「アウトレイジ 最終章」
シリーズ第三弾で、韓国から話が始まるが、エピソード度的には面白さがかなり減少している印象がある。
今回は花菱会が中心の展開になっているが、前作で鬼のように怖かった中田役の塩見三省さんが、ご病気の後だったらしく、別人のように痩せ細って弱々しいキャラに変貌しているのが残念。
身近な街中のチンピラ同士の戦いがメインだった1作目から見ると、組織の内部抗争に話が移っている分、若干話が重くなっているし、庶民から見ると縁遠いエピソードになっている。
【以下、ストーリー】
2017年、「アウトレイジ 最終章」製作委員会(バンダイビジュアル、テレビ東京、東北新社、ワーナー・ブラザース映画、オフィス北野)、北野武脚本+編集+監督作品
韓国の海べの突堤に軽トラの荷台に乗った男が近づく。
突堤で日本の雑誌を読んでいた大友(ビートたけし)が、おい市川!太刀魚ってのは夜釣れるんじゃないのか?と聞くと、釣りをしていた市川(大森南朋)が、たまに昼間に寄ってくるんですよ、チン!こんなのがと両手を広げて大きさを示しながら答える。
食って欲しいんですよ、兄貴に、是ピンですよ、太刀魚のキムチ鍋…と市川はいうと、またタバコを吸いながら釣りを続ける。
店で食ったことあるよと大友が答えると、全然わかってないですね、本当にうまいやつはそこら辺の店じゃ出してませんよ、兄貴食ったの、どうせ偽もんですよと笑いながら市川は言う。
何だ偽もんっていうのは…と大友は膨れると、そういう意味じゃないですよと市川は言い返す。
餌が悪いんじゃないのか?と大友がアドバイスすると、そうですね、兄貴の小指でも使えりゃ良いんですけどと市川が言うので、大友は自分のない小指を見ながら、お前、舐めてんのか?と叱ったので、怒んないでくださいよと市川も苦笑する。
その時、そばで銃声が響いたので、そちらを見た大友は、お前、何やってんだ、お前!と叱る。
軽トラでやってきた男は、吸いません、これ、事務所で落っこっていたの拾ってきたんですよなどと言い訳するので、そんなもんここへ持ってくるなよ、この野郎!と大友が文句を言うと、すみませんと詫びるので、危なくて使用がないじゃないかと呆れて見せる。
はいと恐縮した男は銃を海に投げ捨てようかと迷う。
夜の繁華街にやってくる大友 スタッフ・キャストロール(夜のカジノや飲食店の内部映像を背景に)
ネオンが走る黒い車体に映り込む車を上から写した映像にタイトル
車を降りた大友は、1人で「バー JEJU」に入る。
うちの女が気に入らないからって、日本のヤクザが責任者出せと言ってるらしいですが?と電話を受けた市川が大友に伝える。
ヤクザ?と聞いた大友は、ええという市川に、どこだ?と聞き返す。
テハにいる男ですと市川は答える。 車でホテルに向かった大友は、その部屋に向かう。
ほんま役に立たんの、ボケ!わしが怒られるんじゃ!と部屋の中では女2人に乱暴している男客がいた。
大友と共にその部屋に入った市川が、どうかしましたか?と聞くと、しょうもない女を寄越すから、うちの親分怒ってしもうて、金払わへん言うてるで…と子分らしき男が言うので、親分どこにいるんだよと大友が聞くと、ベッドルームやと子分らしき男は言う。
ベッドルームに行き、うちの女の子、どうかしましたか?と聞くと、どうかしましたかだと?このドアホ!あんな素人みたいな女寄越しやがって!ちゃんと教育しとるんかい!と文句を言う客のベッドには手錠が置いてあった。
面白うも何ともないわといばって文句を言っていた男は、刺青が入った花田(ピエール瀧)だった。
結構、楽しんだみたいなジャニですか?とサングラス姿の大友が半笑いで言うと、なんじゃ我!舐めてんのか!とイキってきたので、舐めてなんかいねえよ、バカ野郎!うちの女、散々傷物にしやがって!どうすんだい!と大友は逆ギレする。
わしを誰やと思うてんねん?花菱の花田やぞ、己ら、花菱と喧嘩するつもりか?ええか、ソウルにかて、兄弟分くらいいるんやで…と花田が脅してきたので、バカ野郎、ここはソウルじゃねえ、済州島だと市川が教え、花菱がどうした、この野郎!やってやろうじゃねえかと市川は挑発し、ベルトに挟んだ銃を見せる。
それに気づいた花田は、まあまあ、わしはここに遊びにきただけや、揉め事はやめようや…と態度を軟化させる。
揉めさせたのはてめえの方だろう?どう落とし前つけるんだ、このやろう!と大友はイキって見せる。
いや、ちょっと現金の持ち合わせあらへん、明日昼にでも、金を取りに来てくれるか?と花田が言うので、いくら出すんだ?と市川が聞くと、200万くらいでどうや?と花田が言うので、おめえ、それウォンじゃねえだろうな?と市川が確認すると、けど円やから200万円やろうが!と花田は言い返す。 女たちの顔見てから言えよ、てめえの顔切り刻んで魚の餌にしてしまうぞ、この野郎!と大友は威嚇する。
わかった、わかった、必ず円で用意するがな…と花田は諦めたように答え、あんた、名前教えてくれへんか?日本人やろ?と大友に聞いてくる。
すると大友が、名前なんかどうでも良いだろうと言うので、馬鹿野郎、金な、こいつに払っとけと韓国人の連れを指差して指定する。 大友らが部屋を出ると、花田はボディガード2人を暴行する。
すんませんと2人は立ち上がって謝罪するが、お前ら俺に恥かかせやがって!なんだてめえら、ただ立って黙って見てるだけか!と花田が責めるので、またすんませんと詫びる。
俺は朝イチで帰るからよ、お前らうまくやっとけと花田は命じる。
金、どないするんですか?と1人が聞くと、おんどりゃ、あんなもんに払う訳ないやろ!ガタガタ抜かしとったらぶち殺すねんと花田は言うので、ボディガード2人はハイと答え頭を下げる。
日本の花菱会本部に、続々幹部が集合してくる。
若頭の西野(西田敏行)は、中田、花田、どないしたんや?遅れとるんけ?と聞く。
中田(塩見三省)は、頭、あいつ、急な仕事で韓国行ってしまいましたんねん、定例会までには帰ってくる、言うてたんですけど…と報告する。
仕事?ここへ来るのが仕事ちゃうんかい!と西野がキレると、へえ、そう言う話で、すいません、上手い話があるいうて、これ、会長にて預けていきましたわ…と中田は言い、紙包を差し出す。
その紙包を触ってみた西野は、わしの頭越しに、会長の機嫌取りするようなことしたらあかんで…と注意する。
そないなことは会長にわしが聞いてからやないかと西野が言うので、はい、すいません、そんなつもりやなかったんですけど…と中田は詫びる。
まあええわ、会長にはわしから後で話つけとくわと西野は言うので、へえ、すいませんと中田は恐縮する。
そこに、お疲れさんですとやってきた幹部連中に、なあ、今度の会長、なんやかや言うたら会合ばっかり開きやがって…、これで今月何回目ですか?と西野は冗談めかして聞く。
元証券マンや、言うてますから、打ち合わせしとかな落ち着かんのと違いますかと中田は説明する。
なんぼ娘婿言うて、そないなやつに跡目継がすかって言う…と西野は皮肉を言う。
おお?会の金増やす言うて、金注ぎ込んで、穴ばっかり開けとるやないけ!と西野が興奮したので、兄貴!声大きいですよと中田が注意する。
構うかい、そんなもん!と西野は言い返す。
何処の馬の骨ともわからんやつに、でかい顔されてたまるかい!と西野のぼやきは続く。
その時、若い2人が次々に本部に車で乗りつける。
そんでな中田…、お前毎月、花田だから、相当金貰うとるやろ?と西野が言うので、貰うてまへんわと中田は否定する。
お前が花田のケツ持って、会長に頼まへんかったら、あの花田が直参の組長なれる訳ないやろ?と西野は指摘するので、あいつが直接、会長に頼んだん違いますか?と中田は答える。
金積んでか?と西野が聞くと、あいつんとこ冷え冷えですから、闇金からシャブまで、金になるなら何でもやってるみたいやし…、子分たちパクられんように暴走族使うたり、警察にもコネ使うて便宜図ってもろうたり…、大したもんですわ…と中田は言う。
韓国行ってるんは、シャブの取引やろ?先代はシャブ禁止やったけど、今度の会長は、金さえ持ってたら、何も言わへんからなと西田は指摘する。
その時、ノックがし、おうと西野が応答すると、失礼しますと言って若い衆が入ってきて、もうみなさん揃うてますと報告する。
幹部たちが別室に揃い、新会長の野村(大杉漣)が入って来たので、全員立ちあがろうとするが、ああ、そのままで良いよと野村は制する。
椅子に座った野村は、今月は何かあったのか?と口を開く。
特別問題ありまへん、ただ澤村は今、入院中で、後2~3ヶ月はあかんでしょう、それと漢文河野ってのが、もう時期、勤めから戻って来ますわと西野が答える。
それを聞いた野村は、そうか、出所の祝い金、各組で用意しとけよ、幹部が出てくるんだから、それだけの金用意しとけ、みっともねえことするんじゃねえぞと釘を刺したので、ヘイト幹部たちは返事する。
わしら、根っからのヤクザですねん、そう言ってるだけでは飯は食っていけねえぞ、公安や国とやり合って、誰がこの組立てなおしたと思ってるんだ!と野村は嫌味を言う。
おい、中田、花田はどうした?と野村が聞くんで、頭にも言いましたが、急な仕事で韓国行ってまして…と中田が答えると、俺が来るの知ってて行ったのか?定例会って会長の俺にてめえらが報告する場だろう? そりゃ~、先代やったらもちろん来てるんちゃいますか?と西野が言い出す。
どう言う意味だ?外村は聞くと、そのまんまの意味ですわと西野は返したので、おい西野、舐めんじゃねえぞ!と野村は叱りつける。
てめえらみたいに、組の金使うだけ使って、増やせもできねえ人間の代わりに、うちは切り盛りしてやってんだ!少しは頭使え!と野村は言う。
西野の野郎、何かと俺にたてつきやがって…と、会長室に戻ってきた野村は吐き捨てる。
ほんまに困ったもんですわ…と、幹部の森島(岸部一徳)が同調する。
あいつを頭から外す方法はねえのか?と野村が聞くと、西野を外しても、その下に中田も花田もおりますし、西野から盃もろうとる連中が黙ってないちゃいますか? だったらまず中田に跡目取らせて、西野と揉めさせたら良いだろう、それであのポンコツ2人まとめて捨てちまえと野村は提案する。
済州島の海岸に大友の手下の銃殺死体が転がっている。
兄貴、このまま放っとくんですか?死んでるんですよ?どうするんですか?と市川は大友に訴える。
黙って聞いていた大友は、俺だって考えてるんだよ、バカヤロウ!と言い返す。
張が屋敷に帰って来たので、李(白竜)がドアを開けて出迎えるが、運転手の頭が茶髪だったので、何だその頭、韓流スターか?と、李は子分はつっかかる。
はい、すみません、染めたもので…と運転手は詫びる。
李は張に近づくと、向こうで日本のヤクザと揉めて、うちの若い衆が1人死んだみたいです、大友さんが帰ってくると言ってます…と伝える。
お前たちでうまく始末しとけ、揉めないようにな…、それから大友には余計なことするなって言っとけよと張は答える。
中田と焼肉屋で会った花田は、うちの若い衆がアイスピックで痛めつけたら動かへんようになって、海に捨てて来たらしいんですわ…と報告したので、捨ててきたて、揉めたらどないするねんと中田は案ずる。
ええ…と花田は困った顔をするが、済州島のヤクザなんて知らんでと中田は答え、お~いゴン!とウエイターを呼ぶ。
花田も、おい丸山!おのれら何やってるねんと叱ると、丸山は焼肉定食食うてますと答えてきたので、アホか、表で待ってろ言うてるやろが!と花田はイラつく。
丸山(原田泰造)は、えらい、すんまへん!と詫びて慌てて店の外に出て行く。
元暴走族で使うとるんですが、どうにも抜けてる奴らでして…と花田は中田に説明する。
そこにウエイターがやってきて、これ、店からのサービスですとワインの瓶を持ってきたので、おお、いつも悪いのおと中田は礼を言う。
いえ、親分たちのおかげでなんとか…、あ、今度バンホーの方にも顔出してくださいよ、ユマも出してますんでとウェイターが言うので、井上、お前、済州島の出身やったな?済州島のホテルとかカジノとか、誰が仕切ってんねん?と中田が聞くと、あそこは張という会長の縄張りじゃないですか?兄弟分のユン会長もいますけど…とウエイターはワインをグラスに注ぎながら答える。
張回胃腸って、あの東京のか?と中田は聞くと、ええ、あの人も済州島の出身ですねとウェイターは言い、済州島でなんかあったんですか?と聞いてきたので、何にもないわ、もうええで…と中田は答える。
中田は、参ったね~、やばいぜお前…、お前、えらいとこと揉めてもうたな~、張会長いうんは、日本と韓国両方の顔やがな…、おい、お前がホテルで揉めたと言う日本人、大友って言うてなかったか?と聞く。
ええ~、ちょっとわかりませんわと花田が答えると、あいつ、葬儀会場で、丸棒の片岡やっちまったって話だし、町会長に匿う手も労撮るはずやねん…と言う中田の声をウェイターはさりげなく聞いていた。
それで…、どないしたらええんでしょうか?と花田が聞くと、この話、頭と会長に言うたらあかんで、ただではすまんで…と中田は釘を刺す。
おい、今度東京の張会長のところに詫びに行かせろと中田が支持しているのをウェイターはじっと聞いていた。
なんぼか用意しとけやという中田に、なんぼくらい用意すればええですかね?と花田が聞くと、見舞金で2~3000万いるやろ、1人殺しているんやからな~と中田は教える。
ええ、そないにかかりますか?と花田が困惑すると、アホ、相手は金なんかぎょうさん持ってるわ、こっちが誠意を見せれば納得してくれるやろと中田はいう。
どうせ死んだの、チンピラやろ?と中田が聞くと、ええと花田は答える。
その後、ウェイターは、韓国語で中田と花田のことを張会長の配下の男に教えていた。
一昨日、奥さん亡くなられて、花だけ出しときましたと日本語で伝えると、そうか…、ヨン会長の関係者にしか知らせてないのか…、後でうちの会長にも伝えとくわと相手が言ったので、はい、わかりましたとウェイターは答える。
その後、李さん!と逢いにきた崔(津田寛治)が、何だ?と聞かれ、なんか花菱が詫びにくるそうです、どうしますか?と聞くと、相手の出方次第だな…と李は答える。
その後、失礼しますと張の前に来た崔は、これ、ゴンから、借金の利息だそうですと言いながら渡すと、もういらないと言っとけよと張会長は指示し、おい、帰るぞと李たちに声をかける。
店を出る時、チップを置いて行ったので、店主はいつもすいませんと礼を言う。
済州島にいた大友に、子分が、張会長が銭出してくれたみたいで、事故で死んだことにしとくみたいですと伝えると、何でも金だな~と大友は呟く。
後日、また釣りに出た市川について行った大友は、おい市川、コーが死んだのに、よく釣りなんかやってられるな?と聞くと、好きでやってるわけじゃないですよ、そりゃ、今すぐにも日本に帰ってあの野郎をぶち殺してやりたいですよと市川は答えると、てめえ、何イライラしてんだよ、俺だって同じだよ!と言いながら大友は銃を取り出すと、海に向かって撃ち始める。
そして帰ろうと大友が言い出したので、あっけに取られた市川は、はいと答えるしかなかった。
海面には撃たれた太刀魚が1匹浮いていた。
本部前に車を止め、その外で寄りかかっていた子分が、いちいち本家には足向けて寝られないよなと言うので、そうっすねと運転手が同意すると、お前が言うな、ボケ!と頭を叩かれたので、運転手は前とする。 金を持ってきた花田と中田と対峙した李は、わざわざ大阪くんだりから悪かったなと労う。
東京までは新幹線ですわと花田が答えると、そうですか、で、どっちが花田だ?と李が聞いたので、私は花菱の花田ですと名乗ると、何が花菱だ、馬鹿野郎!と横に立っていた崔が怒鳴りつける。
普通だったら会長の野村か、若頭の西野が来るのが筋だろうが!何だ、この若頭補佐ってのは?何かのおまけか!と崔は中田を舐めてくる。
花田は、会長もまだ跡取って間がないですし、頭もゴタゴタ続きで…と花田が言い訳すると、じゃあこれはゴタゴタじゃねえつうのか、お前!と崔は花田に突っ込んでくる。
いや~、そう言う意味、ちゃいますやんと花田がごまかそうとすると、じゃあ、どう言う意味なんだよ?日本のヤクザだったらよ、指の一本でも詰めてこいよ、何だこの端金?こんなんで済むと思うてるのか?下手すりゃ戦争だぞ…と李は迫る。 そこに張会長がやってきて、崔と韓国語で会話する。
崔が部屋を出ると、椅子に座った張会長に、李が事情を話す。
うちの若いもんが、会長のシマで悪さしたらしく、えろうすいませんでした、これで堪忍してやってくださいと中田が詫びると、張は詳細を李に聞き、李の話を聞くと、3000万持ってこいと言い出したので、李もえっ?と驚く。
李が部屋を出ると、韓国語で何言うてんのや、こいつら…、舐めやがって、金置いてとっとと帰るでと中田がイラだって花田に話しかけると、会長や頭の耳に入る前に何とかせな偉いことになる言うたやないですかと花田も小声で答える。
アホか、舐め腐りよって…、お前あんなこと言われて、何でこいつらに3000万も払わなあかんねん、500万で十分やろ、どサンピンやないけ…と中田は答える。
その時、おいこら!今何言うた、こら!うちん若い衆の命が500万で十分だと?と張会長が日本語で聞いてきたので、中田と花田は唖然とする。
こっちはな、そっちの出方によっては毒にも薬にもなるんやど!帰れ!と張会長は言う。
そこに戻ってきた李が、新たに3000万の札束を置いて、これを持って帰れと言うので、あっけに取られた中田と花田だったが、部屋のドアを開けた李は、良いから帰れ!と命じる。
帰りに車の中、あの会長日本語わかるんですねと問いかけた花田に、そんなこと、どうでも良いやろうと中田は答え、それよりどないすんねん、この金、6000万に増えとるやないけと呆れる。
代替わりしたんで、新会長へのご祝儀やろか?と花田が言うと、お前はほんまにアホやの、花菱に喧嘩売ってきたんやろがと中田は教えると、お前、指詰めて、会長とカシラに1億ずつ持って行けと命じる。
そないでっか!と嫌がる花田に、そないでっかて、ここ2~3年でなんぼ稼いだんや?しゃぶと闇金だけでも2~30億行ったろう?しゃあないから2人に頼むんやないけ!と中田は怒鳴りつける。
兄貴、あんじょうまとめてくださいと花田は頼むと、ああ、ちと高うつくけどなと中田は答える。
花田は、ええ、わかってますと覚悟を決める。
そんで、ワイらに内緒で町のところへ行ってきた訳や…と、花菱会に戻ってきた2人から、6000万円の札束と事情を聞いた西野は穏やかに聞く。
すんません、町がわしらが持って行った金受け取らんと、それに3000万逆に付けて寄越したんですわと中田は詫びる。
お前らアホか!向こうが言うてんのはな、最低でも6000万寄越せちゅうこっちゃ!ボケ!と西野は喝破し、おい花田!おどれ、わしや会長の嘘ついて、韓国に遊びに行ってたんかい?と聞く。
同席していた森島が、ええ身分やの~と皮肉を言う。
いや、ちゃんと仕事をしてから、ちょっと済州島の方に寄らしてもろうただけでして…と花田が言い訳するので、ワイら、会長のために走り回っとる時に、おどれは、済州島で女買うて…、挙げ句の果てに会にケツ拭いてくれ言うんかい?と西野は威嚇してくる。
すいません!会長や頭に迷惑かけとうなかったんで…と花田は萎縮する。
迷惑もハローワークもあるかい!ボケ!と西野はキレながらも、まあええわ、町のところにな、ワイが話つけに行ったるわと言い出し、花田、おどれも付き合えやと付け足す。
会長もな、色々お忙しいんや、会長、張のところには、わしが話つけに行ってきますわと西野は野村に告げる。
西野は、花田、ちょっと来いや…と言って席を立ったので、頭、わしも…と中田が申し入れるが、お前は会長のお相手しといてくれ、な?と西野は指示して部屋を出る。
西野の野郎、張と口裏合わせて花田から金せびる気じゃねえか?と野村は言いだす。
あいつも花田にたかろうしてるんやないですか?森島も同意する。
頭が出ていけば、相手も納得しはりますよと中田が言うと、最近は何か言うたら、西野が出ていきますからね、誰が会長か分かりまへんわ、なあ?と森島は他の幹部に当てこする。
すると、他の幹部も、ほんまですわと答えたので、頭は会や会長のために頑張ってはりますわと中田が庇うと、お前、西野のそばにいて気づかないのか?お前も仲間か?と急に野村が聞いてきたので、何がですか?と中田は聞き返す。
あいつ、跡を会長に取られたんで、早く引退させて跡目取ろうとしてるんと違いますか?と森島が聞いてくる。
そんなこと考えてませんわと中田は否定するが、おい中田、お前も西野と同じで、俺が後取ったのが気に入らねえのか?俺が元証券マンだからか?そんなんだから、このくみはいつまでもダメなんだよと野村が聞いてくる。
ましてや俺は跡目を西野なんかと決めとらんぞ、花菱の跡目は花菱にどんだけ尽くす気持ちがあるかで決まるんだ、わかったか?ところでお前はどう思ってるんだ?と野村が言うので、中田は何がですか?と聞く。
だから、跡目を継ぐ気があるかどうかを聞いてるんだよと野村はいう。
兄貴を差し置いてそれは…と中田が言うので、だからそれを言ってるんだろう?いつまであいつに義理立てしてるんだ、あいつが後取ってみろ、まずお前の組が一番邪魔になるだろう?まずお前の組潰して、花田引っ張り込んで、俺の財産まで狙ってくるぞと野村は言う。
いや~それは…と中田が返事に窮すると、俺はな、中田、お前の花菱の跡目を継いでもらいたいんだよ、良いか、お前らが裏で言ってる通り、俺は叩き上げのヤクザじゃねえし、自分の気力らいわかってるつもりだよ、よ~く考えてみろ、お前らもそう思うだろう?と野村は他の幹部に聞く。
幹部3人は頷き、会長もそこまで考えてくださってるんや、な!?と森島は言い、他の幹部も、兄貴、ワイも会長の言う通りや思いますわと同意する。
その頃、別室で花田と2人きりになった西野は、花田、もう2億用意せいやと指示する。
1億は町のところ、後1億はわいやと西野は言う。
花田は、いや…、さっき会長と頭の所に1億ずつ届けてありますが?と花田が言うと、花田、そないな金はいつでも戻ってくるわと西野は言い聞かす。
ああ?そのうちわしが花菱会の跡目についたならな、お前、若頭に取り立ててやるしな、そしたら全てがお前、あんじょう行くやろう?と西野は言う。
花田はほんまでっか!と喜ぶ。
ほんまや、明日一番に張の所に行くんやで、わしが行ったらすぐやで…、全てパッパパ~や…、中田との違い見せたるわといい、西野は自分の左手を叩いてみせる。
頭、よろしくお願いしますと安堵した花田は、あの~、エンコ詰めるん、勘弁してもらいまへんかと指を切ることから逃れようとする。
何眠たいこと言うてんねん、己の指なんか誰がやるかい!と西野は太鼓判を押す。
ありがとうございますと花田が例を言うと、大事にせいや、な、親からもろうた指や…と西野は声をかける。
その頃、山王会の会長の白山(名高達男)は、飲んでいたクラブに戻ってきた五味(光石研)に、また金払えってか?と聞いていた。
花菱の幹部が出所してくるんで、祝い金出せとさとゴミが言うので、何で山王会が出さなきゃいけねんだよと白山が愚痴ると、我々の後見人だからでしょう、西野は…とゴミが言うので、本当に会に入れてるのかな、あいつ…と白山が疑うと、それより、そろそろ木村組のシマ返してくれねえかな~?東京なんだし…と五味も愚痴る。
すると、おい、俺は会長だぞ、タメ口使ってんじゃねえと白山が叱ると、すみません、気をつけますと五味は謝る。
失礼します、木村組の吉岡さんからですとボーイがボトルを持って来たので、木村組の吉岡?と五味は不思議そうに周囲を見回し、会長、あそこで飲んでますよ、木村組の吉岡と五味は教える。
吉岡(池内博之)は、嬉しそうに五味たちにグラスを差し上げて合図してくる。
それを見た白山は、偉そうに…、いずれ潰してやるわ…、くそっ!と呟く。
おい中田、お前、後取る気になったかと、野村や森島らに呼ばれた席で中田は聞かれ、後取るならさっさとやれ!と野村から命じられる。
え?どないしたら…と中田が戸惑うので、西野をどうにかしねえといけねえだろうと野村は消しかけてくる。 頭をやるんですか?と中田が聞くと、その西野が花田を連れ張のところに詫びに行っとるのやと森島が教える。
結果はともかく、揉めたことにしたら簡単やろう?夜、西野が帰ってきた時に襲ったら、誰もが東京の町の仕業やと思うわと森島が入知恵する。
良いか中田、人の上に立つには、乗り越えなければいけない時があるんだよと野村は言う。
どう思ってるかな?花田はまだ使えるから生かしとけよと野村がは指示する。
それからな、同時に張のところも潰しちまえ、何かとあそこは邪魔になる、両方ともどうなろうと、張と西野の喧嘩だと思うしな…、頭をつかえ!と野村は言う。
車の横で整列している吉岡を見た白山は、能天気な顔しやがって…、何で俺たちまで来なきゃいけねんだよ、俺たちゃ花菱じゃねえんだぞ、これじゃあ、やってること、露払いじゃねえかと車の中から悪口を言う。
そりゃそうと、大友が一枚噛んでるようですなと五味は指摘する。
手打ちなんかしねえで、花菱が張のところととことん揉めてくれりゃ、昔の山王会みたいに花菱と五分まで戻せるんだがな~と白山は言う。
そうっすねえと五味が同意すると、ため息をついた白山は、大友か…と呟く。
まだ済州島にいるらしいですよ、連絡とってみますか?と五味が教えると、白山は頷いてみせる。
これがワン会長から提示された香港の案件ですと、李の手下が会長に張に説明していた。
その間ずっと待たされていた西野は、我慢しきれず、会長!このアホはほんまに失礼なことしましてから、ほんますいませんでした…と、花田を指差して語りかけるが、会長は商談の方に夢中で、一切返事をしなかった。
大抵のことは、うちら関西のことでもようわかっております、今日は花菱会の代表として…若頭の西野が会長に直接ご挨拶に伺いました…と語りかけるが、張は全く相手にもしなかった。
堪忍したってください!お詫びに1億持ってきましたと訴えても返事はなかった。
8億以下にはならないって言っといてくれと張は、仕事の説明をしていた部下に伝え、ようやく部下は退室する。
わざわざご苦労さんと西野の前にやって来た李は、3000万だけいただきますと言うので、いや、それはそちらが用意した金と違いますの?と西野が戸惑うので、気持ちだけで結構です、うちはヤクザじゃないので、お引き取りくださいと李は答える。
その間も張は一切口を聞いてこなかったんこで、西野はあっけに取られる。
帰りの車の中、京都で飯奢るって、一体どこまで連れて行くつもりや?と西野は苛立っていた。
店なんて駅前にぎょうさんあるやろ!どこまで行くつもりや!と西野は文句を言うが、運転手は、中田の親分にわしの車について来い言われただけで、よう分かりませんわと言うだけ。
この先の料亭なら、中田の兄貴と来たことありますわ、あゆが今シーズンやからやないですかねと同乗した花田は呑気に言う。
すると西野は、川魚なんて生臭うて美味うないわ、寿司でええんや、寿司で…と吐き捨てる。
やがて、先導する車が人気のない暗闇の中で停まったので、何やこんな所で停まりやがって…と西野はぼやく。
前の車から降りてきた男が、後続車の窓を叩いてウインドーを開けさせ、すいません、ちょっと道を間違えてしまったんでUターンしてくれはりますか?と言うので、早よせんかい、アホ!と西野が叱ると、男は銃を取り出し、運転手と助手席のガードマンを射殺する。
花田は後部座席で怯えるが、思わず口を覆って笑い出した西野は、花田、おのれ、どっちに付くんや?と聞いて、車を降りる。
花田は、何がです?何なんです、こいつと聞くので、何や、まだ分かっとらんのかい? 野村、うちの会長な、あの外道、中田そそのかして俺のタマ取ろうとしたんや、おどれも道連れにな…と西野はドアの所で説明する。
先導していた車には中田が乗って停まっていた。
そんな…、これまで会長になんぼ納めてきたか、頭も知っとるやないですか!と花田は狼狽し、自分も降りようとするので、何、バタバタしとるんや、お前は降りんで良いと言うので、花田は罠にかかったと気づく。
お前はどっちに付くんや?先に聞いとかなあかんやろ?とまた西野が聞いてくる。
この状況で会長につくとは言われへんやないですか!と花田が訴えると、西野はニヤリと笑う。
ちょっと下ろしてくださいよと花だが頼むと、よし分かった、ほな、張のところで、自分と若頭が襲われましたけど、自分だけ生き残って逃げてきました、そう会長に報告しようやと西野が支持するので、花田ははいと頷く。
じゃあ、車動かしたれやと西野が命じたので、花田は慌てて車の後部座席から飛び降り、今まで乗っていた自動車は死人を乗せたまま動き出し、近くの湖に沈んでいく。
おい、こいつも湖に入れたりやと西野が子分に命じたので、へいと答えた2人の子分は、え?ちょっと!何するんですか!頭!頭!と抵抗する花田を引っ張って行き、湖に突き落とす。
西野は、お前だけ生き残ったんやろ?と花田に言い聞かせる。
落とされた花田は狼狽えるが、立てると知って、投げ込まれた意味に気づく。
濡れ鼠になり花菱会本部に戻ってきた花田は、ジャージに着替え、花菱の幹部たちの前で顔と頭を手拭いで拭いていた。
その場には中田も列席していた。
そこに野村会長がやってきて、なんだ、その格好は?と揶揄う。
すんません、現場から直接来たもんで…、若い衆にこれ借りて…と説明する。
それで、西野はどうしたんだ?と野村が聞くので、うちの若いもんは撃ち殺されまして、兄貴と一緒に湖に沈められるところでしたと花田は報告する。
自分は自力で車から出たんですが、西野の兄貴はわかりません…、死んでも歌ぎゃいますか?と花田は言う。
野村は中田の方を見て、張の野郎!と怒ったので、張の方はどないしますか?と中田は聞く。
それだな問題は…、頭取られて黙ってるわけにいかねえだろうと野村は言う。
なあ花田!と野村が呼びかけたので、花田は、ええ!私ですか?と驚く。
お前の所にも生きの良いのがいるんだろう?と野村は話しかける。 花田は仕方なく、はいと答える。
で、張のこと話したんや?と例の焼肉屋で中田は花田に確認すると、昨日から言ってます、馴染みの茶店にしょっちゅう来てるらしいんですが…と花田は答える。
そんな中田のカウンターに、ウエイターがおかわりお持ちしましたと言ってビールのグラスを置く。
その後、ウエイターは李に、花菱の西野が会長と会った後襲われたそうです、花田の若いのがそっちに向かってます、会長に気をつけるようお伝くださいと電話していた。
崔には電話したのか?と李が聞くと、崔さん出ないんで、兄貴に電話したんですとウエイターが言うので、分かったと答えた李は電話を切ると、子分に、おい車用意しろと指示する。
張がいつも使う喫茶店「アムール」は「本日貸切」の札がかかっていた。
その前にいたのは、髪を染めた張の運転手だった。
近くの車の中には吉岡が仲間と乗っていて、襲撃を待ち受けていた。
丸田たち暴走族上がりの花田の若い衆は、車の影で様子を見ており、ボディガードを狙え、ボディガード狙うんやと相談していた。
やろうやないか、気合を入れて!と丸山が鼓舞すると、全員一斉に喫茶店に乱入する。 そこには崔も待機しており、暴走族を撃ち返すが、自分も被弾し死亡する。
そんな中、丸山は1人で座っていた町に銃を向ける。
徐々に張に近づいた丸山は引き金に手をかけるが、その瞬間、背後から髪を染めた運転手と共に入ってきた李が撃ち殺し、会長、大丈夫ですか?と聞いて来て、後はやっときます、先に帰っといてくださいと李は勧める。
張が茶髪の運転手と車に乗って走り出すのを、車の中から見ていた吉岡は、失敗した、帰るで、あないなチンピラだったらうまくいくわけがないわなと同乗者に声をかける。
報告を聞いた野村は、やられた?子分殺しても張が生きてるんだったら意味ねえじゃねえかと中田と花田を叱る。
だいたいてめえが、チンピラしかいねえような花田のとこなんて任せっきりしやがって…、木村組にもお願いしてましたから?てめえがちゃんとやらねえからこうなるんじゃねえか!と言うので、中田は力無く、はいと答えるが、面倒なことになってきたな~と、野村は森島に話しかけると、俺たちがやらせてるってバレてるんじゃねえのか?と野村は心配する。
はい、殺されたんは盃ももらろうてないような連中ですさかい…と中田が答えると、バレたら向こうは俺を狙ってくるぞ!中田!頭になりたけりゃ、後はてめえがちゃんとやれよ!と野村が命じたので、中田は小声でハイと答えるしかなかった。
一方、張の屋敷では、李が大友と電話していた。 会長も大丈夫だとおっしゃってますし…と李がいうと、どこが大丈夫なんですか、会長が狙われて、子分まで殺されてるんですよと大友は言うので、そりゃそうなんですがね…と李も答える。
散々やられっぱなしで良いってことですか?一体誰がやらしているんですか?と大友が聞いて来たので、西野の襲撃が我々のせいにされてるってことは、花菱の中に糸引いてるやつが誰かいるってことですかね?と李は呟く。
それを聞いていた茶髪の運転手が部屋を出てゆく。
済州島では、市川が大友に、兄貴、俺も連れてってくれませんか?と頼んでいた。
大友は、俺よ、おめえの親分でも兄貴でもねえんだよ、俺に言われたって困るんだと返事すると、李さんに聞いたらダメだって言われるに決まってるじゃないですかと市川は言う。
俺だって言われたよと大友が言うので、じゃあ、どうすんですか?と市川が聞くと、お前だったらどうする?と逆に大友が聞いてくる。
市川は、花菱に突っ込みますと答えたので、お前死ぬぞと大友が忠告すると、良いですよと市川が言うので、思わず大友は笑いだす。
張が襲撃された喫茶「アムール」では現場検証が行われており、警視庁「組織暴力対策四課」の平山課長(中村育二)と繁田(松重豊)が臨場し、コーヒーを飲んでいた。
襲われたのは韓国の政財界を裏で牛耳ってるフィクサーの張だと平山が言うと、襲撃したチンピラどもの身元がまだ分かってないそうです、花菱の花田の所に出入りしていたと言う情報があるんで、大阪府警が動いてますと繁田が答える。
となると、花田が襲われた仕返しか、西野はまだ見つかってないが、あるいはその敵討ちの線か…と平山は言う。
韓国フィクサーVS花菱ですかね〜と繁田が言うと、とりあえず張のところへ行くぞ、とにかく気をつけろよ、一歩間違えると国際問題になりかねないからなと平山は釘を刺す。
片岡さんと一度来たことがあるんですよ、大友が出所した時、後つけただけなんですけどと…と、張の屋敷の門前に来た繁田は言う。
車を降り、門のブザーを押した繁田は、警視庁の者ですが、ちょっと聞きたいことがありましてね…と要件を話すと、自動的に門が開くが、車が通れるほどには開かなかったので、歩けってことですかね?と繁田が車の平山に声をかけると、くそ!偉そうに…と文句を言いながら平山も車を降りてくる。
張に会って、花菱と何かありました?と平山が尋ねると、別の刑事さんにも言いましたけどね、うちは何も知りませんよと、座った張の横に立っていた李が答える。
じゃあ、喫茶店で命を狙われたのは身に覚えがないと…と平山はきき、横に座っていた繁田が、私、花菱と山王会が抗争をやった時に、少し事件担当してましてね、大友って言いましたよね、ヤクザで、会長が可愛がっていらっしゃった…、今済州島にいるんですよね、構想があった後逃げて…と言うと、今回の件には関係ないんじゃないですか?と李が言うので、そういえば大友、花菱にも顔出してましたよね、最後には破門されてましたけど…と繁田は続ける。
今回も関係あるって言えば関係あるんですか、どうなんですか、会長さん?と繁田が聞くと、張は立ち上がり、韓国語で理に何事か伝えて去ってしまう。
李は、会長は忙しいんで、帰ってくださいよと言うので、諦めた平山は、おい帰るぞと、煮え切らない表情の繁田に声をかけて立ち上がる。
車の運転席に戻った平山は、放っといても、花菱の張との殺し合いになるだろうと繁田に言う。
しかし、手がかりなしってわけにはいかないですから‥と繁田は不満そうに言う。
やがて、張の屋敷から李の乗った車が出て来たので、平山たちは尾行する。
李は、済州島から戻ってきた大友を空港で出迎えていた。
あれ、大友じゃないですかね?と車の中の繁田が気づくと、そうだな、とりあえず連行しようと平山は答える。
パスポートどうしたんですか?と李が聞くと、うん、ウォンさんがよくやってくれて、李さん、会長にはこのこと内緒にしてくださいと…、崔のことも…、と大友が言うので、李は、はいと答える。
その時、パトカーのサイレンが背後に響き、前の車止停まりなさい、品川3-は-5573、シルバーのベンツ、停まりなさいとつけて来た繁田が呼びかけたので、あいつら、もう張ってるわと大友は苦笑する。
後続車から降りて来た繁田は、停まったベンツの後部の窓を叩き、大友が降りると、帰国早々悪いけどな、署まで付き合ってもらうぞと告げる。
繁田の車に乗せられ立ち去る様子を、降車した李は忌々しそうに眺める。
その頃、屋敷に帰ってきた野村の車は、門が開いたと同時に敷地内に入って来たバイクの青年から狙撃される。
玄関口に到着した野村は、バカヤロウ!この車、防弾じゃねえのか!死んだらどうすんだ、こら!ぼーっとしてねえで、さっそと片付けろ!と出迎えた子分衆を怒鳴りつける。
何が予選会だ、バカヤロウ!俺はな関西弁が大嫌いなんだよ、てめえらもだ、退け、オラ!と野村は当たり散らす。
邸内で射殺されたバイクの青年のメットを脱がすと茶髪の張の運転手だったが、正体を知らない山王会の手下たちは、どこのもんや、こいつ…、誰か知らんのかい?と狼狽えていた。
屋敷内に入った野村は、中田、花田!と呼びかけるが、その場にいた新顔を見て、お前、河野か?と聞く。
河野は、お初にお目にかかりますと挨拶する。 今日は出所の挨拶だって?せっかく来てもらったのに、先代の時みたいにちゃんとしてやれなくて悪いなと野村が詫びると、いえ、滅相もありませんわ、会長、お元気そうで…と河野がお愛想をいうと、今、外で死ぬとこだったわと野村は答える。
お前らの若い衆と東京の木村組使って張の所潰せ、早く!もう俺が狙われてるじゃねえか!と野村は中田と花田に命じる。 それに対し中田は、ちょっと待ってください、大体この喧嘩、あなたが原因で、西野と張の所の揉め事にしたんじゃないですか?と言い返すと、バカヤロウ!だからそれを利用して、おめえを後目にするために裏でちゃんとしろと言ってるんだろうが!と野村は説教する。
会長の俺まで狙われるわ、警察にも張にも、裏でお前が動いてるのバレバレじゃねえか!と野村は指摘する。 このままだったら、花菱がええ笑いもんだぞと野村が言うので、中田は二の句が告げなくなる。
「山王総業」の事務所にやって来た男が、会長いらっしゃいますか?と聞くと、社員の1人が中にいるよと教える。
会長室の扉をノックして、失礼しますと言いながら中に入ると、中田が来ており、五味が、あ、ちょっと外してくれと声をかけて来たので、遠慮する。
そりゃ、花菱と張の喧嘩じゃないんですか?と白山が問いかけると、アホ〜!と嘲った中たが、お前らの後見人の兄貴が殺されたんやぞ、お前ら、真っ先に張の所へ行かんでどうするんじゃい?おお?舐めたこと抜かすと、山王会潰すぞと中田は脅してくる。
白山と五味が笑いだすと、何がおかしいんじゃい!と中田はキレる。
おい、中田!ごちゃごちゃ抜かしやがって!潰せるもんなら潰してみい!と白山外切ったので、ああ?と中田が気色ばむと、補佐の分際で後見人ぶりやがって!何かお前、花菱の後取ったつもりか?と五味もバカにしたように聞くので、ああ!と中田は逆上する。
はあ!と聞こえない振りをした中田は、なんじゃお前ら、カシラおらんようになったら、コロコロコロコロ態度変えやがって、何や、こら〜と中田が反発して来たので、バカヤロウと白山は吐き捨てる。
その時、外から怒鳴り声が聞こえてきて、はい、ごめんやっしゃと言いながら西野が入って来て、弱いもんいじめしたらあかんやんけと中田の方をチラ見して白山に言う。
白山と五味が言葉を失うと、何やおどれら、人を幽霊見るような目で見鎖やがって、おお、こら!花菱分裂の危機やで!と西野は訴えてくる。
こないな時は、みんなで仲良く協力せいって、学校の先生に教わらなんだか?おお、チンピラ!と西野は威嚇してくる。
立ち尽くした白山と五味を見た中田はニヤリと笑う。
会長は、これ以上拘束するなら、警察の手に負えなくなっても知らねえぞといってますが…と、李は警察に電話する。
会長にご迷惑をおかけしているとは知りませんで、穏便に処理するように致しますんで…と警察のお偉いさんは返事する。 うん、そういうことだよと李も納得する。
大友の取り調べをしていた繁田と平山は、おい、いい加減にしろよ、二日目だぞと大友が言うので、だから加藤はお前を裏切った山王会の会長、木村だけ組をもらった、片岡さんはお前を騙して山王会潰すのに利用した!お前が三人とも始末したんだろうが!この野郎!と繁田が追求する。
そんなことしてねえって言ってるだろう!と大友が言い返すと、二度と口聞けねえようにしてやるぞ!と繁田は威嚇し、やってみろ、こら!てめえら2人とも間抜けなツラして、片岡から何も聞いてないのか?と大友は言い返す。
その時、男がやってきて平山に何か告げたので、平山がああ?と声を出し、異変を悟った繁田も、何すか?と立ち上がって近づくと、お偉いさんがな、こいつと関わるなってよ、大友を出せって、張のところから圧力かかってんじゃないのか?と平山が教える。
平山は、おい、良いぞ、帰れ!と大友に告げる。 立ち上がった大友は、お世話になりましたと言いながらも、おい、散々偉そうなこと言いやがって…、上からなんか言われたらそれで終わりか!釈放か?このチンピラ!と繁田に言い残し帰ってゆく。
大友が出て行ったドアを閉めた平山に、重要参考人に帰れってどういうことですか!あんなやつが怖いんですか!あんな奴、10日も20日も拘留してやれば良いじゃないですか!張が何言ったか知りませんがね、警察が艦隊に言うこと聞くのか、この野郎!と繁田が激昂したので、平山は言い返し、何が警察だよ、何だこの野郎!と繁田の興奮が収まらないので、取調室内にいた係官が止めにくる。
警察署を出た大友は、李が待っており、ご苦労様でした、乗ってくださいと車を勧めると、会長が出してくれたんですか?と聞く。
李が頷くと、李さん、ちょっと寄っていくところがあるんで、車で帰ってくださいと大友は頼む。 何か考えてるんですか?市川たち呼んでるみたいですね?と李が聞くと、そんなことしてませんよと大友は否定するが、大友さん、会長は揉め事はやめろって言ってますよと李は忠告する。
市川たち来たら黙って連れて帰ってくれませんか?会長の命令ですよと李が強く言うと、会長には済州島に帰ったと言っといてください、迷惑かけませんから…と大友は頼んで、立ち去ってゆく。
その後、大友は、とある場所にタクシーでやってきた市川たち、済州島の仲間と合流する。
辺鄙なところで悪かったな〜、俺マークされてるからよ〜と大友は詫びるが、市川はいえと笑って答える。
大友は連れを指し、これ、ゴンって言うんだよ、パスポートなんかは、みんなこいつがやってんだよと紹介する。
パ スポートの名前、全部出鱈目ですいませんでしたと、バーテンのゴンが詫びると、山田五郎で良いでしょうかと市川も笑う。
後ろに銃積んでますんで、少し古いやつもあるんですが、好きなの選んでくださいとゴンは市川らに言う。
で、どうするんですか?と市川が聞くと、まずな…、東京の花菱やってもらおうじゃないかと大友は言い、互いに笑い合う。
その頃、クラブでは白山と五味が吉岡と一緒に酒を飲んでいた。
親分、大丈夫ですか、こんな変なところで飲んでいて…と吉岡の子分が聞いてくる。
吉岡はホステスに、ちょっと席を外してくれと頼む。
ホステスたちが立ち去ると、おい! おい!どないな意味で言うてんや!自分のシマで飲んで何か悪いんか!と吉岡は片足をテーブルの上に投げ出し、子分を怒鳴りつける。
子分がびびって頷くと、な?と吉岡が隣に座っていた五味に聞くと、そうですよ、関西の奴らが勝手に張の所で揉めてるだけですから、東京は東京で仲良くやっておかないと…と五味はお追従を言う。
ほんまや、花田の連中の撃ち込みかて、うちが手引きしたわけやないから心配せんでもええがなと吉岡は隣の子分に言い聞かせる。
そこにやって来た大友と市川は、真っ先に吉岡を射殺し、その子分も皆殺しにする。
白山に大友が銃口を向けると、おい、吉岡を呼び出して、居場所も教えてやったじゃないかと白山が言うので、金払ったからと言って済んだと思うなよと大友はつげ、銃口を下す。
後日、繁田は町工場にやってきて、そこにいた青年に、親父はどこだ?と声をかける。
上にいますけど、何っすか?と青年が聞くので、警察だよと繁田は教える。
工場の2階に上がった青年が、親父!と呼ぶと、何だ?と父親の山崎が聞いたので、警察が来てますよと青年は教える。
山崎は、お前は出てろと息子に指示する。 繁田が事務所に入ってくると、刑事さん、困りますよ、こんな所まで来られては…、もう堅気なんですから…と山崎は文句を言う。
悪いなと詫びた繁田は、死んだ木村のことで聞きたいことがあってよ、あんた昔山王会会長だった加藤の側近やってたよな〜?と繁田は勝手に椅子に座ると聞く。
それって、俺が疑われてるってことですか?勘弁してくださいよと山崎は聞く。
死んだ片岡さんから拳銃を預かって、木村を襲えって言われたんじゃないのか?と繁田は指摘する。
木村なんてヤクザ、殺されようと何だろうと知らないっすよ、だいたい堅気になってた加藤会長が殺されたのも犯人捕まってないんじゃないかよ、海外に逃げたかなんか知らないけどよ…と山崎は答える。その時、繁田の携帯が鳴り出す。
繁田です、クラブ襲撃の件で…と、大友ですかね?と繁田は携帯に答え、ええ、聞き込みで、すぐ戻りますと伝える。
繁田が立ち上がると、慶次さん、大友日本に戻って来てるんですか?と山崎が聞くので、うるせえな!と繁田は遮り、また話聞かせてもらうからよと言い捨てて帰ってゆく。
平山は、張からの電話で大友の取り調べを中止させた上司から呼ばれ、二課の方で人が足りないらしくてねと言われたので、そうですかと答えるが、まあ、しばらく大人しくしてもらっていて…、それから先方に連絡するときは、うちを通してもらえるかな?と、張のことで指示される。
平山は、はっと承知するしかなかった。
そこに帰って来た繁田が、何ですか、また張のところへ行くなとか言われてるんですか?と聞いてくる
そう言うことだと平山が教えると、そんなの関係ありませんよ、これで大友引っ張りましょうやと繁田は進言する。
まあその前に繁田、お前は外れて二課に行くことになったと平山は伝える。
なんで俺が外されなきゃいけないんですか?と繁田が詰め寄ると、上からの命令だと平山は言う。
その頃、山王会では、大友に吉岡をやらせたのは正解だったなと、白山が含み笑いしながら五味に話していた。
ビデオも止めさせておきましたし、俺たちはたまたまあそこに居合わせた被害者ってことになってますよと五味も嘯く。
ああ、大友の犯行ってことで落ち着くだろうと白山は安堵したように言う。
そうっすねえ、ただ、木村組、どうなるんでしょうねえ?このまま花菱出るって、うちに返してくれれば良いんですけどねと五味は案じる。
そんな都合よく行くわけねえだろと白山は答え、このタイミングであんな所返されてみろ、痛くもねえ腹探られちまうわ、ちっとは考えろ!と叱るが、五味の携帯がかかり、花菱会ですと五味は言う。
はい、もしもし?どうかしましたか?と五味が電話に出ると、何かっていうと、花菱の顔色ばかり伺いやがって!てええも大友くらいのことをしてみろってんだ、馬鹿野郎が!と、白山は電話中の五味に文句を言いながら退室する。
実はその大友のことなんですが、ちょっとご相談したいことがありまして…と、ゴミは電話に語りかける。
そうか?何かまたわかったら電話してくれや、おう…と言って、花菱の中田は電話を切ると、自分のそばに座った野村に、やはり大友らしいですわと伝える。
野村が無反応なので、張のところに電話しますと言って、携帯を再び開く。
張の屋敷では、花菱の中田さんと言う方ですが?と李の元に部下が知らせに来る。 李は、中田?と聞き、仕事中の張の様子を見ながら、担当者がいないんでわかりませんと言うとけと指示する。
部下はわかりましたと答え、今、担当者がいないんで、わかりません、またお掛け直しくださいと中田に伝える。
それを聞いた野村は、何だ中田の野郎…、各所に苦情の電話を入れただけか、使えねえ野郎だな、あの野郎…と嘲ると、その大友ってのはどこのどいつなんだと聞木、そんな奴の一人くらいさっさと始末しろよと呟く。
森島が、はい、手配してますと答えると、ちゃんとやることやれよ、バカヤロウ!と野村は森島を叱る。
夜、大友の乗った車に数人の韓国人がやって来て挨拶してくる。 ヨンさんのカミさん元気か聞いて見ろと大友が言うと、市川が韓国語で今来た仲間が話しかけ、元気だったと言ってますと市川が大友に伝えると、市川、撃て!と言いながら、大友は今車に乗り込んできた連中に発砲する。
市川も加勢するが、撃ち終えた大友は、若い衆撃ってしまった、こいつらどこから来たんだい!と尋ねる。
すみません、ユン会長に言われて来たって言ってました…と市川が答えると、どうせ花菱だろう…と大友は呟く。
殺した連中のバッグを調べると機関銃が入っていたので、こいつら、こんなもんまで用意しやがって…と市川は吐き捨てる。 車から降りた大友は、2人になったな〜と市川に語りかける。
後日、ビルの屋上駐車場で、花菱の中田と会うことになった大友と市川は、それぞれ拳銃と期間ん銃を手にして近づいたので、なにゃ物騒なもん持ちやがって…と、車の後部座席から身を乗り出した中田は呆れる。
まあ、しゃあないか、お前ら襲われたんやろう?聞いてるで…と中田が聞き、とりあえずそれしまえや、こっちは丸腰や!と声をかける。
それを証明するように、車の前に立っていた五味が、スーツを広げて武器を持ってないことを見せると、話もできんやないかいと中田は言う。
てめえらがやらしたんじゃないのか?と大友が聞くと、わしらがそないなことするわけないやろうと中田は言う。
そばに停まっていた車には、花田と西野も乗り込んでおり、窓を下ろした後部座席から、おい大友、野村のボケがやらしたらしいぜと西野が教えて来る。 大友が西野の車に近づくと、久しぶりやな、大友…と西野は言う。
死んだんじゃねえのか?と大友が聞くと、お前らと一緒や、わしも野村に殺されかけたんや、まあそんなに簡単に死なれへんやろと西野は言う。
元はと言えばこの花田が余計なことしくさりやがって…と西野が言うと、前のウィンドーを下げた花田も会釈してくる。
頭下げんかい!と西野に怒鳴られた花田は、車から降り、あなたが大友さんだったんですか、済州島では偉い失礼いたしました、勘弁してやってくださいと頭を下げてくる。
大友さんってはよう言うてくれたら、あんなんならへんやったんですわと花田は言い訳してくる。
花田との話はな、お前んとこの会長と話ついとんのやと、後部座席に乗ったまま西野が話しかけてくる。
ただ、あの野村のボケがまた余計なことしくさりやがって、まあしゃあないが、引退してもらおう思うとるねん…、そっちの会長にとってもその方がええやろう?と西野は続ける。
なあ大友、これまでのことは水に流して、いろいろ相談に乗ってくれへんか…と西野は持ちかけてくる。
今度な、うちの河野って幹部の出所パーティがあるや、そこにあの野村のボケも連れていくわ…、そん時、大友、始末つけて欲しいな…、あんじょう言ったら、木村組でも何でもくれてやるわと西野は言う。
そんなもんいらねえよと答えた大友は、花田に銃口を向けたので、花田は狼狽する。
大友は西野を見てニヤリと笑う。 後日、雨の降りしきる夜、ホテルで「河野直樹君を励ます会」が行われる。
その頃、野村の本宅では、森島が野村に、ほんまに行かれないんですか?と聞いていた。
まあ確かに出所祝いいうても、たかだか若い衆が1人弾いて、5年臭い飯食うたくらいですからねと森島は納得する。
そうだ、それで何で何千万も祝い金やんなきゃならねえんだ、しかも幹部待遇にもしてやってるんだ…と野村は答える。
分かりました、連絡しておきますと森島は答える。
ホテルでは「河野直樹君を励ます会」が始まっていた。
車でホテルにやってきた西野は、部下が近づいてきたので、どないしたんや?と後部座席から聞くと、会長、来られないみたいですと聞き、は!意地汚い会長らしいやないけ…、あ、まあかえって好都合や、会長のおらん間に銃でもちらつかせて説教でも垂れといたら、奴らあっという間に寝返るやろと答える。
あ、そうや…、裏で待ち伏せさせている男にな、会長弾くののうなったいうたれやと西野は指示する。
さっき見てきたら、大友さんたち来てないみたいですと子分がいうので、何や、全く使えんなと西野はぼやく。
会場では、本日、このような会を設けていただき、また多くの諸先輩のご足労をいただきましたことは、誠に畏れ多いことでありまして、過分に身に余る光栄でございます、野村会長をはじめ、西野若頭、および補佐に列せられる方々の過大なるご好意に恥じることのないよう、今後は花菱会に育て上げ…と河野が挨拶文を読み上げていた時、会場がざわつきだす。
西野が壇上に上がってきたので、頭、ありがとうございますと河野は礼を言う。
河野、めでたい席で堪忍やでと、河野の肩に手を回して親しげにいうと、おい、きけや!と怪獣に向かってマイクに語り出す。
まあ、数日前な、花菱会若頭西野が、花菱会野村会長に殺されかけたねん…と打ち明ける。
ここにおる中田が教えくれなんだったら、わしは今頃この世にはおらんでと西野は続ける。
なあ?今まで会長はな、お前らが身を粉にして働いてきた会のために、そんなこと屁とも思うてへんねんと西野は断ずる。
そこでわしは会長と親子の縁を切るねんと西野は切り出す。
会場がざわつき出した中、お前らに聞くで、野村につくか、わしにつくか、今腹くくれや!と西野が迫っていた時、受付に傘を持った大友と市川がやってくる。
受付係は、ご苦労様です、お名前ご記帳くださいと声をかけてくるが、市川は背後の2人、大友は受付の2人に傘を突き出し、その中に隠していた機関銃を撃って殺す。
その音で、会場にいた面々は振り返る。 扉を開けて侵入した市川と大友は、機関銃を乱射し始める。
壇上にいた西野は、大友、誰が撃てと言うたんや!とマイクの前で絶叫するが、危険を察した部下たちがその場から遠ざける。
西野と中田が避難した直後、壇上にいた河野も射殺されてしまう。 間一髪、中田と車で逃走した西野は、会長、ほんまに本宅にいるんやろな?と聞くと、はい、確認させましたが…と中田は答える。
あの大友のガキ、誰彼構わず撃ちやがって、 花菱全員死んでまうわ、ほんまやったら、あの大友、しばき倒したるところ宿…、まあええわ…、あのクソ会長!大友にくれたるわ…と西野は言う。
本宅に来た中田を前にやってきた野村は、みんなやられた?おい中田、てめえは破門だと言い放つ。
うちの若い衆みんな殺されて、どうするんだ、この組!と野村の怒りは収まらない。
その時、どないするって、おどれが仕組んだんと違うんけい!破門はおどれじゃと言いながら、西野が座敷に姿を見せたので、何だ、お前…、西野!生きてたのか!と野村は驚愕する。
生きてたのかはないやろ、おお!と西野が座って言い返すと、おどれがこの中田と組んで、わしのタマ取ろうとしたやろ?と西野が言っているとき、襖が開いて、西野ん部下が数人入ってくる。
中田君が、ジェ〜ンブ教えてくれたんやでと西野が明かすと、親に向かって何だその口の聞き方は!と野村が怒ると、親も子もあるかい、ここアホンダラ!と西野が言い返したので、おい中田!おめえ子分のくせにそんなこと言ったのか?親子と兄弟、どっちが大事なんだい!と野村は中田に確認する。
中田は何も答えなかった。
野村!わしらな…、はじめっからおどれをヤクザや親と思うたことあらへんのやと西野が言い出す。
おう?モンモン入れてへん、部屋詰したことあらへん、ただの素人やないけえ!と西野は言い放つ。
おう?その素人が、花菱の会長だ?こら!おお?ったく、舐めとんか!と西野は威嚇する。
おい森島、どうにかしろ、こいつ…と野村が助けを求めると、知らんわい、おどれなんか子分がいてへんかったら、ただの定年迎えたサラリーマンやないかと森島は返して来る。
何、お前らも裏切るのか!と野村が気色ばむと、裏切るなんて変なこと言わんといてくださいよ、それやったらまるで私が、会長側についてたみたいやないですかと森島は言う。
他の幹部も、会長、すんまへん…と言うばかり。
てめえら、覚えとけよ!と野村は3人に捨て台詞を言う。
おい、野村、おどれがほんまもんのヤクザやったら、おドラ野原に弾撃ち込んでしまいやけどな、お前にヤクザの本当の怖さ、教えたるわ…と西野は告げる。
野村は生唾を飲むと、おい、連れてけと西野が部下に命じる。
おい、何すんだ、離せよ!と野村は抵抗するが、座敷から子分衆に連れ去られてしまう。
おい、花菱の会長だぞ、俺!と言う声が遠ざかる。
雨が降り続く夜の森の中に連れてこられた野村は、おい、降りんかい!と車から引きづり下ろされる。
大友さん、約束通り、こいつ連れてきましたわと子分は、野村を引き連れて、そこに待っていた大友に話しかける。
おい、大友、俺をどうするつもりだ!俺はな、花菱の会長だぞ!野村は虚勢を張る。
てめえなんか会長の器じゃねえよ、今日はよ、キャンプ楽しんでもらおうと思ってな…と大友は言い、笑い出す。
その後、野村は、誰もいなくなった森の暗い夜道の真ん中に首だけ外に出して体は埋められていた。
お〜い!誰かいるか!と首だけ露出した野村は叫ぶ。
お〜い、人がここにいるぞ〜!助けて〜と叫ぶが、無人の山の中では誰の耳にも届かない。
すると、背後からライトを灯した車が接近してきたので、おい!人がここにいるよ!と叫ぶが、当然車にも聞こえない。
軽トラが、野村の頭のすぐ横を通り過ぎたので、あぶねえだろう、バカヤロウ!死んだらどうすんだ、バカヤロウと叫びながら、すでに泣いていた。
すると今度は前方から別の車が接近してきたので、よお、いるよここに、よお!と野村は叫ぶが、そのまま轢かれてしまう。
花菱ともこれで話つきましたねと、大友と車で帰っていた市川がいう。 コオの仇、どうするんですか?と市川が聞くと、ちょっと考えてるよと大友は答える。
花菱会の本部では、まあ、色々と揉め事も終わり、会長も亡くなられたが、まあ、残されたわしら、ど〜にでもこの会を盛り上げて行かなあかん…と西野が挨拶をしていた。
野村会長亡き後、この花菱会、今日から新体制で行く、次の会長はわしがやる、で、若頭に中田、そして補佐の1人として花田に入ってもらうことにした、今日からこの新体制で、この花菱会を盛り上げてくれ、ええな?と西野は言う。 幹部たちは全員、はいと答える。
廊下で待機していた子分の携帯が鳴り、はい、変わりますと言うと、ちょうど幹部会を終え外に出てきた花田に渡す。
わしやと嬉しそうに電話に出た花田は、ハハハッ、どうやろな?そんなにはええよ、答え?イエスや、ほなな…と答えていたので、森島が近づいてきて、花田、何やお前、そわそわして…、また女買いに行くんか?と聞いてくる。
ええ、まあ…、会長と頭が、出世祝いや言うて、女用意してくれてるらしいんですわと花田は嬉しそうに答える。
大した子分もいてへんくせに、金払いがええと扱いも違うんやなと森島は皮肉を言う。
兄貴も一緒にどうでっか?と花田が誘うと、そんな変態みたいなことできるかと答え、森島は帰ってゆく。
花田は自分の口の匂いを気にしながら、嬉しそうに帰って行く。
その頃、警察ってのは国家に忠実な人が出世するんだな〜と繁田は平山と居酒屋で飲んで愚痴を言っていた。
繁田、そう言う言い方するんじゃないよと平山は注意する。
ところで今回どうなったんですか?俺途中で担当外されちゃいましたから…と繁田が聞くと、うん…、結局あれだろう、野村の狸が西野殺して中田を頭にしようとした、実は裏で西野と中田はつるんでて、それに野村は嵌められたってことだろうと平山は説明する。
ま、表向きはよその国の仕業ってことになってるが…、本当のところは誰にもわからんと平山は言う。
そうですかと答えた繁田は立ち上がり、おめでとうございます、出世されて…と皮肉を言うと、そう言う嫌味を言うなってのと平山はい返してくる。
繁田がスーツの内ポケットに手を入れたので、何だ?ここは俺が払うよと平山が言うと、繁田がエーブルに置いたのは辞表だった。 繁田は平山に一礼して店を出て行く。
平山は呆然とした顔で辞表を取り上げる。 繁田は夜の街に消えてゆく。
大友と市川がとあるビルに来ると、西野会長に言われてます、その奥のドアですと廊下にいた男が声をかけてきたので、銃を取り出した大友は、お前も一緒に来いとその男に命じる。
花田の笑い声が聞こえる部屋に来た大友は、案内した男を椅子に座らせると。
頭の上に座布団を置いて銃を撃つ。
その音で、寝室で2人の女とSM遊びをしていた花田は仰天する。
花田は、口にボールを咥える「ボールギャグ」という開口器をして、手足はベッドに縛られていたので喋れないし動けなかった。
それを見た大友は苦笑し、市川はお似合いだなと嘲る。
大友が、おい、お前ら帰って良いぞと女に言うので、下着姿だった2人の女は逃げ出すが、口の中で花火上げてやるよと大友は花田に伝える。 市川はどうか線付きの爆弾がついた開口器を取り出して見せる。
その開口器を口にはめられ、導火線に火をつけられたままベッドに固定された花田は、大友、大友!と叫ぶが外には聞こえなかった。 部屋を出た大友と市川が廊下を帰っている時、部屋からくぐもった爆発音が響いてくる。
立ち止まって振り返った2人だったが、そのまま階段を降りて行く。
何だよ?話ってのは、花田の所、襲われたらしいな?ここもやばいんじゃねえのか?と山王会の白山会長がやって来た五味と子分に聞く。
そうだよ、ここもやばいよな〜と笑って答えた五味だったが、横に立っていた子分が、いきなり室内にいたボディガードと白山をその場で射殺する。
ボディガードが死に切れてないことを知った子分はトドメの一髪を撃ち込む。
五味は、その場で花菱に電話を入れると、もしもし?うちも大友に襲われましたと報告する。
花菱会では、西野がボディーガードに部屋を出て行かせると、辛いけど、大友mこ案外わしらの言いなりでしたな?まさか花田まで始末してくれるとは思いませんでしたわ…と森島が話しかけてくる。
西野は、そりゃそうやろう、元々はやな、最初に問題起こしたの花田やしなと答える。
まああの大友という男、義理とかいうもんにこだわる男や、まあ、わしらが張には手出さん言うといたら、まあ、あいつ何でもしよるわと西野は言いながら笑いだす。
まあおかげでな〜、花田のシマもシノギも手に入ったしな…と西野は嘯く。
会長もやることがえらい手がこんでまんなと森下が感心すると、西野は自分の額を指差して自慢する。 パーティ会場でやりすぎた時は、肝冷やしましたわと中田は言い、そんで、大友、どないするんです?と西野に聞く。
西野は、大友な〜と笑い出し、散々花菱ひっかし回しやがって…、あないな古臭え極道、もう用済みや…、とことん追い込んだるわ…と吐き捨てる。
どないするんです?と中田が再び問いかけると、まあ大友のことはな、張の所の李が責任むつ言うとったからな〜、まあ、わしら困ってますねん、どない落とし前つけてくれはりますの?、そう言うて、李に連絡しとけやと西野は支持する。 花菱の西野から連絡があって、花田が殺されたらしいです、うちは一切関係ないと言うことにしときましたと、李が張に報告する。
大友にな、俺の為だったら、もう十分だと言っとけと張は指示する。 空港の側の道で市川にあった大友は、悪かったなと詫びる。
済州島に来ることがあったら知らせてください、どこへでも案内しますんでと市川は言う。
キムチ鍋食わしてくれよと大友が頼むと、市川は笑いだし、いつ帰ってくるんですか?と聞くと、まだやることが残ってるんだと大友は言う。
無茶しないでくださいよと市川は頼み、そいじゃあ失礼しますと言い残してタクシーで去って行く。
日本の警察とは揉めるつもりはありませんので、失礼しますと言って、張は電話を切ると、大友帰ったんだろうな?と李に確認する。
はい、さっき市川から連絡がありましたと李は答える。
そうか…、補任に連絡するように言っとけと張は命じたので、李は、はいわかりましたと返事する。
李と大友は、町工場に車でくる。
この工場ですか?と大友が聞くと、ええ、木村をやった2人がここで働いていますと李は教え、これで東京に帰ってくださいと頼む。
大友は、奥で働いていた男と、トラックの下で整備していた男の2人を射殺する。
それを李は車の側で見守っていた。
大友が近づいてくると、これで終わりですよね?と李は確認する。
大友は何も答えなかった。
その後、海辺に移動した2人は、車の外で向かい合い、大友に銃を突き付けた李は、大友さん、すみません、これ以上、会長に迷惑かけないでくださいと頼む。
大友は、李さん、あんたがそんなことしなくても良いよと言うと、ケジメは自分でつけるからと続け、腰から銃を取り出すと、自分の顎に突きつけ、会長によろしくと言うと、引き金を引く。
李の乗った車は帰って行く。
張の元に帰ってきた李は、大友さん死にましたと伝えると、張はえ!と驚く。
会長によろしくと言ってましたと李は付け加える。
自ら頭部を撃ち抜いた大友の死体。
エンドロール
済州島の突堤で1人で釣りをしている市川は、大友に話しかけるようにはしゃいでいた。
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