「旗本退屈男 謎の蛇姫屋敷」

1957年、東映、佐々木味津三原作、鈴木兵吾脚本、佐々木康脚本+監督作品。

冒頭の主水之介の屋敷に登場する若い娘菊路と少年露島京弥は、国会議員山東昭子さんと右太衛門さんのご子息北大路欣也さんで、爺や丸目喜内役はマチャアキこと堺正章さんの実父堺駿二さんである。

主水之介の叔父を演じているのが月形龍之介さんで、悪役柳沢美濃守はお馴染み山形勲さん

大人っぽい日本美人をやらずのお柳役の花柳小菊さんと葛城太夫役の勝浦千浪さんが演じ、ゲスト的な若侍を岩井半四郎さんが演じていたりする。

岩井半四郎さんが出ている「旗本退屈男」はこれ一本のはずで、橋から川に飛び込むシーンは昔テレビで見た記憶がある。

確かテレビでは、その後半四郎さんの出番はなかったはずで、今見直すと半四郎さんは助かっており、テレビではカットされていたということがわかった。

悪の商人役は「新諸国物語」やテレビの「悪魔くん」などでお馴染みの吉田義夫さんで、南蛮渡来の怪しげな品物などを見せてくれる。

左官の千太役の渡辺篤さんと、大工の亀吉役の星十郎さんコンビによる狂言回しも楽しい。

興味深いのは、本作内で主水之介が、現実では息子であるはずの北大路欣也さんに自分のことを兄と呼べと命じているところ。

流石に実の親子を劇中で兄弟に見立てるのは年が離れすぎていると思うのだが、観客への座興というかサービスということだろう。

クライマックスはシリーズお馴染みの大セットを使った大掛かりな大立ち回りで、「007シリーズ」のクライマックスに似ているが、本作ではレビュー風の華やかな歌舞伎踊りも加わって、いかにも黄金期の娯楽時代劇になっている。

暗殺方法や謎解きは今見ると他愛ないが、当時の娯楽時代劇としてはお馴染みのもので、少年漫画などでもよく使われていたように思う。

1957年12月28日公開ということは典型的な正月映画ということで、子供から大人まで、家族そろって楽しめる肩の凝らないファミリー時代劇を意識した作品だったのだろうと思う。


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