「おーい、応為」

「百日紅(さるすべり)~Miss HOKUSAI~」(2015)に雰囲気やエピソードが似ているなと感じたら、杉浦日向子「百日紅」も原作の一つだったようで、田中裕子さんがお栄(葛飾応為)を演じた「北斎漫画」(1981)も見ていると、本作を見ていても、想像通りのお栄が出ている感じで、あまり驚きはない。

 本作でお栄を演じている長澤まさみさんの実年齢に合わせて、南沢等明との離婚後の話になっているので、お栄が父親である鉄蔵(葛飾北斎)と再び一緒に暮らし始める前半部分は、鉄蔵を演じている永瀬正敏さんとの年齢差があまりないように見え、若干違和感がないでもないが、後半になるにつけ、永瀬さんは老けメイクをしているので、親子に見えてくる。 

長澤まさみさんが現代女性としても大柄な方ということもあり、周りを固めている役者やエキストラの中に入ると、かなり目立ってしまうのも時代劇としては若干気にならないでもない。 

お栄のエピソードとして知られるものがいくつか描かれていたり、有名な「吉原格子先之図」を描くシーンがあるあたりが興味深いが、全体としては地味な印象で、悪くもないが、特にインパクトがあるわけでもなく、まずまずの出来だと思うが、途中でなぜか涙が出てきたりしたのは実写特有の魅力があるからだと思う。

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