「大日本殺し屋伝」

黎明期のテレビで数々の人気番組の脚本を担当した花登筐さん原作映画

「大日本喜劇」シリーズ第4弾らしく、本作はサスペンスコメディ仕立てのようだが、今の感覚で笑える部分はほぼないと言って良い。

当時それなりに知名度があった人気テレビタレントを使っておふざけ設定を並べているだけと言った感じで、そもそも感覚が古い上に、脚本自体に笑いを生み出す力があまりないからだ。

海野かつをさんや川上のぼるさんといった懐かし芸人さん勢揃いなので、当時を覚えている世代には多少の懐かしさはあるかもしれないが、時事ネタが多すぎたり、テンポが悪すぎ、ナンセンスとはいえ緊迫感がなさすぎる。

カット割が少なく、一つのシーンをフィックス(固定)カメラで撮っているようで、切り返しがないので、そのシーンに写っている役者たちはセリフのあるなしに関わらず舞台芝居のように棒立ち状態で全員写っている印象で、テンポが感じられない一因ではないかと思う。

見どころといえば、日活銀座(日活スタジオ横に当時作られていた実物大銀座オープンセット)の一部と、宍戸錠、郷えい治兄弟が出ているところくらいか。

大村崑さんが日活映画に出ていたというのも驚きなら、七三分けでふさふさの髪型なのに、なぜか10円ハゲがあると言うのは、TV「番頭はんと丁稚どん」の崑松ギャグだろう。

劇中のテレビ画面に「七ふく」のCMが出てくるのも、七ふく製薬の一社提供番組だった「番頭はんと丁稚どん」ネタ

実際、劇中でもこの番組を再現したような回想シーンがあり、番頭から頭を叩かれ、数秒後に痛がるギャグや10円拾た!とはしゃぐギャグも再現している。

「番頭はんと丁稚どん」は松竹で映画化され、4本も続編が作られているくらいのお化け番組だったとはいえ、1961年に終了したテレビ番組ネタを1965年に使うこと自体が古くないだろうか?

公開年から考えて、「007」ブームの最中だったので、そうした海外サスペンスの影響も感じられるが、漫画的なキャラクターが色々登場する割に、それが笑いにつながっていないのが残念。

不思議なワイプを多用しているのも時代性か?

途中で登場する「包丁型のワイプ」は見事というしかない。

白木みのるさんの試験シーン、背後にある的が、いきなりエイトマンの書き割りになっているのも意味不明で、その直前まで白木さんの背後に立っていた的はイギリス紳士風の人物を描いた別物で繋がってないからだ。

テレビアニメ「エイトマン」が放送されたのは1963年なので、時事ネタとしてもちょっと古いような気がする。

しかも全編通して、白木さんの登場シーンが少ないような気がするのはスケジュールの関係か?

「愛と死をみつめて」(1964)の「マコとミコ」パロディ、マキとミヨを演じている山本陽子さんが、まだあどけない感じが残っており、愛らしいが、今このパロディネタがすんなりわかる人は一握りではないだろうか。

敵方の殺し屋役として、若い頃のいとこい師匠が出ているのも一興。

個人的には、名脇役の高品格さんが、奇妙なコンタクトを左目に入れて、癖の強いキャラクターを演じているのが楽しかった。

【以下、ストーリー】

1965年、日活、花登筐原作+脚本、才賀明脚本、野口晴康監督作品

大きな日本地図を前に、さあみなさん、これは大日本です、そしてここは首都東京ですと教師が学生たちに説明すると、ドルマークのワイプが広がり、首都高が映し出される。

東京は?と教師が聞くと、オリンピックと高速道路の街!と生徒が答え

阿波の鳴門は?と教師が聞くと、踊る阿呆に見る阿呆の街!と生徒が答え

あんこ椿で有名な大島の元町は?と教師が聞くと、火事の街!と生徒が答え

京都先斗町は?と教師が聞くと、お茶屋の街!と生徒が答え

ではここ、この港町は?と教師が聞くと、わかりません!と生徒が答えたので、殺し屋の町!と先生が教える。

ドアが少し開いて隙間から銃口が覗く。

スペードのAのカードを持ったガウン姿でメガネの中年男が振り返る。

銃が発射され、カードを握りしめた中年男井川(長尾敏之助)が倒れる。

侵入者の男がそのカードを真っ二つに引きちぎって床に置く。

殺された代々木の仲間が本部に集まる。

港の権利を一手に握っている井川(衣笠真寿男)

売春風俗関係の岸田(弘崑松三郎)

密輸担当の桜田(河野弘)

京浜街担当の雲井(高品格)

そして殺された代々木は麻薬担当だった…

5人のボスで作った五光会

この地て上がる利益の95%が彼らの手に入る(とナレーション)

昨日はスペードの「5」でありますと雲井が怯えたように報告する。

自分のは「4」でありますと桜田が続け、「3」だと岸田がいい、「2」だと井川が打ち明ける。

誰だ、誰がやったんでありましょう?と桜田が聞くと、わからんと井川はいう。

さっぱりわからんでありますと雲井も繰り返す。

我々に送られてきたこのカードの意味は?と井川が聞くと、俺にもわからねえと岸田が答える。

その時、井川の机の上の電話が鳴り出したので、雲井電話!と桜田が支持し、足の悪い雲井が杖をついて井川の机の前まで行って、その上の受話器を取ると、はい、こちら五光会本部と応答する。

すると突然、だ、誰だお前は!と雲井が怒鳴りつけたので、他のメンバーは緊張するが、トランプのナンバー順に次々に殺す…と雲井が相手の言葉を復唱したので、井川が思わず腰を浮かす。

誰だそいつは?と井川が聞くと、スペードのジョー?と雲井が聞き返した途端、電話は切れてしまう。

スペードのジョー?あの正体不明の殺し屋のか?と桜田が指摘すると、そんなはずはねえ、スペードのジョーなら2年ほど前から名前を聞かないぜと岸田がいう。

足を洗ったと言う噂もあると立ち上がった井川も補足する。

しかし、確かにそう言ったでありますと雲井が井川に伝える。

誰だ、誰が雇ったんでしょう?と岸田が立ち上が離、どうして我々を狙うんだ?と問いかける。

その間、自分んø席に戻りかけていた雲井は、ジョー、ジョー、待ってくださいと言って振り向くと、私にはジョーの正体が分かりそうな気が…と言い出す。

誰だ?と井川も再び立ち上がり雲居の顔を見つめる。

誰なんだ?と岸田も立ち上がって迫り、言ってみろ雲井と、桜田も立ち上がる。

は、ほら20年前のことだ…と雲井は話し出す。

(回想)

軍用トラックを止めた4人の日本兵は、おい、どこへ行くと運転手に尋ねる。

は、我々は軍の重要物資を運ぶ途中でありますと運転していた須藤は答える。

いいから降りろ!と命じる日本兵。

命令では運び終わるまで出ることは禁止されておりますと運転してた須藤はいうが、降りろ!命令だぞ、これが見えんのか!と井川が隣に立っていた代々木の軍将を指差す。

トラックの助手席に乗っていた雲井が、須藤班長殿、降りてください、自分がここに残っておりますと助言する。

その言葉に従い、須藤がトラックを降り、敬礼した途端、代々木は銃を取り出し菅を気なり射殺する。

雲井上等兵、うまくやったなと岸田が語りかけ、さ、行こう!と全員に呼びかけ、5人の兵隊はトラックに乗ってさっていくが、撃たれた首藤はまだかろうじて息があり、幼い息子の写真を見ながら、丈太郎と呼びかける。

(回想明け)あの時の須藤班長の息子が、確か丈太郎と言ったはずで…と雲井は思い出す。

須藤丈太郎…、スペードのジョーか…と岸田は思いつき、うん、そうだ、間違いない!と井川も確信する。

どうします?と雲井が井川に聞くと、殺し屋を呼ぼう、殺し屋を呼ぶんだ!と岸田が決意する。

鳴り出した電話の受話器を取ったプロダクションの女(若水ヤエ子)は、はい、毎度ありがとうございます、こちら殺し屋プロダクション!と返事する。

殺し屋30人、ご指名は?ございませんね、テストの結果10人採用?では早速取り揃えてお送り致しやす。ご利用なすっておくんなませと言って受話器を置くと、社内向けマイクに、本番さん、本番さんと呼びかける。

かくして殺し屋プロダクションから続々とこの街に集まってきた。(とナレーション)

ある者は船で… ハイネ詩集を読んでいる紳士風の男ハイネの牧(土方弘)

ある者は汽車で…ONのカネ(平凡太郎)

ある者はバスで…庖丁の辰(人見きよし)

そしてある者は飛行機で…

スチュワーデスが、子供客だと勘違いしミルクを渡そうとすると、葉巻の煙を吐きかけて睨みつけ、ブランデーを渡されるとニンマリして飲むチビ(白木みのる)

五光会事務所内に「殺し屋試験場」という看板が掲げられた部屋が用意されていた。

係員は、がやがや騒いでいた応募者たちを黙らせると、これから試験場にご案内すると言い渡す。

歩いてくるやつもいる(とナレーション)

ふらふらになって試験場に向かっていたのはセンバの崑松(大村崑)だった。

あまりに疲れて、道端に積んであった丸太に腰を下ろしたまつだったが、ちょうどスクーターが近づいてきたので、停まれ!と通せんぼをする。

停まったスクーターに乗っていた次郎(宍戸錠)がなんか用かい?と聞くと、おもむろに胸ポケットから銃を取り出した崑松はそれを突きつけ、手を挙げい!後ろ乗せてくれと自分を指差して要求したので、次郎は頷くしかなかった。

崑松は後部座席に横向きに乗ると、そのまま走れと銃を突きつけながら命じるが、両手を上げた次郎がそのままて、これじゃ無理だよ…というと、笑ったまつは、変な真似したらあかんぞ、俺は殺し屋だぞという。

試験会場では、奇妙な殺し屋たちが4人の幹部の前で試験を始めていたが、次々と不合格になり、お帰りくださいと係員から言われていた。

アメリカ原住民の格好をした殺し屋が、弓でアフリカ原住民の的を狙うが、仲間はうてないと言って拒否する。

続いて、殺し屋の偉人 ハイネの牧が登場し、武器は?との質問に持っていたはいねの刺繍を取り出したので、審査していた幹部は不思議がる。

この13ページをこう開くと…と牧が言いながら本を的に向けると、本から銃弾が飛び出し、的に命中したので、合格になる。

続いて登場した男は名前を聞かれると、長嶋王金田を3人集めたって俺には敵わない、人呼んでONのカネって言うんだと答えたので、今まで人を殺したことは?と聞くと、殺しのアベレージ8割6分、防御率は0.22、右投げ左打、スイッチも効くぜと言いながらバットを振ってみせ、次の瞬間バットのグリップ部分から発砲し、的に命中させる。

良し、立とうと審査員は判断するが、ただし、ジャイアンツの買った日は殺しはやらねえとカネはいう。

五光会本部前に到着した次郎だったが、おりたまつは、スクーター代よこせ、乗ったったやないか、50円出せ、わしは殺し屋だぞと無茶な要求をする。

次郎が100円だよ、釣りはいらないと言って走り去ったので、気前いい奴だな、堅気にしとくのもったいないななどと崑松は喜ぶ。

試験場の入り口に来た崑松は、係員に、遅れてきた奴だなと止められるが、ワイは殺し屋だぞと銃を出し、遅れ賃出せ!と脅かす。

会場内では、着物姿の男が下駄の歯の間に隠したナイフを見事に的に命中させていたので、名前は?と岸田が聞くと、包丁の辰というケチな野郎でござんすと挨拶する。

包丁?お前は板前か?と井川が聞くと、見てください、この包丁と言って取り出した包丁を持って、書割の的を突くと、書割から血が流れる。

最後に審査員の前に立った崑松は、センバの崑松言いますと自己紹介する。

お前の武器は?と雲井が聞くと、そろばんですといい、胸ポケットから取り出す。

やってみろと桜田が命じると、的に向き合った崑松はそろばんを宙に飛ばし、それを拳銃で撃つと、そろばんの球が散って何発も的に命中して破裂したので、桜田は面白い、雇おう!と判断する。

へい、おおきにと喜び、銃を向けたまま審査員席に近づいた崑松は、で、早速ですけどね、月給なんかいくらくらいもらえますのと聞く。

それから退職金とかね、健康保険とか用意してもろうてまっか?共済保険とか、怪我する率多いですしねなどと聞くと、後で言うと雲井が答えたので、ケチ!と崑松はつぶやき、不満顔で引き下がる。

次!と言うと、係員がこれで終わりですと伝えるが、そこにちょっと待った!と飛び込んできたのが、黒スーツに黒帽子姿のチビだった。

なんだ、このガキは!と井川が聞くと、アイパッチの係員が、どうしても入れろって説明したので、子供にようはない、出てけ!と雲井は怒鳴りつけるが、テーブルの上に乗ったチビは、子供?僕はね、アル・カポネの孫!などと言い出したので、カポネの?と岸田は驚く。

そうですよ、カポネが日本に来た時生まれたのがこの僕!カポネ三世!と自分を指してチビは得意げに口笛を吹く。

そしてチビは、虫眼鏡とパチンコを組み合わせたようなものを取り出したので、その場にいた大人たちは子供のおもちゃと思って笑い出すが、よーしというと、エイトマンの形の的めがけて発射すると、木っ端微塵に破壊される。

採用された10人の殺し屋たちを集めると、やってもらいたいのはスペードのジョーだと桜田が説明する。

スペードのジョー?そんな奴はいないはずだと殺し屋の一人がいうので、いやいるんだ、少なくともこの街にはなと岸田が言い返し、どうだ、やってくれるな?と確認する。

で、条件やその特徴は?と別の殺し屋が聞くので、分かったことはただ一つ、足の裏にほくろがある!と雲井が教える。

すると包丁の辰が、下駄を脱いで、その場でテーブルに腰をかけ、足裏をさらして見せたので、それを見たチビがあんたじゃないよと判断する。

やつは日本人の殺し屋だ、お前さんたちならわかるだろう?と桜田が言うと、よし、半ネエ、ウエスタンとハイネの牧がその場で指名し、お前たち2人はここに残れと命じ、後の8人は街に出るんだと指示する。

すると、待った、この町で何よりものをいうバッジを渡すぜと井川が言い出す。

街に出る殺し屋たちは、全員五光会のバッジを胸にして出発する。

その様子を監視していたのはオレンジのスーツにギターを抱えたサブ(川上のぼる)だった。

さて、ここは隣町、ここにも一人のボスがいる。(とナレーション)

安西組貸切の銭湯

色っぽい裸の女の刺青をし、水着の明美(緒方葉子)から体を洗ってもらっていた安西(崑松本染升)は、そうか、殺し屋たちが街に出たかと、灰皿を持った子分から今連絡がありましたよと報告を受けると、片っ端にやってやる、すぐ組へ戻るから、取っといた二人の男を呼んどきなと子分に命じる。

水着の女が足を洗おうとすると、おい、足を洗っちゃいけない、演技でもねえ、俺は足を洗うのは大嫌いだと叱ったので、女はすみませんと詫びるが、でも親分はどうして先頭がお好きなんです?と愛想笑いを浮かべて聞く。

すると安西は、うん、富士山が好きなんだといい、壁に描かれた富士山の絵を眺める。

安西組の事務所で待っていたのは上方の丁(夢路いとし)と上方の半(喜味こいし)という兄弟の殺し屋だった。

そこに銭湯からガウン姿の安西が戻ってくる。

この男たちかと子分に聞いた安西は、お前たちの名は?と聞く。

わいが上方の丁で、わいが上方の半と2人は立ち上がって自公紹介したので、2人合わせて一人前かと安西は指摘する。

その代わり、絶対負けることおまへんでと丁は言い、いっぺんこれ見とくんなはれというと、半がケースの中からメキシコ衣装を着た人形を取り出す。

ま、これが相手としなはれ、で、まあ、わいらがここと、ここにこういますわと言いながら、二体に女性人形をメキシコ人形と向かい合わせに置く。

相手はどっち撃ったらええかわからへんから、こっちを撃たとしなはれ、こっち倒れますな、その間にこっちから撃つ!相手が倒れる!こっちの勝ちや、ちょうが残るか、半が残るか、おっさん!と丁が聞くと、おっさんてことあるかいなと半が突っ込む。

ボス、あんたどっちに賭けなはる?と丁が聞くと、なるほどイカサマじゃなさそうだ、雇おうぜと安西は決断するが、横で聞いていたイノ(郷えい治)が、親父、俺たちにやらせろと言い出す。

この男たちに高い金払うことねえというが、バカ、お前たちが出て顔を見られたらも元も子もねえと安西は言い聞かす。

そして安西は、丁と半、仕事はわかってるな?と聞くので、2人は互いに見合って頷く。

よ~し、街へ行きな、波止場に迎えが来ているはずだ、仕事の後でこれを置くのを忘れるなとと安西は言いながら、スペードのキングのカードを出して見せる。

それを見たちょうがトランプ?と驚き、サイコロじゃいけませんかと半が聞くが、子分の六(海野かつを)が言われた通りにしろ!といい、いいな、殺し屋たちを殺すんだと安西は命じる。

川べりを歩いていたハイネの牧に、お〜い、待ってくれ、ハイネの兄いと呼び止めたのは、庖丁の辰だった。

何だ?と牧が聞くと、あれ?とその場から離れた辰は、「東洋建設千葉事務所」と書かれた看板横の道を振り分け荷物を肩にかけて歩いてきた老婆に向かい、婆さん、どこにいくんだ?と問いかける。

はい?駅までですと老婆が答えると、駅までか、この荷物重いだろというので、いいえ重くありませんと老婆は否定する。

しかし辰は、いや、重いに決まってるんだと主張する。

そこに黒づくめの殺し屋が近づいてきたので、おい、若えの、お前この婆さんの荷物を持ってやんなとたつは命じる。

するとその男は、何を!おい!と辰の肩を小突いたので、笑ったたつはげたのはの裏に仕込んでいた包丁を取り出し、相手の黒スーツの左袖を切り裂いてしまう。

持つのか、持たないのか?と細身の包丁をちらつかせて辰が聞くと、持ちますと黒づくめの殺し屋は答える。

私は…と老婆が遠慮しようとしたので、持たせねえのかと包丁で脅すと、はい、持たせますとすぐに言う事を聞く。

もちな、年寄りには親切にしなくちゃいけねえ、行きなと辰が命じると、黒づくめの男はハイと答え、」老婆の荷物を受け取って歩き始め、老婆はその跡をついていく。

それを見送った辰は、全く人情のねえ世の中だぜと微笑むと、兄い、あれ?兄いと周囲を見渡すが、すでにハイネの牧はいなくなっていた。

(回想)牧は、美代(山本陽子)と窓から花火を見ていた。

僕の愛情は振る星の如くなんだ、な、病院入ってくれと牧は頼む。

しかし美代は、私、ここにいたいの、牧のそばに…と答える。

身体、直さなきゃ、金ならなんとか工面すると牧は説得するが、牧がお金儲けようとしたら、きっと何か悪いことが起きる…と美代はいう。

美代!と呼びかけると、牧、わがまま言ってごめんなさい、美代はとっても幸せなの、たとえこのまま死んだって…と美代は答える。

美代…と呼びかける牧…

(回想明け)川下に来ていた牧は昔を思い出していた。

そこに駆け寄ってきた辰が、兄貴、何してるんです?と聞くと、「愛と死をみつめているのだ」と牧は答えたので、そんな場合じゃねえや!と辰は呆れ、早くジョーを探さなきゃ、さあ!ほら、行きましょうと急かしながら牧の背中を押していた。

その時、タクシーが急停車し、危ねえじゃねえか!と運転手が文句を言ってきたので、なんだと、てめえこそ!とたつは言い返そうとするが、その時、後部座席に乗っていた客を見た牧は、美代!と呼びかける。

美代そっくりの女性が乗っていたからだ。

美代だ!と牧が近づうこうとした時、タクシーは走り出してしまう。

待ってくれ!とタクシーに呼びかけた牧だったが、あの女だ、あの女を追いかけるんだ!と辰に命じるので、あれがジョーですかい?と辰は勘違いしてしまう。

夜になり、街を彷徨いていた崑松がカネに、ここは入りましょうか?と聞いたのは、「美好屋パーラー」というお汁粉屋だったので、ジョーがお汁粉屋なんかにいるわけないだろうとカネは呆れる。

でも兄貴、そのスペードのジョーと言うやつ、甘党かもわからんもんと崑松は主張するが、バカ!見まわしたところ、このバーだなとカネが指差したのは「BAR ジョーカー」と言う店だった。

その時、野球の実況が聞こえてきたので、お前先に入ってろ、俺は通りを見張るとカネは言い出す。

店に入って、おい、ワイはこんな者やと言いながらバッジをボーイに見せびらかすと、急に態度がへりくだったので、崑松は喜ぶ。

おい、ちょっと聞きますけどね、この店に足の裏にホクロがあるスペードのジョーって奴来とらんか?とバーテンに単刀直入に聞くと、店の奥ではタバコを吸いかけていた次郎がいて、ホステスの1人は、先ほどタクシーに乗っていた美代そっくりの女だった。

ワイは殺し屋やどといきった崑松は、こんばんはと次郎から挨拶されたので、ああ、お前、昼間、ポンポンに乗せてくれた奴やないかと気付き、テーブルに近づく。

また会いましたね、ところでジョーってやつを探しておられるんですね?と次郎が聞いてきたので、ああ、そいつも殺し屋だからなと崑松は教える。

探してどうするんですか?と次郎は聞くが、探し出したら間違いない…と言いかけて、アホ!そんなこと言えるかいと言うのをやめる。

そこにいらっしゃいとやってきたのは、着物姿の美代そっくりなホステスエミ(山本陽子二役)だった。

俺の奢りで一杯あげてくれと次郎が注文するが、奢っていらん、その分銭でくれと崑松が言うので、次郎はまた耳の裏から100円玉を取り出してテーブルに置いたので、なんと、お前物分かりのええ男やのと崑松は喜ぶ。

そのジョーって男は何をした?と次郎が聞くので、いや、大きな声では言えんけどな、この街の五光会ちゅう所のな、代々木ちゅう男を殺しよったんとまつは耳元で教える。

代々木さん?ジョーが?と次郎は繰り返し納得する。

ジョーってやつも可哀想な男やで、ここでわての手にかかったらイチコロや、何しろこのわてな、世界一の殺し屋やと崑松が自慢げに言うので、大したもんでと感心しながら、お近づきにもう一本と言いながら、また次郎は耳の裏から100円玉を取り出してテーブルに置く。

また100円かい、お前気に入ったなあ!堅気にしとくのもったいないような男やな〜と崑松は上機嫌にな理、どや、わいの弟分になるか?などと誘いかける。

ワイが至極からな、どうにかスペードのジョーくらいにはなれるぜと崑松はいうので、本当に?と次郎は乗り気になり、固めの杯といこか?と崑松が言うと、また耳から100円玉を取り出した次郎が、固めの杯代と言う。

ますます気に入ったな、お前ツーカーやないかと崑松は次郎の肩を叩くが、あまりに硬かったので手を痛める。

名前なんちったかな?と崑松が聞くので、次郎ってんで、兄貴!と次郎は名乗る。

次郎ちゅうんか?ちょっと勉強してみるか?と崑松は誘い、行こか?と次郎と一緒に店を出て行ったので、もう、お帰り?とエミは声をかけるが、テーブルに次郎のライターとハイライトのタバコが残されていることに気づく。

「BAR ジョーカー」を出た崑松は通りかかりの女性とぶつかったので、殴りかけるが、相手が女性とわかって、失礼しましたと詫びる。

その後から出口を出たエミは、近くで張っていたギターを抱えた眼鏡の男に目で合図をし、サブは崑松と次郎の後を追う。

近所の喫茶店の白黒テレビでは、巨人の長嶋がヒットを打った様子が写っており、「便秘快通 七ふく」の宣伝テロップが出ていた。

それをカップル客との相席で見ていたカネは、相客が邪魔だと文句を言ったので、カップル客は席を交換したりする。

そこにやってきたチビは、野球中継のテレビが気に入らず、銃弾でチャンネルを変え、「アンタッチャブル」の方がええやないか、うちのおじいちゃんが出ていると言って見始める。

カネは負けじと、バットのグリップ部分から発砲し、また野球中継にチャンネルを変える。

怒ったチビはまた発砲し、西部劇のチャンネルに変えたので、またカネがうとうとするので、そんなことしたらテレビが壊れちゃうじゃないですか!と店のマスターが止めにくる。

何だと〜とチビとカネが同時に発砲したので、テレビの画面は二分割になってしまう。

そこにやってきたエミは、互いに片目を隠してテレビ画面を見ていたカネとチビに、お兄さんたちそんなテレビやめなさいよと言い、一緒に飲まない?奢るわよと誘う。

行きましょうか、うちのバーテンさんも大変な野球ファンなのという笑みに、どこのファン?とカネが聞くと、ジャイアンツというので、よし行こう!とカネも席を立つ。

それを見送ったチビは、頼りない殺し屋と言いながら、ビールを飲む。

波止場では、サブが歌を歌っていたが、そこにやってきたのが丁と半兄弟で、同じく金色の蛇の目傘と水筒を持参した着流しの殺し屋だった。

予想通り、蛇の目傘の殺し屋ゴン(八代康二)は、左右どちらを撃とうか迷っている隙に、丁と半の銃弾にやられてしまう。

その銃声に気付き、駆けつけようとした次郎を、弟分の方が先に行くやつがあるかと崑松は止める。

丁と半は、ゴンの体の上にスペードのキングのカードを置くが、その場に崑松と次郎が駆けつけてきたので焦る。

殺し屋の死体に気づいた崑松は、待て!逃げると撃つぞ!と脅したので、丁と半は倉庫の横手で立ち止まる。

崑松が懐からそろばんを出したので、丁と半も銃を取り出すが、いち早く死体の足のガンホルダーから銃を抜いて二発撃ったのは次郎だった。

丁と半が倒れたので、どんなもんやと崑松は自慢するので、大したもんだと次郎は褒める。

丁と半は前後ろに重なっていたのが仇になったのだった。

倒れていた殺し屋を見た崑松は、ゴンやないか?何か言い残す事はないかと聞く。

ゴンは、ちょうど時間となりました…と浪花節調に言って、息絶える。

一方、次郎の方は、スペードのキングのカードを見ていた。

その頃、辰とカネは「BAR ジョーカー」で仲良く酒を飲んでいた。

別のテーブルには牧も、どこにいるのか美代♩と「上海帰りのリル」のメロディで歌いながらビールを飲んでいたが、そこにいらっしゃいませとやってきたのはエミだった。

立ち上がった牧は、美代!僕はお前を見つけるために、この街を虱潰しに探したんだと伝え抱きつくが、美代?私エミよと言うので、エミ?とマキは戸惑いながら手を離すが、それを辰とカネが不思議そうに見ていた。

トランジスタラジオでタイガースが勝ったことを知ったカネは、やけになってバットのグリップから発砲し、壁に飾ってあった虎のマスクを撃ち落としたので、銃声で驚いたエミはマキに抱きつき、虎のマスクは辰の膝から滑り落ちたホステスの顔にハマったので、辰は怖がる。

その頃、安西の事務所では、丁と半が二人ともやられたとサブから安西が報告を受けていた。

へえ、崑松ってメガネの野郎で、それが目にも留まらぬような早撃ち…とサブが報告する。

良し、イノ、殺し屋を四人よべ!と安西が言い出し、四人?と六が驚くと、二人でダメなら四人だ、四人でダメなら八人だと安西はいう。

しかしイノは、無駄なことだよ、俺たち腕の立つ兄弟が3人も揃っていて…といい、俺たちが出りゃ…と六も銃を取り出しアピールするが、いけねえ、今に五光会の奴らがスペードのジョーの手でみんな殺される、後できっと出る時が来るんだと安西は言い聞かせる。

不公平だよ、兄弟のうち、あいつ一人なん?と六は不満を口にするが、その時電話がかかってくる。

イノが受話器を取り、オヤジと読んだので、安西はあいつからか?と聞き、電話に出る。

うん、俺だ、お父ちゃんだよと相合を崩した安西だったが、何!殺し屋が三人?と驚く。

電話の相手はエミだった。

今ここに来てるのよ、ハイネに包丁にONよとエミは伝える。

良し、眠らしちゃいな、お前の腕の見せ所だと安西は指示するが、何!できねえ?と聞きかえす。

だって店じゃ危ないわ、今日のところはよしとくとエミが言うので、なんて事言うんだ、お前はいい子だから、そんな良いことをしようとしちゃいけねえ、え?わざわざ薬大まで卒業させたのはなんのためだ?薬は人を殺すためにあるんだぞ、心得違いをしちゃいけねえ、親孝行と思って殺してくれと安西は頼む。

親孝行と言われたらエミの負けねとエミは苦笑し、やるわと答えて電話を切る。

受話器を受け取ったイノが、やるの嫌だって?と聞くので、好きな男でもできたかなと安西は心配する。

その頃、「BAR ジョーカー」では、カネと辰が這いつくばり、オモチャの蜘蛛をホステスや女性客のハイヒールに忍ばせていたが、牧の靴にまでおこうとしたので、牧が気づいてバカにする。

一方、エミは、3杯のカクテルの中に薬を投入していた。

辰とカネは、虫の違和感で靴を脱いだ客たちの足の裏を見て、ほくろがないことを確認するが、そこへエミがカクテルをもってくる。

牧は、みよ、どこに行ってたんだ、ここにお座りと隣にエミを座らせるが、エミは美代じゃないったらと嫌がり、辰とカネが、ねえ兄貴、一杯飲んだら先に行こうよと言い出したので、今日はもうおしまいだと牧は答える。

いけねえよ、それじゃ雇い主への義理が立たないと言いながら、辰とカネはカクテルを飲み干す。

牧もエミがグラスを口元に持っていったので、中身を飲むとすぐに眠ってしまう。

その頃、次郎の家にやってきた崑松が、ここがお前のねぐらか?と聞くと、ここの二階だと次郎は教える。

2階へ上がるとベッドがあり、ここなんで、兄貴良かったらず〜っと奥まで…と次郎は勧める。

ず〜っと奥までって、一間しかあらへんと崑松が突っ込むと、ここが兄貴の寝場所ですと次郎が言うんで、生意気にベッドに寝て嫌がるんだなと崑松は感心する。

お前が頼むんやったらな、用心棒代わりに寝てやってもええでと崑松は言う。

すると次郎は、用心棒代ですといい、また耳の穴から100円を出したので、また100円か、負けとったるわと崑松が言うので、ありがとうございますと次郎は礼を言う。

いや〜、これで今日は515円になったちゅうわけやなと嬉しそうに、崑松は自分の財布に百円玉を入れ、全部足したら…と言いながら、小さいそろばんを出し、4213円かと自分の全財産を把握する。

手帳にそれを記入しながら、もう時期やな200万!と崑松が言うので、えっ?200万?と次郎は驚く。

200万できたらな、薬屋開こう思うとるねん、そこで毛生え薬売ったろう思うねんと崑松は言う。

そういやあ、兄貴、ハゲ…と言いながら、次郎が崑松の側頭部を覗こうとしたので、ハゲ見るな!触っていかんて!あかんちゅうねん、このガキは!殺すぞ、こいつ!と崑松は嫌がる。

わしな大阪の土俵街で薬問屋でな、丁稚やってたんと崑松は打ち明ける。

そこに頭のあげた厳しい番頭がおってな…と崑松は思い出す

(回想)丁稚だって〜、丁稚だって〜。夢があるんだ、丁稚だって〜

と、正露丸や七ふくの箱がつまれた薬丼やで働く崑松。

そこにハゲの番頭がやってきて、この薬何じゃい?と聞くので、これは有名な「七(なな)ふく」いう薬だす、旦那…と崑松が答えると、アホ!便秘の薬「七(7)ふく」と教える。

あ、これだっか「七服」って、飲みはったら、肌が綺麗になるってと崑松が言うと、よう知ってるやないかと番頭は褒める。

知ってまんよと崑松が答えると、じゃあこれ何?と番頭が別の箱を見せたので、有名な「まさつゆまる」と答えたので、アホ!ラッパのマークの強力「正露丸」と番頭は教え、言うてみいと叱るので、その「がん」と崑松は答えたので、アホ!と言われ、番頭から頭を叩かれる。

なんでもアホ、アホって…、ちょっとは丁稚可愛がること考えい!と崑松はぼやき、あいた!と遅れて気づく。

気つけな…と独り言を言っていた崑松は、あ、落ちてる!と床に落ちていた100円札を拾い上げ、百円拾た!と飛び上がって喜ぶが、そこに戻ってきた番頭が、何隠してると言うので、後ろ手に隠した百円を番頭が探ろうとし、持ってる!と言うので、持ってしません、持ってる!と言うので、持ってしませんと繰り返し、番頭が持ってしませんと言うと、持ってると言いながら百円札を差し出すのだった。

番頭は、泥棒!と言いながら、崑松を捕まえるとハゲをいじる拷問を始める。

(回想明け)けどな、お店首やと崑松は打ち明ける。

次郎は瓶牛乳を飲みながら頷く。

そやけど国のお母はん、首を長うして一人前になるの待っとるしな、早う店持ちたいし、ゼニいるやろ、それで殺し屋やってるねんと崑松が打ち明けたので、そうかい、そうかい、世の中にはい

牛乳でも飲めよと次郎が勧めると、大きに…と受け取った崑松だったが、こら、こくらすぞ!こいつ…、ワテが兄貴分宿、どない思ってんねん?態度改いと言いながら、ベッドに腰掛けると瓶牛乳を飲み始める。

急に正座して恐縮した次郎に、牛乳瓶の蓋を口に入れてしまったことに気づき、取り出して日付を改め、今日水曜日か?と崑松が聞くので、金曜日なんで、兄いと次郎は答える。

一昨日のやつ飲ましとる!と崑松は蓋を投げ捨てながら、口の中を舌で改める。

五光会事務所に、龍と鉄と共に残っていた井川は、社長!と部下がやってきたので、来たか、城北と石辺さんと聞くが、いえ、お帰りの車が参りましたと言うので、車か!とがっかりする。

ボディガード役の2人の殺し屋と、自宅に帰った井川だったが、門のところで、、龍(島村謙次)と鉄(本目雅昭)と共に射殺されてしまう。

井川の死体には、2つにちぎられたスペードの2のカードが殺し屋によって置かれる。

なんだと、眠っておった?と桜田は、井川をむざむざ殺された失態を犯した牧を叱りつける。

すみませんと詫びる巻に、3人揃ってか?と雲井も聴く。

カクテル飲んだら急に…とカネが言うので、だから言ったのにとチビが注意し、おおよその見当はついてます、この始末は俺一人が責任を持って…と牧が言うが、その間に、俺たち仲間が一人、お前たち仲間が三人減ったと雲井がいう。

次は…、次は俺の番だ、頼む!俺を守ってくれよと岸田が言うので、残った6人の殺し屋の中で、へい、必ず…と辰が代表して答える。

お前たちは何しておったんだと桜田から聞かれたチビは、テレビを見てたんですよ、「アンタッチャブル」をね、ひょっとしたらその中にジョーが出てるんじゃないかと思ってねというと、私ね、海で泳いでいる人の足の裏を…と中国人訛りの陳(長弘)が答え、私は陸で、お風呂に入っている人の足を…とエンマ(村上和也)がいうと、2人で一生懸命探してたねと陳がまとめて答える。

その時、1人足りないようだが…と雲井が指摘する。

仲間たちを見たカネが、崑松かと気づく。

その頃崑松は、次郎のために銃の腕前を披露していた。

まず0.5秒の早撃ちやと言うと、スーツの上からつけたガンベルトの銃を抜いて、的として並べていたビール瓶を打つが、見事割れたので、撃った崑松自身が驚いていた。

どんなもんやと崑松は自慢し、今度はお前の番や、怖がらずにやってみいやと次郎に撃たせるる。

次郎は、ガンベルトにさせた銃をとると、ジャグリングをやってみせ、あっさりビール瓶を撃ち抜いたので、崑松はメガネを鼻の下部に落として驚愕する。

まぐれだ、兄いと次郎は謙遜する。

そらそうやろ、けどお前ええ筋しとるでと崑松は褒め、やってみい!と勧めると、次郎は並べたビール瓶を全部命中させたので、また崑松のメガネが落ちる。

その頃、安西の事務所には新しい殺し屋が集まっていた。

俺の名はマドロスの銀(佐々十郎)っていうんだと自己紹介し、パイプ型の銃で電話のダイヤルを119を回してみせたので、安西は驚く。

すると消防車のサイレン音が聞こえたので、そら来た、真面目な奴ちゃと銀は得意顔になる。

続いて立ち上がったのは国定の重治(由利徹)で、赤城の山も今宵の限り…とズーズー弁でいうと、仕込み杖を抜いてみせ、こちらは…と次の殺し屋を006(E・H・エリック)、007の兄貴分だと紹介する。

006は洗濯バサミで自分の鼻を挟むと、持っていたアタッシュケースから笑気ガスを発射したので、事務所にいた全員が笑い出す。

そしてアタッシュケースを開けると、中にはボウリングのピン型の手榴弾が詰まっていた。

おしまいはポケットのモンキー(佐山俊二)、ポケット撃ちの名人だよとギンガ紹介する。

モンキーは手をズボンのポケットに入れたまま発砲し、壁にかけた油絵の位置ぞずらせてみせるが、ズボンが脱げてパンツ姿になったので、安西たちは苦笑する。

ピストルがちょっと重すぎちゃったよとモンキーはいうが、仲間たちも笑っていた。

事務所の壁には五光会側の殺し屋の名前が列記してあり、ゴンと龍と鉄の名前の上にはばつ印が付けられていた。

俺たちはね、人呼んで「殺し屋のカルテット」だと銀が伝える。

安西は、面白え、雇おうと答える。

で、俺たちの仕事は?と銀河聞くと、安西はあれを見なと壁にある名簿を指差す。

そのばつ印を増やしてもらいてえと安西が言うので、ばつ印は道路工事中ですか?と重治がボケたので、バカ!あれは殺しの結果だよと銀が教える。

そうだ、まずはハイネの牧からだと安西は指示する。

「BAR ジョーカー」では、エミがカクテル用のシェーカーに薬を混入していた。

誰?と突然の客に振り向いたエミは、なんだ、あんたかと油断し、まだ店開いてないのよというが、牧がカウンターに銃を置いたので、」まあ怖い、何の真似というので、白状するんだ、昨夜、眠り薬入れたのお前だろう!と牧は迫る。

なんのお話?とエミが答えると、しらばっくれるんじゃないと牧の表情は厳しかった。

お前一人しかチャンスはなかったはずだ、女をやるのは嫌いだが、このままでは兄貴分として他の仲間に対して申し訳が立たないと牧は追求するので、証拠でもあって?とエミは反論する。

しかし牧は、殺し屋には証拠なんていらないんだと凄む。

そう、いいわ、私潔白だけど、どうしても殺したいのなら、どうせ死にたいと思っていたから…とエミが言い出したので、え?どうして死にたいのと牧が聞くと、美人薄命っていうでしょうとエミがいうんで牧は驚く。

ね、殺して!あんたなら殺されても本物よなどとエミがいい、でも同じ死ぬなら自分の部屋の方が良いわと打ち明け、ね、一緒なパートに来てと頼むので、牧は思わず行くよと答えてしまう。

その頃、五光会の室内では、カネがピッチングの練習をしながら、遅いね、兄貴は…、心配だぜ、あの兄貴は…、男には強いが女には弱いからなとぼやいていると、チビが2階から降りてきて、ONの兄い、僕とポーカーしない?と誘うが、だめだ、もうちょっとでダブルヘッダーの第一試合が始まる時間だとカネが断ると、そうか…とがっかりし、包丁の兄い、しない?ときくが、今忙しいんだ、今夜こそ岸田さんを守らなきゃ俺たち殺し屋の義務に反すらあと辰はいう。

チビがよく切れそうだねと、辰の包丁を褒めると、当たり前よと辰は自慢するが、お願いだから、これで僕のためにメダカの刺身切ってよとチビはいう。

すると、何!刺身!それだけは言ってくれるなと辰が狼狽したので、どうしたの、包丁?とカネが聞くと、辰は、俺は二年前まで板前をやっていたんだと語り出す。

(回想)生きている鯉を前に、怖くて包丁が下ろせなかった辰に、親方が、何ぐずぐずしてやがるんだ!てめえ板前のくせに魚一匹殺せねえのかよと馬鹿にされていた。

辰は勘弁しておくんなせい親方!これは魚が怒ってるんですよ、あっしはね、魚は見るのも嫌いなんですというので、良し、今日限り旅に出なと親方が言う。

たびに?とたつが不思議がると、魚が殺せるようになるまでは、ここの敷居を跨ぐんじゃねえと親方は言い渡す。

(回想明け)それで俺は魚を殺せるようになるために、まず人を殺そうと決心したのだとたつが言うので、聞いていたチビは変な板前と突っ込む。

五光会ビルの外に立っていた崑松に、若い女性が近づいてきて、崑松のお兄さん、ハイネさんに渡してもらいたいのと言って封筒を手渡してきたので、ラブレター?と聞くと、そうよ、だからくれぐれも開けないでねと女性は頼無の絵、でもこれ切って貼ってないな?と崑松が指摘し、10円くれよとせがむ。

チビはその頃、一人二役でポーカーゲームをしていた。

そこにやってきた崑松が、おいチビよ、ハイネはいるか?と聞くと、知らんというので、知らんかったら10円くれと崑松がねだったので、チビは驚く。

そのハイネの牧は、エミの部屋で彼女の手を握り興奮していた。

牧はエミの体を抱きしめると、熱い恋だな〜などとすっかりエミの魔力に取り憑かれてしまっていた。

僕はもう少し信じたいな〜と牧は笑みを抱きながら満面の笑みだったが、その姿を鍵穴からのぞいているものがいた。

ギターの殺し屋だった。

彼はギターの中に仕込んでいた銃を取り出す。

さ、気分を出してもう一度!と両手を広げてエミを抱擁してキスしかけた牧だったが、腕時計がなったので、いけない、美代の時間だというと、僕は毎日この時間になると、美代のためにお祈りしてるんだというと、跪いて十字を切り始める。

その時、ドアの隙間から銃口が狙う。

エミはテーブルに置かれていたハイネの詩集を取り上げ、中の詩を読み始める。

「僕はまた恐ろしさ忘れた…」

その時、銃声が響き、ドアからね立っていた銃が落ちる。

誰だ!と牧が叫び、ドアの外に飛び出すが、そこにはもう誰もいなかった。

どうしたのハイネ?と聞くエミに、エミ、ありがとう、助けてくれたね、僕は君を全然信じるよと牧は感謝して帰ってゆく。

笑みは悔しがりながら、ドアの影に身を隠していたサブに、バカ!と怒鳴りつける。

五光会ビルに戻ってきた牧の眼前に包丁が突き刺さったので、マキは驚くが、すまねえ兄貴、手元が震えちゃったなと辰は弁解する。

脅かすなよと叱った牧だったが、包丁、やっぱりあの女潔白だったぜと報告する。

そんなバカなと辰は疑うが、いや、悪い奴はないんだよと牧は主張する。

そこにチビと崑松が降りてきて、あ、兄貴、お帰りやったですか?と聞くので、お前たち、どこ行ってたんだと牧は聞くと、崑松とポーカーやってたんですとチビが打ち明ける。

その時、崑松が、兄貴にラブレターが来てたんですと封筒を差し出す。

ラブレター?とマキは怪しむが、崑松は配達料10円と要求する。

牧が胸ポケットから出した10円を渡し、封筒を受け取ると、誰からです?と辰が聞く。

「今夜9時は鳥羽で待ってます、1対1でお会いしたい」と中の手紙には書かれてあったので、え〜っ、うまいことやってるねえとチビが横から冷やかす。

「スペードのジョー」と最後に書かれた送り手の名前を呼んだので、その場にいた全員が驚くが、崑松だけ、ちょっと反応がずれただけだった。

その頃、カネは、スポーツ用品店のテレビで長嶋の中継を見ていたが、うっかり、自分の仕込みバットを、普通のバット置き場においてしまう。

しかし長嶋は三振で、続く王も三振で、ブラウン管には「強力正露丸」のテロップが出る。

馬鹿野郎!俺だったらな〜と、カネは自分が野球場で打つところを妄想する。

(回想)カネの打ったボールは、アドバルーンの風船に命中し爆発してしまい。

次の日のスポーツ紙には「超一流選手出現!」「凡高の金川」「高校球界」「投げて打って」「完全試合、呼んだ席三振」などという文字が踊っている。

スポーツカーをはじめ、電化製品など、数々の贈答品に埋もれたカネが、各球団のスカウトたちから契約金を提示されていた。

1億?1億5000!もっと上!などと言う数字が飛び交う中、さらに母さんをと言ったスカウトは、美人の花嫁姿の写真を見せてくる。

しかし、それらを全部断ったカネは、僕はジャイアンツに入りたいんだと希望を言う。

そこに、葉巻を持った重役風の男がやってなんだかて、みなさん、待ってくださいと制止すると、我が大日本プロ野球連盟としては、なんだ金川くんのプロ入りを禁止しましたと言い出したので、山川自身、禁止?!と驚く。

それを聞いた両親や近所の連中は、金の卵はパーですななどと騒ぎ出す。

君の入ったチームは必ず勝つ!それは野球が面白くない、わかる?みなさん、どうぞお引き取りくださいとスカウトや記者連中に連盟の男が言うので、みんな自分が提供した景品を持って帰ってゆく。

ちょっと待て!と必死に帰っていくスカウトを止めた金川は、1円でどうでしょうと交渉するが、ファンには勝て魔百万んからねと言われ逃げられてしまう。

茫然自失になった金川は、俺から野球を取ったら何が残るんだ…と考える。

よ〜し、せめてランナー殺せなくなった代わりに、人を殺す!と決意する。

(回想明け)スポーツ店にいた金を探し当てたのは辰で、来たんだよ、ハイネの兄貴のところにスペードのジョーから…と辰は教える。

ハイネの兄貴1人やったんじゃ俺たちの義理が立たないとたつが言うと、よ〜し、行こう、いよいよ試合開始だと言い、カネはテレビ画面を見ながらバット置き場からバットを抜いて店を出る。

しかしそれはカネのバットではない普通のバットだった。

波止場にはポケットのモンキーが「殺し屋のカルテット」仲間に近づいてきて、来たようだぜと報告する。

待機していた重治、銀、006は、モンキーと共に一斉に動き出す。

そこに1人やってきたハイネの牧は、ジョーはどこだと聞く。

ジョーはまだ来ねえと重治が答えたので、何!と牧は警戒する。

ペテンよ、ペテンだったのよと006はいい、騙されて、一人でノコノコきたがったなとモンキーがあざける。

そこに、お〜い!兄貴〜とやってきたのは、崑松、重治、辰、カネらで、兄貴のピンチ、ベンチで見ているわけにはいかねえぜと言い、牧に合流する。

こんなことだと思ったぜ、全く仁義を知らねえやろうどもだと辰が憤慨する。

ちくしょう、こうなったら皆殺しだ!と銀がいうと、まずは重治が、崑の字、俺が相手だと前に出る。

カネの相手はモンキーになる。

ユー、クッキングナイフ、ユーはミーと辰を傘でさし示してきたのは006だった。

なんだそのクッキングナイフというのは?と辰が聞くと、ジャパニーズ包丁!と006は答える。

ハイネ、良いな?と近づいたのは銀だった。

それ!という合図で、それぞれ場所を移動する。

桟橋で決闘のように反対方向に歩いて距離を取った後、振り返って発砲した銀だったが、牧の持ったハイネの詩集が突然発砲し、銀はパイプがた銃を落としてしまう。

ざまあみやがれ、どうやら勝負は決まったようだな?と牧は近づく。

何?と銀は警戒するが、花の命は短くて、苦しみことのみ多かりき…、マドロスよ海へ去りぬ…といいながら詩集のページを開きかけた牧だったが、銀は待て!打たないでくれよと銀は命乞いをする。

殺し屋にはやらなければならぬ辛い定めがあるんだと言った巻だったが、そん時、腕時計のアズがなったので、美代!と言いながら牧は空を仰ぎ、胸の前で十字を切り始める。

その隙に落としたパイプ型銃を拾おうとした銀だったが、牧の靴がそのパイプを踏みつける。

銀は、牧の革靴を服真似をして愛想笑いをする。

行くぜと牧が構え直すと、待ってくれ!一つ、一つだけ俺の頼みを聞いてくれと銀はいう。

何だ?と聞くと、俺が死んだらな、この金を俺の美代ちゃんのところへ送ってくれよと言いながら、銀は自分のズボンの後ろから札束を取り出してきたので、美代ちゃん?どこの美代ちゃんと聞くと、隣の美代ちゃん、俺の許嫁なんだと銀はいう。

お前恋人がいるのか?と牧は気にし始め、何もしてやれなかったんだ、せめてこの金で持って幸せになってくれと言ってくれと銀が言うので、牧は詩集のページを開き、銀の足元に向けて発砲し、飛び上がった銀はそばに浮かんでいたボートの操縦席にハマり、さらに牧の発砲でボートと桟橋を渓流していた鎖を切り、ボートの発進スイッチも押したので、銀はボートに乗ったまま桟橋から遠ざかってゆく。

海の彼方の空遠く、幸い住むと人の言う、君、死にたまうことなかれ…と、遠ざかってゆくボートを見送りながら、また牧は詩を暗唱するのだった。

辰と006は互いにナイフを使って攻めるが、006は傘で防ぎ、さらにアタッシュケースから発射した笑気ガスを自分も吸ってしまったので、2人とも笑いながら戦うことになる。

途中から006は洗濯バサミで自分の鼻を摘んだためシリアスな顔になるが、辰も真似て、自分の鼻を指で摘んで戦い始める。

辰は006の体に馬乗りになり、さあ、料理してやるぜと言いながら、包丁を咥え、相手のシャツの胸元をはだけるが、そこに鯉の刺青が入っていたので、魚怖い!と言いながら腰を抜かしてしまう。

それを知った006は、魚怖い?弱虫!と嘲りながら逃げ去ってゆく。

カマキリ拳法のようなポーズを取る崑松と重治は、ネズミが多い米俵が積まれた倉庫内で戦っていた。

重治は、赤城の山もお前の命も、今宵をかぎりに…とセリフを言い出すが、聞いていた崑松はだんだん飽きてきて、茶々を入れたりするが、やがて重治はナギタタのような武器を取り出す。

崑松はそれをひらりひらりと八艘飛びのようにかわし、弁慶と牛若丸の戦いのようになる。

そのうち、重治の薙刀が引っかかってしまい使い物にならなくなったので、重治は拳銃を、崑松はそろばんを取り出し、放り投げた空中で爆発したので、2階に置いてあった米俵の米が重治に降り注ぎ始める。

重治はこの攻撃には参ったようで、両手をあげて命だけは許してちょうだい、銭をやるからと言い出したので、なんぼくれるんねんと崑松を小さな算盤を取り出す。

互いにそろばん上で金額を探っていき、最終的な妥協金額が出たので、二人は互いに手を打ってしめる。

一方、ONのカネは、仕込みバットと思っていたバットが普通のバットであることに気づき焦っていた。

ポケットのモンキーも、ほないくで!と言ったものの、拳銃を仕込んだズボンがずり下がっていたのでモタモタする。

やがてポケット打ちを始めるが、カネはその銃弾をバットで打ち返し始める。

そのうち、モンキーの弾が尽きてしまったので、近くに止めてあった晩の周囲で互いに取っ組み合いになる。

車の屋根の上や車内で揉み合うが、そのはずみで車内のラジオのスイッチが入り、ジャイアンツが勝っているとの野球放送が流れたので、互いに嬉しそうに休戦する。

ファンなの?とカネが聞くと、ファンも何も私の名前が坂崎というくらいとモンキーが言うので、馬鹿野郎!坂崎は出ちゃったじゃねえか!と怒ったカネは、モンキーをぶっ飛ばしたので、私も出ちゃったとモンキーは車の外でぼやく。

この波止場での勝負の結果を知った安西は、何?四人ともずらかった!と驚く。

ええ、マドロスの銀は海へ、他の三人も確かに街を出ましたとサブが報告する。

それを聞いていたイノが、それ見ろ親父、流れ者なんて何人雇ったって頼りにならねえという。

その時、右手に包帯をしたサブに気づいた六が、サブ、その手はどうしたんだと聞いたので、ハイネの奴を仕留めて幹部に昇級しようとしたんですが、お嬢さんに…と口走ったので、何!エミに撃たれたのか?と安西は気色ばむ。

それを聞いた六は、親父、やっぱりエミの奴はと口出ししたので、しようがねえ娘だ、親に似ない鬼っ子だと安西は怒る。

その時、親父、いっそのこと…と言いながらアンプルを差し出したので、もう一回だけチャンスを与えてやろうと、アンプルを受け取った安西はいうと、サブ、これをエミに渡してくれ、これで殺し屋たちを必ず眠らせろってと指示する。

アンプルの名前を見たサブは、「ウルトラコロリ」という薬品名を読んで驚く。

いうんだ、もしできねえ場合は、このイノが仕置きをするってとイノがサブに伝える。

六は、妹だぜ兄貴と忠告するが、妹だろうがなんだろうが、心掛けの悪い奴は生かしとくわけにはいかねえとイノが言うので、さすが跡取りのイノだ、六、少しは兄さんの悪いところを見習わなくちゃいけねえと説教する。

その頃、五光会では、岸田がボディーガード役の陳とエンマを伴い、安全な場所へ移動しようとエレベーター前に来ていた。

誰もいないな?と確認すると、陳がいないねと答えた次の瞬間、エレベーターのドアが開き、中に乗っていた殺し屋が目の前の岸田と陳とエンマをあっという間に射殺してしまう。

殺し屋は、死んだ岸田の体に、二つに切り裂いた「スペードの3」のカードを置いてゆく。

それに気づいた部下が、大変だ、岸田さんが!と知らせたので、桜田も驚いて廊下に飛び出し、雲井も現場に駆けつけ、死んでいる!と驚く。

桜田と雲井は、集まってきた殺し屋たちを土下座させ、なんてことだ、一度ならず二度までも!と怒鳴りつけ、雲井も、そうだ!そうでありますと桜田には丁寧な口調で抗議する。

次は俺の番だ!と桜田が指摘したので、殺し屋たちは恐縮する。

バカ!なんとかジョーを…と桜田が言うので、今度こそ指一本!命をかけて!と牧と辰が約束する。

その時雲井が、いかがでしょう?海岸の別荘にお移りになっては?と提案したんで、岸田は、う〜ん、あそこなら絶対だなと納得するが、しかし道中は危険だと指摘する。

ご心配要りません、わてらでお守りいたしますと崑松が言い出し、牧が包丁の辰とONのカネに、ボディガードの位置につけ!と命じる。

辰とカネが桜田の両脇に立ったので、後ろは?と桜田が聞くと、わてですと崑松が背後に回る。

前は?と桜田が聞くと、チビが先頭に出るが、ガラ空きじゃないかと桜田は不満を言うので、じゃあ俺が…と牧がせんとうにたつ。

上は?と桜田が言うので、任しといて!と発言したチビを肩車することになる。

その体制のまま桜田は車に乗り込み出発するが、チビだけが残されてしまい、後部トランクに乗っていた崑松が、追いかけてくるチビを慌てて手招く。

チビは結局車に乗り損ね、その場にしゃがみ込んで赤ん坊のように泣き始める。

別荘に到着した桜田は、檻がついた部屋の鍵を崑松から受け取ると、中にはいる。

牢のようになった寝室のベッドを確認していた崑松は、ここでよう寝れまっさとはしゃぐので、桜田が蹴飛ばす。

俺はこの前で見張ると牧が言い、包丁は庭だと指示すると、後の2人は街へ出てジョーを探すと言い渡す。

崑松は、ウエストアンドイースト、良いな?とマキが指示し、ONは…と言いかけるが、俺はセントラル区域だとカネの方から言い出す。

街に出て靴磨きの真似を始めたカネは、客に券を渡し、それに何も書いてないと当たりだといい、靴と靴下を脱がせて足の裏を観察し出す。

いねえな?怪しい奴はみんな当選なんだとカネはつぶやく。

一方、チビはマンホールの下に隠れ、釘を多数打ちつけた剣山のようなもの道路に置き、それを踏みつけて靴を脱いだ通行人の足裏を監視していた。

しかし、女性がハイヒールで踏むと、足裏よりもスカートの中が見えてしまうので、チビは自分で目を覆う。

セントラル娯楽センターにやって来た崑松は、ビル内を監視し始めるが、風俗嬢らしき二人を呼び止め、足の裏にホクロがある奴を知らんかときくが、知らないという。

その時、あるで、ワイや!と言う声が聞こえたので、扉のガラス窓から中を覗いた崑松は、トルコ風呂に入っている忍びの寛太(藤山寛美)を発見する。

中に入った崑松は、お前あるのか?と聞くと、俺は右も左もあるわと寛太はいう。

崑松はスチーム機械の中を覗こうとするが、トルコ嬢からダメですと止められる。

あんたちょっときっけどなジョーって知ってるか?と崑松が聞くと、なんで知ってるのや?と言うので、スペードのジョーか?と聞くと、ワイはダイヤのジョーやと寛太は答える。

菱形け?と崑松が確認すると、けどな、足の裏にホクロのあるジョーって男、もう一人知ってるよと言うので、どこにおるんやと聞くと、3階の玉突き場やという。

3階にはクラブ型をしたビリヤード台で玉突きをしているグループがいた。

おい、足の裏にホクロのあるジョーってやつおるか?とやってきた崑松が聞くと、振り向いた僕ですが?と答えたのは学生服姿の寛太そっくりの男だった。

あんたスペードのジョーかと聞くと、いいえ、僕はクローバーのジョーですという。

クローバーか?とがっかりする崑松だったが、足の裏にホクロのあるジョーってのは知ってますけどねとクローバーのジョーが言うので、どこにおると聞くと、もう一階下のパチンコ屋!と崑松の耳元で大声で言う。

パチンコ屋に来ると、足の裏にホクロのある男ですか?と振り向いたのは寛太そっくりの日本髪に着物のオカマだった。

あんたスペードのジョーかと聞くと、ハートのジョーやねんと崑松の耳元で答え、もう一階下の射的屋にいるわよと教える。

ダイヤ、クローバー、ハートと指を折った崑松は、次こそほんまもんやと喜んで、オカマの胸元を覗こうとするとないのと言う。

射的場でおもちゃのライフルを使っていた男に、こらっ、お前、スペードのジョーやな?と崑松が詰め寄ると、ジョー?ジョーやったらどうやって言うんや?と反抗的な態度だったので、そろばんを取り出し、こうするんや!と言いかけた崑松だったが、そこにやってきた自リウがそのそろばんを掴み、兄貴、こいつはスペードじゃないぜと忠告する。

するとその男は、そうや、俺はスペースのジョーやと答えたので、崑松はまだスペースがあったんかと驚く。

兄貴、こいつは忍びの寛太と言って、化けるのがうまい、兄貴と同業の殺し屋なんだと次郎は説明する。

へえ、あんた、忍びの寛太言うんか?と崑松は急に親近感を抱く。

一度この人の車を修理したことがあってなと次郎がいう。

そうなんやと言いながら、札束を取り出した寛太だったが、別のポケットから出した50円だけ崑松に渡したので、あんたおもろい奴やなと崑松はすっかり気にいる。

そして崑松は外に出ていく。

崑松害なくなると、寛太は会いたかったぜと次郎に話しかけ、お前どうしてこのお街に来たんだと次郎もおもちゃのライフルに弾を込めながら聞き返す。

兄貴おるんで手伝おう思うて、なんや暴れてるんやな?と寛太が聞くと、あれは俺じゃねえ、俺は堅気だと次郎が否定する。

外では、サブの車から降りたらしいエミからハンカチを受け取った崑松が、これ吸ったら10円くれますの?と聞き、ほな吸いますわと言って、ハンカチの匂いを嗅いでいた。

するとすぐに崑松は気を失ったので、その体を支えた笑みは、運んでと運転席にいたサブに指示する。

サブは車の後部座席に崑松を乗せると走り出す。

その側にいた次郎が、ようエミさんと声をかけ、どこに行くんだいと聞くと、お買い物とエミは答える。

そいつは残念だなとジョーがいうと、どうして?とエミが聞く。

いやね、もし暇だったら、俺の部屋に誘おうと思ったんだよと次郎は言うと、次郎さんの?待って!といい、エミは後についていく。

次郎が修理工場の2階の部屋に連れてくると、エミは物珍しがる。

汚いところだけど、ずーっと奥まで入ってくださいと次郎が勧めると、私、お掃除してあげるわと言いながらエミは上がり込む。

良いんだ、そんなことしなくても…と言いながらその後に上がり込んだ次郎は、いきなりエミの頬を叩いてベッドに倒すと、さあ言え!崑松の兄貴をどこにやったんだ?と聞く。

崑松さんって?とエミが聞くと、また次郎は頬を叩き、しらばっくれるんじゃねえ、ヤクのエミさんが知らないわけがないだろう?と次郎は迫り、えみのハンドバッグを壁に投げつける。

すると、バッグの中身がベッドに散らばるが、たくさんの薬が入っていた。

あなたは私のことを…とエミが聞くと、どこへやったんだ!とまた次郎はえみに掴みかかったので、話してよ言うから…と言いながら、エミはアンプルを取り出し飲もうとしたので、次郎が素早くそれを奪取する。

素性がバレたら自分で死ねと安西の親父さんに言われたのか?と次郎は笑い、死ぬなんてもうすこしマシナ奴がする事だぜと揶揄う。

俺もそう偉そうな口は聞けないけどね…と自嘲した次郎は、ポンコツの車だって修理すればちゃんと走れる車になるんだ、中身まで腐ってたんじゃ、生きてても死んでも同じだぜと言い聞かせる。

するとエミは、私でも治るかしら…と呟いたので、そいつはお前の心がけ次第だな、薬だって、使いようによっちゃ、毒薬にも特効薬にもなるんだと次郎はいい出かけようとしたので、次郎さん待って、父さんのところに行くのね?とエミは追い縋る。

しかし次郎は、それはそんなやばい真似はしねえよと言いながら、アンプルの中の薬を全部こぼす。

嘘!やめてとエミが言うので、どうして辞めるんだ?と次郎が聞くと、好きなのね…とエミが答えたので、次郎は笑い出し、そんな言葉もポンコツのうちはみんな嘘に聞こえるぜと指摘する。

次郎が出ていった後、エミは泣き出す。

崑松は目むったまま安西の事務所で椅子に縛られていた。

イノが、親父、どうする、この男、やっぱりエミにやらせますか?と聞く。

すると銃を取り出した六が、俺がやろう、エミの奴が殺せねえで運んだところを見ると、兄貴の俺にやらせようとする兄弟愛かも知れねえからなという。

そのパッセンジャーズ機、ねえ親分と立ち上がった見慣れない男チヨコ(左とん平)がいたので、何だ、お前は?と安西が聞くと、新入りでさあ、殺し屋志願だとイノが紹介する。

するとチヨコは、トレーニングのつもりでやらせてもらえませんかというと、急にボクシングの真似をし始める。

その胸を突き、ニューフェイスは引っ込んでろと言った六に、チヨコは不敵な笑みで、俺は人をやりたくて仕方ねえんだよと言うので、良し!やらしてやろうと安西は決める。

え?この男に?と六は驚くが、何事も経験だ、新人は大事に育てなくてはいけないと安西はいう。

さすが親分、話がわかるぜといったチヨコは銃を取り出すが、扱い方が危なっかしかった。

チヨコが崑松に狙いを定めると、突然、崑松が寝言を言ったので驚く。

その時、電話がかかってきたので、録画受話器を取って、安西の耳につける。

俺だ、安西だと答えた安西だが、なんだお前かと笑みを浮かべるが、え?この男と言う。

そうよ、その男を囮にして他の仲間を誘き寄せるのよ、だからそれまで殺さないで!とエミは公衆電話から電話をする。

うん、なるほどそう言う考えか、よしわかったと答えた安西は、今度こそ本当に行きますぜと銃を構え直したチヨコに、待ちな!と声をかけこの男はやらないという。

それを聞いたイノは、親父、どうして?と聞くので、こいつは囮だと教える。

それを聞いたチヨコが、こいつ踊るんですか?と聞いたので、踊りじゃねえ、カモっていうことだと安西が教えると、あ、鍋にするんだとチヨコはボケ倒す。

別荘の庭で監視していたカネは、足音が聞こえたので、誰だ!と警戒するが、姿を見せたのは杖をついた雲井だったので、なんだあんただったんですかと油断する。

桜田のボスに用があって来たんだというので、入ってくだせえと勧めたカネだったが、ジョーはまだ見つからねえ…と言いかけた雲井は急にすくみ、背中に何か…と言い出したので、カネは雲井の背中を見る。

そこには「崑松ってヤローを捕まえたぜ。返して欲しけりゃ五光ホテルの408号室まで取りに来い。 スペードのジョー」と書かれた紙が貼られていた。

それを引きちぎったカネが出かけようとしたので、あんたどこへ行くんだ?と雲井が聞くと、崑松の野郎を助けにだ、俺が見捨てておかりょうか、ただし、兄貴には内緒だぜ!と言い残し、持ち場を離れて行ってしまう。

それを見送った雲井は、恐ろしい、南無阿弥陀仏…などと念仏を唱えるが、別荘の中では桜田が高い引きでベッドで熟睡していたので、詩を読んでいた牧は、寝る子は育つか…などと、檻の外の廊下でそれを見守っていた。

そんな牧が廊下の椅子に腰を下ろした瞬間、銃声が響いたので、牧は驚いて立ち上がり、寝ていた桜田も目を覚まし、どこへ行くんだ?と聞く。

包丁がやられたかも知れないんでと言い、牧はその場を離れてしまう。

ベッドから起き上がった桜田は、ズボンのポケットから二丁拳銃を取り出し警戒する。

外に出た牧は、補聴!どこかと呼びかけ、様子を見に庭の方へ向かう。

その隙に雲井が別荘の中に侵入する。

庭先で包丁を探していた牧は、別荘の入り口前にいたエミを発見する。

エミは牧に気づくと、ハイネさん!と呼びかけたので、何だエミさんかと油断する。

駆け寄ってきたエミは、あなたに会いにきたのよ、大変よ、崑松さんが捕まって、包丁さんとONさんも誘き出されたのよ、五光ホテルの408号室、私見つかったら殺されると言う。

その時、別荘内から銃声が響いたので、しまった!と焦った牧に気づいたエミは、どうしたの?と聞く。

見ると、入り口から雲井が慌てた様子で出てきて、誰かいねえか!と呼んだので、どうした?と言いながら牧が駆け寄ると、死んでる…、桜田のボスが死んでいる!と言うので、あっちか?と確認した牧は雲井とともに別荘内に入り込む。

すると、檻の扉が開いており、撃たれた桜田の死体の上に、「スペードの4」のカードが二つに引き裂かれて落ちていた。

雲井は一人で去っていく。

その頃、五光ホテルの408号室にきていた辰とカネは、誰もいないので、おかしいな?崑松なんてどこにもいねえじゃないかと首を傾げていた。

誰かいますか?とカネが呼びかけると、いますよと言いながら、銃を構えたサブや安西の子分が奥の部屋から出てくる。

辰とカネもバットと包丁を手にするが、動くんじゃねえと言いながら、別のドアから六や他の子分も銃を構えて入ってくると、手を挙げるんだ、まんまと引っかかりやがったなと嘲笑う。

罠だったことに気づいた辰とカネは畜生と呟く。

その時、銃声が響いたので、六はずらかれ!と呼びかけ、サブたちも一斉に部屋から逃げていく。

辰とカネは、それを見送るが、振り返ると、兄貴!ピンチだったぜと安堵する。

そこにいたのは駆けつけた牧だった。

牧はバカヤロウ!と怒鳴り、翌日、五光会本部では、雲井からちび、辰、カネ、牧の4人の殺し屋が同じように馬鹿野郎!と怒鳴られる。

とうとう俺一人になっちまったじゃねえか、すまねえで済むと思うか、バカヤロウ!と雲井の怒りは収まラズ、今日限りお前らは首だと宣言する。

帰れ!と雲井が言うので、帰れったって、まだあんたが残ってますぜと辰が指摘すると、俺は自分で守る!お前らといるとかえって殺されそうだなどと雲井はいう。

さあ、金をやるから帰ってくれといい、雲井はスーツの内ポケットから札束を取り出す。

カネが牧に、兄貴、どうする?と聞くと、いらねえとおっしゃるんだから帰ろうじゃないかと牧は答える。

それえ、辰とマキが札束を受け取って帰ろうとすると、誰かが来ていたので、誰だ!と雲井が誰何すると、入り口にいたのはサングラスにスーツ姿の次郎だった。

チビは、ああ、あんたかと気づくが、見覚えがない雲井は、誰だお前は?と聞く。

こいつは崑松の弟分で次郎って修理工だと牧が教える。

今下でこんなもん渡されたと言いながら封筒を見せ、雲井さんに渡してくれってと言いながら差し出す。

何だ?と言って受け取った雲井が中身を読むと、「今度はお前の番だ 今夜9時第三突堤で待つ 本当のジョーより」と書かれてあったので、雲井は驚く。

封筒には「スペードのA」のカードも同封されていた。

帰りますぜ、俺たちはと牧はいうが、待ってくれ!俺を守ってくれ、良いか!給料をあげないぞと雲井は命乞いをしてくる。

その後、明美に葉巻を持たせ、銭湯に浸かっていた安西に電話がかかっており、何だと。本当のスペードのジョーが現れた?そんなバカな話があるか!と安西は信じようとしなかった。

電話の相手は雲井で、助けてくれ、安西さん!あの4人がいなくなったらこの街は俺1人のものになる、あんたがそう言って教えてくれた。俺はその通りにやったんだ、な?助けてくれというので、とにかく今夜第三突堤に行くんだと安西は指示する。

一方、五光会本部では、次郎を交えた4人の殺し屋たちが、自分の武器の最終調整をしていた。

いよいよ本物の登場かというカネは、これぞまさしく大日本シリーズだなと言う。

チビが、兄貴、崑松ちゃんどうするの?と牧に聞くと、崑松の代わりにこの男が行きてえって言ってるんだと牧は答える。

じゃあ何かい、兄貴、みすみす仲間を見殺しにするつもりか?と辰が聞くので、仕方がない、これが殺し屋の辛い定めだ、第一、崑松の野郎ももう殺されてるかも知れねえんだと牧はいうと、崑松の兄貴は殺されちゃいねえよと次郎がいう。

驚いたように見つめる牧に対し、いや何、そういう気がするんでねと次郎はいう。

その言葉通り、安西組のロウに入れられていた崑松は、見張り役のチヨコと将棋を指していた。

村パッセンジャーズ木足音が聞こえてきたので、二人は将棋盤を隠すが、降りてきたのはイノで、ちょっと来いとチヨコを呼ぶ。

俺たちは出かける、だからあの男…とイノは地下牢の方を見ながらいうので、じゃあいよいよ…とチヨコは勘づく。

崑松は将棋盤をまた復活させ、何やったん?と上を指差したので、殺せっていう命令だよとチヨコが言うと、そんな殺生な、将棋の話と勘違いした崑松だったが、駒じゃねえ、お前だ、それじゃ行くぜとチヨコが立ち上がって銃を向けたので、お母ちゃん!死ぬのは嫌やと崑松は怯える。

銃声が響き、崑松は叫ぶが、チヨコが撃ったのは牢の鍵だった。

痛くない?と気づいた崑松に、今のうちに逃げるんだよ、みんな出かけているんだぜと扉を開けようとするチヨコ。

しかし、ちょっと待て!とそれを止めた崑松は、助け賃出せ、助け賃いくらだな?どと言い出す。

そんなもんいらねえよとチヨコは焦るが、待て、するとお前ワイをタダで出してくれるわけか?と崑松は聞く。

するとチヨコは、俺は次郎さんに頼まれてお前を助けにきたんだよと打ち明ける。

それを聞いた崑松は、待て!お前は次郎の身内か?と驚き、そうよと千代子が答えると、するとお前はワイの弟分ちゅうことやないかと崑松は言い出す。

すると千代子も、そういうことになるなと笑い出すが、盃代くれやと手を出した崑松に、これはあかんとガッカリする。

夜の第三突堤では、雲井とガード役の殺し屋が集まっており、牧が、遅いな、まだ来ないのかなと焦っていた。

約束の時間から30秒も過ぎてるぜとカネが言い、本当のジョーってやつも案外仁義を知らない野郎だなとぼやいていた。

今夜はドローンゲームかなとカネが諦めかけた時、それまで海の方を見ていた次郎が、ジョーならもう来てるぜというので、全員驚いて振り返る。

次郎は、雲井さん、白状したらどうなんだいと言い出したので、何だ!と雲井が聞きかえすと、ジョーの名を騙って仲間の4人を殺したことさと次郎はいう。

私が?バカな…、どういう証拠があって、そんな…と雲井は否定するが、下っ端のあんたのところに「スペードの5」が来たと聞いた時から、こいつはおかしいと思っていたんだと次郎はいう。

で、仲間の忍びの寛太って男に調べさせたのよと次郎はいう。

それを聞いていた牧は、そう言やあ雲井さん、あんた桜田さんが殺された時、あの別荘に…、空鉄砲撃って庭に抜け出したのはあんただ!と指摘する。

仲間をやるとは義理も人情もない野郎だと言いながら辰が懐の包丁を握りしめる。

義理も人情も?と繰り返した雲井は、いきなり大笑いし、良し、こうなったら言ってやる、確かに俺がやった!だが、義理も人情もねえのは死んだ4人の方だぜと雲井はいう。

軍から奪った隠匿物資を元手に俺たちはこの街へ来た…、今じゃこの街はほとんど五光会のものだ!

だが俺にくれたのは何だ?パチンコ屋だけだった!

兵隊の位が下だっただけで、雲井、雲井って手足のようにこき使いやがって…、俺は奴らを見返してやりたかったんだ!と雲井は杖を振り回して主張する。

で、ジョーの名を騙ったのか?本物が聞いたら、気悪くするぜと次郎は言う。

お前一体誰だ?と雲井が次郎に聞くと、須藤丈太郎だとサングラスを外した次郎は正体を明かす。

嘘だ…、嘘をつけ!と雲井は信じようとしない。

須藤丈太郎なんてはじめからいなかった、須藤班長の子供は女の子だったと雲井は言い出し、笑い出す。

だが「スペードのジョー」はいたぜと次郎は言い返す。

雲井が杖を次郎の方へ向けた瞬間、次郎の銃が火を吹く。

じゃあ、あんたが!と気づく牧。

次郎は、人呼んで「スペードのジョー」と打ち明ける。

辰とカネが身構えたので、地面に銃弾を打ち込んだ次郎ことジョーは、何するんだ!と驚いた牧に、ほら見ろと指差す。

その指の先に迫っていたのは、車から降りった安西一家の10人だった。

雲井はその方に駆け出し、安西さん、助けに来てくれた…と言いかけるが、あっという間に安西組とその子分たちから蜂の巣にされてしまう。

何しやがんだい!と倒れた雲井は虫の息で問いかけるが、オメエはどうせ死んでもらう予定だったんだ、大したこともできねえくせに…と安西が答える。

それを聞いた雲井は、ちくしょう…と言いながら生き絶える。

俺たち殺し屋でも悪党じゃないと、その様子を見た牧がいうと、そうだ、正義の殺し屋だいとカネも同調する。

辰も、ジョーさん、俺たちはあんたの味方だぜと言いながら、下駄の裏に隠した包丁を取ルト、安西組に向けてなげる。

それをきっかけにジョーこと次郎が発砲する。

敵は散開し、応戦してくる。

カネと牧も互いの武器で立ち向かう。

イノと二丁拳銃の六が、位置を移動してカネたちの背後に来る。

しかし、そのさらに背後に身を隠していた次郎が、イノと六を射止める。

振り返ってそれに気づくカネや牧たち。

辰も、横に迫っていた敵に包丁を投げつけ倒す。

安西は子分1人と車で逃げようとするが、背後から次郎が射殺する。

そこに車で駆けつけたのがエミで、お父さん!と安西に駆け寄る。

エミか、お父ちゃんはな、お父ちゃんは…と言いかけて息を引き取る。

お父さん…と語りかけたエミは、次郎と辰、カネ、牧の方を見る。

あんたが「スペードのジョー」だったのねと悟るエミ。

頷く次郎。

エミは安西が落とした銃を拾い上げ、次郎の方に歩いてくる。

それを迎える体勢をとる次郎だったが、寸前で銃を投げ捨てる。

俺には女は撃てない、エミ、親の仇だ、撃ちなと両手を広げる次郎だったが、エミはうてず、銃を落として泣き出す。

お前たちは街を出るんだ、足を洗ってな、サツが来るぜと次郎は牧たちに忠告する。

するとサイレンオンが近づいてきたので、あ、本当だ、この映画が始まって初めて警察がきたぜと、カネがマキと辰に教える。

そこにやってきたのがチエコと崑松で、次郎、何やこれ?と崑松はそこら中に散らばる死体を見て驚く。

誰がやったんやと崑松が聞くと、兄貴の代わりに俺が片付けて置いたよと次郎が答えたので、お前か、さすがわての弟分やな、腕あげたやないかと崑松は感心する。

ジョーはスーツの下から封筒を取り出し、これは餞別だ受け取ってくれと渡す。

わてに?すまんなと受け取った崑松だったが、次郎は、チヨコ、お前も早くいきなと声をかける。

兄貴は?と千代子が聞くと、俺はまた堅気になりに行くと次郎はいい、泣いていた笑みの方に手を置くと、到着した警官隊の方へ向かうが、待って!と制したエミは、私も行くわと告げる。

そんな次郎に、お〜い、病気すなよと声をかける崑松。

その後、チビも合流し、列車で帰る殺し屋たちだったが、まきは、親の仇とわかって撃てなかった…、あれこそ本当の愛だと、牧は次郎の最後の態度を思い出し感動する。

全く泣かせるぜと辰も感心し、「スペードのジョー」か、あんなやつがジャイアンツにいたらな…と金も呟く。

そんな中、ワイはな、いつかこの話を孫にしてやるんやとチビも嬉しそうにいう。

そんな中、次郎からもらった餞別を開けていた崑松は、札束が大量に入っていたので驚いていた。

同封された手紙には「崑松の兄貴へ これだけあれば薬屋が開けるだろ スペードのジョーより」と書かれてあったので、え?スペードのジョー!と驚くが、その時横に立った忍びの寛太が化けた車掌が、毎度ご乗車ありがとうございますと挨拶したので、車掌さん、次はどこ?と辰が聞くと、次は刑務所前ですと車掌は答え去って行く。

刑務所前〜という車掌の言葉を聞いた殺し屋たちは愕然とするのだった。

遠ざかって行く列車


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