのサイレン音が近づいてくる。
「森田商工」の入り口前に集結した刑事だったが、中から出てきた宮川刑事が、逃げられましたというので、畜生!と悔しが理、例の車だな?と長田が聞くと、宮川が頷いたので、すぐ手配しましょうと提案し、良し!ということで刑事たちは一斉にその場を後にする。
森田と蘭子は、柏木の運転する白い乗用車で逃亡していたが、途中、パトカーとすれ違う。
そのパトカーはすれ違った車のスピードが出ていると気付き停車すると、バカにイカすじゃないか?7478だなと警官たちが振り向いて言い合う。
至急、至急!警視庁から各局!列車内強殺事件の犯人の逃走自動車、ナンバー3-7478、3-7478!と無電が走ったので、先ほどのパトカーの警官たちは今すれ違った車だと気づく。
各局は至急検問を行い、逮捕せよ!と無伝を聞いたパトカーは、すぐさまUターンして、サイレン音を鳴り響かせながら先ほどの車を追尾し始める。
至急、至急、警視51から警視庁、警視51はただいま手配自動車を発見、青山より外苑方向に向かって追跡中、どうぞ!と助手席の警官が警察無電で通報する。
至急、至急、警視庁から各局、ただいま警視51は青山より外苑に向かって手配自動車を追跡中、付近の局は直ちに外苑に向け、急行せよ!と指令無電が発せられる。
なお、容疑者はゲルニカ拳銃を所持している、逮捕にあたっては十分警戒せよ!と指令を聞いた警視51の警官たちは互いに顔を見合わせる。
接近してくるパトカーに気づいた森田は、早く!もっと急げと柏木に命じる。
パトカーの警官は、畜生!60kmも出してやがると悔しがる。
助手席の警官は窓から身を乗り出し、拳銃で追跡者のタイヤを撃ち抜く。
パンクした車は急停車し、柏木や森田は拳銃で応戦しようとする。
そこへ他のパトカーも集結してくる。
パトカーを降りた警官と森田たちが撃ち合っている現場に到着したパトカーから、応援の刑事と警官たちが降り立ってくる。
それに気づいた森田たちは、逃げるんだ!と言って逃亡を図る。
しかし反対方向からもパトカーが接近し、林の中に逃げ込んだ森田たちだったが、刑事たちも散会して接近する。
柏木、逃げるんだ!と森田は叫んでさらに奥へと逃亡するが、絵画館前で囲まれてしまう。
階段の上部に追い込まれた柏木が1人逃げようとするが長田刑事に撃たれてしまう。
それを見た森田はやけになり、無闇に拳銃を撃ってくるが、またもや長田が撃ち返し、森田は拳銃を撃ち落とされてしまう。
怯えた蘭子が逃げようとしたので、逃げるな!待て!と追い縋る森田。
抵抗する蘭子に抱きついた森田だったが、そこに刑事たちが接近してくる。
倒れた柏木の腕には林刑事が手錠をかけ、吉岡刑事が確保する。
宮川は蘭子と再会する。
最後まで暴れ回った森田は、主任、長田部長刑事、金子刑事の3人の刑事が協力して捕まえる。
蘭子の手に手錠をかけたのは宮川刑事だった。
強盗人ヲー
死ニ致シタル時ハ
死刑又ハ
無期懲役ニ處ス
(刑法第二百四十條より)
(絵画館階段下に連行する刑事たちと三人の犯人の姿をバックに)終
0コメント