「警視庁物語 上野発五時三五分」
「警視庁物語」シリーズ第5弾で、上映時間59分の中編
波島進さん演じる山村刑事が初参加しており、黒スーツに黒い帽子となかなかスタイリッシュな刑事になってる。
レギュラー刑事役も多い須藤健さんがまたしても別の役で出ているので、混乱しがち。
当時はまだ若かったとはいえ、「全力疾走する多々良純」と言う絵面は興味深い。
【以下、ストーリー】
1957年、東映、長谷川公之脚本、村山新治監督作品
バイクレース会場
客席は応援する客たちで盛り上がっていた。
そんな中、当たった!当たった!と喜んでいた客が突然苦しんで倒れ込む。
タイトル(レース場の客席から帰る客の映像を背景に)
キャスト・スタッフロール
客席で起きた死亡事故の捜査に警察関係者がやってきたので、それを見守る野次馬たち。
痛いの右腕を見た 捜査第一課長(松本克平)が、この右腕にはめているのは?と聞くと、俗に健康リングってやつじゃありませんか?と鑑識員が答える。
もう一人の鑑識員も、そうですね、高血圧に効くって宣伝してますが…と答えるが、先に発言した鑑識員が担架の用意はできたかねとその鑑識員に聞く。
山村刑事(波島進)が車で連れてきた和服の婦人が、担架で運ばれる遺体の顔を確認して、お父さん!と呼びかけたので、ご主人に間違いあいませんか?と山村刑事が聞くと、婦人は遺体の胸に泣き崩れ、お父さん!私ですよ、私ですよ、なんとかいってちょうだいと呼びかけながら揺さぶる。
そして、夫の手を握った婦人は、冷たい、冷たいわと驚く。
そして再び泣いて遺体に抱きついた婦人は、百合子を連れてってくだされば、こんな目に遭わずに…と嘆く。
そんな夫人を、奥さん、奥さん!と山村刑事は慰める。
12レースが終わったのは?と捜査主任(神田隆)が聞くと、ええ、4時10分だったそうです、死んだのも大体その時刻でしょう、特殊な銃で背中から心臓…と鑑識員がいうので、特殊な拳銃と言いますと?と主任が聞くと、本町に戻って調べないと良くわかりませんが、傷口が普通じゃないんです、なんかこう、丸い弾で…と鑑識員は言う。
おい、目撃者はおらんのかよと課長が聞くが、ああ、何しろ、大穴が出た瞬間のことなんで…と金子刑事(山本麟一)が答える。
しかし、拳銃を撃ったんだから、音ぐらい聞いて痩せんのか?と課長は粘るが、ああ、それも消音器でもつけたんじゃないでしょうか?と金子刑事はいう。
そこに駆け寄ってきた山村刑事は、何も取られてないと奥さんは言っておりますがと主任に報告する。
物取りでないとすると…と呟いた主任は、まだ泣いていた妻の元に近づくと、奥さん、飛んだことで…と悔やみ言葉を言うと、失礼ですが、ご主人は人に恨まれているようなことはありませんか?と聞く。
しかし妻は、いいえ、宅に限って、そんな…と否定する。
会社で特に親しくされている方は?と聞くと、丸山…、丸山清一さんですと妻は言うので、その方の住所はご存知ですかと尋ねると、なんでも、青山の都営アパートとかで…と妻は答え他ので、主任は、山村君!と指示すると、じゃあ、どうも…と、妻に頭を下げる。
そこに駆けつけてきた長田部長刑事(堀雄二)が、スタンドにこんなものがありましたと持ってきたのは、「タクシー株式会社 電話(03)0171番」とだけ読み取れ、後は焼け焦げた跡がある手拭いだった。
鑑識で調べると、この焼け焦げた部分には硝煙反応がありますねと鑑識員は言うので、するとこの手拭いで拳銃を包んで消音器代わりにしたってわけですなと長田部長刑事が言うと、ホシも知恵を絞りましたねと鑑識員は苦笑する。
そこに別の鑑識員がきて、あった、あった…、この手拭いの染みね、80オクタン価のガソリンでしたよと報告する。
本部でその結果報告を聞いた課長が、ガソリン?と聞いたので、はあ、なんでもエンジンがノックするのを防止するICAとか言う薬品が入っているとかで、自動車に使うガソリンらしんです、課長、ひょっとするとホシは自動車の運転手なんかじゃないでしょうかと長田部長刑事は指摘する。
なるほど…、この手拭いも消音器代わりに使われたとすると、大事な手がありになってきたな~と課長は言う。
はあ、Cタクシー株式会社ってありますから、どっかのタクシー会社の宣伝に作られたもんでしょう、もらった人間はまずそこの運転手あたりから虱潰しに当たっていけば…と長田が言うと、しかしこの電話番号は本所の八百屋に移っているというし…と課長は不安視する。
そこに戻ってきた金子刑事が、解剖の死体から取り出したものですが、こんな子供騙しみたいなやつでしたと報告する。
それを受け取った主任は加藤に手渡すと、これはパチンコの弾じゃないかと指摘する。
特殊な拳銃というのは、どうやら手製の拳銃のことですねと金子刑事が言う。
その時電話がかかってきたので、はい、捜査本部!と長田部長刑事が出ると、おお!うん、そうか、うん…と会話を始めるが、課長は、火薬を仕込んでこの手拭いを巻いて撃ったというわけかと手製銃のことを話す。
うん、こんなものでも人間を殺せるなんて驚きましたと金子刑事も感心する。
すぐにその丸にイの字のパチンコ屋を手配してみた前と金子啓治氏主任が支持し、金子刑事が出かけた直後、そう…、ご苦労さんと言って電話を切った長田部長刑事が、山村刑事からの連絡で、被害者の友人関係を洗っても怨恨の線は全然ないそうですと課長に報告する。
そうか…、被害者が何も取られておらんとすると、まず怨恨の線で押すべきなんだが…と課長は悔しがる。
翌日、本所の171番…?ああ、あれ売っちゃいましたと長田部長刑事を出迎えた遊郭の女将(戸田春子)は答え、どうぞと座布団を勧める。
171…、いいない…、なんて縁起でもないからね、うちみたいな商売には…、売った先は八百屋の…と女将は電話を売った理由を教えるが、いや、買った先だよ、お宅の前の持ち主さと長田部長刑事は言う。
あ、うちの前は破産したタクシー会社でしたと言うので、ほお、どこの?なんて言う?と追求すると、さあ、なんでもマスコットとか言ったけど…と女将が曖昧そうに答えると、歯磨きしながら娼婦らしき女(牧幸子)が2階から降りてきて、あら、お母さん、スポットでねえの?と口出ししてくる。
総会、私は横文字なんかどうでも良いんだからと女将は返事する。
あそこの旦那優しい人だったけんど、首吊ってよ、ほらあたい気分悪かったと女は言うので、自殺したのかい?と長田部長刑事が聞くと、運転手に食い潰されたんだと、デーブキーアンだと泊めて死に目に来た時なんかひどくうなされていたと女は言う。
それを聞いた長田は、そうか…、いや、どうもありがとうと礼を言って帰李翔が、お兄さん、こんばんおいでよ、遊びにさ…と女が誘うので、長田が出て行った直後、馬鹿だねえ、警察の旦那じゃないかと女将が教えたんで、女はええ!と驚く。
電話を受けた主任は、おお、するとその解散したマスコットタクシーの運転手20名のうち、7名だけは落ち着き先がわかると言うんだね、うん、うん、よろしく頼むと答えていると、例のパチンコ玉はインディアン遊戯場という浅草のパチンコ屋のものと判明しました、これからすぐ出かけますと戻ってきた山村刑事が報告したので、よろしく頼むと主任は答える。
山村がそのまま出かけると、なるほど、丸にイの字は「インディアン」かと主任は茶を啜りながら苦笑する。
インディアン遊戯場に来た山村刑事は、無人の台の上のボタンを押すと、入ってるわよ!と女従業員(谷崎純子)が上のカーテンから顔を覗かせたので、あ、ちょっと!と呼び止め、またスイッチを押す。
すると、うるさいわね、あんた!と怒った女性従業員がまた顔を出したので、ここへ良く来る客で、タクシーの運ちゃん知らないか?警察のもんだけどと山村刑事が、胸ポケットから手帳を出して聞くと、急に愛想笑いをした女は、カーテンの後ろに降りると、ねえ、みっちゃんにさっちゃん!と声をかけるが、お客さんたくさんいるからわかんないんだってと、また上から顔を出して答える。
そうか、いや、ありがとうと山村刑事は礼をいうが、内緒だぜと口止めして帰る。
元マスコットタクシーの運転手ですね?あ、ありました、ありました、昭和31年4月マスコットタクシー解散により退職…と長田部長刑事が訪れた東都タクシー事務員(小杉義隆)は書類を見つけ、その書類には顔写真も添付されており、署名者欄には大木富士夫という名前が書いてあった。
大木富士夫…、この人に会いたいんですが?と長田部長刑事が頼むと、今日は出番で長信じ出てますよと言う。
そうですか…と落胆した長田部長刑事だったが、ひょっとしたら昨日オートレースに行ってないですか?と事務員に尋ねると、昨日ですか?昨日は明け版ですから朝からみんなで慰安旅行行ったんですよ、ガンちゃん!と事務員は事務所の入り口に来た男に声をかける。
呼ばれたガンちゃん(滝島孝二)は、サツの旦那だよと事務員に紹介されると、へえ?こんにちわと挨拶してくる。
あんた、昨日、箱根に行ったな?と事務員が聞くと、ウンとガンちゃんが言うので、一緒に行った人の名前が聞きたいんだがねと長田部長刑事は聞く。
俺と小池とター坊…、ター坊って本名は鈴木ですかね、それから大木…とガンちゃんがあげたので、富士夫さんですね・と長田が念を押すと、ええ、それから…とガンちゃんは続けようとするが、ありがとう、お邪魔しましたとガンちゃんと事務員に礼を言って長田部長刑事はその場を去ったので、ガンちゃんは、何だ?と戸惑う。
その後、長田部長刑事は街で元マスコットタクシーの退職者たちら相手に、この手ぬぐいなんですが…と手ぬぐいの調査を進める。
これなら私も持ってますよ、マスコットが解散する時、残ったやつをみんなで分けたんです、会社のお得意に巻いた残りとか言ってましたけどねと言うキャデラックの運転手(常盤耕司)がいたので、当時運転手が20人くらいいたそうだねと長田部長刑事が水を向けると、そう…、そのくらいいましたねと運転手は答える。
散らばった先はわかりませんか?と聞くと、さあね、私が流しでもやってれば顔合わせたりもするんでしょうが…と運転手は言う。
そう…、ところで昨日の日曜日はずっとうちにいたの?と長田部長刑事が聞くと、いや、伊東です、土曜日から…、何しろ社長ときたらゴルフ気狂いで…と運転手は言う。
夜の捜査本部に集まった刑事たちには、倦怠感に包まれていた。
その間、電話をしていた山村刑事は、元マスコットの運転手が今どこで働いているかは交通課でもわからんと言うのですが…と報告する。
うん、せめてマスコットの社長が自殺しとらんと、買い取った運転手の名前くらいわかるんだろうがねと主任も残念がる。
はあ…と山村も同意した時、長田部長刑事が外から帰ってきて、遅くなりましたと主任に挨拶したので、どうでした?と山村刑事が聞くと、うん、もとマスコットにいた7人だけ全部当たってみましたが、これという手がかりはつかめませんでしたと長田は言うので、そうか…、いやご苦労だったと主任は労う。
畜生、スタートした途端にエンコか…と、林刑事(花澤徳衛)が悔しがるで、どうだ?一杯行くか?課長の差し入れだよと言いながら一升瓶を取り出して見せる。
ああ、それは良いですね~と林刑事は喜び、早速湯呑みを出して準備を始める。
主任は、今日は休もう、明日は事件の現場からやり直しだと言い、湯呑みに酒を注いで行く。
翌日、長田部長刑事と山村刑事は、無人のオートレース場の客席に来ていた。
事務室に来てお邪魔しますと長田部長刑事が挨拶すると、あ、ご苦労様です、いかがですか?とオート・レース事務長(斎藤紫香)が、愛想よく挨拶してくる。
いや、どうも…、何しろ犯行の目的がはっきりせんもんで、何か手掛かりになりそうなものはないかと思ってきてみたんですが、みなさん、出勤早いですねと長田部長刑事は説明する。
いやもう、レースのある日は何しろ現金を扱う仕事だけによっぽど完璧にしときませんと、おお、どうぞと桜雪椅子を勧める。
二人が会釈して座ると、お茶を!と理事長が頼んだので、イヤイヤ、もうどうぞ…と長田部長掲示は恐縮する。
事務員立つが感情している札束を見た長田部長刑事は、大した金ですなと感心すると、どうも眺めるばっかりで、一度一昨日みたいな大穴を当ててみたいもんですがね、何しろ100円がポンと3万2000円になっちゃうんですから、我々の俸給じゃ、1ヶ月働いたって…と愉快そうに理事長が話すと、とても叶いませんねと山村刑事が続けたので、そう、羨ましいもんだねと長田部長刑事も同意する。
当たった人はね~、あんなの珍しいんですがね、10枚も買った人がいるんですよ、一昨日は…と理事長が言うので、ほお、やはり玄人でしょうねと山村刑事は羨ましそうに答える。
いやあ、あんなの10枚も買うなんて素人じゃありませんかな~と理事長も驚いたように言うと、中村君、君だったな、10枚売ったのは?どんな人だったね…と一人の女性事務員に聞く。
さあ、私たち、いちいちお客さんの顔見ていませんからと中村(富川千恵子)という女性事務員は答える。
そこに茶が運ばれてきた中、いやそうだ、そんなことしとったんじゃ仕事にならんわなと、聞いた理事長も苦笑する。
はあ、でも、中年の方じゃなかったかしらと中村は答える。
それを聞いた長田部長刑事と山村刑事は真顔になって顔を見合うと、山村刑事は中村の横に立つ。
高血圧に効くとかって銀の腕輪がありますでしょう?あれを右手首のところにしていましたから…と中村が言うので、銀の腕輪ね…と長田も立ち上がったので、何か?と理助長も立って聞いてくる。
いや…、一昨日の被害者も右の手首にはめとったもんですからねと長田部長刑事は打ち明ける。
サラリーマン風の男じゃありませんでしたか?焦茶色の背広で…と山村刑事が中村に聞くと、さあと中村は曖昧にしか答えなかったが、払い戻しの係が見とるかもしれませんと理事長が口を挟む。
中村君、君が売った10枚続きの番号は聞いてあるかね?と理事長が確認すると、中村ははいと答える。
その後、この番号なら6枚だけ私が窓口で払い戻しましたと払い戻し担当(山本緑)が答えたので、すると残りの4枚は?と長田部長刑事が聞くと、場内の両替は2名の手から払い戻してありますと払戻主任(浜田格)が答えので、するとホシは賞金32万円を3回に分けて受け取っているわけだと山村刑事は指摘し、相手の人相なんか覚えとらんですかな?と長田部長刑事は聞いてきみる。
女性払い戻し担当は、別に…というだけなので、服装は?と聞くと、そうね~と考え込み、そうだ、ナイロンジャンバーを着てましたわ、そう、思い出した、色はグレーですと告げる。
それを聞いた長田部長刑事は、うん、グレーのナイロンジャンバーね…と考え込む。
相当興奮しているらしくて、お金をつかませてあげると、慌てて引っ込めたもんだから、窓口にこするとボタンが1つ落ちたんです、グレーの割と若い人みたいでしたけど…と、和服の払戻し嬢はいう。
で、そのボタンは?と山村刑事が聞くと、もうなくなっちゃったんじゃないかしらと払い戻し嬢は答える。
グレーに間違いないですねと確認した山村刑事は、いや、ありがとう、お邪魔しましたと理事長らに礼を言う。
長田と山村はその後、インディアン遊技場にやってくる。
まだ室内を掃除していた女性従業員が、まだですよ、11時からですと言うので、また聞きに来たんだが?と山村刑事が声をかけると、あ、昨日の!と従業員は刑事だと気づく。
うん、あのね、グレーのナイロンジャンバーを着た男はよくこの店に来ないかい?と山村刑事は聞く。
背の高い人?と従業員が聞くので、うん、若い奴さと山村が答えると、いやなやつよ、ここのところしばらく来ないけど、来ると中を詰めろだの減らせだのって、大きな声で怒鳴るのよと従業員は言うので、いつもどこにいるか知らないかね?と長田部長刑事が聞くと、従業員たちは首を傾げる。
浅草の通りは、「東京の休日」を公開中の常盤座の周辺も賑わっていた。
そこに通行人として歩いていた長田部長刑事と山村刑事に近づいた男が、ありますよ、指定席二枚と突然話しかけてくる。
長田はすぐにダフ屋と見抜き、いつも決めてんだよ、買う人…と言い返したので、ええ、誰だ?と男(杉義一)はいうので、今日はいないようだな、ジャンバー着た、グレーのだよ、インディアンってパチンコ屋の常連で…と山村が付け加えると、ああ、あいつかと男は勘づ気、近くを見回して、おう、亀!と呼ぶ。
追うと言って、亀(岡部正純)と呼ばれた男が近づいてくるが、あの人は手首のところが毛糸だろう?こんなんじゃなくて、ボタンになった奴さと長田部長刑事は言う。
男は、なかなかうるせえんだな、おい、おめえ、ボタンつけてねえのか?と近づいた亀のジャンバーの袖の部分を持って尋ねる。
意味がわからないかめが、あ?と戸惑うと、こんなジャンバーでねと長田が言うと、雄ちゃんだよ、それならと亀は言うので、若くて背の高い奴だと山村も笑顔で言うと、ああ、雄一だと亀は断言する。
雄一って言ったかな?何雄一だっけ?と長田部長刑事がさりげなく聞くと、池本雄一と亀が言うので、、今日来てないみたいだねと山村刑事が聞くと、ええ、レコと一緒でしょう?と亀は答える。
レコいるのかい?と長田部長刑事がさりげなく聞くと、ええ、ヌードモデルでね、中浦のサクラスタジオの専属でさあ~と亀は言う。
浅草中見世にやってきた長田と山村は、浅草といえば雷おこし、あ、どうですか、おひとついかがですか、50円からですなどと言う呼び込みの声を聞き魔ながら、桜スタジオを目指す。
すると「サクラスタヂオ 美容室キンバリー」と書かれた看板を発見する。
スタジオでは、ちょっとその左手を高…、そうそうそうです、お願いします、あ、ちょっといきすぎました、あ、結構結構などと3人の素人写真家達(大東良、広田新二郎、岩城力)がヌードモデルのポーズを要求していた。
ねえ、早くしてくんない?とモデルが文句を言うので、待て、待て、芸術はそう簡単にはいかんよ、うんなどと素人は偉そうに言う。
その時、やっちゃん、面会!と女性スタッフ(高橋京子)が呼びに来たので、カメラマン達は、しょうがないな~、君君!と呼び止めるが、ガウンを着たヌード嬢の康子(三笠博子)はさっさと出ていってしまう。
やっちゃんかい?雄ちゃんかと思ったんだろう?と山村刑事が話しかけ、そばには長田部長系にが座っていた。
あんた達誰?と康子が聞くので、警視庁の方よとスタッフが教えると、ふ~んと答える。
雄ちゃん、どこにいるね?と長田部長刑事が聞くと、知らないと言うので、やっちゃん!とスタッフが叱ると、あんたは黙ってらっしゃいよと制した康子は、雄ちゃんはどうかしたの?と聞く。
う~ん、どうってことでもないんだがと山村刑事が言葉を濁すと、はっきり言ったっていいじゃないの、どうせ取り調べようってんでしょう?と康子は強気の姿勢を崩さなかった。
まあねと長田が答えると、何取り調べるつもりかわからないけど、雄ちゃんはね、叩いたってほこりなんか出やしないんだからと康子は答え、スタジオに戻ろうとするので、君!と山村はその手を引いて止めようとすると、康子が握っていた何かを掴んだので、何するのさ!返してよ、大切な写真入ってるんだから!と康子は怒りだす。
山村は、写真?と聞き返し、ロケットを開けてみると、男の写真が入っていたので、雄ちゃんだね?と確認しながらそのロケットを長田部長刑事に見せる。
康子は、雄ちゃんで悪かったわねと不貞腐れて見せるので、なあ、いそうなところを教えてくれよと山村刑事は尋ねる。
うち行ったらいいじゃないと康子が言うので、だからね、そのうちはどこなの?と長田部長刑事が立ち上がってロケットを返しながら聞く。
三河島のハモニカ長屋よと康子は教える。
ハモニカ長屋の面では子供達が遊んでいた。
棒を突きつけられた長田部長刑事と山村刑事は、危ない、危ない、まいった、まいったといなし、坊や達、湯ちゃんってお兄ちゃんち知らないかと長田部長刑事が聞く。
すると1人のこどm子が、13番目のうちだいと教える。
その方向に歩いていった山村刑事は、雄ちゃん!雄ちゃん!と家の間で呼びかけてみる。
すると雄一の母らしき女性(近衛秀子)が窓から顔を出し、あ、雄一は出かけたよと言うので、ああ、お母さんか、どこへ?と聞くと、さあ、けいちゃんと一緒だからと言うので、ふ~ん、そうか…とうアマ村刑事は落胆するが、母はその時、そばにいた松葉杖の青年を見つける。
常ちゃん!雄一は「蛸一」行ったっけ?と声をかけると、さあ、もういねえだろうよと常(北川巧)が答えたので、「蛸一」ってどこよ、お母さんと山村が聞くと、天神様の横入った飲み屋だよと母は言うので、ああ、あそこか、ありがとうよと礼を言って、山村はその場を離れる。
長田部長刑事と合流した山村刑事は、「蛸一」って飲み屋ですと報告する。
提灯に「酒の店 蛸一」と書かれた店先から出てきた二人組は、何かに気づいて身を隠す。
その直後、やってきた長田部長刑事と山村刑事は店の前まで来て、長田部長刑事だけが店に入ると、松葉杖の常が出てくるところだった、
店の中で雄ちゃんは?と聞くと、今までだったと思うと女将(谷本小夜子)は言うので、1人で帰った?と問いかけても後は返事がない。
その女将が二枚の皿と箸を片付けようとしていたので、ちょっと待った!と呼びかけた長田部長ケイジは、これ、雄ちゃんたちが飲んでたやつか?と聞くと、うんだと言うので、警察のもんだ、このコップもらっていくよと警察手帳を見せながら伝える。
女将が落としたコップの破片と2個のコップをハンカチに包んで外に出た長田部長ケイジは、外で待っていた山村刑事に、勘付いたらしいよと伝えたので、山村は、畜生と悔しがる。
その時、背後の草陰に人の気配がしたので、誰だ!と長田が呼びかけると、2人の若者が逃げ出したので、山村刑事と共に後を追う。
やがて、逃げていた一人が降りざまに発砲し、長田部長啓示は右足を撃たれる。
それでも山村刑事が転んだジャンバー姿の男を確保する。
山村が近づいてくると、大丈夫ですか?と山村は声をかけるが、もう一人を追うんだ!と長田は命じ、自分がジャンバーの男を押さえ込む。
山村刑事は1人で後を追い、途中で軽滝を吹き鳴らす。
街に近づいた時、さらに警笛を吹いたので、気づいた警官が接近するが、いち早く逃げた男はタクシーに乗り込んで逃走する。
そこに駆けつけた山村刑事は、同時に近づいた警官に、5 さ-6265!とナンバーを記憶し、緊急だ!と伝えたので、警官は近くの公衆電話に飛び込むと警視庁に通報する。
至急!至急、警視庁から各移動!ただいま、荒川区三島町曙町に傷害事件発生!犯人はタクシーに乗って逃走、自動車ナンバーは営業用5-き-6265!と無田が飛ぶ。
了解!ハロセタン57年型トヨペットクラウン、なお、地色は黄色ですから念の為、犯人の人相は不明、32歳くらい、犯人は拳銃を所持しているから注意せよ、なお逃走方向は三河島駅方面、現在地知らせ、どうぞ!
「警視庁墨田警察署 松崎橋巡査派出所」にも電話連絡が入っていた。
了解!緊急警戒しますと巡査が答える。
やがて、該当するナンバーのタクシーの前方に回り込んだパトカーが止めるが、乗っていたのは二人の芸者だった。
なにさ?あたしが何かしたって言うの?冗談じゃないよ、忙しいんだから!早く退いて!と姉さんの方が文句を言ってくる。
一方、連行された池本雄一(小林寛)に、おい、君、立ちたまえと命じた山村刑事は、ジャンバーの右手の袖部分のボタンが取れていることを確認すると、ポケットの中の小銭と包みも確認すると、ポンだね、これは?と言いながら同席した林刑事に渡し、左袖を捲ってみて、ポン中だな、君は?…と指摘する。
それでも相手が何も言わないので、返事くらいしたらどうなんだ?黙りこくってないで!と語気を荒げる。
林刑事は、まあ良いだろう、こいつはすぐ分析に出さんといかんなと包みを再び山村の手に戻しながらいう。
山村刑事が部屋を出ると、残った林刑事は、おい君、君は黙ってたって、警察は休みなく捜査を続けていずれわかってしまうんだよと言い聞かせ、タバコを吸おうとポケットから出すが体と気づくと、悔しそうに捻ってその場に投げ捨てる。
刑事部屋に戻ってきた山村刑事に、よう、どうかね?と主任が聞くと、ええ、どうも黙秘権を使うんで…、ポン中ですね、あいつはと言いながら山村はポンの包みを主任に渡す。
そこに電話がかかってきて、出た刑事が、はい、捜査本部と答えると、主任の机の電話もなったので、主任がとって、はい、そうです、おお、うん、すると弾はやはり丸イ印のパチンコ玉と答える。
で、長田の容体は?そうか、そりゃ不幸中の幸いだった、明日にでも見舞いに行くと言っといてくれと答えて受話器を置く。
あ、やっぱりけいちゃんってのが本ボシだったんですね、惜しいことしたな…と山村刑事は悔しがる。
してみると、殺しの主犯は逃げた方のやつで、窓口から賞金を払い戻したのが、あのジャンバーの野郎となるわけかな?と主任も指摘する。
電話を終えた田中刑事(佐原広二)が、パトカーが手配番号と同じナンバーのタクシーを捕まえたところが、乗っていたのは芸者で、犯人と思われる男は、国電三河島駅で降りたと運転手は言っているそうですと主任に伝える。
それを聞いた主任は、う~ん、すばしこい奴だな~と呟く。
はあ、足取りも、駅へ入って行ったらしいと言う所でぶっつり切れてしまっているそうですと続ける。
それを聞いた山村刑事は、畜生、レツの方は生意気に黙秘権使うし…と悔しがる。
入院してベッドで寝ていた長田部長刑事を見舞った林刑事は、どうです気分は?痛みますかと話しかけると、ホシを逃したのは不覚だったよと長田は答える。
捕まりますよ、緊急手配が出てるんですからと林刑事は慰め、凶悪な野郎だ、ハジキなんか使いやがって…とぼやくと、「蛸一」のコップは届けてくれたかいと長田から聞かれると、あ、あの割れてないコップの方から、ずらかった通称ケイちゃんのものと思われる完全指紋がとれたそうです、大手柄ですよと林刑事は伝える。
そうか…、その指紋から奴の身元が割れてくれるといいんだが…と長田部長刑事はいう。
「銃器室」に詰めていた山村刑事と金子刑事の元に近づいてきた銃器技師(片山滉)が、合いましたよ、合いましたよ、殺しの前科者かと思ったら、轢き逃げをしたことのある野郎なんです、てこ釣りましたというので、おお、こいつですかと金子刑事は指紋照合の書類を見る。
久保田敬三(多々良純)、大正14年5月6日生まれ、荒川区西4丁目50、蛯原方、マスコットタクシーの運転手だと金子刑事が読み上げると、この男か…と山村刑事も納得する。
翌日、山村刑事と金子刑事は久保田を探りに行くが、途中康子が友人と出かけるところに出会したので、顔が割れている山村は身を隠し、金子が一人でタバコ屋の老婆に、久保田君いますか?と話を聞く。
店番の老婆(小松春枝)は、昨夜遅く、ちょっと帰ってきたようですけど…というので、どこ言ったんでしょう?と聞くと、奥さんに聞いてご覧なさいまし、今出て行った…と老婆はいう。
金子刑事は、今出て行った?二人づれで?と聞くと、ええと言うので、いや、どうも…と礼を言って、店のそばで待機していた山村刑事のそばに来ると、どこ行った、今の?と聞くと、あの喫茶店に入ったようだと言うので、久保田のレコらしいんだと金子刑事が教えると、もう一人は雄一のレコなんだと山村は教える。
これは面白くなってきたぞ、僕は外で見張る。面割れてるからと山村がいうと、良し、頼むよと金子刑事は頼む。
金子刑事は喫茶店に入ると、コーヒーと注文し、2人の女性が座った隣のテーブル席につく。
久保田の妻は、新聞に載っていた「三河島で私服刑事射たる」「東都レース場事件の主犯か 発砲しながら逃走」「共犯 池元雄一を逮捕 捜査に新局面展開」の見出しを熱心に読んでいた。
ちっとも知らなかったもんだから…と康子(三笠博子)は呟くと、ねえ、由利さん、一度敬ちゃんに合わせてよと頼む。
すると由利(浦里はるみ)は、無理よ、私だって落ち着いて会えないんだもの…と言うので、少しは私の身にもなってくれたって良いじゃないのさと康子が言うと、お互い様よと由利は返していた。
すると康子は、何がお互い様なのさ、雄ちゃんに貧乏くじ引かせといてと興奮気味に言い返したので、康っちゃんと由利ガイ返そうとすると、あんたたちばっかり上手い汁吸わないでよと康子は言う。
雄ちゃんの方からいつだって寄り付いてくるんじゃないのと由利が言うと、だって…、だって、ポンで釣るんじゃないさと康子は言い返すのを隣のテーブルの金子刑事は耳にする。
うちなんか、別に雄ちゃんと一緒じゃなくたって構わないって言ってんのよと由利は打ち明ける。
それを聞いた康子は、ねえ、お願い!私、本当に心配なのよ、雄ちゃんがどうされちゃうかと思うと…と訴える。
大丈夫よ、敬ちゃんだって悪いようにはしないわよと由利は答え、腕時計で時間を見ると立ち上がったので、あんた、逃げるの?と康子も立ち上がって迫る。
バカね、時間で行くところがあるのよと由利は答える。
私も行くと康子が言うと、だめ!と由利が断ったので、敬ちゃんと会うんでしょう!と康子は詰め寄る。
品物を取りに行くのよ、雄ちゃんを保釈するにしたって先立つものがいるでしょ?と由利は言い聞かせる。
それを聞いた康子はちょっと冷静になりまた腰を下ろしたので、由利も座って、ねえ、雄ちゃん黙っててくれたら、私恩に着るわね、もういかなくちゃ、おいくら?と店員に聞く。
外で張っていた山村刑事は、喫茶店から2人の女性が出てきたことに気づくと、帽子の庇を深く被って顔を隠し尾行を続けると、2人がタクシーを停めたので、自分もタクシーを停めて尾行する。
店から出てきた金子刑事もその姿に気づいて、タクシーに乗った山村刑事に手で合図をすると自分は歩いて別行動する。
本部では、部屋に戻ってきた林刑事に、どうだね?雄一はまだ吐かんかね?と主任が聞いていた。
いや、ポンが切れてきたせいか、久保田の写真を見せても全然取り合いませんと林刑事は答える。
久保田の女を泳がしとるから、そのうち網にかかってくるさと、主任は鉢植えの花をいじりながらいう。
その間電話を受けていた田中刑事が、ちょっと待ってくださいと電話口に断り、今、上野署から電話で、昨夜の緊急警戒で不審尋問にかかった男が雄一が持っていたのと同じDL型と同じヒロポンを持っていたそうですがと主任に報告する。
うんと主任が答えると、そいつを連れてきて雄一に面通しさせたら、奴らのアジトくらい割れるんじゃないでしょうか?と田中刑事は提案する。
しかし仲間だったら、容易に口を割らんだろうと主任は疑問視する。
さあ、通称為さんとかって、ちょっと顔の売れたポンの売人だそうですが…と田中刑事が補足すると、売人?と主任は注目し、良し、とにかく面通しさせてみようと言い出す。
田中刑事は置いていた受話器のところに戻り、もしもし!お待ちどう…と呼びかける。
取調室に戻った林刑事は、さあどうだい?そろそろ久保田の立ち回り先白状しないかい?とポンが切れて朦朧とした状態の池本雄一に聞く。
雄一は自分の左腕を無意識に掻き始め、ジャンパーをめくって素肌を出すと、虫が、虫が!と左腕を見ながら叫び出す。
幻覚が始まったと悟った林刑事は、冷静に暴れ出した雄一を抑えるが、雄一は、ポンをくれ、ポンをくれ!と叫ぶ。
そんな取調室の隣室に田中刑事が上野署で捕まった通称為さん(吉川英蘭)を連れて来て、室内の照明を落とすと、壁のカーテンを開いてマジックミラーの窓から隣を覗かせる。
虫が体を這う幻覚を見ていた雄一が錯乱しているのを林刑事が押さえつけている様子を見た売人は、旦那!と慌てて身を隠そうとしたので、大丈夫だよ為さん、向こうからは見えない仕掛けになってるんだ、特殊なガラスなんだよと田中刑事が説明する。
ええと為さんが納得すると、あの暴れている男を知ってるかい?と田中刑事が聞くと、え?ポン中ですか?と聞くので、顔ぐらい知ってるだろうと田中刑事は促す。
いや…と為さんが答えないので、一緒に来いと田中刑事は別室に連れて行く。
雄一はポンをくれ!と叫んでいたが、やがて力尽きたのか、林刑事が座らせた椅子の上でぐったりする。
そして、ポンくださいと言いながら半泣き状態になり、虛空を見ながらポンくれるなら何でもしますとまで言い出す。
そんな哀れなポン中の姿を林刑事は気の毒そうに見守る。
本部に為さんを連れて来た田中刑事は、出迎えた主任に、雄一を見たこともないそうですと報告したので、為さんはすみませんと詫びるが、何も君が謝ることはないさ、まあ、かけたまえと主任は椅子を薦める。
そこに来た林刑事が、主任さん、ちょっとと呼ぶ。
別室について来た主任に、奴らのアジトがわかりましたと林刑事が言うので、おおと主任は驚き、その場にいた金子刑事も立ち上がるが、浅草のオパールっていう喫茶店ですと林刑事は教える。
良く吐いたねと主任が感心すると、いやあ、もうヒロポンが切れて来て手こずりました、あれもどっか入院させてやらんと可哀想ですなと林刑事は嘆くように言う。
うん、きみ、すぐ出かけてくれんか?と主任は金子刑事に指示する。
オパールですな?と金子刑事が確認すると、それ奴らの連絡場所だそうだからねと林刑事が言い添える。
金子刑事は、慎重にだけ追い込んでみますと答え出かけてゆく。
主任は自分の机から写真を持って為さんの元に戻ると、この男を知らんかね?と写真を見せる。
写真を見た為さんは、旦那、これは敬ちゃんじゃありませんか!と驚いたように立ち上がる。
ほお、知ってるのかい?と田中刑事が聞くと、え、タクシーの運ちゃんだったって言ってますがね、そこは解散になったとかで、ポンの小売なんかもやってましたが、すばしこい男ですよ、賭け事なんかが得意でねと為さんは教える。
最近、大穴当てたってなこと言ってなかったか?と林刑事が聞くと、さて…、そういやあ、ポンを買い占めてバイするんだなんて…、奴の言い草が振るってます、何の商売でも儲からなきゃ浮かばれねえなんてねと為さんは言う。
それを聞いた主任は破顔し、なるほど…、ヒロポンの商会になりたかってわけか、奴とかいつもどこで取引するんだと聞くと、旦那、そいつは…と為さんが顔を背けたので、言うんだ!と田中刑事が叱りつける。
もう一度主任が、取引はどこでするんだ?と繰り返すと、上野のガードしたのトト屋って屋台市ですが、実は今夜もそこで100本ばかり仕入れる約束になってるんですが…と為さんは白状したので、なんじ?と林刑事が聞いてくる。
何時って、ポン取引は大抵、朝の2時半頃って決まってまさあと為さんは言う。
そもころ、金子刑事は、ネオン輝く浅草の「オパール」と言う店にやって来ていた。
カウンターのウェイトレス(宮田悦子)に近づき、久保田の敬ちゃん、来た?と聞くと、あら、今し方出て行ったわと言うので、今?と聞くと、と言っても3分くらい経つかしらと言うので、誰かと一緒?と聞くと、いえ、1人とウエイトレスは言い、お待ち合わせ?と聞いて来たので、うん…と金子刑事ははぐらせる。
それでなのね、1時間くらいぼさっとしてたけど、ちょっと出てくるって…とウエイトレスが言うので、そうか、じゃあ戻って来るねと金子刑事が喜ぶと、多分…とウエイトレスが言うので、じゃあ待とうと答え、席に着く。
その直後、由利が店に来たので、レジスター(佐山二三子)が、あら由利さんと声をかけ、キミさんとレジスターはウエイトレスに呼びかける。
するとキミさんと呼ばれたウエイトレスも、あら由利さん!と喜ぶ。
どう、その後?と由利がキミに話しかけると、あら?聞きたいのはこっちの方よ、さっき見えてたわよとキミは教える。
うん、遅くなっちゃったのよ、ゴタゴタして…と由利は言い訳する。
そんな百合の様子を金子刑事は注視していたが、その時、山村刑事がやって来たので合図すると、同じテーブルに座り、久保田のレコの尾行で…と山村はこの店に来た説明する。
カウンターで幹たちと喋っている由利を見た金子刑事は、ほお、奴の待ち合わせの相手ってあれだったのかと山村に伝える。
するとここへは聞き込みで?と山村も逆に聞いてくる。
うん、一足違いで逃したが、また来るらしいんだと金子刑事は教える。
それを聞いた山村刑事は、南と…、こっちは羽田から池袋、三河島のハモニカ長屋と、いい加減意味もなく引っ張り回されて…とぼやく。
由利もテーブル席に座り、この辺で、飛んで火に入る…とくりゃ、うめえんだがなと金子刑事が苦笑すると、店の電話が鳴り、受話器をとったウエイトレスのキミが、もしもし?あら、ちょっとお待ちくださいと答えると、由利さん!電話よと呼んだので、どうもありがとうねと言いながら由利が来て受話器を受け取る。
キミがコーヒーを運んできたので、ねえ、今の電話、久保田からじゃないの?と金子刑事が聞くと、そうよと言い、あ、お待ち合わせだったのねと気づく。
いや、良いんだよと金子はごまかし、山村刑事も僕もコーヒーと注文する。
由利は、うん、うん、常さんには会えないわよ、うん、うん、明日の朝!うん、うん、5時35分ね、もし間に合わなかったら?うん、私だけ先に行ってて良いのね?うん、はい、じゃあ、今夜気をつけてねと電話口で話して切ったので、奴、来ないつもりなのかな?と山村刑事が不安がり、勘付きやがったのかな?と金子刑事が応じると、お?帰るらしいぞとユリの動きに気づいた山村は指摘すると、良し、こっから俺がつけると金子刑事が言って立ち上がる。
本部に帰って来た山村刑事の報告を聞いた捜査第一課長が、電話がかかった後、すぐ女が出てったとすると、2人はどっかで落ち合うつもりかな?と聞いて来たので、さあ?いずれにしても久保田はだいぶん警戒していることだけは確かだと思いますと山村は答える。
そうですね、うちへも立ち回った様子ないしなと林刑事も賛同する。
そこに電話がかかって来たので、田中刑事が取り、はい、捜査本部と応じると、ああ、うん、うんと答え、久保田の女を尾行したら、三河島のハモニカ長屋を回って家に帰り着いたそうですが…と金子刑事からの報告を伝える。
そうか、引き続き張り込むように言ってくれと主任は命じる。
捜査第一課長は、良し、こうなったら、久保田のヤサと上野の屋台と、この2つの線で押しまくってみるかと提案したので、はっと主任は頷く。
深夜0時43分を上野駅の時計が示していた。
そんな上野にやって来たのは、田中刑事と変装した山村刑事だった。
林刑事は「海老原酒店 下総屋」の看板がかかった店舗の二階の窓の灯りを注視していた。
そこに、本部に電話入れて来たよと言いながら金子刑事が戻って来たので、あ、ご苦労さんと林刑事は答える。
タバコを取り出しながら、二階を見守る金子刑事は、まだ起きてるな~と感心する。
うん、時々影が動くだけだ、まだ野郎が立ち回った気配はないなと林刑事は答えたので、うん、焦らせるな~と金子刑事はタバコに火をつけながら言う。
田中刑事と山村刑事も、上野の屋台周辺で彷徨いていた。
変装した山村刑事は、冷えるね~、今夜は…と言いながら、おでん屋台の店に座り込む。
店には先客がすでに酒を飲んでいたが、その右手の小指が半分しかないことに山村刑事は目をつける。
酒が出たので、ありがとう、為さんパクられちまったよ、代わりに来たんだと山村がが主人に語りかけると、先客は、ほお、そうかい…と話しかけて来たので、よろしくお願いしますと山村刑事は挨拶する。
先客は、どこの問題?と聞いて来たので、どこの門だなんてもんじゃねえ、これでも元は横山町の若旦那に収まってたんだが…、これが落ち目の始まりよ…と山村刑事が左手に駐車する真似をして嘘を言うと、そこに、オッスと言いながら、別の客(潮健児)らが乱入してくる。
おでん、おでん、高橋おでん…、おこんばんわなどと3人ばかり客が座り始めたので、山村刑事は先客を離れて座るしかなくなる。
ああ、お前、早く気てくんねえかな?おい銭子かかってよと一人の客がいうので、冗談言っちゃいけねえよ、おでんの1通夜2つ…と主人(須藤健)が呆れると、それが惜しいって、ポンにすりゃ2~3本だよなと、客の一人(清村耕次)が仲間たちに話しかける。
3人目の客(頼川純)は山村を見て、そうだ、そうだなどと答え、オタクさんは?と山村に話しかけて来たので、為さん、パクられの巻でねなどと山村は冗談めかして応じる。
なるほど、代理ってわけかいと相手が言うので、うん、100本ばかり持ってかねえと、馴染みが可哀想なんでねと山村刑事は芝居を続ける。
デカも罪なことをしやがるよな~と客がいうので、山村は微妙な顔になる。
それでよ~、やべえってんだな?今夜…と別の客が案ずると、安心しな、為は野神の男だ、口は割らねえよと先客が答える。
そういうけどよ~、サツでヤキでも入れられたらよ~とまた別の客が心配する。
奴ら、お前、ゲロするなら罪軽くするなんてすぐにやるからなと別の客も賛同し、為公なんか当てになるものかと他の客もあざけると、先客は怒り出す。
酒を飲み始めた客は、だけど遅いね~と心配し始め、敬ちゃんよ、持ってくるなんて言ってたけどよ、手にへえんなくてすっぽかし…なんてんじゃねえのか?などと二人目の客は先客に不安を口にする。
そんなことあるわけねえよと他の客は否定するが、じゃあ、賭けるか?と一人が言い出したので、何て賭けるのよと聞くと、決まってらあ、お前、来るか、来ないかよ賭けを誘った客が答える。
すると1人が、俺来ねえと言い出したので、俺も来ねえとかけを言い出した客も言い、最後の客も情けねえなというので、じゃあお前来るか?と賭けの提案者が聞くと、焼酎一杯だな?と聞くので、うんと提案者は答える。
しかし、3人目の客もやっぱり来ねえやというので、なんでえ、馬鹿野郎!それじゃ賭けに何ねえじゃねえかよと提案者は怒る。
すると先客が、じゃあ、あっしが来ると行こうと言い出したので、提案者は喜び、向こうの兄ちゃんは?と先客が言うので、来ると賭けたいねと山村刑事も答える。
それを聞いた提案者は、ありがとうよと言い、腕時計で時間を見ながら、おい、どうやらご馳走に預かれそうだぜと喜び、遅れてきた3人客は愉快そうに笑い出す。
屋台の側で張っていた田中刑事が覗き込んだ腕時計の時間は深夜3時5分前だった。
久保田の家の二階の窓の明かりが消えたのを林刑事と金子刑事が目撃する。
本部では、主任が一人でタバコを吸って待機していたが、一向に電話がかかってこないので、立ち上がって窓の外の夜景を見る。
上野の屋台では、主人も客の5人も疲れ切っていた。
賭けの提案者が、もう来ねえなと言い出し、もしかしたら為さんやられたんで、敬ちゃん、やばいと思ってんじゃねえかな?と別の客が言う。
すると先客が、このところ、サツがやけに閉めやがるんでな、ひょっとすると…と言うので、手が回ったんじゃねえかな?と客も言い出す。
考えた山村刑事は、な?余ってるんだったら少し回してくれねえか?と提案すると、とんでもねえと断られるが、こうなりゃ値は倍に跳ね上がるじゃねえかと客は言い返してくる。
賭けの提案者は諦め、あくびをすると、いくら?と聞いて来たので、主人は120円と答える。
するとその客は、これだ、安くはねえよ、全く…とぼやきながら金を出そうとする。
他の客も、じゃあ行くか?と立ち上がり、じゃあ、兄貴ごめんなすってと言い残して帰って行ったので、チェッ、確かに来ると思ったんだがな~と先客はぼやく。
早朝、久保田の家から由利が大きな荷物を持って出てくる。
林刑事がそれを尾行し出す。
まだ店を開いていた屋台の主人は大欠伸をしていた。
兄ちゃんもわからねえ人だね~、今夜はもう来やしねえよ、皆、世が明けて来ちゃったじゃねえかと山村に言う。
山村刑事はそんな主人に、親父さん、さっき指詰めたのがいたろう?あいつ親父さんに金預けてったんだろう?と聞く。
敬ちゃんがあれ取りに来ると思ってるのかね?とんでもねえ、あんな四、五銭の端金で取りに来るもんかね、そらあもう1番電車じゃねえかと主人は、近くを通る電車の音で気づく。
あの連中はコウモリと同じだとぼやくので、そうかね、じゃあ勘定してもらおうかと山村刑事が財布を出した時、車が止まる音が聞こえたので、山村刑事の表情が緊張する。
口笛の音が近づいてきて、久保田敬三(多々良純)が暖簾をくぐって顔を見せた瞬間、久保田!と山村刑事が呼びかけ、それに気づいた久保田も逃げ出す。
山村刑事は逃走する久保田を追い、田中刑事も一足遅れて追跡する。
駅横の坂道を登る途中、久保田は振り返って撃ってくる。
それを避けながら山村刑事は追い、少し遅れて田中刑事も追っていた。
一方、由利はタクシーで上野駅に到着していた。
ちょっと遅れて駅に到着したタクシーから林刑事が降り立って、跡をつける。
上野公園内に来た久保田は、注意書きの看板の背後に身を隠す。
追って来た山村刑事と田中刑事は二手に分かれて追うことにする。
それを見ていた久保田は拳銃に弾を込めるが、それに気付かぬ山村刑事は接近していた。
それを狙いすましてた久保田が引き金を弾くが、一発目は出ずに、二発目を撃ったため、焦って弾が逸れてしまう。
それに気づいた山村刑事は、久保田!と呼びかけながら接近する。
由利は14番線の5時35分発、信越線経由新潟行きの列車の窓から久保田の姿を探していた。
ご乗車の方はお早く願いますとのアナウンスを、ホームで聞いていた林刑事も慌てて列車に乗り込む。
一方、陸橋を走っていた久保田は、振り返って打とうとした時バランスを崩して垂れ込んだので、そこに山村刑事が飛びかかる。
拳銃の奪い合いののち、久保田の手から振り落とし、久保田は山村刑事を陸橋から線路に突き落とそうとするが、押し返して掴みかかった山村刑事の腕を噛みついてくる。
痛みで悲鳴を挙げた山村刑事だったが、殴り合いの末、陸橋上に突き倒し揉み合う。
その下を由利が乗った機関車が通過してゆく。
そこに田中刑事が到着して、久保田の手に手錠をかける。
橋の上から遠ざかってゆく由利の乗った機関車が見える。
窓際の席の由利は寂しげだった。
そなりに座ったのは林刑事で、彼が差し出してきた警察手帳を見た由利は驚愕する。
警察手帳に終の文字が重なる。
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