「警視庁物語 逃亡五分前」
「警視庁物語」シリーズの記念すべき第一作で、ちょうど1時間くらいの中編
関山耕司さんが林刑事で、山本麟一さんは金子刑事役
後年悪役イメージになるこの二人が、この当時は刑事を演じていたと言うのが興味深い。
関山さんなどはまだあどけない青年顔である。
須藤健さんが刑事役ではなく、鑑識課長をやっているのも珍しいが、この方、シリーズ中でも時々レギュラー刑事ではない役をやっている。
長田部長刑事は、本作段階ではまだ平刑事のようだ。
この時点では、松本克平さん演じる捜査第一課長が全体を仕切る感じになっており、神田隆さん演じる主任は、まだその下っ端みたいな描き方になってる。
シリーズが進むにつれ、捜査第一課長の出番は減少し、主任を中心の体制に変化したように感じる。
宮川刑事を演じている南原伸二さんが痩せていて二枚目なのが印象的。
潮健児さんが小鳥を使う御籤占いの売り子として登場しており、このシリーズの最初から参加していたことがわかるし、小鳥を使った御籤占いという商売も懐かしい。
本作で珍しいのは主任が刑事の失態に語気を荒げるシーンがあること、その後のシリーズで、そんな主任の姿は見たことなかっただけに、初期の頃は厳しい側面も持っていたことがわかる。
劇中、何人かの女優さんが登場するが、お名前を存じ上げないような方でも全員綺麗なのが眼福。
昔の刑事物でよく登場した「モンタージュ作り」が丁寧に描写されているが、本作の描写が正しいとするならば、この頃は写真ではなくイラストを使っていたようだ。
本作で珍しいのは、最後、現場に出た主任が刑事たちを前に名推理を披露するところだろう。
刑事たちも全員まだ初々しいし、主任が現場に出張る姿も珍しい初期作である。
【以下、ストーリー】
1956年、東映、長谷川公之脚本、小沢茂弘監督作品
荒磯に波、雲間から光が差し込む配給マーク
イラストで描かれた警視庁の建物を背景にタイトル
建物内のイラストをバックに、キャスト、スタッフロール
深夜の道路を直走る一台のダイワタクシー、スピードは50キロを超えていた。
おい、そこを左だと乗客が指示すると、はいと運転手は答えるが、料金メーターはすでに400円になっていた。
良し、ストップと客がいったので、運転手は停車する。
背後を振り向いた運転手がえっ!と驚くと、帽子を被りマスクをした客は拳銃を構えており、ためらわずに発砲する。
客は運転席に移動し、死んだ運転手の服から現金を抜くと、スピードメーターを止め、「80/空車」と書かれた札を窓に出すと、車から降り立ち去って行く。
翌朝、タクシーの周囲には鑑識班が来ており、警視庁第一課の捜査主任(神田隆)が警官とともにいた。
周辺には野次馬が詰めかけており、現場の様子を眺めていた。
金子刑事(山本麟一)と林刑事(花澤徳衛)は、すでに近所の住民から事情を聞いていた。
長田刑事(堀雄二)も同じように住民から聞き込みを開始していた。
宮川刑事(南原伸二)も、港近くで、主婦たちから話を聞いていた。
そこに黒塗りの車が到着し、中から捜査第一課長(松本克平)が降り立つ。
課長、おはようございますと主任が出迎えると、ご苦労さんと課長は答える。
トヨペットマスターだね、これはと、タクシーに近づいた課長は車種を言い当てる。
ここのところ上野下谷と自動車強盗が続くね?と課長は運転席の死体を見て言う。
はあ、犯行現場の選び方といい、自動車通の手口といい、これもどうやら奴の仕業らしいですと主任は指摘する。
V車ランプがついていると課長が気づくと、料金メーターも立ててありますと主任は指摘する。
被害金額は?と課長が聞くと、タクシー会社の話だと、大体4000~5000円だそうですと主任は答える。
やあ、鑑識課長、指紋はどうですと課長が白衣姿の男に聞くと、ああ、完全指紋が取れたは取れたがねといい、ここはも良いか?と鑑識員に声をかけ、はい、結構ですと部下が答えると運転席のドアを開き、おい、死骸をテントに運んでくれと鑑識課長(須藤健)は指示する。
運転手は眉間を撃ち抜かれていた。
車から課長らがちょっと距離を置くと、おはようございますと、金子刑事と林刑事が挨拶に来る。
そこに長田刑事がやってきて、地取りをやってみましたが、どうも良い線が出ませんでしたと主任に報告する。
寂しい場所だが目撃者などはおらんだろうなと、横で報告を聞いた課長はつぶやく。
その間、鑑識員たちによって、運転手の遺体は単価に乗せられ、近くに建てられたテント内へと運ばれる。
とにかく死体を見てみようと課長が主任に話しかける。
三級眼の結末に溢血点が著明ですと法医技師(南川直)が言うので、窒息死ですか?と主任が聞くと、いや死因はほとんど密着して撃った拳銃の一撃ですと法医技師は答える。
やっぱり拳銃ですか…と課長は死体を見直す。
眼球の溢血点は?と主任が聞くと、脳の中で発生した多量の血液を直接喉から吸い込んで窒息したためでしょうと法医技師は説明する。
犯行の時刻は?と課長が聞くと、硬直の程度と直腸温度の下がり方から、大体夜中の11時頃から1時頃までといったところでしょうか?詳しい時刻は解剖してみませんと断言できませんが…と法医技師は判断する。
君、車内に薬莢なかったかね?と鑑識課長が部下に聞くと、はあ、ありませんでしたと部下は答える。
薬莢を遺留しないのが奴の手口だと捜査課長が指摘する。
ホシの遺留品かどうかわかりませんが、車内にこれがありました、中にサインがありますと部下が課長に差し出したものは爪楊枝の袋で、そこに柳橋、田中夏子と書かれてあった。
芸者ですなと主任が指摘すると、早速あたりをつけ得てみようと捜査課長は指示を出す。
はっと答えた主任は、長田君、宮川君とその場にいた刑事を指名し、長田刑事は主任から爪楊枝の袋を受け取って出かけてゆく。
柳橋にやってきた永田は、通りかかった女性に、ちょっとお伺いしますが、田中屋は?と聞くと、あそこですけど…とすぐに教えられる。
どうも…と礼を言い、その家にやってくると、玄関先で掃除をしていた女中に出会う。
表札を見ると、「田中」の横に「喜代子、夏子」などと別々の表札がかかってた。
君、夏子姉さんいるかい?と長田が声をかけると、ええ、ちょっと読んでくれないかいと頼むと、はいと答えた女中は、家の中に向かって、夏子姉さん!と呼びかける。
何?と言いながら玄関先に出てきた夏子(日野明子)は、長田たちを見て、いらっしゃいませと膝をついて挨拶する。
夏子さんでですかと聞くと、はあと答えたので、警視庁のものですが、ちょっと聞きたいことがあってと長田が要件を切り出すと表情が曇り、何でしょう?と警戒する。
これはあなたが書いたんですね?と言いながら爪楊枝の袋を出して見せると、ええというので、覚えがあるでしょう、誰に書いてあげたんですか?と長田は問いかける。
昨夜、すーさんに…というので、すーさん?と宮川刑事が食いつく。
初めてお目にかかったんですけど、あいにく名刺を切らせててというので、すーさんって誰ですか?と宮川が聞くと、須貝さんって、何でも農金子省の係長さんだとか…、昨日楽々の宴会場でお目にかかったんですけど?と夏子は答える。
その男は何時頃までいましたか?と長田が聞くと、11時少し過ぎてたかしら?お供がお迎えに来てからも少し…と夏子は言う。
するとみんなと一緒には帰らなかったんですね?と長田が確認すると、まだちょっと時間が早いから少し酔いを覚ましてから帰るなんておっしゃって…と夏子は答える。
時間が早い?と長田が不思議がると、農金子省の何係長ですか?と宮川が聞くと、夏子はさあ…と答えるだけだった。
警視庁科学検査所 銃器室
弾丸は例のドイツ製品DWMに間違いありませんと銃器技師(片山滉)が、検査機を使用しながら説明したので、そうですか、撃った拳銃の種類は分かりませんか?と林刑事が聞くと、銃線の幅と角度から見て、やはり32口径のブローニングじゃありませんか?と技師は言う。
ははあ、そうすっと今度の事件と連続して起こった三つの自動車強盗とは何か関連がありますねと林林刑事は言うと、じゃあどうもと挨拶して部屋を後にする。
「警視庁深川警察署」
一体殺したのは誰なんですか?おいおい、ちょっと待った!などと呼び止めようとする新聞記者たちを無視して、建物に入る刑事たちと、その後から追いかける記者たち。
捜査本部では、はあ、そうです、分かりましたと、電話を取った吉岡刑事(関山耕司)が返事をして電話を切ると、解剖の結果では、胃の内容物の消化程度から死亡時刻は0時半頃と割り出したそうですと主任に報告する。
ほおと主任が答えると、普通の殺しならホシを必ずあげて見せるんですが、強盗となるとどうも…、現場のあちこちを走っている自動車だけに…と金子刑事が弱音を吐くと、そこがホシの思う壺なのだろうな、ボロ儲けとはいかないが、必ず現金が手に入るわけだしな~…と主任は答える。
じゃあ現場の方をもう一回りしてみますと主任に挨拶し、金子刑事と金子刑事は出かけてゆく。
そこに、宮川刑事に付き添われ一人の男がやってきて、爪楊枝の袋から出た線なんですが、少し取り調べてみようと思って…と主任に報告する。
ほおと答えた主任は、長田君は?と聞くと、レコの方を当たっていますと宮川は答える。
長田刑事は、共栄アパートという建物に来ていた。
通路で出会った主婦にアパート内のことを聞いた長田刑事は、ベランダで洗濯ものを干していた水原由美(和田道子)に声をかける。
警察手帳を出し、警視庁の長田というものですがと名乗ると、蝋臨床の須貝さんはご存知ですか?と尋ねる。
はあと戸惑った由美はアパート内の主婦たちが覗き見しているのに気づき、どうぞと部屋に案内する。
部屋に入った由美が、どうぞと座布団を差し出すと、あなた、お勤めは?と長田は聞く。
銀座のアルバイトサロンに出ていますと由美は答えると、実は須貝さんの調べで来たんですが…と長田が打ち明けると、あの~、須貝さんが何か?と弓は聞いてくる。
今朝方の自動車強盗のことで本部に来てもらっていますと長田は教える。
えっ!と驚いた由美に、昨夜はここに来ましたか?と長田が座布団に腰を下ろして聞くと、ええというので、何時頃です?と聞くと、お店に来てくださったのが11時半でしたから、多分12時ちょっと過ぎに…と由美は答える。
そうですか、で、泊まっていかれましたか?と聞くと、弓は躊躇いながらもええと頷きながらも、でもこのことは内緒にしておいてくださいまし、役所に聞こえたりすると…と頼んでくる。
私たちは人を不幸にするようなことはしませんよと長田は約束し、ところで昨夜、あなた方が乗ってきた車、つまり言い換えると、須貝さんが柳橋から拾ってきた車なんですが、あなた方を下ろしてからどっちへ行ったか分かりませんか?と聞くと、はあ、深川の方じゃないでしょうか?と由美は言うので、ほお、どうしてそれを?と長田は問いただす。
すると由美は、次に乗った客がそう言ったんですと答えたので、なるほど…、ところでその客の特徴は?人相はわかりますか?と聞くと、さ~、それが白いマスクをしていたもんですから…、そうねえ~…と由美は言う。
本部では、須貝が尋問されていたが、林刑事が戻ってきて主任に何事か報告しかけた時、あの~、もう返していただけませんか?と須貝は主任に話しかける。
退庁時までに役所に帰りませんと、いろいろ噂されますから…と須貝は訴えたので、はあ、もう少しお待ちになりませんか?あなたの話に間違いないかどうか、今刑事が調べに行っていますからと主任は笑顔で応じる。
いや、私はもう、全部本当のことを…、もうこれ以上、申し上げることはないんですが…と須貝は主張するが、お役所の方には参考人として来て頂いていると連絡してありますから、もうしばらく…と主任は腕時計を見ながら説明しかけていたが、そこに長田刑事が戻ってくる。
主任に小声で報告した長田は、ちょっと聞きたいんですが?と申し出たので、主任もうんと承知すると、質問に答えていただきましょうか?と須貝に話しかける。
あなたが田端で車をお降りになったのは確からしいのですが、その車の行先はお分かりですか?と長田は須貝に尋ねる。
さあ~と考え込んだ須貝は、あ、男の客が乗ったようですが…と思い出す。
その客の特徴は?と長田が聞くと、白いマスクをしていましたというので、うんと長田が頷くと、その他に何か?と問いかけると、さあ、そりゃどうも…と須貝も困った風だった。
長田と頷き合った主任は、それでは彼方へお願いしますと言い、須貝を別室につれていく。
捜査本部の前には新聞記者が待ち構えていたが、彼らに見えないように須貝を刑事たちが囲んで、モンタージュ室へ向かう。
そこにはすでに由美が待っており、それに気づいた須貝は驚く。
振り向いた由美の方も驚いたようだったが、主任はここへお掛け願いますと、由美が座った席と並んで置いてあった椅子を示す。
椅子が向き合った壁にはスクリーンが貼ってあった。
須貝が由美の隣に座ると、いろいろご迷惑をお掛けしていますが、かけついでに、白マスクの男のモンタージュ作成にご協力願いたいんですが?と主任は説明する。
2人が頷くと、それじゃあよろしくと主任は言い、長田君と指示すると、長田は部屋の明かりを消す。
まず、マスクをかけていることはわかっておりますので…と言い、スクリーンに映ったのはマスクの部分だけだった。
帽子はソフトをかぶっていたとおっしゃってましたな?と長田が二人に背後から声をかけると、ええと由美が振り向いて長田に答える。
では、顔の輪郭を映しますと長田が言い、顔の輪郭を描いたイラストを合成する。
すると由美が、もう少し面長だったような気がしますと言うので、輪郭の絵を替えさせ、こんな感じですか?と聞くと、ちょっと細すぎる気がしますがと須貝が答える。
次の輪郭が合成されると、須貝と由美は互いに頷きあって、ちょうどこのくらいですと須貝が答える。
次は目元ですが…と長田が言い、イラストが加わったので、これはどうです?と主任が聞くと、はあ、眉毛が少し太すぎるようですねと須貝が発言する。
イラストが変化し、これは?と主任が聞くと、さあ、少し目元が優しすぎるな~と須貝が言う。
夜、捜査本部に捜査課長がやってきて、やあ、ご苦労さんと労う。
その課長が出来上がった写真を手に取ったので、これが出来上がったモンタージュ写真です長田が言う。
う~ん、すぐ関係方面に手配した?と課長が聞くと、はっと主任は答え、それから犯人が血の付いた衣類を持ち込まんとも限らんから、その方面もなと刑事たちに指示を出す。
指紋関係はどうだったかね?と課長が聞くと、トヨペットマスターから取った11個の完全指紋からは前科関係が全くないという報告ですと主任が答える。
聞き込みの方は?と課長が聞くと、水原由美のアパートの近くを通る夜泣き蕎麦屋が、昨夜12時過ぎ、2人が車から降りてアパートに入るのを目撃したと言っておりますと林刑事が報告する。
するとつまり、須貝氏の線は全くシロということになるね?と課長が主任に聞くと、はっと主任は頷いたので、須貝はすぐに釈放することにしようと課長は指示する。
主任も、はっと答え、宮川刑事に目で合図したので、宮川刑事が部屋から出てゆく。
今度の事件に対する君の意見は?と課長が聞くと、主任は、はっ、モンタージュ写真に似た男を虱潰しに捜査するとともに、なお一層の目撃者の発見に努めたいと思いますと答える。
それから本庁の警邏課に要請してパトロールを厳重にし、犯行の続発を防ぐようにしないとと…、何しろ相手が普通の殺しと違って、現場もあちこち走り回っているタクシーだけにかなり困難だと思いますが…と主任は意見を言う。
頷いた課長は、ご苦労だが、大いに頑張ってくれたまえと刑事たちに檄を飛ばしたので、刑事たちは頭を下げる。
翌日、走って交番に戻って来た警官が、もしもし、もしもし!と焦って警察電話をかける。
捜査本部で仮眠をとっていた主任は、鳴り出した電話の受話器をすぐに取ると、はい、捜査本部!と答える。
うん?代々木のガード下に血染めタクシー!うん、似たような手口か?後期は拳銃ですか?わからん?え!死体が見つからん?はい、とにかくすぐ刑事やります!と主任が答えている間に、刑事たちは立ち上がり、主任の机の周囲に集まる。
長田君、宮川君、すぐ行ってくれと、電話を切った主任は命じる。
現場ではすでに鑑識班が、タクシーの写真などを撮影していた。
その鑑識員が運転席のドアを開くと、無人の運転席の座席と床は血で濡れていた。
メーターは「空車」に立ち上げられていた。
周囲には野次馬が集まって来ていた。
君が発見した時間は?と長田が連絡してきた警官に聞くと、この辺の警邏は30分おきですから、この車は私が発見した5時から、30分以内に乗り捨てられたと思いますお警官は答える。
本部に戻ってきた長田は、手書きの地図を指しながら、こちらが明治神宮、ここが代々木駅です、車はこう来た模様ですと主任に報告する。
被害者が車内におらんというのは、今までと少し手口が違うじゃないか?と主任は疑問を述べる。
はあ…、おそらくどっかで死骸を捨てて、そのまま現場まで車を運転してきて、乗り捨てたと考えられますと長田は推理を披露する。
それで、犯行の推定時刻は?と主任が聞くと、被害の車が乗り捨てられたのは、おそらくごzwん4時から5時までの間と推測できますな長田は答える。
付近の医院、病院を調べてみたんですが、被害者らしいものを治療した病院はないので、都内の女警察に知らせて調べていますと宮川刑事が報告する。
モンタージュ写真による前科照合ですが、この3人の前科者がやや似通っていますと金子刑事がカードを持って報告に来る。
「李明路」のカードには、これはヤクザの出、先月死亡、「西澤隆」のカードには、この方はもっか恐喝容疑で一週間ほど前から浅草署留置、取り調べを受けています、残ったこれは長崎県に流れているそうで、すぐ長崎県本部に照会しましたから、もう間もなく返事の電話があると思いますと金子刑事は説明する。
主任は三人目のカードを指し、これが東京へ舞い戻ってると上手いだがね~と軽口を叩く。
その時電話がなったので、受話器を取った宮川刑事が、はいはい、深川署捜査本部ですと応じると、ええ!東京駅の理髪?ああ、床屋さんですか…、うん、うん、うん、うん、ほ~、ちょっと待ってくださいというと、床屋の客で袖口に血をつけている客がいるそうですと、送話口を塞いで、主任に伝える。
洗濯屋じゃないのか?と旬人が聞くと、はあ、サービスにワイシャツの洗濯と、服のアイロンかけているそうです、すぐ行ってきますと言うので、頼むと主任が言うと、もしもし、じゃあこれからすぐ出かけますと宮川は電話相手に答える。
床屋にやってきた宮川は、いらっしゃいませと言われ招かれるが、すぐに手帳を見せて、どの客?と女店員に聞くと、あそこです、今頭洗っていますと女店員は言う。
ワイシャツは?と聞くと、女店員は、はいと答え、そのワイシャツを出して見せたので、袖口部分を宮川が確認した時、あ、終わりましたと女店員が言うので、宮川は、慌ててシャツを体で隠す。
客の小磯(伊藤久哉)はちょうど頭を拭いてもらいながら鏡面を向く。
宮川は持参したモンタージュ写真と小磯の子を見比べ、このシャツ貸してくれないかね、このt井を調べたいんだと頼む。
でも、頭が渇く前に洗濯してアイロンをかけないと…、と女店員が言うので、なんとか他のでごまかしてくれないかな~と宮川は頼む。
「東京駅美容室 ボン・田中」から宮川は受け取ったシャツを外で待機していた警官に渡し、本部へ届けて至急血液型を調べてもらってくれと頼む。
店に戻って、代わりのかい?とシャツを奥から持ってきた女店員に聞くと、洗ってはありますけど、有り合わせの少し合いませんけど…と女店員は言う。
そのシャツを確認した宮川は、多分、気づかんだろう、じゃあ頼むよと告げる。
小磯は散髪が終わり、どうもお待ちどう様と理髪屋から言われ、ガウン姿で椅子から降りると、7番さんお召し物!と理髪屋は女店員に声をかける。
小磯は着替え室に案内され、女店員がシャツも含めた衣類をそこに持ち込む。
その様子を宮川刑事は店の隅でじっと監視していた。
着替え室では、小磯がシャツを着て、袖口を見た時、電話してくれと女店員に頼んだので、はい、何番でしょう?と女店員が聞き返すと、浅草の7175番と小磯は教える。
外に出た女店員はそこに待機していた宮川刑事に、浅草の7175番にお電話ですと知らせて電話をする。
その直後、服を着た小磯が出てきたので、宮川は側のソファに腰をおろし、新聞を読んでいるふりをする。
小磯は、お出になりましたと言う女店員から受話器を受け取ると、ああ、小磯だけど、すぐに例のところに来るように言ってくれ、うんと言って電話を切るとこと小銭を置いて帰ろうとするので、お釣りを!と女店員は呼びかけるが、小磯はそれを無視して出ていったので、宮川も立ち上がり尾行を開始する。
小磯は駅構内のロッカールームの受付に寄ると、受付票を受付係の女性に渡して、鍵を受け取る。
宮川がその後を付けると、小磯はロッカーの鍵を開け、中に置いてあった「罪と罰」のケース付き本を一冊取り出す。
宮川は、公衆電話の場所でタバコを取り出し、カメラ付きライターで火をつけるふりをしながら小磯の写真を撮る。
その後、小磯は本を抱えて、駅ホームに来ると、上野、大塚、池袋方面行きの山手線に乗り込んだので、宮川も慌てて乗り込む。
小磯は矢の倉ホテルに来る。
玄関口から、中に入った小磯の様子を眺めた宮川は、フロントで鍵を受け取り、ボーイに案内され、エレベーターに乗り込んだ小磯の姿を見る。
その直後ホテルに入った宮川は、いらっしゃいませと出迎えたフロントの女性に、今入った男の部屋は?と聞き、警察手帳を出すと、女性は三好さんとボーイの名を呼ぶ。
三好が近づくと、今の男の部屋へと宮川が警察手帳を見せて繰り返すと、どうぞと三好は先導する。
エレベーターに一緒に乗り込んだ三好と宮川は、3階に到着したので、部屋は?と宮川が聞くと、304号ですと三好は答える。
304号室では小磯が書類袋を取り出し、腕時計で時間を気にしていた。
宮川は三好に一人っきりだね?誰かと落ち合うはずなんだがなと聞くと、そうですか?まだどなたも…も三好は答える。
その時一位の女性がやってきたので、宮川は三好とは距離を取り顔を隠すが、いらっしゃいませと出迎えた三好に、忙しい?と声をかけた女性は、304号室にノックをする。
名からはいと返事があると、女性は宮川の方に視線を向け、三好にはなぜかウィンクをして部屋へと入る。
三好が嬉しそうに笑顔になったので、宮川が三好に近づき、お馴染みさんらしいね?と聞くと、あの方はいつもさっきのお客様の所へ…と三好は言う。
本部では、電話を受けていた林刑事が、金子刑事からです、代々木んじょ被疑者はまだ見つからないという連絡ですと主任に伝えていた。
そうですか、どうもありがとうと別の電話に出ていた金子刑事は、長崎県の容疑者はずっと向こうで真面目に仕事をしているそうですと主任に伝える。
それを聞いた主任は、アリバイ成立というわけか…と苦笑し、こうなると宮川君の線が頼りだなと言う。
その時電話がなり出したので、林刑事がとって、もしもし?おお、宮川君か?どうだいと聞くと、横にいた長田刑事が、ちょっとと言って、その電話を取り上げ、もしもし、長田だがねと答える。
うん、うん、なるほど、すぐ行く、あ、それからワイシャツね、受けたから鑑識に回しといたよと答えた長田は、受話器を置くと、宮川君が応援を頼んできているんですが?と主任に伝える。
君、行くか?と主任が聞くと、行きますと長田は即答したので、頼むと指示する。
長田がでかけたtよくご、また電話が鳴ったので、はい、捜査本部ですと林刑事が出ると、はいはい、何!死体?と驚く。
主任もその場にいた金子刑事らも一斉に注視するが、ああ、被害者らしい…、今朝の?で、現場は?と聞くと、ああ、田町のね…と林は答える。
捜査本部から、すぐ係の金子刑事が来る旨、入電しましたと警官が、溝川に捨てられていた遺体の現場に来ていた刑事と署の刑事に伝える。
そうか…と答えた刑事は、別の若い刑事が、こんな文書が落ちていましたと言いながら溝川からペンのようなものを拾い上げたので、どれどれと言いながら受け取る。
キャップは?と聞くと、若い刑事は見当たりませんと言う。
パーカー51だな、これは…と、先輩刑事は特定すると、金無垢らしいで合うねと後輩刑事が言うので、相当するな~と先輩刑事は頷きながら、お?サインが彫ってあるぞ…、J.Hか…と気づく。
ホテルの1階で張っていた宮川の側に来た交換嬢が、あの~、304号室さんが電話をかけましたけど?と知らせる。
ありがとうと言って、宮川刑事は電話交換室に入ると、ヘッドホンでその電話内容を聞き取る。
さっきワイシャツを洗濯してもらったんだが、あれは俺のじゃないねと小磯の声が聞こえてくる。
すみません、6番さんとうっかり間違いまして、申し訳ありません、こちらの不注意で…と交換嬢が詫びると、うん、それからね、万年筆落ちてない、中身の方だけ…と小磯が聞いてきたので、どんな?と交換嬢が聞くと、いや良いんだ、なければ…と小磯は言う。
もし何でしたらみんなで探しますが…と交換嬢情が答えると、いい、川の所でなくしたような気もしてるんだ、じゃあと小磯は答えたので、交換嬢はコードを抜く。
交換室を出た宮川刑事は、エレベータの回数表示が降りてきたので、咄嗟に顔を隠す。
エレベーターから降りてきたのは、先ほどの女性で、宮川に気づくと露骨に顔を背けて出ていく。
その後を尾行しようとした宮川だったが、交換嬢があの~と話しかけてきたので、出たか?と言ってまた電話交換室に戻る。
呼び出しらしいですと交換嬢が言うので、何番?と聞くと、浅草の3006番ですと交換嬢は教える。
もいもし?と女性の声が聞こえ、あ、つやさん?俺!と答える小磯の声がヘッドホンから聞こえてくる。
今使いを出したからね、受け取ったらすぐに奴に渡して出してやったらと小磯が言うと、本当ですか?すみません、どうしようかと思って…と女性が答えると、俺にまかしときなって、じゃあ、気をつけてな…と小磯が言う。
その時、ホテルに長田がやってきたので、あ、長田さん!と宮川が呼びかける。
敵は304号室です、僕はちょっと…と言うと出て行こうとするので、君はどこへ?と長田が聞くと、ホシの使いです、髪が短っかったので、今出て行ったところですと宮川が説明したので、それなら今ホテルの前からタクシーに乗って行ったよと長田が教えると、ええ!と宮川は驚き、悔しがる。
仕方ないので、長田を3階に案内することにした宮川は、こちらですと言って小磯の部屋を教える。
ホシの面は撮ってあるのかい?と長田が聞くので、はあ、このキャメラで撮りましたとライター型カメラを見せた宮川は、部屋の前まで来ると、ついてきた三好にドアをノックさせる。
二度ノックしても出てこないので、おらんぞと長田が言うと、そんなバカな!と宮川は答える。
そして部屋のすぐ側にある非常口を開けると、そこには非常階段があったので、その踊り場から304号室の窓を見ると、窓が開いてカーテンがそよいでいたので、長田さん、変ですよと宮川は知らせる。
部屋に入ろうとしてもドアが開かないので、支配人さん、合鍵は?と長田が聞くと、支配人が合鍵でドアをあ何倍、それでもドアが開かないので、宮川が体当たりすると、机でドアが内側から押さえられていたことがわかる。
部屋の中はもぬけの殻で、窓が開いており、外に逃げたと気づいた宮川と長田は、非常階段を降りて後を追おうと地上に降りるが、もはや跡形もなかった。
すばしっこい奴だと長田は呟き、宮川刑事も畜生!と悔しがるが、ともかくその電話番号を当たって見るしか仕方がないなと長田は言い出し、84の?と聞くと、7175ですと宮川は教える。
浅草だな、俺はすぐにこっちを当たってみると長田は言うと、まあ気を落とさんことだ、ホシは小磯と名乗っていたんだねと確認する。
ええと答えた宮川は、僕は浅草の3006番を当たってみますと答えるてを、非常階段にホテルの従業員たちが集まって自分たちの方を見ていることに気づくと、やっぱり逃したことを報告すべきでしょうね、本部に…と聞く。
長田は黙って頷く。
その頃、本部では、何!田町で使用された拳銃?と電話を聴きながら主任が驚いていた。
「エキスプレス」とメモに取りながら、あまり聞かん拳銃ですなと主任は言い、弾の方は深川の殺しと同じなんですね?と確認する。
するとホシは、少なくともブローニングとエキスプレスの二種類を持っているわけですな~と主任は言う。
え?な~に、逮捕はもう時間の問題ですよ、どうも!と言って電話を切った主任だったが、すぐに別の電話が鳴ったので、それを取ると、はい、あ、宮川君か、手柄だぞ、ワイシャツの血痕と田町の血痕は血液型は同じだそうだ、もっと掘り下げてみようと教えるが、え、何、逃した?うん、うん、どこまでも追い詰めるんだ!絶対捕まえろ!と語気を荒げる。
長田は、「黒バラ会 電話(84)7175番」と書かれた看板を掲げた家にやってくる。
玄関戸を開けかけた長田だったが、思い直し、近くの八百屋の主人に、ちょっとお伺いしますと声をかけるが、そこの18円の頂戴という主婦に邪魔される。
長田は警察手帳を出し、あそこの黒バラ会ってのは何をしているんですかね?と聞く。
あっしもよくは知りませんがね、なんでもその~パンパンガールとも違うらしいんですよと八百屋は言う。
ええっと、その~、おい、なんだったかな?と奥に子供と座っていた無表情な女房に聞くと、睨んできたので、いつまで膨れてやがんでえと怒った主人は、「ステッキガール」だよと子供が言うので、その「ステッキガール」と教える。
客は出入りしますか?と長田が聞くと、いえいえ全然、なんでもその~会員制とかってね、特別の連絡を電話で受け付けると、あいよ~ってんで、お流しの美人がどこからか駆けつけてくる仕組みになっているらしいんですがねと続けていると、奥から女房が近づいてきて、お前さん、ずいぶん詳しいんだねと主人に文句を言う。
何言ってやがんでえと主人はそっぽを向くが、そんな主人の肩を叩きながら、ちょっと電話をと長田は申し込む。
ええ、どうぞと主人は快諾し、母ちゃん電話だよと言うと、あそこですよと女房は奥を指差し、15円いただきますと付け加えたので、長田は唖然としながらも小銭を出す。
主人は女房を捕まえて、おいおい、警察の旦那だよと伝えたので、女房はえっ!と驚く。
電話をかけた長田は、あ、もしもし?黒バラ会ですか?小磯ですがね、さっきちょっと浅草まで使いを頼んだんですがね、もし連絡がついたら、至急いつもの所に帰るように言ってくれませんか、ええ、ええ…と依頼する。
一方、浅草の交番で受書を確認した宮川刑事は、「浅草3006」の洋品店を特定し、ちょっとお伺いしますと声をかける。
主人が出てくると、いつもつやさんの使いで呼んでいただく者の使いで来たんですが、通夜さんがどこにいるかわからないんですと聞くと、通夜さん?と主人は首を傾げるので、ご存じないでしょうか?と宮川刑事は確認する。
おい、津谷さんって知ってるかい?と主人が若い店員に聞くと、前の古本屋の姉ちゃんですよと店員は教えたので、あ、そうか…と主人は苦笑いし、宮川は会釈して古本屋へ向かう。
古本屋は無人で、隣の御籤占いの男(潮健児)は、10円をお賽銭箱へ入れましてお参りになさいますと、おぼっちゃま、お嬢様には教育の参考になりますよ、さ、触ってみませんか?と店員が客寄せをしてた。
隣の本屋さんは?と、宮川がその御籤占いの男に聞くと、さあ?店番は頼まややしたが、行く先までは聞かなかったな~と言うと、さ、キョロちゃん、お客様だよ、はい、鈴を鳴らして、そこで封を切ってなどと、鳥籠から出て来たヤマガラに呼びかける。
はい、ご苦労さんでしたと言い、ヤマガラからおみくじを受け取った店主はそれを客に渡して、どうです?大吉間違いなしですな?へへへ…と聞く。
便所かな?と宮川が聞くと、そう、小一時間になるんじゃないかな?と、御籤占いの男は首を傾げながら答え、さっき刈り上げた女が…と言うので、刈り上げた女!と宮川が驚くと、ええ、いい女でしたよ、女のい甘いのは私の性分ですから…と男は笑いながら言う。
金子どこ行ったんだろうな?と宮川が聞くと、ヤマガラに占わせたら良い、半分に負けとくぜなどと男が言うので、宮川が踵を返すと、当たるんだよ、私の御神籤占いは、何しろ無邪気な小鳥がやるんだからよ、チェッ…と男は残念そうに言う。
その頃、矢の倉ホテルに戻って待機していた長田刑事だったが、タクシーに乗って、髪の短い女つやがホテルに入って来て、横に立っていた三好が頷いたので、エレベーター前に陣取り、帰ろうとしたつやの手を取って、待ちたまえと制止する。
一方、本部に戻った宮川は、これは田町の死体の側にあったパーカーだと主任からとキャプのついてないペンを見せられる。
そうですか、逃してしまって申し訳ありませんと宮川は頭を下げる。
うん?まあ不可抗力だ、さっきは怒鳴ってしまってすまなかったと主任も詫びる。
いえ…と宮川が答えると、古本屋の方は大丈夫だろうな?と主任が言うので、はあ、モンタージュ写真を所轄の刑事に渡して張り込んでもらっていますから、奴が立ち回りさえすれば…と宮川は答える。
運と答えた主任は、J・Hってことだろうね?とペンに彫られたイニシャルを指摘すると、ホシは小磯と名乗っておりましたが?と宮川は答えたので、小磯ならKですなと、横で聞いていた金子刑事が指摘する。
偽名ですよ、きっと…と林刑事が指摘すると、ひょっとしたら、このパーカー、盗品じゃありませんかな?と金子刑事は言い出す。
うん、オートをやる奴には、ふさわしくない持ち物だからな~と主任も同意する。
品触れのリストで調べてみてくれと主任はペンを金子刑事に渡す。
金子が部屋を出たのとすれ違いに、長田刑事が単髪の女性を連行してくる。
それに気づいた宮川刑事は、例の女ですと主任に伝える。
そこにかけたまえとつやに指示し、座らせた長田は、小磯は京橋物産とかの社員だと言ってますと主任に報告する。
ほおと答えた主任は、林君、所在を調べたまえと指示する。
名前は?と、つやの前に立った主任が聞くと、柳田久子(小宮光江)と女性は答え、何ぬしぎおならないわよ、聞いたって…と犯行的な態度を取る。
浅草の古品屋に使いに行ったろう?と宮川が聞くと、行ったわと言うので、何しに?と聞くと、お金届けてくれっての人に言われたからと久子は答える。
金?どのくらいだい?と宮川が聞くと、千円札でね、そうね、これくらい、五万円くらいかな、誰かをお見受けするんだって…と言いながら、久子は人差し指と親指で札束の厚さを表現する。
見受け?誰を?と主任が聞くと、古本屋の何かでしょう?と久子は答える。
その古本屋と君は古馴染みなんだね?と主任が確認すると、とんでもない、あんな女と…と久子は否定するので、ほお…と主任は答えるが、そこに戻ってきた林刑事が、京橋物産なんて会社はないそうですと報告する。
君、小磯って男を庇おうたって無駄なんだよと主任が久子に話しかけると、誤解しないでよ、あの意図は私のお客さんなんだからと久子は言い返してくる。
どこに住んでるかってことくらいわかるだろう?と長田が聞くと、知らないわと言うので、しかし君はだいぶん馴染みが深いらしいじゃないかと宮川が突っ込む。
断っておきますがね、私たちの商売はあんまりお客に色々聞いちゃいけないの、お客の言いなり放題で稼ぐのが商売なのよと久子は自慢げに答えるので、その場にいた刑事たちは苦笑するしかなかった。
そこに電話がかかって来たので、宮川が取り、はあ、はい、そうですと答えると、送話口を押さえ、本庁の鑑識課ですと主任に伝える。
はあ、はあ、ほお…と聞いていた宮川は、は、わかりましたと答え受話器を置くと、昨夜王子署で挙げたチンピラが、32口径のブローニングを不法所持していたそうですが、それが深川で使われたブローニングと同一のものだと言っておりますと主任に伝える。
良し、王子署だな?と確認した主任は、林君言ってくれと頼む。
そこに戻って来た金子刑事が、ありましたと言い、「盗品リスト」を主任に見せ、万年筆お盗まれた相手というのはジョン・ヒルトンとか言う…と金子が言うと、外人か?と主任は驚く。
ジョン・ヒルトン…、なるほどJ・Hだなと主任は納得する。
犯人はその時盗んだオメガの時計から足がついて逮捕され、すでに送検されています、黒岩千造、前科4犯、39歳と金子は言うので、すると身柄は地検だな?と主任が聞くと、はあと金子は答えたので、すぐ当たってくれと主任は命じる。
王子署にやってきた金子刑事は、黒岩千造ね?と該当者カードをめくりながら聞く担当者に、ございませんか?と聞く。
窃盗犯ですね?と言うので、外人の家に入り込んで…、なみふだがでます金子が付け加えると、もっとこっちかな?と言いながら担当者は別のカードを取り出す。
隣の係官が誰?と聞くので、黒岩千蔵と答えると、ああ、それなら保釈でさっき出たよと係官は言い、この男だとカードを取り出す。
カードには、黒岩千造(富田仲次郎)の写真と住所、台東区浅草向柳原2-589などが書かれてった。
金子がカードの内容を確認すると、5万円の保釈金を置いてねと係官が言うので、で、引受人は?と金子が聞くと、内縁の妻とか言ってたよと係官は答え、かねこはじゅうsyおは;と言いながら、カードの住所を手帳に書き写す。
黒岩千造の表札がかかった家に来てガラス戸を開けようとした金子刑事だったが、開かないので、ごめんくださいと呼びかけるが返事はない。
隣の家から出てきて、遊んでいた子供たちに勉強でもしな!と叱っていた主婦に、ちょっと伺いますが?黒岩さんは?と声をかけると、いないよと言う。
これとこれで一月近くもこれですよと、指と手真似で窃盗と逮捕を暗示して貴びれてたんじゃねえかので、でも今日保釈になったとかで…と金子が教えると、えっ!出た?と主婦は驚木、今行ったこと、内緒にしといてくれよねと頼んできたので、ええと金子は答える。
で、ここのおかみさんは?と金子が聞くと、ああ、まだお店だろう?今日は天気が良かったから…と主婦は答える。
王子署に留置中のチンピラ(滝島耕二)に会っていた林刑事は、そうすっと、そのスケに言やあ手に入るんんだな?と拳銃を手に聞いていた。
そうだよ、パチンコブローカーの手先だと言うからなとチンピラは答えるので、それえブローカー知らないか?と林は尋ねる。
知ってりゃ、そいつから直接買うよとチンピラは不貞腐れて見せる。
いくらで買った?と聞くと、安かったよ、傷もんだからなとチンピラは自慢するので、傷もん?と言いながら林が拳銃を見ると、殺しでだいぶん使ったものだ、それに4連発だろう?高く売るには7連発くらいじゃないと売れないからねとチンピラは訳知り顔で言う。
7連発か、名が通ってなくても売るかな?と林が聞くと、さあね、持ち掛け方次第だろうとチンピラは言う。
良し、ありがとうと林が礼をいうと、おい立て!と係官がチンピラを促す。
ちんぴらは急に鼻歌を歌い出したので、おい!と係官から注意されて部屋を出てゆく。
林は、じゃあどうもと拳銃を担当者に渡して帰る。
夜の浅草「新仲見世」のネオンが輝く。
映画館が賑わう道端で、つや(星美智子)は古本売りをやっていた。
それを変装した林刑事が見張っていた。
つやは、立ち読みしていたこ子供に、坊や、それ面白いわよと勧めていた。
そこに金子刑事がやってきて、客を装って古本を見出したので、林は驚く。
いかがです、子供さんに?とつやが声をかけてくる。
そんな金子の背後に近づき、背中を叩いて通り過ぎた林に気づいた金子は、本を置いて林刑事に近づく。
鉢合ったね?と林が言うと、あの女はパーカーを盗んだ相手のこれですよと金子は小指を突き出して打ち明ける。
ははあ、いや実はね、ブローニングを持ってたチンピラがあのスケから買ったと言うのでね、つまり通称小磯が使った32口径のブローニングは、あのスケが捌いたんだよと林も打ち明け、で、ちょっと俺に考えがあるんでねと言いながら、金子刑事に耳打ちする。
林刑事は一人でつやの店の前に来ると、他の客がいなくなった隙を見て顔を近づけ、姉ちゃん、買いてえんだがなと持ちかける。
つやは写真かい?と聞いて来たので、パチンコだよと林は答える。
何言ってるのよ、パチンコなら、そこのオール純子は良く出るわよとつやは近くの店のことを教える。
とぼけねえでくれよ、こっちのだよと林が手真似をしてみせ、金はあるぜ、聞いて来たんだよと持ちかけると、はあ、嘘だね、この人はとつやははぐらかし帰んなよと言う。
そこに客が来て、いらっしゃいとつやが声をかけたので、林はやむなく立ち去ることにする。
ジョン・ヒルトンの自宅を訪問した刑事たちに、この万年筆は私の記念でした、誰持ってましたか?と持ち込んだペンを手にしたジョン・ヒルトン(ファーリイ・ジェイムズ)は聞く。
それが自動車強盗の犯人らしい男なんだと主任が教えると、えっ!とジョンは驚いたので、この男なんですと宮川は盗み撮りした社員を見せる。
あなたのところに泥棒に入った黒岩仙蔵、彼の借金もこの男が払ったらしいんですと宮川は打ち明ける。
ジョンは写真を見て、私、この人知ってますと言い出す。
ナイトクラブで知り合いました、私のローヤル…、知ってますか?とジョンが言うので、ピストルですね?7連発の…と宮川が答えると、おおイエス、ぜひ欲しいと言って、一きたことありますと言うので、で、そのピストル打ってやったんですか?と長田が聞くと、おお、ノー、しまってありますとジョンは言い、もう良いでしょう?さあ行こうとジョンは妻に話しかけ、サンナーレ)、サンキューベリーマッチと刑事たちに声をかけ、かわいいね、ハハハハと笑いながら出かけてゆく。
吉岡刑事、長田刑事、宮川刑事とともに、その場を立ち去りかけた主任は、突然立ち止まり、分かった!と言う。
7連発のローヤルに惚れた小磯の手引きで、黒岩仙蔵はこの家に拳銃を盗みに入ったが見つからない、そこで黒岩は腹いせに腕時計とパーカーを盗み出し、パーカーを小磯にやったと主任は推理する。
小磯はグルの黒岩が捕まったので、その保釈金を用立てんと、相次ぐ自動車強盗をやったが、5万円には足りない、そこで例のブローニングをチンピラに売り飛ばしたと考えられるではないかと主任は言う。
深夜の浅草
客足も途絶えたので、つやは店じまいをし始める。
それを見張って言いた吉岡刑事は、変装して店に近づく宮川刑事に気づく。
本を片付けながら、いらっしゃいと声をかけたつやに、よお、姉ちゃん、打ってくんねんかと宮川は人目を気遣うふりをしながら話しかける。
古本かい?とつやが聞くと、大きな声では言えねえけんどよ、これだよと、上着の内ポケットに入った拳銃を見せる宮川。
つやは黙って立ち上がると、顔でこっちへ来いと宮川を誘う。
つやと一緒に、背後の小屋に入ると、向こうから手に入れたんだけんどよ、7連発なんだって、ローヤルとか言ってよと宮川は打ち明ける。
本当にローヤルかい?とつやが聞くので、宮川が頷くと、見せてご覧と言うので、宮川はうちポケットの拳銃を見せ、嘘と坊主の頭はゆったことねえよ、銭こがいるんだ、頼むよ、吉原でレコが待ってるんだよと宮川は訴える。
しかしつやは信用できないのか、また、本の片付けを始めたので、頼むから!助けると思ってさ、今夜行かねえと上手くねえんだよと宮川が合掌しながら詰め寄ると、こっちも今夜ちょっと忙しくてまずいんだけどね~とつやは答える。
木場の鼠橋知ってるかい?とつやが聞いて来たので、ああと宮川が答えると、じゃあ、あの橋袂で11時頃待っててご覧、ひょっとしたら…とつやが言い出したので、ありがとうよ、11時だな?と宮川は礼を言う。
指定の時刻、指定の場所で宮川が待っていると、近くの物陰では、主任をはじめ他の刑事たちがしっかり監視していた。
主任が腕時計で時間を確かめると、すでに11時を15分過ぎていた。
近くの別の場所で張り込んでいた林刑事と吉岡刑事も時間を確認していた。
橋の上で苛立たしそうにタバコに火をつけた宮川だったが、やがて2人の男が近づいてくるのに気づく。
主任たちも気づいて近づくと、林刑事も、来た、来たと吉岡に伝える。
大阪行ったら大変だと、宮川のいる橋に近づいていた黒岩は同伴の小磯に話しかけていた。
俺も後からフケると小磯は言う。
年配の方が黒岩ですと主任に金子刑事が教える。
運と答えた主任は、ちくしょう、小磯の奴、飛ぶつもりだなと呟く。
宮川のそばに来た黒岩が、タバコを消しなと命じる。
宮川がタバコを捨てると、何かを売りてえってのはお前さんかい?と黒岩が聞いてくる。
宮川が頷くと、品物を見せてみなと黒岩が要求したので、頷いた宮川が内ポケットから銃を取り出すと、それを横から見た小磯も頷く。
1万なら買うぜと小磯が口を開いたので、もう少しなんとかなりませんか?と宮川は粘る。
俺はこれから飛ぶんだ、それ以上ならお断りだと小磯は言う。
ああ、しょうがねえな〜とつぶやいた宮川は、金は?と聞くと、ゲンナマ取引だと小磯は言う。
その場で黒岩が札束を数えて私、さあと言いながら、小磯は持ってきた「罪と罰」の本を開いてみせる。
そのページにはちょうど拳銃を隠す、穴が開けられておrい、ここに入れなと小磯が命じる。
宮川がそのページの間の空間に拳銃を入れると、小磯はページを閉じ、ケースの中にしまい込む。
その時、宮川が突然小磯につかみかかる。
黒岩も襲いかかって来たので、足で反撃する宮川。
それに気づいた刑事たちが一斉に走ってくる。
刑事たちに気づいた小磯と黒岩は逃げろ!tお叫び、その場から逃走しようとする。
二人が逃げた方向からも刑事が迫るが、それを跳ね飛ばした小磯は拳銃をぶっ放してくる。
黒岩も拳銃を出して抵抗して来る。
刑事たちも拳銃を取り出し、待て!と追いかける。
立てかけられた材木の陰に逃げ込んだ二人に、逃げると撃つぞ!と主任が警告する。
刑事たちも発砲しはじめ、黒岩の拳銃は弾切れになったので、ちくしょう!と悔しがる。
代わりに小磯が撃ってくる。
身を屈めながら距離を縮める刑事たち。
宮川刑事も木材の影から発砲していた。
黒岩と小磯は橋を渡って逃亡しようとする。
その後から、待て!と叫びながら迫る刑事たち。
足を撃たれた黒岩が転ぶ。
それを確保する金子刑事と吉岡刑事。
小磯は川の上に浮かんだ丸木の上を逃亡しながら、追ってくる宮川たちに銃撃を浴びせる。
しかしその小磯の拳銃も弾切れになったので、ちくしょう!と言いながら拳銃を投げてくる。
さいれんのおt尾を響かせパトカーの応援が駆けつける中、小磯に宮川と長田が飛びつく。
最後は宮川が小磯を背後から羽交締めにし、小磯の右手に長田が手錠をかける。
そのそばには、「罪と罰」の本の中からこぼれ出た拳銃が丸木の上に落ちていた。
本のケースは水の中を流れてゆく。
刑事たちンジ連行される黒岩たちの姿を背景に、
強盗人ヲ死に到シタルイ時ハ 死刑又ハ 無期懲役ニ処ス(刑法第240条より)と書かれたテロップが重なる。
黒岩と小磯はパトカーに乗せられ、出発する。
それを見送る刑事たち
終
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