「警視庁物語 魔の伝言板」

シリーズ第8弾で、上映時間61分の中編

初期に活躍していたレギュラー陣の一部が代わっており、この当時は石島房太郎さん演じる渡辺刑事と、初期の頃、チンピラなどで出ていたが、この年から東映版月光仮面を演じることになる大村文武さん演じる太田刑事がレギュラーになっている。

しかも、新人で張り切るあまり、女性宅に単身乗り込んで、女性のお色気にしどろもどろになるなどという描写があり、刑事は基本2人1組で動くのではないか?などと頭に浮かんだりする。

若い刑事が聞き込みに一人訪れた家にいた色っぽい女性にろかにたじろぐ…と言う展開は、映画としては面白いんだが、実際に若い刑事が単身、独身女性の住居に入り込んだりするのは流石に誤解の元だろう。

一方、かつてレギュラーだった須藤健さんが、今回は赤羽署の刑事として、長田部長刑事と対面しているので、シリーズを見慣れたものからすると混乱しそうな設定になっている。

クライマックスは上野駅とその周辺で、「ビンゴゲームの店」など珍しい当時の風俗が見られる仕掛けになっている。

【以下、ストーリー】

1958年、東映、長谷川公之脚本、村山新治監督作品

深夜の1時37分頃、蛍光灯だけが灯る暗い駅に列車が到着する。

神田、神田~、この列車は三鷹行きの最終列車でございます、どなた様もお乗り遅れのないように、お早く願います、次はお茶の水~と構内アナウンスが響く。

駅外で、酔っ払いを挟んだ3人組が帰ろうとしていたが、その横に止まったタクシーの運転手が、旦那、いかがですか?と声をかけるが、冗談じゃねえよ、もう帰るんだよと返事する。

それでも運転手が、乗りませんか?と繰り返したので、うん、仕方ねえ、乗ってやるか、乗った、乗ったと言いながら後部座席に3人が乗り込む。

大分、ご機嫌ですねと運転手が言うと、こいつはね、すぐなんだよ、つまらねえったらありゃしないと男の一人が言うので、どうぞとガムを渡した運転手が、どちらへ・と言うので、この道まっすぐやってくれと男はいう。

しばらく走ると、おい、そこ右!と後部座席の男は命じる。

さらに走ると、左だというので、運転手は素直にいうことを聞く。

その直後、うん、ここでストップと言うので運転手は停車させる。

さ、降りるんだと仲間に命じた男は、急に運転手の首を後ろから閉める。

力尽きた運転手の腕時計は1時40分を指していた。

タクシーは再び走り出す。

タイトル

警邏中のパトカーの無線が午前2時の時報を知らせる。

続いて警戒事項を連絡します、各移動局は最近頻発している集団自動車殺人事件に備えて十分警戒してください、なお不審のタクシーを発見したら、直ちに連絡をお願いします、どうぞと本部からの連絡があっ他ので、警視56、了解と応答する。

その直後、横の道から飛び出してきたタクシーとぶつかりそうになり、パトカーは間一髪避けるが、タクシーは街路燈に衝突して停まる。

パトカーの警官は、おい、気をつけろ!大丈夫か!と声をかけるが、中に乗っていた3人組が逃げ出したので、警官二人も、おい、待て!と呼びかけ、呼子も鳴らしながら3人を追いかけ始める。

警官の1人が逃げた男の一人を捕まえ、手錠をかけた上でタクシーの元に戻ってくると、トランクの下から血が流れているのに気づく。

トランクを開けると、運転手の死体が入っていた。

警視56から警視庁!と総合司令台に無線が入る。

警視56どうぞと応答すると、警視56、ただいま飯田橋で集団自動車強盗殺人犯を発見、1名は逮捕せるも、2名は逃走、至急手配乞う!どうぞと連絡がある。

了解!逃走せる2名の特徴知らせ、どうぞと返信すると、1名は年齢30歳くらい、5尺6分茶色の皮ジャンパー着用、ただ1名は40歳くらい、背広着用するもそのままどうぞ!というので、警視庁了解と司令係は答える。

至急、至急!警視庁から各移動、ただいま飯田橋にて集団自動車強盗事件発生、被害局は現在位置知らせ、どうぞと無線を飛ばす。

翌朝、刑事の乗った乗用車と強盗犯を乗せた警護車両が自動車殺人事件捜査本部のある警察署の前に到着する。

手口は前の件と同じですねと捜査主任(神田隆)が捜査本部のドアを開けながら操作第一課長(松本克平)に話しかけると、うん、どう一犯人とすれば大胆な犯行だ、6日間に自動車強盗5回もとか…と言いながら、課長は部屋の中に入る。

金だけしか取っていかんというのが気に入りませんなと主任は言う。

今度の被害者も腕時計その他は取られてなかったね?と課長が指摘する。

はあ、それに指紋の手がかりを1つも残さんあたり、なかなかのしたたか者ですよ、前後5回を通じて我々に与えられた手がかりは、23日に襲われた車の中に落ちていた手間銭一つですからねと主任は答える。

うん、しかしかなわんね、こう毎晩のように叩き起こされたんじゃ…、それに君、無能な捜査人なんて新聞には叩かれるし…、上からはまだまだかと言われるし、たまらんよ…と課長は愚痴を言う。

そこに、捕まえた容疑者を連れてきた金子刑事(山本麟一)、手錠を外してやる林刑事(花澤徳衛)など、が部屋に入ってくる。

その様子を見ながら、でも今度は一挙に解決だと思います、昨夜の事件現場の隣の管内で捕まった血のついたカージャンパーの男と言うのも九分九厘ホシの片割れと思われますがね~と主任は課長に伝える。

長田君たちが聞き取りに行ってるんだったな?じゃあ頼むぜと課長はしじし、帰ってゆく。

容疑者を椅子に座らせ、北野明(外野村晋)だったな?と側に座った主任が確認する。

はいと北野が答えると、あのタクシーにはどこから乗ったんだね?と主任が聞くが北野が答えないので、殺しは3人でやったのかと林刑事が聞くと、はいと答える。

後2人の名前は?と高津刑事(佐原広二)が聞くと、また黙り込むので、2人の名前だよ!と金子刑事が繰り返すと、勘弁してくださいと頭を下げてくる。

そうか…、なあ北野、お前さんが喋ったからって迷惑のかかるようにはせんから、さあ、2人の名前を言ってごらんと主任が宥める。

そこに、長田部長刑事(堀雄二)が新たな容疑者小川勝次(織本順吉)を連れてきたので、その顔を見た北野は一瞬動揺した表情を浮かべる。

それに気づいた林刑事が仲間だな?と聞く。

長田部長刑事は、金子君、太田君と調べ室で奴を洗ってくれと頼む。

金子刑事と太田刑事(大村文武)は、小川を取調室に連れて行く。

おい北野、あいつの名前はなんていうんだ?おい北野、やっちまったことはもう仕方ないんだから、素直に吐いちまわないか?決してお前さんの悪いようにはせんよと主任は話しかける。

本当ですか・ときたのが聞いてきたんこで、警察は嘘はつかんよ、今の奴の名前を言ってごらんと主任は優しく言う。

すると北野は、おーさんと答えたので、何?おーさん?と林刑事が聞き返す。

本名は?と主任も聞くが、知りませんときたのは答えたので、隠すんじゃないと叱ると、いえ、本当に知っていることなら何でも言いますから…と北野は言い返す。

じゃあ、もう一人のずらかった奴の名前は何て?と長田部長刑事が聞くと、さんちゃんと北野は教える。

そのさんちゃんのヤサは?と長田が聞くと、は?と聞き返してきたので、うちはどこなんだ?と長田が聞き返すと、北野は知りませんと言う。

知らんはずはあるまい、続け様に5回も自動車強盗やった仲だろうが?と主任は腕組みして苦笑するが、5回?とんでもない、私は今度が初めてです、本当ですよ、私は昨日の午後、上野に着いたばかりですからと北野は言う。

どっかから?と聞くと、国へしばらく帰ってましたからと北野は言うので、国?どこだね?と聞くと、山形県の西置賜郡東村ですという。

何で国に帰ったんだね?と長田が聞くと、それが実は東京へタクシーやってたんですけど、煙突やったのがバレちまって…というので、首になったのかね?と長田が聞くと、へえと北野は答え、それで不良運転手だってんで、どこでも使ってくれないもんですから、ずっと国へ帰ってましたけど、田舎じゃあどうにも食えないもんだから…と言う。

それを聞いた主任は、良し、高津君、山形に連絡してこいつの言うとおりか問い合わせしてくれたまえと高津刑事に頼む。

すぐに立ち上がった高津刑事はその場で電話をかけ、山形県警?大至急、捜査本部ですと依頼すると、一旦受話器を置く。

そこに、被害者の車が着きましたと連絡が来たので、林刑事と渡辺刑事(石島房太郎)が部屋を出てゆく。

初めて自動車強盗の仲間入りしたってのは間違い無いんだね?と長田部長刑事が来たのに確認すると、そうなんですと言うので、じゃあ、他の2人とはいつどこで知り合ったんだ?と聞くと、昨日の午後、二谷の職安で…と言うので、職業安定所でかね?と主任が問いただす。

ええ、職探しに行ってたら、2人が話しかけて来たんですと北野は言う。

その頃、金子刑事と太田刑事は、取調室で小川の指紋を採取していた。

すると2人はお前が自動車を運転できると知って働き口があると言ったのかね?と主任が聞くと、ええ、1日1000円にはなるって言われましたと北野は答える。

で、それからどうした?と長田部長刑事が聞くと、夜11時になったら伝言板の所へ来いって言われたんで…と続けたので、伝言板?と長田は聞き返す。

ええ、上野駅の表口の…と北野は答える。

で、11時にお前そこに行ったのか?と長田が聞くと、ええ、そしたら二人がそこにいて、自動車強盗やるから手伝えって言うんで…と北野は言う。

私はとんでもないって断ったんですが、絶対バレない、互いに名前も素性も知らない間柄だから、万一捕まったって黙秘権使えば、サツじゃ手も足も出ないって…と北野は言うので、なるほど…、それでやる気になったんだなと主任は納得する。

しかし北野は、いえ、まだ断ったんです、そしたら俺たちは何回もやったけども、サツは店で空回りしてんじゃないかって…と続けるので、聞いていた高津刑事は、ちくしょう!と悔しがる。

いえ、私が言ったんじゃないんですと北野が言い訳したので、分かってるよと苦笑した長田部長刑事が、それから?と先を促す。

されから私が言ったんです、なら、またあんた方だけでやったら良いでしょうって…と北野が言うので、うん、そしたらどうした?と主任が聞く。

ええ、仲間の一人が定期便の運転手とかだけども、そいつが昨日地方に行っちまったから、運転できる奴が必要なんだってんですと北野は答える。

地方ってどこだ?と高津刑事が聞くと、さあ、ただ地方っていうだけで良い…と北野が言うので、すると前の4回はその定期便の運転手が手伝ったってわけだね、さあ?そいつは間もなく帰ってくるはずだから、ともかく今晩だけでも付き合えって、私にナイフを突きつけたもんだから…と北野は言う。

ナイフ?誰が?と高津刑事が聞くと、さんちゃんって、背広着た方の…と北野は答える。

ふ~ん、するとさんちゃんとオーさんは仲間なんだと主任が聞くと、さあ?と北野は曖昧に答えるので、まあ良い…、オーさんを吐かせりゃ、お前の言ってることが本当か嘘かわかるんだよと主任は指摘する。

その頃、取調室では、おい、この血はどこでつけたと聞いてるんだ?なあ?良い加減吐いたらどうなんだ!北野がお前も共犯だって白状しているんだぞ!と金子刑事が小川を攻めていた。

それでも小川が口を割らないので、黙秘権か?この指紋とジャンバーの血液でとことんまで追求してやるからなと刑事入って部屋を出て行く。

一方、じゃあ、お願いします、ええ、北野明です、よろしくと本部で高津刑事が電話を終える。

そこに太田刑事が戻ってきたので、太田君、どうかね、君の方は?と主任が聞くと、太田刑事はその場にいる北野に聞かれることに気遣って主任の耳元だけに小声で報告する。

はあ、そのさんちゃんって奴のモンタージュ作ってみちゃどうでしょう?と長田部長啓司が提案すると、うん、おい、北野、奴の顔ははっきり覚えてるんだろうな?と主任は問いかける。

北野は、はあ…と言うので、じゃあ主任さん、僕はこれを本庁の鑑識へと太田刑事が血がついたジャンパーを手に言うので、うん、よろしく頼む、その血は被害者のものに間違いないと思うがねと主任は言って送り出す。

日本交通の車の鑑識作業を見ていた渡辺刑事のいる外に出た太田刑事は、渡辺さん、何か新しい手がかりが見つかりましたか?と話しかけるが、いや、営業日報だけだと言うので、営業日報?と太田は聞き返す。

うん、今それを持って林さんがタクシー会社へ聞き込みに行ったがねと渡辺刑事は教える。

太田刑事はそのまま車に乗り込む。

タクシー会社の所長(白河青峯)は、間違いありません、これは10年勤続賞として山本君に贈ったものですよと林刑事に答えていた。

いや〜、真面目な人でしたがね〜と言いながら証拠品を林刑事に返した所長は、そういえば虫が知らせたのかもしれませんな、山本君、昨日は頭が痛むから休もうかなんてと付け加えたので、うん、ねえ〜と林刑事は話を合わせようと頷く。

そこに配車係(志摩栄)がやってきたので、君、どうだったかね?と所長が聞くと、はあ、常さんが昨夜11時半頃、池袋で見かけただけだそうですと配車係は答える。

それを聞いた林刑事は、ああ、そうですか、どうも…と礼を言い、ああ、その池袋ってのは山本さんがこの日報にちゃんとつけてますねと気づく。

それから池袋から新宿、新宿から神田、神田から湯島と…、ここで終わってるんですけども、湯島で空車になると普通どこに出ますか?と林刑事は聞く。

そうなんですね〜、時間も時間ですし、やっぱり上野の方でしょうか?と所長は推測するので、ああ、上野ね、うん…と林刑事も納得する。

本部に戻った林刑事からの話を聞いた主任は、上野で乗って、殺したのは本郷辺りと、北野の奴も自供してるんだと教える。

あ、そうですか、そうすると、そいつの自供はあまり嘘はないようですねと林刑事も納得する。

立ち上がって壁の地図を見た主任は、5回とも上野中心だなと指摘するが、その時、電話がかかってくる。

渡辺刑事が受話器をとり、はい、捜査本部と答えると、はい、ああ、解剖の結果ですか?と言い、死因は、絞刑による窒息死、ええ、他に、胸部にナイフのような凶器による刺し傷、血液型は?AのM型…、ええ、どうもありがとうございましたと答えて電話を切る。

それを聞いていた主任は、ナイフでトドメを指し、トランクに詰め発見の時期を遅らせるか…、毎度の手口だな〜と推測する。

はあ、被害者の遺留場所は色々ですけども、この営業日報や所属会社の聞き込みの結果では全部がこの上野界隈を流していた車なんですと林刑事が補足する。

うん、濃いね〜と主任が唸ると、はあ、同一犯人という説ですねと林刑事も同意する。

主任、最近起きた5回の強盗事件について表を作っていましたと長田部長刑事が大きな紙を主任の机に持ち込んでくる。

え〜、最初に事件が起きた21日から26日までの間、事件のなかったのは24日だけですと、長田部長刑事は、日付と事件と被害者名を列記した表を指しながら指摘する。

5人の被害者のうち、命を取り留めたのは23日の岡本一夫1人だけです、これは現在入院中ですと説明した長田部長刑事は、4件ともホシの手がかりが全然つかめなかったんですが、今回の事件によって初めて3名のホシが浮かび上がって来ましたと続ける。

今度の被害者はAのM型だったな?渡辺君と長田部長刑事が確認すると、はあ、そうですと渡辺が答えたので、それを表に書き込むと、26日は北野、オーさんもホシとわかってますから、2人の写真を貼っておきましょうと言って、写真を取り出した永田は、今、この北野輝の自供を正しいもんと考えれば、少なくとも25日の犯行は、ずらかった背広の通称さんちゃん、黙秘権を続けているオーさん、それから今定期便で地方に行っている男ということになりますなと指摘する。

なるほど…と主任は頷くが、定期便の運送会社を片っ端から洗ってみましょうか?と高津刑事が提案すると、うん、すぐやってみてくれ、所轄からも応援頼んで行くんだなと主任は指示する。

はいと言って高津が出かけようとした時電話が鳴ったので、受話器を取った高津刑事が主任に渡す。

はい捜査本部ですと応じた主任は、あ、東京外科病院、どんなもんでしょうな、先生?…、はあ、はあ、そうですか、それはわざわざどうも…と言って電話を切ると、23日の被害者だが、どうやら危機を脱したそうだと刑事たちに伝える。

ああ、そうですか、じゃ調べに行っても良いんですね?と林刑事は聞いてくる。

うん、まあお医者さんと相談して、この写真で面通しだけでもやって来てくれんかと主任は頼む。

ああ、北野と黙秘権野郎ですね?じゃあちょっと行ってきますと林刑事は答える。

そうだ、23日の事件も被害者の話でホシの数は3人とわかってたな?と主任が聞くので、はあ、一応、欄外に書いときましょうと答え、長田部長刑事は表に書き加える。

それをみていた渡辺刑事は、長田さん、22日の被害タクシーは小型でしたから、これもホシは3人以上乗れんでしょうと指摘する。

それを聞いた長田は、うん、なるほど…と答え、表に書き込む。

この事件全部を通じて手掛かりになりそうなのは、25日に被害タクシーから発見された付けまつ毛だけですねと長田は言うと、うん、なんとも頼れない手掛かりだがなと主任も認める。

まあ、引き続きその線は太田君が洗う予定ですから、その内何かわかるでしょうと長田仏塔掲示・は指摘する。

こいつに見覚えありませんか?と林刑事から写真を見せられた入院中の運転手(久保一)は、首を横に振るだけだったので、ああ、そうですか、じゃあこいつはどうですと別の写真を見せる。

すると、こ、こいつです、こいつは確かにいましたと運転手が指摘する。

捜査本部を出た長田部長刑事は、取調室へ向かう太田刑事と出会う。

黙秘権を続ける容疑者に、金子刑事は手をこまねいていたが、そこに入って来た太田刑事が、おい、お前のジャンパーについていた血は被害者と同じAのM型だったんだ、いい加減に全部吐いたらどうだ!おい!小川!と容疑者に呼びかける。

相手が唖然とした顔で見返して来たので、驚くことはないよ、指紋でお前の前科が破れたんだ、愚連隊崩れで恐喝前科3犯小川勝次、27歳!どうだ!と太田刑事は指摘する。

なあ小川、この辺ですっかり吐いて、さっぱりしたらどうなんだ?うん?と金子刑事も笑顔でタバコを勧めるが、小川はそっぽを向いたままだった。

本部の壁に貼られた例の表に、長田部長刑事が小川の写真と名前も記入する。

そこに電話がかかって来たので、主任がはい、本部ですと出ると、山形県警本部?はいどうぞ、あ、どうもお手数お願いしまして、え?うん、うん、すると来たの秋田は確かに国にかえっとったんですな?そうですか、それはわざわざどうも…と礼を言って切ると、長田君、北野は25日以前のアリバイが成立したよと伝える。

それを聞いたなあ他は、はあ、そうですかと答えると、北野の表の上の日付の欄に縦線を引き、そのの横に「帰郷中」と書き加える。

そこに林刑事が戻って来たので、やあどうだね林君と主任が聞くと、はあ、写真の認定質問がやっとでしたと答えた林刑事は、北野は23日の事件に関しては…、ははあ、もうアリバイが出てるんですねと表を見ながら気づき、それから小川勝次ってんですか、黙秘権は…と、表に書かれていた事を主任に聞く。

で、小川は?と主任が聞くと、ええ、奴は間違いなく星だそうですと林刑事は答えたので、長田は表にそう書き込む。

北野がさんちゃんのモンタージュ写真をしっかり作るとうまいんだがなと主任はつぶやく。

そこに太田刑事が戻って来たので、どうかね小川は?と主任が聞くと、全く憎たらしい野郎ですよ、あいつはサザエみたいに口を結んじまいやがって…と太田はぼやく。

それを聞いた主任は苦笑いし、そうか+、一筋縄ではいかんかもしらんな、良し、僕が当たってみようと言うので、お願いしますと太田刑事は頼る。

例のつけまつ毛の件はどうしたねと自分の席に座った主任が聞くと、はあ、昨日の聞き込みでは舞台の踊り子用のものと分かっただけで、まだ…と言う。

うん、これからすぐ聞き込みを続けてくれと主任は指示すると、太田ははいと答えて出かける。

国際劇場の「東京踊り」

本部に戻って来た渡辺刑事が、主任、小川の前科を洗ってみましたら、奴が先月の中頃、一緒にムショを出たダチ公の中に大沼三之助って奴がいたんですと報告する。

大沼三之助?と主任が聞き返すと、これが写真ですと差し出した渡辺掲示は、あるいはこいつがサンちゃんってセグれじゃないかと思ったから、小川のいた千葉刑務所に行って詳しく調べてみましたら、小川と大沼は同じ房で仲も良かった様子ですと報告する。

そうか、それはまたうまく行ったねと主任は感心する。

はあ、窃盗前科五犯、40歳、住所不定となってますと渡辺掲示は手帳を読み上げる。

よし、すぐ北野に面通しさせてみようと主任は提案する。

一人で室にいた北野の元へ向かった主任は、おい北野と言いながら大沼の写真を見せると、あ、さんちゃんですと即答したので、間違いないな?と念を押すと、北野ははいと言う。

そこに所轄の警官が入ってきて、主任さん、25日と被害者と同じ会社の運転手が捜査協力できるかもしれんと言って来ておりますが?と知らせに来たので、ほお、通してください、すぐに行きますと主任は答える。

本部では、林刑事が、奴みたいに寄場で知り合ったってケースは非常に多いですなと長田部長刑事に力説していた。

そこに警官が運転手を案内してきて、ちょっとお待ちになってくださいと言ったので、運転手はハイと答える。

そこに主任が戻ってきて、さてと言うので、立ち上がった林刑事は、じゃあ私はこの大沼の写真で、もう一度病院へ面通しに行ってこようと思いますが?と主任に相談する。

うん、度々ご苦労だねと主任は労う。

林刑事が出ていくと、殺された横山さんと同じタクシー会社の方ですな?と主任は待っていた男に話しかける。

運転手は、はい、木村竹三(滝謙太郎)と申しますと挨拶する。

どうもわざわざ…、どうぞこちらへと主任は席に案内する。

そこに座っていた長田部長刑事も、どうもご苦労さんと挨拶する。

実は25日の午前2時頃、私は、キャバレーモンテカルロの前で客待ちをしているうちのタクシーを見かけましたんです、あいにく私の方は客を乗せていましたからよくは見えなかったんですが、ナンバーは確かに横山さんの車でしたと木村は言う。

うん、ちょっと待って草だい、午前2時頃とおっしゃいましたねと言いながら主任が横山運転手に関する書類を確認すると、ハイと木村は答えるが、しかしおかしいですな、解剖によると横山さんが殺されたのは午前0時頃なんですが…と教える。

はい、実はその事なんですが、私は今日が登板で会社に行きましたら、同僚が横山さんが殺されたのは0時頃だったと新聞に出てたって言うんです、しかしナンバーは確か…と木村が訴えるので、なるほど…と主任も納得するが、で、あなたはその時、運転台に横山さんがいたかどうかは?と長田部長刑事が聞くと、はい、それがはっきりとは見えなかったもんで…と木村は言う。

うん、そうですかと長田は一応納得すると、立ち上がって壁の表の25日の所、10時30分発覚の事件現場は深川木場の横の欄の備考欄に「つけまつ毛、2時、モンテカルロで木村氏目撃」と書き込む。

入院中の運転手に大沼の写真を林刑事が見せると、似てるようですね…、でも酔ったふりして顔を伏せてたもんで…と運転手は答えたので、ああ、なるほどね、あ、そうですかと林刑事も納得し、ところであなたを襲った時、もう1人の奴について何か覚えてませんか?と聞くと、そう…、そっちに方ならまだ…、何しろ私のいとこに良く似ていたんで…と運転手は答える。

ほほう、そうですか、じゃあ分かりますねと林刑事は期待する。

はい本部!と電話に出た主任は、あ、林君か?どうかね?うん、うん、はっきりしないが似ているらしい、すると23日のホシは大沼三之助と例の小川と、メガネ?もう一人はメガネをかけとった…と、なるほど、そいつのモンタージュ写真を作るって?お医者さんの許可取ったのかい?良し、すぐモンタージュの係員をそっちに出張させるよと主任は答えて電話を切ると、渡辺君、モンタージュの手配頼むと声をかける。

表を書いていた長田部長刑事は、主任がそばにくると、23日もどうやら3人揃って来ましたねと声をかける。

その表を見ながら、まだまだだなあ〜都主任はぼやくと、主犯の大沼が捕まってない以上、いつまた…と長田部長刑事も先行きを案じる。

うん、定期便の男も今夜にも帰る神しれんからな〜と不安がっていると、電話がかかって来たので、はい本部と答えると、おお、太田君か?

付けまつ毛どうかね?そうか…、実は今そのまつ毛の落ちとったと言うタクシーな、そいつがキャバレーモンテカルロの前に待っとったと言う届出があったんだよ、うん、キャバレーモンテカルロ!と主任は教える。

夜の「キャバレー モンテカルロ」のフロアでは客の男女がダンスを踊っていたが、その間を縫うようにやってきたクラブ支配人(杉義一)が、バーの前で待っていた太田刑事に、お待たせしました、うちの女の子の中には、この付けまつ毛の持ち主はおりませんようですと報告する。

そうですか…と太田刑事が落胆すると、ひょっとしたら、ショーの踊り子じゃないかともうておりましたと支配人は言う。

ショー?すると25日は誰が出てましたか?と太田刑事が聞くと、さあ?とにかくうちへショーを入れておりますのはさくら芸能社ですから、そちらの方へお聞き願えませんでしょうか?と支配人は言うと、来客にいらっしゃいませと挨拶する。

本部で表に写真を貼っていた長田部長刑事に、この定期便とこっちのメガネの奴は違う人物でしょうかね?と渡辺刑事が聞いていた。

そのことはこのダンマリの小川が、なんか知ってるはずなんだがね…と長田は答える。

そこに主任が笑顔で戻って来たので、小川が何か吐きましたか?と長田が聞くと、いやそれがなんとも強情な奴だよと主任は愉快そうに答える。

そこに疲れ切った金子刑事も戻ってくるが、まあ、メガネのモンタージュも間もなく出来上がるだろうから、焦らずにやるとしようと主任は言う。

いや全く、小川みたいに図々しい奴は珍しいですね〜と金子も椅子に座り込む。

そこに太田刑事が戻って来たので、ああ、つけまつ毛どうかね?と主任が聞くと、はあ、あれからさくら芸能社って所へ行きましたら、当日のショーの踊り子はサリー町田ということだけ分かりました、しかしあいにく今夜はあいにく熱海の方に出張してまして…と言う。

そのサリー何とかのまつ毛かどうかわからんのだろう?まだ…と主任は聞く。

ええ、でもとにかくもう少し押してみます、明日午前中ならアパとにいるだろうとのことでしたからと太田刑事は張り切る。

そうか、ご苦労、いや、また明日頼むよと主任は声をかける。

そこに、高津刑事が戻って来たので、どうだった?定期便関係は?と主任が聞くと、は、一泊以上のコースが19車で64コースですね、一台に2人ずつで、昨日中に東京に帰ったのが78台156名、行先と氏名は分かりましたが、後は…と答える。

う〜ん…、コースだけでもわかるとだいぶん絞れるんだがな〜と主任は無念がるが、この方地方から来る会社も120車くらいあるそうですと高津警部は報告する。

それを全部当たるのは大変だな…、まあ写させて下さいと太田刑事は高津刑事に頼む。

そこに林刑事も戻ってきて、モンタージュ写真がやっとできましたといい、主任たちに見せる。

ほお、これがメガネのホシですか?と渡辺刑事も一枚手に取って言う。

被害者はいとこに似ているからって、割合確信があること言ってましたからと林刑事が言うと、長田部長刑事はすぐさま表に貼り付け、主任も、ともかくこれですぐ手配しよう、こいつも前科者だったりすると上手いんだがね〜と言うので、林刑事も、そうですね〜と応じる。

翌日、主任は、金子君にはもう一押し小川に当たってもらう、高津君は昨日に引き続いて定期便関係、太田君は…と主任が指示を出していると、あ、私は例の踊り子のところへ行ってこようと思いますがと言うので、うん、何か良い筋が掴めると、この際、好都合なんだがねと主任も答え、じゃあ、みんなそれぞれの線で動いてもらうと指示し、刑事たちは一斉に本部を出発する。

電話が鳴ったので、はい、捜査本部ですと主任が出ると、赤羽署の捜査?ほお、するとうちで夕べ手配したモンタージュ写真に似た男が?じゃあメガネをかけてるんですか?うん、はい、とにかくすぐに刑事をやりますと答え、主任は受話器を下す。

赤羽署が24日の早朝、窃盗容疑で逮捕した男、昨日不起訴になったので夜遅く釈放したそうだが、そいつがうちで手配したメガネらしいと言って来たんだよと長田部長刑事に主任が説明する。

はあ、昨日の夜釈放したんですか?と長田は確認する。

うん、逮捕した日が24日といえば、自動車強盗殺人わって買った日のことだどと主任は表を見ながら言うと、赤羽でしたね、とにかく行ってきますと確認し、長田部長刑事が出かけてゆく。

赤羽署では、良いか?隠さずに言うんだぞ、行くぞと刑事に諭され、茶を飲み終えた青年が手錠をかけられ部屋を出てゆくところだった。

ウィンドー破って、小判10枚ね…と窃盗被害のことを読んでいた長田部長刑事が、この小判ってなんですか?と聞くと、赤羽署の捜査係(須藤健)が、金で小判形のものを作って贈り物にしたりする

…と説明する。

ああ最近だいぶん流行ってるらしいですな、一種の貴金属ですなと長田が確認すると、ああ、そうです、そうですと赤羽署の刑事は頷く。

すると品物手配してありますね?と長田は再確認する。

ま一応、その店のマークは刻んであるらしいんですが、今だいぶん出回っているらしいですからと刑事が言うので、そうですか…と長田は答えると、しかしこの横瀬八郎がオタクの本部事件に関係があろうとは思いませんでしたと刑事は言う。

ええ、人相は大体似ているようですが、間違いない花道おんん、ウィンドーを破ったのは3人組でしたね?と長田が確認すると、目撃者の訴えですぐ駆けつけたんですが、後の2人はずらかっちまいましたと刑事は言う。

やっとこの横瀬だけ捕まえたんですが、肝心の小判は持っとりませんし、十分証拠が集まりませんのでね、不起訴になっちゃいましたと刑事は無念そうに言う。

亜あ…、釈放者の出回り先はわからんですか?と長田が聞くと、ええ、それはまあ大体2〜3箇所は当たりをつけてありますというので、そうですかと長田は安堵する。

その頃、太田刑事は単身踊り子サリイ町田(奈良あけみ)のアパートを訪れていた。

ドアをノックすると、はい、どうぞと呼びかけて来たので、中に入って相手を探すと、シャワールームからサリーが顔を出し、誰あんた?と若い太田刑事に興味を持ったように聞いてくる。

太田刑事がつい名乗る忘れると、何さ、鳩が豆鉄砲食ったみたいな顔してさと、バスタオルを頭と体に巻いた姿で出て来る。

いや〜、あの〜、警視庁の者ですがと言いながら警察手帳を出すと、えっ?と驚いたサリーは、私、猥褻にならないように随分苦心して踊っているんですけどと言い訳して来たので、いやいや、実はちょっと伺いますが、あなたつけまつ毛を落としませんでしたか?と大田はしどろもどろになりながら聞く。

するとサリイは、な〜んだとがっかりしたようで、ええ、落としわわよと即答する。

これでしょうか?と遺留品を出してみせると、うん、そうと現物を確認してサリイは言う。

ひのれを受け取った太田刑事は、そうですか、どこで落としたか検討つきませんか?と聞く。

ええ、車の中でしょう?お化粧落としたから、そん時きっと…とサリイは言う。

25日の午前何時頃でした?とようやくソファに腰を下ろした太田刑事が聞くと、そうmこり、最後のステージがモンテカルロだったから、夜中の2時頃ね、あそこの前から車拾ったのよとタバコを吸いながらサリイは答える。

運転手はどんな男でした?と太田が聞くと、どんなって…、うんちゃんのことなんか私、詳しく覚えてないわとサリイは頭のタオルをとって、シャワールームに投げ入れる。

メガネかけていましたか?と聞くと、ねがね?メガネなんかはかけてなかったわねとサリイは言うので、他に何か特徴は?と聞くと、そうね〜、ああ、あの運ちゃん、ハゲがあったわよと言い出す。

はげ?と太田が驚くと、うん、ここんとこに、私、この人喧嘩でもして切ったのかなと思ったもんとサリイは証言する。

はい本部!あ、太田君かと本部で電話を取った主任が答えると、何!つけまつ毛をなくした…、うんと話に聞き入る。

公衆電話から電話していた太田刑事は、サリイ町田がキャバレーモンテカルロからタクシーに乗ったのは午前2時頃なんです、するとやっぱり殺しをやった後、そのタクシーでホシは客を…、ええ、つまりサリイを乗せて稼いだんですねと太田刑事は伝える。

うん、ハゲがあったと言うのかね?待ってくれよ…と主任は壁の表を見て確認すると、そのハゲというんは定期便の運転しだな、そうか…、高津君からも新しい定期便関係の情報が入るかも知らんから、また電話してくれ、うん、よろしく頼むと指示する。

ハゲのある運転手ということで太田君は定期便の運送屋をしらみ潰しに当たってみるそうだと、電話を終えた主任は、表に書き込んだ林刑事に説明する。

それを聞いた林刑事は、あ、そうですか、ああ大変ですなと同情する。

しかし…と主任が言いかけた時、また電話が鳴り、今度は林刑事が受話器を取る。

はい、捜査本部です、おお、高津君ですと言いながら受話器を主任に渡す。

おお、たった今、太田君から連絡があってね、例の定期便の運転手の後頭部にハゲがあることがわかったんだ、君も捜査の線をそっちに切り替えてくれんか、うん、うん…と主任は伝える。

突然マアちゃんが部屋に来ると水出しちゃった、うう冷たい冷たい、まあちゃんの顔にかかっちゃった、おじちゃん、困ってしまったよ、ちょっとおいでよと、どこ行くんだい?近所の子供たちを前に紙芝居屋が、内容を読んでいる横を通り過ぎた赤羽署の刑事と長田部長刑事たちは、釈放者が出回りそうな場所に向かっていた。

ホルモン料理「天国旅館」という店に来ると、地元刑事がここですよと教える。

女将が二人を旅館内に案内し、どうぞ、あそこですからと奥の方を指差す。

その部屋の前に来た長田がドアをノックすると、はいと返事があったので、ドアを開けて中に入る。

すると、布団に男女が入っており、下着姿の女(光岡早苗)の方が髪を解きながら、なにさ、あんたたちと聞いてくる。

うつ伏せに寝ていて振り向いたのが、メガネをかけた 横瀬八郎(田中春男)だった。

横瀬八郎さんだね?と長田部長刑事が警察手帳を見せて聞くと、そうだよ、あっしは小判なんか盗みゃしなかったぜ、だから出て来たんだぜ、また調べようってんですか?と言って来たんで、いや、今っぴぃはまた別の事件でねと長田は答える。

別の事件?あっしは何もしちゃいませんよと横瀬は寝そべったまま言い返してくるが、ま、一緒に来てもらおうと長田は声をかける。

すると女が、嫌になっちゃうよ、おまわりさんって、弱いものいじめばっかりするんだからと嫌味を言ってくる。

しかし横瀬が起き上がって着替え始めたので、女は、あんた、また行くの?と声をかける。

本部にやってきた横瀬は、あっしはただ運転しただけで…と供述する。

4回ともかね?と主任が聞くと、いいえ、3…というので、3回か?え?と聞くと、へえと横瀬は認める。

同じ3人で組んでかね?と聞くと、へえと答える。

後の二人は何て奴だ?と聞くと、本名は知らないんですが、1人はさんちゃんと呼んでましたというので、さんちゃん…。こいつかねと、主任は内ポケットから何枚かの写真を取り出し、その中から大沼三之助の写真を取り出し、こいつかね?と聞くと、ええと答えたので、もう1人は?と聞くと、おおさんと言ってましたというので、小川勝次の写真を出して見せると、みんなわかってんですかと横瀬は観念したかのように答える。

で、ウィンドーを破って小判を奪ったのも、この2人と組んでやったのかね?と主任が聞くと、へえ、おおとんは良くて言って2千パンしかなりませんからねと横瀬は打ち明ける。

お前、こいつ知ってるかと、長田部長刑事がもう一枚の写真を見せると、映画の役者じゃありませんか?と言うので、違うね、じゃあ、頭のこの辺にハゲがある定期便の運転手は?と聞くと、さあ、知りませんね〜と横瀬は言う。

ところでウインドーから盗み出した小判はどうした?と主任が聞くと、さんちゃんが処分していずれ分前をくれるって話でしたと言う。

いつ?と聞くと、ところがその場であっしがパクられちまったんでまだ約束はしてないんでさあと横瀬は打ち明ける。

その会話を記録していた金子刑事が、小川なら知ってるでしょうな、大沼が小判をどう処分したかと言い出す。

しかし、奴は例の通りだからな〜と主任は期待していないようだったので、ま、当たってみます、吐かなくても元々ですからねと金子刑事は言って立ち上がる。

なあ横瀬、さんちゃんのヤサを言ってみろ、知らんとは言わせんぞと主任が迫ると、そ、そんなことは無理ですよ、旦那…、ひの士たちは伝言板で連絡を取る以外、お互いがどこに住んで、何をしてるかって…、第一わかってりゃ、昨夜釈放になったその足で、小判の分前をもらいに行ってるはずじゃないですかと横瀬は言い返してくる。

2人と知り合ったのはどこなんだ?と長田部長刑事が聞くと、職業安定所です、北谷の…と言うので、北谷の職安…、で、お互いの連絡に使った伝言板っていうのは、上野駅の表口のかね?と主任が聞くと、ええ、誰が言ったんです、そんなこと…と横瀬は驚いたようだった。

さんちゃんっていうのは、伝言板に何か名前みたいなものを書くのかね、いつも…と主任がさらにきくと、ええ、まるさんってねと横瀬は打ち明ける。

まるさん?と主任が聞き返すと、へえ、三って書いて、丸をぐるっとこうとよこせは机の上に指で円を書いて見せたので、うん、丸三か、長田君、林君と一緒に上野駅の伝言板に張り込んでくれんか、さんちゃん、つまり大沼がハゲのある定期便の運転手と何か連絡でも取るかもしれんからなと主任は指示する。

なるほど、そうですね、あのハゲももう帰ってくる頃ですからねと林刑事も得心する。

金子刑事は、いまだに黙秘権を続けている小川にキレて、小判の前だよ!と怒鳴りつけていた。

金子刑事はタバコを吸い、残りのタバコをお側の前の机に置いたので、つい小川は颯太箱に手を伸ばそうとするが諦める。

そんな中、なあ小川、あのハゲのある定期便の運ちゃん、なんて名前だったかな〜と金子は世間話でもするように話しかける。

それでも小川は口を開かないので、小川、お前さんが言いたがらない気持ちも良くわかるよ、しかしいつまでも隠し通せるものじゃないんだから…、この辺で全部吐いちまわないか?うん?と金子刑事は言い聞かせる。

後頭部に傷のようなハゲがある運転手ですか?さあ〜、うちにはいませんね、そう言う人は…と、太田刑事の訪問を受けた定期便運送屋の所員(大野広高)は腕を組んで答える。

そうですか、どうも…と礼を言って太田刑事は帰りかけ、ちょうどやって来た高津刑事とばったり出会う。

高津さん!と太田から呼ばれた高津刑事は、おお、本部に電話してハゲのこと聞いたよと伝え、俺はこれだけ回ったと手帳を見せて来たので、僕はこれだけと太田も手帳を見せたので、じゃあ俺はこの方面を洗おうと太田の手帳の一部を指差すので、じゃあ僕はこの方面と太田刑事も答えるが、そこに帰って来た定期便トラックがクラクションを鳴らして通り過ぎる。

一方、上野駅構内に来た長田部長刑事は、大沼の顔は覚えてるねと林刑事に話していたが、ああ、絶対に逃しっこありませんと林刑事も答える。

駅構内の伝言板の前に、頭に包帯を巻いた男が腕時計の時刻を気にしながら立っていた。

あの男は?と長田が言うと、メガネはかけてないし…と林も気にしているようだった。

あの包帯さえしてなきゃ、ハゲの定期便かどうかわかるんだけどねと長田部長刑事は悔しがる。

林刑事もそうですね〜と同意する。

本部の壁に貼った表を前にした主任は、大沼と小川は5回とニューフェイ子全部やっている、北野は26日一回だけ、横瀬は初めの3回やった後で赤羽署に留置されたんだから、25日に乗車強盗などできるわけがないと、渡辺刑事相手に事件を整理していた。

25日に殺されたタクシーの運転手はハゲなんかなかったんだから、サリイが乗った時のハゲのある運転手ってのは間違いなくホシなんでしょうねと渡辺刑事も指摘する。

うん、定期便の運送会社を当たっている高津君か太田君が上手く見つけ出してくれるといいんだがねと主任は期待する。

夜になって訪れた運送会社の女性事務員に会っていた太田刑事が、え?禿げてるって!と声を上げる。

女性事務員(佐渡谷きぬ子)は、はい、ちょうどここら辺ですけどと自分の側頭部の辺りを指す。

きっとそれだ、で、その人どこにいます?と聞くと、絵=っと、26日から大阪に発ち、さっき戻って来ましたと女性事務員は言うので、じゃあ今いるんですね?と聞くと、いいえ、戻ってくるとすぐ出かけましたけどと言うではないか。

出かけた?どこへ?と聞いてもさあ?と言うので、名前は?と聞くと、高岡さんって…と言いながら、事務員が帳簿を見たので、高岡進21歳と太田刑事は手帳に写す。

本部の電話が鳴り、受話器を取った主任は、はい、はい、あ、何!高岡進?戻った!良し、上野駅にすぐ直行して長田君に知らせてくれ、もし大沼と連絡がついちまったら、今夜心配だからな、うん、うんと主任は指示し、多たん連絡をメモして行く。

うん、じゃあよろしく頼む!と主任は電話を切るが、その横では、渡辺刑事と金子刑事が店屋物の丼を食べているところだったので、渡辺君はすぐ高岡のヤサを張り込んでくれと主任は声をかける。

僕も行きますと金子も立ち上がるが、いや君はもう少し小川を当たってみてくれと主任は頼む。

上野駅では、新潟行きの列車は11番線23時55分発新北国戦周り、前原行きの列車にご乗車の方は13番線でお待ち願います…と構内アナウンスが流れていた。

長田部長刑事がおいと林刑事に声をかける。

頭に包帯青巻いたせいなんお横で少女(柳生尚美)が伝言板に「れいのところでまつ」とひらがなで書き込み、その下に三とかいて、その周囲を丸で囲んでいた。

長田部長刑事は、伝言板に書き込み、帰ってゆく少女の後を尾行し始める。

あのね、ちょっとちょっと…と少女を呼び止め、柱の方に連れて行くと、少女は悪いことがバレたことに気づいたのか項垂れる。

おじさんはね、警察の者なんだ、だから正直に答えてね、何?そのポケットの中味?と聞くと、少女がスカートのポケットからお金を出したので、そうか、誰かにもらったんだね、良いんだよ、落とさないように大事にしまっときなさい、黒板に書くように誰かが頼んだんだねと長田部長刑事は優しい口調で問いただす。

うんと言うので、誰?と聞くと、知らないおじさんと少女は言う。

じゃあそのおじさんがこのお金くれたの?と聞くと、うんと言うので、この人?と大沼三之助の写真を出して見せると、うん、この人と言う。

このひとどこいった?と聞くと、もうどっか行っちゃったと少女は答えるので、そう…と長田は答える。

林刑事のところへ戻って来た長田は、やっぱり大沼が書かせたらしいよと教える。

ああそうですか、畜生!野郎、相当警戒してますねと林刑事は悔しがる。

その時、背後から長田さんと声がしたので振り向くと、太田君!と気づくが、最後お一人がわかりましたと太田刑事は教える。

こいつです、高岡進(小林寛)、21歳、夕方大阪から帰ったんですと言いながら、太田刑事は写真を見せる。

するとあの青年は…と言いながら林刑事が伝言板の方も見ると、和装の女性がやって来て包帯の青年と合流したので、ランデブーでしたかとガッカリする。

和装の女性は、ごめんなさいと遅れた詫びを言うので、映画でも行こうかと包帯の青年は言いながら二人は仲睦まじく出かけてゆく。

しかし伝言板をよく見ると、「連絡頼むー高岡」の文字があったので、長田はそれに気づき凝視したので、どうしました?と林刑事が聞くと、あれをみた前、あれをと伝言板を注目させる。

深夜まで本部に残っていた主任の電話が鳴る。

おう、長田君か!と受話器に答えた主任だったが、え?連絡頼む高岡と書いてある!すると高岡はもう一度伝言板を観にくるかもしれんというわけだと答え、うん、うん、とにかく張り込んどいてくれと指示する。

高岡のヤサには渡辺君を張り込ませてあるが、奴が大沼にあっちまってからじゃ、肝心の大沼を捕まえ損ねるかもしれんからな、しっかり頼むぞと言って電話を切るが、まさかもう大沼と連絡が取れちまったんじゃないだろうな?と主任は案じる。

上の役には伝言板の前に高岡進が姿を見せたので、長田たちは身を隠す。

高岡は、さっき少女が書いた伝言文と自分が書いた伝言文を消すと、その場を立ち去る。

長田、林、太田の3刑事は雑踏の中、尾行を開始ずる。

夜の街を歩く高岡が入り込んだのは、ビンゴゲーム場だった。

長田や太田刑事が見守る中、高岡が座ったのは、帽子を被った大沼三之助(三井弘次)の隣の席だった。

太田刑事が大沼の背後に近づき様子を見ていると、高岡が何かを大沼に手渡しているところだった。

大沼が自分の膝の上で受け取った新聞紙を開くと、中に入っていたのは札束で、大沼はそのうちの一部を高岡に渡す。

すると高岡は少ないじゃんと文句を言う。

大沼が無言なので、よお、あの小判は大阪まで持ってってやったからそれだけに売れたんじゃない?と高岡はさらに言葉をかける。

店内では女性がマイクで、マスを埋める番号を読み上げており、客はビニールボールのようなものを中央に向かって投げて入れている。

すると大沼が帽子の庇を持ち上げ、おめえあれからタクシーやってだいぶん稼いだんだろう?と言い返してくる。

高岡は、たかが知れてるよ、それにそれとこれとじゃ話が別じゃないかと答える。

すると大沼は、こいつは後の2人にも分けてやると言って立ちあがろうとするので、高岡が掴んで座らせようとするが、その時背後にいた太田刑事が、おじさん、ビンゴじゃないか、上がったんだよと声をかける。

大沼の前に置かれたビンゴのマスに置いた碁石のようなものが当たっていたらしい。

おじさん、大沼さんだろう?と太田刑事が呼びかけると、大沼と高岡は固まる。

大沼は逃げようとするが太田がしがみつく。

その場から逃げ出した高岡は、長田部長刑事が捕まえる、さらに林刑事も太田刑事に協力して大沼を逮捕する。

突然の乱闘劇に、店内は騒然としていた。

店の外に出た時、大沼は二人の刑事を振り払い、通行人の中に逃げ込もうとするが、すぐさま取り押さえられる。

本部で待機していた主任の電話が鳴り響く。

はい捜査本部!おお、長田君!うん、うん、そうか!ご苦労!と労って電話を切る。

タバコを吸っていると、そこに金子刑事が戻って来たので、どうかね?と聞くと、はあ、相変わらず黙秘権ですよと金子刑事は答える。

そうかと答えた主任は、表のところへ行って、大沼と高岡の写真お下に逮捕と書き加えたので、それを見た金子刑事は、捕まったんですねと嬉しそうに聞く。

運と主任が答えると、僕も行きたかったですね、現場に…と金子刑事が文句を言うので、まあ腐るなよ、事件はこれきりじゃない、これで2度と事件が起こらなければ幸いだがねと主任は言い聞かし、主任の机の上を整理し出したので、はあと答えた金子刑事も一緒に手伝い出す。

本部の窓灯がある建物の外の夜景を写し


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